Critical Browser Index
自転写像
本当に自転車が好き。どうして自転車が好きなのか。自転写像は、それぞれの活動に寄り添いながら「好き」という言葉の中に隠れている、自転車との無数の接点を紐解き、現在の活動(風景)を自転車から見つめる(眺める)企画である。 自転=自ら回転し、転がりながら進んでいくこと。写像=その転がる様子を現在の時点から写し取り、像として残すこと。そんな思いから、キュレーター、アーティスト、デザイナーなど、芸術・文化に ...
車転自
對中優です。車輪と回転するということにまつわる制作をしていたこともあって、この度お声がけいただきまして、3月14日(土)〜15日(日)に開催されるクリティカル・サイクリング展に新作の《車転自》というミクストメディアの作品を出展します。本作では軸の移動と回転の停止について考えたいと思っています。 作品《車転自》概要: 自転車とは、自己の身体機能が「車=移動装置」へと転じる仕組みです。本作は、①人が自 ...
2026年3月までのモビル文学を振り返る
2月から3月にかけて、クリティカル・サイクリング展を含め4つの展示があり、怒涛のように駆け抜けていった。各地で家族や仲間たち、そして各展示会の関係者の皆さんに大いに助けていただき、何とか走り抜くことができました。この場を借りてお礼申し上げます。 4つの展示はいずれも、「モビル文学」が発表の中心に据えられている。「モビル文学」を発表する以前、僕は何年もずるずると小説を書き続け、新人賞への応募を繰り返 ...
早朝早春ライド〜古地図散走〜:クリティカルサイクリング展にて!!
来る2026年3月14日(土)〜15日(日) にクリティカルサイクリング展が開催される。 2016年に活動が始まったクリティカル・サイクリングは、今年で10周年を迎える。クリティカル・サイクリングは自転車に乗ることを批評するグループであり、メンバーの活動はこのWEBサイトに記録されてきた。その中から有志24人の作家が一堂に介して30作品を展示を行う。世界でも類を見ない展覧会になるだろう。ぜひご覧い ...
Hangar(16) 自立する駐輪場
駐輪場というものは、たいてい薄暗い。地下にあるか、ビルの脇に追いやられているか、コンクリートや鉄骨が剥き出しになっているとか、いずれにせよ、自転車を停める場所に明るさを求める者はあまりいないらしく、蛍光灯か最近ならLED照明が申し訳程度に点いているだけのことが多い。私はそういう場所が嫌いではない。 「その自転車、スタンドはあるんですか、自立するんですか」 駐輪場の管理人に聞かれることがある。スタン ...
Critical Browser(ネットサイクリング)
クリティカル・サイクリングのWEBサイトは、この10年間で膨大な量の記事を積み上げてきた。2016年に活動が始まり、今年で10周年を迎える。記事はすでに1000本を超え、「読む」という行為そのものが、ある種の運動量となっている。 そこで私たちは、その「量」を、別のかたちで読み返せる装置として作品《Critical Browser》を制作した。 2025年制作。メンバー:福井悠人/寺田博亮/ジクリ/ ...
番外編:退任トロフィー
2025年度のIAMAS修了展にて、退任される赤松先生に記念トロフィーを贈呈した。 自転車建築を改造したトロフィー 記念トロフィーを贈呈する構想はおよそ一年前から進めていた。2023年度の修了展では三輪先生の退任にあたって同期の森田とトロフィーを共同製作したのだが、その時のトロフィーづくりがあまりにも楽しかったため、森田と今後IAMASを離れられる先生方にはトロフィーを贈ろうと話を進めていた。 三 ...
テイチライド 06:制作ノート|東京・東西往還
本稿では、2025年秋に開催された「再来さんや芸術祭」の上映プログラムに採択され、2026年春に「クリティカル・サイクリング展」でも上映する映像作品、『東京・東西往還』の設計思想について記述する。本作は、自転車を「都市の記述を解読し、再構成するための測定器」として用い、記述上の「不在」と「中心」の距離を身体的に検証する試みである。 今回の目的地、西新宿の副都心にある東京都庁。休日には人がいない。 ...
リアルタイムBGMシステム(21)
3月14日〜15日に開催されるクリティカル・サイクリング展に、筆者も出展する。約2年にわたり連載してきたリアルタイムBGMシステムを用い、これまで撮り溜めてきた映像を自作アプリケーションで演奏し、5分ほどに編集した映像作品「どこまでも遠くに / Farther and Farther Away」として出展する。2年間の試行錯誤がどのようなかたちになったか、ぜひ会場で確認してほしい。 本来は3月14 ...
Sound of Cycling RE:#06 かっこいいペダル
”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling RE」の制作記第6弾。今回は音作りそのものから離れて、ペダル周りの設計について書く。ペダルに取り付けたセンサーからの値を元にする作品なので、非常に重要な部分である。また、アプリの開発といったソフト面だけではなく、ハード面の開発もプロジェクト全体にとって大きな要素となる。 センサーの正体 センサーとなる「M5 StickC ...
クリティカル・サイクリング展〜この大きな空の下、風になる〜
2016年に活動が始まったクリティカル・サイクリングは、今年で10周年を迎えます。これを記念して2日間の展覧会を開催します。クリティカル・サイクリングは自転車に乗ることを批評するグループであり、メンバーの活動はこのWEBサイトに記録されてきました。その中から有志24人の作家が一堂に介して30作品を展示します。またとない機会となりますので、ぜひご覧いただきたくご案内申し上げます。 クリティカル・サイ ...
小さなカーゴバイクのある生活(体験中)
カーゴバイクを借りている。大量の荷物を、段階的・継続的に運び出す必要が生じたからだ。その経緯と所感をメモしておく。 なぜカーゴバイクが必要になったか 端的に言って、荷物の輸送のためである。 私は車を持たずに生活できているが、それは公共交通や徒歩、自転車でさっとアクセスできる範囲に様々な店舗やサービスが揃っているおかげといっていい。日頃の買い物などは、大体その範囲内で済ませることができる(なお、自分 ...
自転車のオリジナリティ
先日、僕の自転車を用いた作品や修士研究成果のクレジットや帰属をめぐって、知的財産に関するトラブルがあった。その経験をきっかけに、「自転車におけるオリジナリティとは何か」を考えるようになった。 自転車は、およそ200年にわたって大きく形状が変わっていないモビリティである。また、自転車に乗ること自体は普遍的で、練習すれば誰でも習得可能な技術だ。そうしたものが、固有の権利を主張しうる対象へと変化するまで ...
Hangar(15) 運転免許更新の駐輪場
運転免許の5年ぶりにやってきた。更新講習の区分は「優良運転者」であるによって、優良な運転手に相応しい講習内容を期待してやってきた。 自転車で免許更新センターにつき、駐車場はあったが駐輪場が見当たらない。道路交通の安全のためにある施設は当然、自転車交通もその範疇だ。自転車で更新にくる人がいることは想定しているはずである。 玄関にやってきたが駐輪場の案内はない。自転車駐輪をすると思しきスペースも見当た ...
「古地図散走」シマノ:ソーシャル×散走コンテスト参加記録
シマノが企画する「ソーシャル×散走」企画コンテスト。第8回目になるこのコンテストにIAMAS(情報科学芸術大学院大学)運動体設計メンバーが昨年度にひき続き参加した。応募サイトでは以下のようにある。 21世紀を迎え、モノや情報があふれる現代社会は環境、経済、人口、文化など様々な分野で社会的な課題を抱えています。また一言で社会課題といっても、地域や状況によってその形は様々です。 「ソーシャルx散走」企 ...
早朝耐寒ライド 2026 Winter 〜古地図散走〜
来る2月22日に、クリティカル・サイクリングと運動体設計の共催による早朝耐寒ライドを行います。こちらはIAMASの卒展のイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方の方もぜひお越しいただいて、ライドの後に卒展をご覧いただければ幸いです。 2016年より毎年(*)、夏のオープンハウスと冬の卒展に合わせて実施してきた早朝ライドも、いよいよ今回が最終走(おそらく)。そして ...
自転車建築(31)Light on Earth #5
前回の記事で提示したコンセプトに基づいて検討を進めている。下記の動画はその検討過程で実験、撮影したものである。 今回の試みにおける特徴は《Light on Earth》史上初の「横位置」での撮影を行った点にある。これに合わせてスマホの固定方法を再設計した。構造全体は片持ち梁のような形状になったため、先端部への振動が以前より増幅するのではと懸念していたが実際に試走してみると意外なほど影響はなく、記録 ...
テイチライド 05:制作ノート|細い道(接続・反復)1:25,000
2026年3月に開催される「クリティカル・サイクリング展」で発表する作品『細い道(接続・反復)1:25,000』は、自転車を都市解読のセンサーとして用い、インフラの積層と歴史的道程を再記述するビデオ・インスタレーションである。松尾芭蕉『おくのほそ道』の出発地(千住)と結びの地(大垣)という旅の枠組みを、現代の「1:25,000」という縮尺を軸に再構築する。 「おくのほそ道」の起点、隅田川にかかる大 ...
リアルタイムBGMシステム(20)
とある晴れた日に都内某所を2時間ほどライドを行い、アクションカムで撮影をした。都市のごちゃついている場所、トンネル、夜の都市などだ。その中から青山霊園、夜の都市を撮影した1分ほどのデモを公開する。 システムの仕組みは、画面を4行×6列の24領域に分割して各ブロックの情報を監視している。取得している情報は明るさ、RGB、コントラスト、色温度など様々だ。そして監視している値が一定の閾値を超えたタイミン ...
Sound of Cycling RE:#05 不穏な音が立ち上がる
”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling RE」の制作記第5弾。音の生成ロジックはおおよそ固まってきた。現在、いかに聴くにたえる音にするかチューニングをしている。本稿では、出音の調整過程について述べる。 音の設計図を描く あれもこれもと音を重ねていきたいところだが、重ねるほど濁るばかりだ。ここは芯を見据えて鳴らす鳴らさないを決めないと作品の完成は遠のいてしまう。以 ...
快楽原則 21: AIグラス
クラウドファンディングで支援していたRokid社のRokid Glassesが昨年末に届いた。いわゆるAIグラスで、メガネをかけて話しかけるとスマートフォンと連動して生成AIが音声と画像で答えてくれる。フレームの端にはカメラが備わっていて、写真や動画の撮影はもちろんのこと、「これ何?」と尋ねると目の前のものについて教えてくれる。マイクやカメラでのリアルタイム翻訳も可能。 早速、このRokid Gl ...
志村翔太 個展 《モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ》
2026年2月7日から15日まで、ギャラリー南製作所(東京都大田区)で、個展《モビル文学 多摩川アンセム・フォー・マイセルフ》 を開催する。今回の個展は、令和7年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業 国内クリエイター発表支援プログラムの成果発表として発表を行い、キュレーションを對中優、アートディレクションを瀬川晃が担当する。また制作協力としてIAMAS運動体設計プロジェクトが本展覧会に携わ ...
正月を継ぐ
2026年元日の朝、まだ暗いうちに淡路島を臨む大蔵海岸の「龍の湯」へ向かった。元旦特別早朝営業をしているこの銭湯は、初日の出を見るための特別な場所だ。娘はさきに女湯へ、私は入湯順番待ち列で30分ほど遅れて、露天岩風呂に浸かりながら待つ。午前7時ごろ、東の空から光が差し込み始めた。 私は太陽そのものを見ていたわけではない。岩風呂の岩を背にして、朝日に照らされた湯船の人々の顔を眺めていた。柔らかな光が ...
虹チャリ(3)自転車で虹を追いかけながら、町を疾走する。詩をかく。
自転車を改造し、自らの力で虹を生み出す「虹チャリ」を制作した。車輪の回転に合わせ、進行方向の前方に霧が噴き出す。太陽を背にしてペダルを漕ぐと、光と水滴と走行者の視線が交差する瞬間、虹が立ち上がる。第3回の連載では、東京での虹チャリの活動、福島県でのアーティストインレジデンスの進捗を報告したい。①Rainbow bicycle in Tokyo_01 虹チャリin東京 東京では、ビルが立ち並び光が差 ...
快楽原則 20: 香港
12月下旬、ペナン島の後はストップ・オーバーで香港に滞在した。これまでに何度か訪れた印象では、香港は極端な過密都市であり、道路は凄まじい交通渋滞、自転車なんて危険極まりないと思っていた。ところが、少し調べてみると郊外にはサイクリング・コースがある。その中でも定番らしいNew Territories Cycle Track Networkの沙田(Sha Tin)〜大埔(Tai Po)ルートを往復した ...
自転車建築(30)Light on Earth #4
前々回の記事では、新作は複数のキットを自転車に取り付けた状態で同時撮影を行う制作を進めると伝えた。だが、展示形式をシアター上映に変更したため、作品の構成要素を見直すことにした。 当初は、複数のディスプレイを用い、自転車と装置の関係性をインスタレーションとして空間的に再構成する構想であった。しかし、単一のスクリーンと向き合うシアター環境の座って鑑賞する体験に合わせ、映像そのものの強度に焦点を絞ること ...
テイチライド 04:街を撮影する
自転車にアクションカメラを装着し、都市の断片を「スナップ写真」のように切り取る。本記事では、機材の選定から「10秒」という制約が生む偶然性、InstagramやYouTube、BandCampを横断するワークフロー、そして未来へのアーカイブとしての意義までを整理した。 ...
リアルタイムBGMシステム(19)
先月実装したアプリケーションを、渋谷周辺のライド映像で動作させた。 これまでは自然豊かなザンビアのルサカの映像を使用していたが、人工物にあふれた東京の交通量の多い場所ではアプリがどのような挙動を示すのか興味があった。 映像冒頭でバスが画面を横切るような分かりやすいシーンでは、視覚的変化に対応した音楽が適切に鳴っていると感じる。しかし、異常なほどの交通量が続く場面では、システムが何に反応しているのか ...
Sound of Cycling RE:#04 自転車リスニング
”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling RE」の制作記第4弾。現在、音の制作を進めている。サイクリングの動作をいかに音にプロットしていくかは一番の悩みどころであり挑戦しがいのある領域だ。本稿では、サイクリングという特殊な状況において、音の体験を成立させるリスニング環境について整理していく。 どう聴くのか 室内で聴く場合と違い、サイクリングでの音楽鑑賞は静的なもの ...
快楽原則 19: ペナン島
「いつか見に行くペナン島の自転車」は「ようやく見に来たペナン島の自転車」になった。先の記事から3,133日、8年半も経っている。香港での乗り継ぎを含めて半日以上のフライトで到着したのは深夜。翌朝早くに宿の近くでシェア自転車を借りてを漕ぎ出す。目的地までは1km少々。大英帝国時代から続く多国籍商業都市ジョージ・タウンの街を彷徨いながら、憧憬の地を探して進む快楽。 ペナン島のシェア自転車はLinkBi ...
児童書『楽しく学んで自転車に乗ろう!』刊行
監修を担当した児童書『楽しく学んで自転車に乗ろう!』(株式会社KANADEL編、新日本出版社刊)が12月25日に発売される。小学3年生以上をメインターゲットとした本だが、小さい子でも絵や写真を眺めて楽しめるはずだ。 表紙 自転車は、子どもでもお年寄りでも乗れて、みんなのお出かけを支えてくれる、すごい乗り物です。発明されたのは200年以上前ですが、今も世界中でますますかつやくしている、環境や人にや ...
地元でチャリに乗る
長旅や2025年内全ての作品発表を終えて、近頃はすっかり生まれ育った神奈川県川崎市に拠点を移し、文化庁メディア芸術クリエイター育成事業に採択されたので2月に開催する個展の準備を進めている。地元で制作した作品を個展で発表予定だ。 僕が住んでいる川崎市はチャリ乗りながら喫煙しているようなヤンキーもいるし何より神奈川県警が管轄している愛すべき土地ではあるが、メディア芸術にお金を出すような風土でもないので ...
脚はなぜ「車輪」になったのか?──ルロワ=グーラン『身ぶりと言葉』から読み解く自転車への「外化」
筆者が所有するロードバイクの一つには、イタリアの老舗メーカー、カンパニョーロ社の「ケンタウル(Centaur)」というコンポーネントが組み付けられている。コンポーネントとは、変速機やブレーキ、クランクなど、自転車を走らせるための駆動・制動パーツの総称だ。そして「ケンタウルス」とはギリシャ神話に登場する、上半身が人間、下半身が馬の半人半獣の種族である。 自転車を走らせるためにサドルの上で前傾姿勢をと ...
虹チャリ(2)自転車で虹を追いかけながら、町を疾走する。詩をかく。
自転車を改造し、自らの力で虹を生み出す「虹チャリ」を制作した。車輪の回転に合わせ、進行方向の前方に霧が噴き出す。太陽を背にしてペダルを漕ぐと、光と水滴と走行者の視線が交差する瞬間、虹が立ち上がる。第二回の連載では、アップデートされた虹チャリver2.0と養老天命反転地でのイベントへの虹チャリの出展、福島県でのアーティストインレジデンスの進捗を報告したい。①虹チャリver2.0 虹チャリの筐体を真っ ...
快楽原則 18: バランス
養老天命反転地 30周年記念イベント「養老天命反転中!Living Body Museum in Yoro」のプログラムとしてワークショップ「バランスからだ自転車」を開催した。天候に恵まれ晴れ渡った大きな空の下、摩訶不思議な自転車に悪戦苦闘の叫びや、乗りこなした歓声が沸きあがっていた。人の身体の「バランス」は根源的な能力であり、普段は意識しない快楽原則に他ならない。 このイベントに用意した自転車の ...
テイチライド 03:カメラを選ぶ
自転車に乗り始め、SNSアカウントも開設した。何をどう伝えるべきか、まずは模索した。当初は、雰囲気の良い休憩場所や信号待ちの風景などを撮影し投稿していた。これは記録にはなるが、どうにも気分が盛り上がらない。 ...
リアルタイムBGMシステム(18)
これまで開発ツールの支援としてChatGPT(Codex)を継続的に使用してきたが、Codexが生成するコードでは、アプリケーションの動作が著しく重く、まともな操作が難しく改善が必要な状況だった。そこで、試験的にコード生成ツールとしてClaudeを導入することにした。現在のトレンドとしてはClaude Codeの導入が主流と考えられるが、今回は試験的導入のため、macOS Tahoeに搭載されたX ...
Sound of Cycling RE:#03 皇居でBPMを探す
”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling RE」の制作記第3弾。開発環境やシステム要件がある程度固まり、音づくりの本番フェーズに入り始めたところだ。現在「サイクリングのBPM」を探っているがこれがなかなか難儀している。 心地よいビートを作りたい サイクリングの動きを音として扱うとき、軸になるのはやはり「ペダル」だ。 基本的な音の構成は下記をイメージしている。・ペダ ...
快楽原則 17: ルアン・パバーン
11月初めにラオスのルアン・パバーン(Luang Phabang)に出かけた。アジア最後の秘境ともメコンの宝石とも呼ばれるラオスの、もっとも有名な観光地だ。日本の日常とはかけ離れた、ゆったりとした時間が流れる。ダルな快楽原則に身を任せてボートやトゥクトゥクでのんびり遊覧しながらも、マウンテン・バイクを借りて街地や郊外を走ることも忘れなかった。 ユネスコの世界遺産に登録されてたルアン・パバーンの旧市 ...
自転車を漕ぐ人類は、地上をすいすい泳ぐ生き物
穏やかな夜、自転車に乗って、大きな公園沿いの長くゆるやかなカーブを、重めのギアで漕いでゆく。カヌーの左、右、そしてまた左側の水をオールでかくように、脚から脚へひと漕ぎずつ力の波をつないで、暗いアスファルトの表面を進む。一つ二つ重いギアに入れ、腰を上げて立ち漕ぎになれば、脚はいっそう大きなストロークで世界を押しやり、その手応えを私のもとへ返す。このひとつながりの道具と身体は、うねるように泳ぐ魚のよう ...
俺はどうしても神輿をチャリに乗せて走ってみたかった
遂にMIKOSHI RIDERがこの世界に爆誕しました。 自分が調べた限りにおいては神輿を自転車に乗せた過去の事例は発見出来ず、おそらく人類史におけるチャリに神輿を乗せた存在・概念のオリジンになれたと思います。 MIKOSHI RIDER 神輿のデザインと制作を引き受けてくれた親友の小南菜子さんは心の底から信頼している作家であり、神輿の美しいビジュアルはもちろん、自転車に乗せた時の快適なハンドル操 ...
子供と親の自転車参与観察 reloaded
親に連れられて遊びに行った場所について、人はどれぐらいのことを記憶しているものだろうか。まったく覚えがないという人もいる。事細かに出来事を覚えている人もいるかもしれない。どこへ行ったのかということが、子供にとって大きな影響があることは想像に難くない。それに加えて、どのようにして行ったのかということもまた、大切な記憶になり得るのではないだろうか。 筆者自身は、テーマパークや観光地に行くこと、人気のス ...
虹チャリ(1)自転車で虹を追いかけながら、町を疾走する。詩をかく。
自転車を改造し、自らの力で虹を生み出す「虹チャリ」を制作した。車輪の回転に合わせ、進行方向の前方に霧が噴き出す。太陽を背にしてペダルを漕ぐと、光と水滴と走行者の視線が交差する瞬間、虹が立ち上がる。虹とは、太陽の光が空気中の水滴に反射し、私たちの目に届くことで初めて知覚される光の現象である。オラファー・エリアソンは、この虹の性質を用いた作品を数多く制作し、以下のように述べている。 "Dependin ...
快楽原則 16: 柿田川
日本三大清流のひとつ、柿田川を自転車で周遊した。柿田川?何それ?筆者も知らなかったし、周囲の人に尋ねても誰も知らなかった。ふとした拍子に調べたところ、長良川や四万十川と並び称されるのが聞いたことがない柿田川だった。しかも全長1.2kmの一級河川。何それ?何それ?疑問符を満載してBromptonを輪行、新幹線に乗って三島駅に降り立った。 駅前の観光案内所で教えられた柿田川公園へ3km少々で到着。しか ...
自転車建築(29)Light on Earth #3
前回に引き続き、《Light on Earth》の構成検討を行った。検討の目的は、建築的要素の構成によっていかに光の運動を生成し、5つの窓(ディスプレイ)を通して一貫した体験と興味深い空間表現を提示できるか、である。 今回の試み 現在は5つの窓に投影する空間構成要素を段階的に検討しており、「丸窓」「階段」「スリット壁」「四角窓」「丸柱」といった、荘厳な空間を形成する際にしばしば用いられる建築要素を ...
テイチライド 02:低地をライドする
アカウントを作る コロナ禍に入った年の夏に自転車を購入した。納品日に合わせ、自転車専用のInstagramアカウントを開設し、写真を投稿し始めた。アカウント作成の主な目的は、情報収集と自身の情報発信である。普段使いのアカウントでは投稿が混在するため、自転車専用アカウントを作り、情報収集を効率化したかった。また、このアカウントでは、TOKYOBIKE MONOという日常使いの自転車との向き合い方を発 ...
リアルタイムBGMシステム(17)
今回も引き続き前回のシステムアップデートになる。 物体の色情報の差異を検出し、その差異が一定の閾値を超えたときにmidi信号が送信される。しかし、映像のカメラが動くことで意図しない色の差異が検出されてしまうという問題があった。そこでシステムを見直し、検出感度、安定度などを調節可能にした。実装に相当苦戦したので割愛するが、手ブレ補正のようなフィルターだ。 さらに、今回からはサウンド面でも改良を行った ...
Sound of Cycling RE:#02 現代的リビルド
”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling RE」の制作記(RELOADEDが長いのでREにした。Rebuildの意味もある)。この10月14日にWindows 10のサポート期限が終了した。つまりWindows 10ベースで作動していた従来の「Sound of Cycling」は寿命を迎えたのである。ベースのシステム検討からのプロジェクト開始となった。 新たなシス ...
快楽原則 15: QuantumReader
先日、iPhone/iPad用のアプリQuantumReaderをApp Storeで公開した。画面の上部にカメラ映像が表示されるので、カメラをQRコードやバーコードにかざす。その内容がURLであればWEBサイトを表示し、テキストならWEB検索の結果を表示する。画面に触れることなく、次々と表示が切り替わるのは快楽極まりない。QRコードが多く掲載されているパンレットなどでは、とても手軽で便利だと思う ...
ストドロエンドのMTBを「マジックギア」でシングルスピード化
リアディレイラー(RD)を装着し多段ギアを組むことが前提の、エンド(ドロップアウト)形状が(ほぼ)垂直のいわゆる「ストドロ」フレーム。そういうフレームの自転車をわざわざシングルスピード化して乗りたい、というニーズも古くからあり、大きく3通りのアプローチがある。ごく単純に、RDをテンショナーに入れ替えてチェーンを張るアプローチ。スマートなものとしては、偏心(エキセントリック)機構を備えたボトムブラケ ...
快楽原則 14: 自転車の街(プロット)
自転車は快楽原則に従う。しかし、それは自転車を乗る人だけの話かもしれない。かつての筆者がそうだったように、自転車に乗らない人も少なくない。そんな人にとって、自転車は路上の邪魔ものかもしれない。そうこう考えているうちに思考実験としての小説に思い当たった。クルマが存在せず、移動や運搬は自転車が担っている並行世界での物語だ。 ChatGPT 5 (Auto) にて生成 そこで、基本的なアイディアをCla ...
Parameter Terrace / パラメタテラス
Fumiki Yoshioka Title: Parameter TerraceYear: 2019 Artwork Note Parameta Terrace is a cycling course project composed of reconfigurable modular cycling units called Parameta Track.The project was deve ...
MIKOSHI RIDER – MAKE FRIENDS –
自転車に神輿を乗せて走ったらきっと楽しいだろうと長らく夢想していた。そうしたある種の欲望に1年くらい取り憑かれている。 願いは願い続ければ叶うもので、遂に執着は身を結び、現在開催中の東京舞台芸術祭内の公募プログラムにて、来る11月1日(土)から11月3日(月・祝)の3日間、「MIKOSHI RIDER - MAKE FRIENDS -」を発表する。神輿を乗せたチャリ is coming soonで ...
バランスからだ自転車 2025
養老天命反転地 30周年記念イベント「養老天命反転中!Living Body Museum in Yoro」のプログラムとしてワークショップ「バランスからだ自転車」を開催します。これは2018年に行なった同名のプログラムのリバイバルで、バランスを取ることに焦点をあてた特殊な自転車を実際に乗って体験します。ご都合がつきましたら、ぜひお越しください。 ワークショップ「バランスからだ自転車」 開催日時: ...
自転車建築(28)Light on Earth #2
前回の記事では、これまでの検討の中でも特に魅力的な空間を撮影することができた。自転車建築のスマホ版体験キットも改良を重ね、一定のクオリティでアウトプットが可能になってきている。 検討過程で発見した設計上の特徴は以下である。 ・二部屋構造:「光を受け止める箱」としての空間設計・異なる色光:周囲の光源の位置と空間に入射する光の種類を振り分け、光の構成を意識した設計 この二点を踏まえ、《Light on ...
テイチライド 01:自転車を買う
コロナ禍に入った頃、私は東東京にある駅から少し離れた街へ引っ越した。日々の買い物は徒歩圏内で済ませられ在宅勤務で駅との行き来はほぼなかったが、気分一新のため約25年ぶりに自転車を買うことにした。 以前に乗っていた頃 当時、私は東京の城北エリアに住んでいた。小径の折りたたみ自転車、プジョー・パシフィック-18(PEUGEOT Pacific-18)に乗り、自転車を取り巻く文化に深くはまっていた。片道 ...
リアルタイムBGMシステム(16)
先月の記事で「動画情報から物体の色情報の差異を検出し、一定の閾値を超えると信号を出力するアプリケーションで、理想的なリズム検出が可能か」という問いがあった。そこでGPTと一緒に、Mac用アプリケーションのデモ版を制作した。 このアプリにWebカメラやMP4などの動画ファイルを入力すると、プレビュー画面が表示される。手を動かすとMIDI信号が発信され、それをシンセサイザーが受け取り音が鳴るという仕組 ...
Sound of Cycling RELOADED:#01 サイクリング音楽化プロジェクト再始動
”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling」を再始動する。2023年に進めていたこのプロジェクトは、作品として形にはしたものの、機能や完成度は思い描いていた構想にはまだ遠いものであった。そこで、進化版として「Sound of Cycling RELOADED」を始動し、制作過程を伝えていきたい。 Sound of Cycling RELOADED! 再始動の要因はい ...
快楽原則 13: 軽量バックパック
自転車に適した軽量バックパックの最高峰はRaphaのPro Team Lightweight Backpackだ。筆者は2022年11月に購入して以来3年弱、毎日のように使っている。通勤や買い物など日常用途はもちろん、国内外の旅行にもスーツケースとコレで出かける。大型のリュックサックを背負う時も、コレを畳んで携行したりする。それほどまでに素晴らしい機能とデザインであり、快楽に満ちたカバンと言える。 ...
山へ登って秋雨を浴びる西上州ミックス路面サイクリング
信州で過ごす連休の前に高崎に用ができたので、宿をとって「国跨ぎ」のサイクリングをやろうと思った。結局は西上州の山あいで坂を登ったり下ったりしながら秋の雨を浴びるだけの一日になったのだが、不思議と満たされた感覚に包まれた。その断片を記しておきたい。 今回のサイクリングの起点、群馬藤岡駅 中央線と八高線を乗り継いで入った上州南部、もとい「西上州」。高崎での用事を済ませ宿のベッドで眠りに着く前、窓にはぱ ...
ロンドンで自転車に乗る
London Calling, 滞在制作をしていたザンビアからケニアでのトランジットを経てロンドンへ降り立った。子供の頃からの大スターOasisの16年ぶりの再結成ライブへ参加するためである。 ロンドンへ来て一番最初に驚いたことは街中の自転車の多さだった。自転車専用道路が街中の至る所にあり、シェアサイクルが整備され、市民はそれを活用している。緯度が高いために21時過ぎまで明るく、気温も20度程度で ...
Hangar(14) 青空の駐輪場
子供が高校を受験するにあたって、学校説明会がありそれに付き添いで出席をする機会があった。学校の教育方針に加えて、学校生活の特色や設備、クラブ活動、大学進学に関する情報など、様々なプレゼンテーションが行われていた。 その中で自転車通学の状況についての説明があり、駐輪場設備について紹介があった。そこで「我が校には、屋根付きの駐輪場と青空駐輪場があります」という話があった。ここでいう青空駐輪場とはどうい ...
快楽原則 12: Critical Flow
クリティカル・サイクリングのWEBサイトの記事の断片が浮遊(Flow)するWEBアプリ「Critical Flow」を作成した。使い方は簡単。藍よりも深いブルーの空間をぼんやりと眺める。いくつかのテキストや写真、動画がゆっくりと現れ、しばし止まり、そしてゆっくりと消えてゆく。気になる断片をタップすれば、元の記事が現れる。ただ、それだけ。それが快楽へと繋がっていく。 ある種の瞑想のように記事という記 ...
わたしはゆるく、自転車に乗る。(その8)
私は、歩くことが好きである。 時々、孤独を感じるために歩くことがある。 勿論、外に出ればそこは家の中とは異なり、私が1人だけになることが難しい開けた空間が広がっている。 道を歩けば、すれ違う人、自動車、鳥、虫。 私は、それらに紛れながら、ただ孤独に歩き続ける。向かう先は私だけが知っていて、その身体は私が動かしている。 そして、目に映った風景と足のリズムと共に思考を続ける。変わりゆく風景のこと、季節 ...
さようなら、自転車生命体 Cycloborg
これまでの記事では『自転車生命体 Cycloborg』という作品について、その表向きの説明を中心に記してきた。本記事ではそこから一歩踏み込み、作品に込めた個人的な思いについて書いていきたいと思う。 私は2022年にIAMASに入学した。当初の目的は、赤松さんに師事し、AR(拡張現実)の研究を行うことだった。赤松ゼミのメンバーとなったことで、同時に不可逆的にクリティカルサイクリングの一員となった。ク ...
リアルタイムBGMシステム(15)
これまではYOLOを用いて物体検出を行い、検出したオブジェクトに音を割り当てていくという試みを進めてきた。しかし、プロジェクトのスケールを考えると、対象となるフィールドは都市全体、さらには地球全体と広がる。そのため、検出対象となるオブジェクトの学習データを作り続けなければならず、無限にオブジェクトの学習を繰り返すという果てしない作業になると感じ制作の手が止まってしまったので一旦制作の手法を見直すこ ...
Urban Pedals:#05 (番外編)自転車を弾く
この連載は「首都圏独自のサイクルライフを探る」をテーマにしているが、今回は番外編「自転車を弾く」をお届けする。自転車を楽器に見立てて音楽を作ってみた。もともと連載名「Urban Pedals」は、バンド名をつけるような気持ちで名付けた。音楽性は「インディーロック、シティポップ、またはエレクトロニカなど、都会のエネルギーや洗練された感覚を表現する音楽」と仮定していたのだが(連載第一回参照)、果たして ...
快楽原則 11: フクイチ2025
Onahama Rideの翌日はツール・ド・フクイチ(筆者による造語)に出かけた。2018年、2023年に続いて3回目となる。今回は単独行動であったので、全行程の自転車移動は避けることにした。何しろ7月から8月にかけて連日40℃前後の猛暑だ。避難区域の近くで熱中症で倒れれば、人知れず干からびてしまう。今年のスローガンは快楽原則なので、まったく冗談にもならない。 避難区域(2023年) クルマ そこ ...
ディングルスピード仕様のリジッドMTBのフォークを首下425mmから445mmに交換
このところ、身の回りで稼働中の自転車がディングルスピード仕様ばかりになっている。その中ではディングル化のセッティングが不完全で実質シングルスピードに近い状態になっているのが、カーボンフレームのMTBだ。これに入れているカーボンフォークを首下長425mmのものから445mmのものへ交換したのでそのメモを記す。 1×2仕様のカーボンリジッドMTBを組んで大弛峠へ これまでの仕様はここに書いた ...
ルサカで制作した自転車作品
ルサカで自転車に乗る ザンビアの風に吹かれて――ルサカ滞在記、続編。 アーティスト・イン・レジデンスの滞在先 Zeela Art Gallery では、自転車を用いた作品を複数制作した。 異国の地での制作は、まず「物を手に入れる」という最初のステップからして大きな挑戦だった。 ダウンタウンの喧騒をかき分け、自転車屋を探し、値段交渉をしてようやく自転車を手に入れる。市場やホームセンターへ行って配線用 ...
道の復元
昨年に続き、今年も鞆の浦の沼名前神社での神能祭に参加する機会を得た。昨年の記事では福山から尾道まで通しで走る「しおまち海道」の行程について書いた。伝統文化の本質は、同じことを繰り返し行うことにある。ところが、今年は猛暑にも程がある暑さだ。そこを考慮してルートは短縮した。まず尾道での観光サイクリングを楽しみ、神能祭当日は福山から鞆の浦までの移動のみをサイクリングで行う形とした。 尾道では地元の友人に ...
快楽原則 10: 自動車専用道路・小名浜
福島県の小名浜で2025年8月3日、つまり本日、開催されたOnahama Rideに参加した。これは自動車専用道路として開通する小名浜道路を開通前に自転車で走行するイベント。直線とクロソイド曲線を活かした真新しい高品質舗装道路が開放される貴重な機会だ。この日は連日の猛暑がおさまり、やや涼しく感じられる絶好の気候。多くの参加者とともにインターチェンジから緑豊かな山間の本線に乗り込む。 過度の安全対策 ...
わたしはゆるく、自転車に乗る。(その7)
先月購入した自転車用のバッグが中々届かなかった。「おかしいな」と思ってAmazonのサイトを確認してみたら、私の購入したバッグの黒色だけが「一時的に在庫切れ」と書かれていた。1ヶ月ぐらい待ってみたが何も変化がなかったため、一度キャンセルし違う色を購入することに。黒色から水色に変えた。 すると、こちらはすぐに届いた。 開けてみるとそれは、よくあるエコバッグだった。色は写真で見るより暗く感じたが、気に ...
自転車建築(27)スマホ版体験キットを作るⅧ
制作を重ねてきた自転車建築キット。新たな構造的アプローチを加え、撮影を行なった。 ハンドルに固定した状態 以下は走行中の空間を撮影した画像、動画である。 1.二部屋構造 従来は一室構成で外部の風景を取り込む空間を設計していたが、今回は二室構成とし、「光を受け止める箱」としての空間を強く意識した設計とした。 丸の開口の先に部屋があることを示す図 これは、<Light on Earth>が荷台に設置さ ...
自転車生命体Cycloborg システムパート
本稿では、自転車生命体Cycloborgが搭載するシステムについての記述を行う。 「自転車生命体Cycloborg」は、現代の過剰なテクノロジーが形成する従属構造を可視化し、テクノロジーに対する批評的思考を誘発する触媒として機能することを目指し制作された映像作品を主軸とするインスタレーション作品である。本作の制作にあたり、本来、人間の主体性を損なわず、身体能力を拡張する機械である自転車に対し、あえ ...
快楽原則 09: ドーハ
ザンビア滞在の後、帰路の途中で砂漠の小国カタールの首都ドーハに立ち寄った。トランスファーで早朝到着して深夜出発なので、ほぼ一日かけて市内観光ができる。そこで入国手続きを行い、地下鉄の一日パスを買って市街地のコーニッシュ(Corniche)海岸へ向かう。駅も車両も近未来的で簡潔な美しさ。海辺や公園での快走に心を描きながら、なぜかドーハの悲劇という言葉が頭をよぎる。 炎天下の放浪 地下鉄の駅から地上に ...
Urban Pedals:#04 盗まれる街
「ちょっと目を離した隙に自転車を盗まれた」という話を耳にする。自転車盗難には、駅前に停めてあったのを「ちょいと拝借」といったパターンもあれば、明確に盗む意思を持った人間に盗まれることもある。特に高級なロードバイクは、たとえフェンスなどに繋ぐ、いわゆる「地球ロック」をしていても、身ぐるみを剥がされる危険もある(サドルだけ、車輪だけ盗まれるなんてこともあるらしい)。また、最近は販売目的とみられる電動ア ...
快楽原則 08: リヴィングストン
ザンビア滞在中にはリヴィングストンにも出かけた。ヴィクトリアの滝やお隣のチョベ国立公園など観光客モードで物見遊山と洒落込む。ルサカからは飛行機で1時間少々。普通の定期航路便なのに、わざわざ遠回りしてヴィクトリアの滝を2回も周回してくれる。リヴィングストンの街はこじんまりとして落ち着いている。赤茶けた大地に平屋の住宅が続き、まばらな灌木と草叢のサバンナが広がる。 レンタル自転車ショップ ルサカとは違 ...
毎日ずっと使ってるスタンレーの真空マグCafe To Go
出先でも家の中でも気がついたら常に使っている、スタンレーのCafe To Go真空マグ。愛用してきた230ml版に加えて350ml版を購入したので、合わせて紹介する。広口で洗いやすく、持ち出すのに迷わないのでペットボトル飲料の消費もぐっと減った。自転車用にもおすすめの一品だ。 ダイアルで締めるボトルケージが好相性 普通の水筒タイプはどうか 中身の温度が変わりにくい飲料容器は、今のように暑い夏にも、 ...
ルサカで自転車に乗る
突然ですが、ザンビア🇿🇲がアフリカ大陸のどのあたりにあるかご存知だろうか?ザンビアは北東にタンザニア、東にマラウイ、南東にモザンビーク、南にジンバブエ、南西にボツワナとナミビア、西にアンゴラ、北西にコンゴ民主共和国と国境を接するアフリカ大陸南部に位置する内陸国で、筆者は現在首都のルサカにあるアートギャラリーで、滞在制作を行っている。 外務省の2024年10月のデータ ...
峠を越える儀式 Reloaded
この記事は、京都北部の花背から、祇園祭の鉾町まで、注連縄を自転車で運搬する、二年目の体験記である。 昨年の夏、思いつきのような心持ちで始めた祇園祭の注連縄運搬も、今年で二度目を迎えることとなった。一度きりの珍事であったものが、再び催されるということは、それがもはや偶然の産物ではなく、何かしら必然的な意味を帯びてくるものである。 昨年は半ば物好きの域を出ない企てであったが、今年は参加者も増え、その様 ...
快楽原則 07: ルサカ
6月下旬にザンビアに赴いた。アフリカ大陸の中央南部に位置する内陸国だ。20年来の知人の出身地であり、卒業生がアーティスト・レジデンスとして滞在することを契機に、人類発祥の地アフリカの大地を自転車で走りたいと思ったからだ。とは言え、簡単に辿り着ける地ではない。飛行機を2回の乗り継ぎ、24時間以上かかって首都ルサカに到着した。眩い光にサバンナの平原が広がる。 ルック車 出発する前から方々に尋ねていたも ...
わたしはゆるく、自転車に乗る。(その6)
以前の記事で、リアラックの取り付けについて書いた。「重いお米や食材をリュックにパンパンに詰めて背負って持ち帰るの、キツイ!」という思いから、少しでもお買い物を楽にしようと取り付けたものだ。リアラックの次は、それに取り付けられるバッグが手に入れば完璧だ。 その後、自転車用のエコバッグをAmazonで吟味し、こちらのバッグ(https://amzn.asia/d/dxDttLz)を購入した。普段使いで ...
自転車建築(26)スマホ版体験キットを作るⅦ
今回も引き続き、自転車建築キットの進捗と、新たに試した空間形状の検討内容について報告する。 キットは、自転車に装着した際にどんな車体にもなじむよう、凹凸を抑えたミニマルでニュートラルな佇まいを目指して調整を進めている。見た目の洗練だけでなく、強度や撮影のしやすさといった実用性にも配慮し、ネジ穴が表に出ない構造や、組み立てやすさなど、複数の要素をバランスよく両立できる形状を模索している。 今回の主変 ...
自転車生命体Cycloborg 映像パート
本投稿では、前記事で概要を示した作品、「自転車生命体 Cycloborg」の映像をカットごとに記述する。本映像作品は、全16カットをモンタージュで組み合わせた映像作品である。本投稿は各カットを「撮影アングル」「被写体」「周辺環境」の3要素から詳述していく。 【カット1】 【撮影アングル】 •ドローンによる垂直、真上からの俯瞰。 【被写体】 •ロードバイクを低速で画面左から右へと走行するサイクリスト ...
運動体設計+クリティカル・サイクリング早朝盛夏ライド2025
来る7月20日にクリティカル・サイクリングとIAMASの学内プロジェクトである運動体設計との共催による早朝盛夏ライドを行います。こちらはIAMASのオープンハウスのイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方でも少し早めにお越しいただき、ライドの後にオープンハウスをご覧いただければ幸いです。 運動体設計+クリティカル・サイクリング早朝盛夏ライド2025 今年の早朝盛 ...
Urban Pedals:#03 都市サイクリストの止まり木
都心を走っていて困るのが「駐輪場」。ちょっとした用事で停めて出かけたい時はもちろん、輪行で訪れた先でちょっとどこかに停めて出かけたいというニーズもあるだろう。そんな「ちょっと」だけ停めたい都市サイクリストにとって止まり木のような場所―都心の駐輪場事情を探ってみた。 ターミナル駅周辺〜東京駅 いたるところにあるように見えて、場所がわかりにくかったり、月極契約が必要だったりと意外にハードルが高い。ここ ...
快楽原則 06: テスラにリア・キャリア
テスラ(TESLA)のモデルY(Model Y)に念願の自転車用リア・キャリアを取り付けた。日本では純正のトゥ・パッケージが未発売ながら、知人に教えられたテスラ専門店GarageXは「できますよ」と心強い返事。早速お願いしたところ、アメリカから商品の取り寄せに2週間、取り付けに2時間で完了。ただし、簡単な作業かと思いきや、クルマの後部をすべて剥がす大工事だった。 (撮影:GarageX) 取り付け ...
オールシーズンいける感じの自転車バックパック
昨年から、自転車での手回り品の運搬にバックパックを積極利用している。ロードバイク(ディングルスピード仕様)を普段使いするようになったのが主な理由だ。背中部分に隙間があって風が抜けるモデルは、暑い夏でもある程度までは快適に利用できる。ごく当たり前の話だけれど、実際かなり良いことを再確認したのでメモしておく。 Race Air 14+3 今メインで使っているのはDeuterのRace Air 14+3 ...
カイロで自転車に乗る
5月上旬から末日にかけて、3週間ほどエジプトに滞在した。その大半を首都カイロで過ごしたのだが、最高気温が42度に達する日もあり、街全体が暑さに霞んで見えた。聞くところによれば、エジプトの本格的な夏は6月から8月にかけて訪れ、さらに厳しい暑さになるという。考えるだけでも恐ろしい。 ほとんど雨が降らず、ナイル川流域以外では人の居住が難しいこの国では、住みやすい地域に人口が集中する傾向がある。首都カイロ ...
Hangar(13) 鉄道高架下の駐輪場
鉄道としての役割を終えた高架線路の新たな利活用、という考え方そのものを代名詞化している存在と言っても差し支えがなさそうなのが、ニューヨークのハイラインである。かつては貨物鉄道が走っていた線路が廃線となり、公園に転用されるまでの間は廃墟のようになっていたという。 ニューヨーク・ハイラインは鉄道高架の再開発事例として有名だが、フランス・パリには高架橋の上を緑地公園とした最初の事例がある。郊外鉄道の廃線 ...
快楽原則 05: 続々・Apple Vision Proの周辺視野
知人に勧められたApple Vision Pro用のヘッド・ストラップを購入したところ、これが素晴らしかった。こめかみあたりから斜め前に伸びて額の上部を覆うストラップだ。しかも、ライト・シールを取り外してApple Vision Proを使うこともできる。ちょうどディスプレイが目の前に浮かぶ状態だ。これにより周辺視野が広がる。苦労して改造した枠だけライト・シールよりも開放感があり、遥かに安価。 こ ...
わたしはゆるく、自転車に乗る。(その5)
私は空を飛ぶことはできない。軽やかに空を飛ぶ鳥たちを見て、空を飛んでみたいと思うことがある。しかし、そのようなことはファンタジーの世界でしか描かれない。私たちは翼を持っていないけれど、知性を働かせ何かを利用して空へ飛び立つことができる。 今回は、夢が詰まった「空を飛ぶ自転車」について考える。 『プロジェクトセカイ』というスマホのリズムゲームをご存じだろうか。ボーカロイドの初音ミクと様々な願いや葛藤 ...
自転車建築(25)スマホ版体験キットを作るⅥ
今回も、自転車建築キットの開発進捗を報告する。 前回に引き続き、スマートフォンを用いた自転車建築体験キットのデザインを進めている。劇的な変化ではないが、少しずつ改善を重ねている。 今回の主な改善点は以下の2つだ。 1. カメラ位置調整機構の追加 様々な機種のスマートフォンに対応するため、カメラの位置を柔軟に調整できる構造を導入した。これにより、カメラ位置の異なる様々なスマートフォンに対応可能なプロ ...
自転車生命体Cycloborg
作品概要|自転車生命体 Cycloborg 「自転車生命体Cycloborg」は、現代の過剰なテクノロジーが形成する従属構造を可視化し、テクノロジーに対する批評的思考を誘発する触媒として機能することを目指し制作された映像作品を主軸とするインスタレーション作品である。本作の制作にあたり、本来、人間の主体性を損なわず、身体能力を拡張する機械である自転車に対し、あえて過剰な機能を付加することで再構築を試 ...
リアルタイムBGMシステム(14)
前回の記事でRoboflowを使った開発について記述したが、データセット作成で大きな壁にぶつかっている。Roboflowで作るデータセットは、画像から「車・歩行者・信号機」といった特定の物体を検出するためのものである。しかし、AIに「これが車です」「これが歩行者です」と教えるには、人間が膨大な量の画像にラベル付けをする必要がある。もちろん既存のデータセットもあるが、自転車ライド中の風景によく出てく ...
Urban Pedals:#02 疾走する「子乗せ電動アシスト自転車」
東京は坂道が多い。名前がついている坂だけでも900以上あるという。また、横浜は港町、川崎は工業地帯といった一般的なイメージがあるが、実際には、いずれも北部を中心に起伏に富んでいる。 そんな街で疾走するのが「子乗せ電動アシスト自転車」である。朝夕の保育園・幼稚園送迎タイムには、ときには前後にまで子どもを乗せたお母さん/お父さんがぐいぐい坂道を登っていくのが印象的だ。みな涼しい顔で登っていく。子どもを ...
IAMAS周辺ライド #11 自噴水 7km
今回のIAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライドでは周辺に点在する自噴水を巡る。自噴水とは、その名の通り、地中から自然に湧き上がる水であり、自噴泉とも呼ぶ。IAMASの所在地である大垣市は、世界的にも珍しい自噴水が多いことで有名。これらは瑞々しい風景を作り出し、爽やかな音を奏で、しかも美味しい。公式マップの29ヵ所のうち近隣の5ヵ所を回ってみる。 一番のお勧めはIAMASから北に1kmほど離れ ...
自転車青切符パブリックコメントを出そう(5/25 0:00まで)
16歳以上の自転車利用を対象にした交通反則通告制度(いわゆる「青切符」制度)が来春4月1日から施行される。これに伴い、「反則行為の種別」と「反則金の額」についてのパブリックコメント募集が2025年5月24日(土)いっぱいまで行われている。「携帯電話使用等(保持)」など妥当と思われる項目もあるが、70以上もの行為に原付バイクの場合と同等の反則金を課す内容で、自転車という乗り物が選択される場面が減る( ...
グループライドは祝祭だ
前回の記事では、インドネシアのアート・コレクティブ、ルアンルパが掲げた「Make Friends」という理念を起点に、政治哲学者カール・シュミットが唱えた「友敵理論」と対比させながら、ひとつの問いを立てた。 対立を前提とせず、敵を必要とせずに、人と人は本当に連帯できるのか? その仮説のもとに注目したのが、グループで自転車に乗るという行為だった。ペダルを漕ぎ、風を切り、誰かと呼吸を合わせながら並走す ...
Hangar(12) 芸術(祭)の駐輪場
芸術を展示する場所として美術館、画廊・ギャラリー、音楽や演劇やダンスなどの実演であればコンサートホール、劇場、また屋外ステージなど、様々な施設がある。 しかし近年、このような従来型の「芸術のための空間」を超えて、日常の場が一時的に芸術空間へと変容する現象が増えている。特に芸術祭という形式は、地域全体を展示空間に変え、普段は見過ごされがちな場所に新たな光を当てる。商店街の空き店舗、古民家、廃校、そし ...
快楽原則 04: 長良川
知人に誘われ、黄金週間にグループ・ライドに出かけた。日本三大清流のひとつ、長良川の上流までローカル鉄道で輪行し、そこから川沿いに中流まで下るコース。Appleマップでの自転車ルートでは約60km弱、多少のアップ・ダウンがありながらも、ひたすら下ることになる。しかも、知人は何度か走ったことがあり、先導を務めてくれる。至れり尽くせりの極楽ライドになりそうだ。 まずは長良川鉄道の関駅から輪行開始。朝の一 ...
わたしはゆるく、自転車に乗る。(その4)
自転車に乗り始めて半年が過ぎた。自転車は、気がついたら私の生活に欠かせないものになっていた。人がいない長い道を颯爽とかける瞬間が気持ちいい。虫や鳥とすれ違うときに挨拶をする。時々歩くこともあるが、自転車の便利さと気持ちよさを知ってしまえば、もう手放すことはできない。 しかし、今まで自転車と走ってきた中で、自分の生活と強く結びついているからこそ「もっと、便利にしたい。」と思うことが増えてきた。主にお ...
自転車建築(24)スマホ版体験キットを作るⅤ
先日、ようやく自宅に3Dプリンタを導入した。これを機に、自転車建築キットの成形を3Dプリンタで行い、より品質の高いプロダクト化を進めることにした。 以前の自転車建築キットには、組み立ての煩雑さ、スマホの固定方法、撮影できる空間が一種類に限られていることなど、いくつかの課題があった。これらを改善し、「道具」としての使い勝手を追求、誰でも容易に自転車建築を体験できるプロダクトの生産を目指す。 まず、組 ...
快楽原則 03: 自律ドローン
自転車に乗って風になる。この時、鳥に導かれるだけでなく、ドローンを従えることもできる。多くの製品が追従機能を備え、疾走する自転車を自動的に追いかけるからだ。なかでも、DJI Flipはエントリー・モデルながら、手軽さで他を抜きん出ている。 何しろ、コントローラなしでも典型的な撮影ができるので、自転車に乗る楽しみが広がる。これぞ快楽原則。 操作は至極簡単。プロペラを広げれば電源が入る。次に側面のモー ...
リアルタイムBGMシステム(13)
リアルタイムBGMシステムのアプリ「DetectorOSC」を公開したが、物体検出モデルについては、標準的なYOLOv8モデルをCoreMLに変換して使用していた。そのため、パソコン、テレビ、人、ボトル、コップなどの一般的な物体は検出できるものの、自転車のライド風景でよく見られる信号、街灯、木、建物などのオブジェクトは検出されない。このため、ライド映像や参考元となったThe Chemical Br ...
Urban Pedals:#01 首都圏サイクルライフ
首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)でよく見かける風景──・いたるところにLUUPのポートがある・自転車専用レーンが増えている(ような気がする)・自転車かバイクか一見わからない乗り物が走っている・あまりヘルメットかぶってない(ロードバイク乗り以外)・ハイテクな駐輪場を見かける・自転車の前後に子どもを乗せたお母さんが涼しい顔で坂道をぐいぐい登っていく ──などなど これらの自転車にまつわる風景は都会な ...
快楽原則 02: 風になる
自転車に乗ると風になる。ジョディ・ローゼンが宇宙を旅する自転車を取り上げて述べたように、乗り手は重力から解き放たれ、自転車は滑空するかのように進むからだ。特に追い風であれば更に軽やかに進む。そして風と同じ速度になれば、身体に受けるはずの風が止む。無風とは風との一体化だ。そして風は地球を取り巻く大気の動きであり、自転車は風となって地球を駆け巡る。 赤松正行+ChatGPT 4o《風になる》2025 ...
カーボン・ディングルスピード・オールロードバイク
現在の姿 シングルスピード化したカーボンフレームのロードバイクを、シングルのギア比を2通り備えた「ディングルスピード」自転車に改造した。その仕様と雑感をメモしておく。前回の記事の追記のようなものなので、まだの方は先にそちらを読んで頂くのがよいと思う。 カーボンロードバイクをシングルスピード化して乗る 前回の記事 ディングルスピード仕様の古いロードバイクで遊ぶ ディングルスピードの説明はこちらでも ...
MAKE FRIENDS
たとえば、誰かと一緒に自転車で走っているとき。言葉を交わさずとも、呼吸のタイミングがふと合うことがある。自転車とは不思議な乗り物だ。それは個人の移動手段でありながら、並走したときにだけ現れる、一時的な共同性を秘めている。しかもその共同性は、誰かを「仲間」と明確に名指すことなく、身体的なリズムの共存によって、自然と立ち上がってくるものだ。 2025年度は、人と人が自転車に乗ることによって生まれる、緩 ...
Hangar(11) 文化施設の駐輪場
今回は京都の美術館と能楽堂を巡る自転車体験から、自転車駐輪場の考察と、本連載が掲げる「新しい自転車駐輪場Hangar」のビジョンについて述べることにする。さらに言葉を付け足すとすればまず、都市における文化施設の訪問手段として、自転車という選択肢について考える。それに加えて、文化体験における移動手段としての自転車と、それを支える駐輪場のあり方についても提示をしてみよう、ということになる。 京都の市街 ...
快楽原則 01: ダーク・ツーリングからサイクリング・エッジ、そして快楽原則へ
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)のプロジェクト実習「運動体設計」の一環として、2023度はダーク・ツーリング(Dark Touring)、2024年度はサイクリング・エッジ(Cycling Edge)と銘打って活動を行ってきた。これは授業という狭い範囲にとどまらず、クリティカル・サイクリング、すなわち筆者の自転車関連の制作や研究の年度ごとの切り口でもあった。 具体的にはダーク・ツーリングでは自 ...
Cycling Edge 41: 熊野
3月半ばに三重県の熊野市に出かけた。その理由は何と言っても熊野古道。1000年以上に渡って日本最大の霊場として幾多の人が詣でた参道であり、太古の長距離ネットワークだ。もっとも世界遺産ということもあって、自転車では走れない。しかし現代の道路も自然豊かな山間や海辺を巡ることは以前に体験していた。そこで古と今のエッジ(境界)を垣間見たいと思った次第。 熊野古道・松本峠 初日に熊野に着いたのがお昼過ぎ。何 ...
わたしはゆるく、自転車に乗る。(その3)
自転車をテーマとした漫画やアニメってあるのだろうか。 ふと考えた。私がパッと思いついたのは、中学生の頃にとても流行っていた「弱虫ペダル」という作品である。この作品は、主人公が高校でロードレースと出会い、インターハイ優勝を目指すという熱いスポーツ漫画であり、アニメ化もしている。時に、スポーツ漫画はそのスポーツを盛り上げるきっかけとなる。スポーツ漫画の代表とも言える「テニスの王子様」が好きな友達は、実 ...
Cycling Edge 40: 岡山南部
2月半ばに岡山の南部に出かけた。寒さの厳しい時期ながら、青ヶ島や八丈島よりも遥かに暖かく、春の日差しを思わせるほど明るい雰囲気だった。南の島が寒かったのは寒波ゆえながら、それを抜きにしても瀬戸内海は温暖で穏やかな印象がある。訪ねたのは倉敷、下津井、水島、吉備路、和気と盛りだくさんなので、簡単な説明とタイムラプス動画を載せておく。そこにエッジ(境界)があるだろうか。 倉敷・美観地区 倉敷と言えば観光 ...
自転車建築(23)パウル・クレーを載せる
ファンデナゴヤ2024で展示した「Light on Earth : Window」という作品を制作した頃から、自転車建築の平面表現としての展開を考えるようになった。 《Light on Earth : Window》 建築模型が外光を切り取り、それをさらに切り取るディスプレイの縁。空間の形状と自転車の運動方向によって制御された光は、空間の表面をなぞるように動きながら、ディスプレイの画面の中に収まっ ...
Cycling Edge 39: 西川口・蕨・さいたま
さいたまの夜騎開封の翌日も周辺を自転車で走った。前日の寒さや雪とは打って変わって青空が広がり、明るく暖かい。前日は先導者に導かれるままに見知らぬ地を彷徨っていたので、この日は時折地図を確認する程度にして、気の向くまま自転車を走らせることにした。まず朝は西川口駅前からシェアリング自転車に乗って蕨(わらび)方面に向かう。 このあたりは西川口チャイナタウンと呼ばれるほど中国人が多く、またワラビスタンとも ...
リアルタイムBGMシステム(12)
DetectorOSCをリリースしてから2週間以上が経過し、App Storeランキングも17位まで上昇した。リリース後に実際にアプリを使用した方々と直接お会いし、フィードバックや意見を頂戴する機会があった。これにより、現在の課題や改善すべき点がより明確になった。 このフィードバックを踏まえ、今後のアプリの方向性を再検討する。 意見・フィードバック OSC(Open Sound Control)だ ...
Cycling Edge 38: さいたまの夜騎開封・対談
以下は、ツアー型パフォーマンス「“夜騎開封” さいたま←→鄭州」を企画・実施された小林遼さんと、そのパフォーマンスに参加した赤松正行による対談です。体験記事に記したように、筆者、赤松にとって時間や空間のエッジ(境界)が曖昧になる印象深い体験であったとともに、いくつかの疑問が残りました。そこで小林さんに対談をお願いしたところ、快く引き受けていただいた次第です。 赤松正行(以下、赤松):私はツアー型パ ...
Cycling Edge 37: さいたまの夜騎開封
3月上旬、さいたま市に向かった。ツアー型パフォーマンス「“夜騎開封” さいたま←→鄭州」に参加するためだ。すでに本サイトで紹介されているように、夜騎開封(やきかいふう)はシェアリング自転車に乗って50km離れた隣町に小籠包(灌湯包)を食べに行くこと。この他愛のない行動がSNSで拡散され、最盛期には20万人もの人々が参加している。当然、現地では交通渋滞で都市機能が麻痺してしまう。 当日の朝、殊勝なこ ...
カーボンロードバイクをシングルスピード化して乗る
2024年の終わりくらいにカーボンフレーム(&フォーク)のロードバイクを譲り受け、これをシングルスピード仕様にして乗っているのでそのメモを記しておきたい。シンプルかつ軽快に、絶対的な速さは求めず自由に走りたい人には参考になると思う。 うちに転がり込んできたベース車はVitusのZenium(たぶん2020年モデル)。安定感と乗り心地を重視しつつ、スポーツ的な切れ味もあるバランス型、みたいなことがサ ...
ディストピアからディストラクションへ
なぜ私たちは自らの校舎をディストピアと呼ぶのか IAMAS修了展にてクリティカル・サイクリング主催 赤松正行と映像作家 坂根大悟とトークイベント「なぜ私たちは自らの校舎をディストピアと呼ぶのか」を行なった。 トークの内容は、後日改めてブログでも紹介させていただくが、大垣の開発に大きく関わった立川勇次郎と梶原拓(元岐阜県知事)を取り上げ、大垣の開発史やIAMASの歴史について話をした。 立川勇次郎は ...
Hangar(10) 川の駐輪場
木曽川の南岸、山の上に城の天守がそびえ立ち、北岸には渓谷の岸壁のような山が待ち構える。ここまでを舟に乗って川を遡って来たとしたら、ちょっと、あの場所は厄介そうな難所だな、という心地がしたことだろう。狭まった川幅で速くなる水の流れは、所々で荒れた波を立てる。中洲で別れるところでは、渦を巻きそうになっているところもある。 木曽川サイクリングロード 私は、舟ではなくて、自転車でこの木曽川のサイクリングロ ...
Cycling Edge 36: 八丈島
絶海の孤島、青ヶ島の前後は八丈島に滞在していた。この島は羽田から1時間弱で気軽に訪れることができる。廃墟を含めてホテルやペンションがいくつかあり、夏場は海水浴やダイビングなどを楽しむ観光客で賑わうそうだ。しかし、今は2月上旬の閑散期。しかも飛行機も船も欠航する悪天候。強風に雪と雹が降り、南国とは思えない。地元の人もこんなに寒い日は初めてと言う。 八丈島に到着した日は自転車シェアリングを利用する。お ...
自転車建築(22)幻視の建築を載せる
今回は、2025年1月に名古屋で展示した「Bicycle Architecture : Sphere」を考察する。建築の視点や展示の振り返りから深めていくべき方向を掘り起こしていく。 作品概要 「Bicycle Architecture : Sphere」は第18回の記事で記述したように、エティエンヌ・ルイ・ブレー(Etienne Louis Boullée)の「ニュートン記念堂」(1784)を参 ...
サイクリングが奏でる音楽:Sound of Cycling(4)
「サイクリングを音楽にする」プロジェクト「Sound of Cycling」制作過程記録の最終回。サウンド装置を自転車に取り付けて実際にフィールドで行った走行実験や、展示会での作品展示にあたって考慮した点などをお伝えする。 フィールドで走って鳴らした 机上実験を経て、装置を自転車に取り付け、実際にフィールド走行実験を行った。想定通り音を鳴らすことができるのか、そしてサイクリングの体験をより楽しむこ ...
リアルタイムBGMシステム(11)
前回までの記事で制作していたアプリは、まだ未完成の部分はあるものの、ユーティリティアプリとしては十分に機能している。自分自身も使いたいと思えるもので、現時点(2025年2月)では類似のアプリが市場に存在しないため、リリースを決断した。 リリースにあたり、アプリ名とロゴの制作が必要だ。シンプルさを重視し、アプリ名は《DetectorOSC》に決定した。機能としては、物体検出+OSC(OpenSoun ...
“夜騎開封” さいたま←→鄭州
来る3/8(土)3/9(日)に自転車とiPhoneを用いたツアー型パフォーマンス「“夜騎開封” さいたま←→鄭州」をさいたま市内にて発表致します。 本作は筆者である志村翔太、演出家の小林遼さん、短歌を詠むダンサー/振付家の涌田悠さんの共作となり、アーツカウンシルさいたま「アーティスト・イン・レジデンスさいたま」事業への採択アーティストとしての発表となります。 日程:・3/8(土)①11:00~(集 ...
Cycling Edge 35: 青ヶ島
2月上旬に八丈島、そして青ヶ島を訪れた。極寒期は南の島で極楽ライド、ではない。それは台湾で懲りている。そうではなく、台湾でエッジ(国境)を意識し、「日本の国境に行こう!!」という極楽サイトを思い出したからだ。この美麗な観光旅行サイトは内閣府が作っており、しかも何故か2月末に閉鎖される(調査レポート)。そこで国粋主義者には程遠いものの、日本の国境に行くことにした。 八丈島も青ヶ島も伊豆諸島南部の離島 ...
Cycling Edge 34: 台中
台湾では台北から日月潭を経て、最後は台中へ。高速バスで40分ほど。台湾の中西部にあり、人口286万人で台湾第2の大都市。ようやく晴れ間が広がり、寒さが和らぐ。台中駅の新旧駅舎を見た後、国立台湾美術館を訪れる。当代芸術館などもそうだったようにデジタル・アート系が多い。台湾の主要産業が電子部品や情報通信だからだろう。泣く子も黙るTSMCやFOXCONNなどを擁している。 国立台湾美術館で開催中だったア ...
コペンハーゲン、オウル、モントリオールに学ぶ冬の自転車利用環境整備
1月末、札幌の北海道開発技術センターにお招き頂き、「世界に学ぶ、冬の自転車走行環境勉強会」の講師を務めた(メインターゲットは行政やコンサルタントの方々)。武蔵野の民である私は北国の自転車事情には全く明るくないのだが、コペンハーゲン、オウル、モントリオールの冬季自転車利用と環境整備について改めてリサーチを行い、発表も好評だった(と感じている)ので、振り返りを兼ねて内容の一部をシェアしておきたい。 L ...
なぜ私たちは自らの校舎をディストピアと呼ぶのか
来る2月23日にクリティカル・サイクリングと運動体設計の共催による企画ライド「なぜ私たちは自らの校舎をディストピアと呼ぶのか」を行います。これはIAMASのいわゆる卒展のイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方でも少し早めにお越しいただいて、ライドの後に卒展をご覧いただければ幸いです。 今回のライドは前日のクリティカル・サイクリング主催 赤松正行、映像作家 坂根 ...
Hangar(9) 月台の駐輪場
近年、日本各地の鉄道の駅でも多国語表示が進んでいる。このあいだ、JR大阪駅で案内表示に「月台」という単語が掲げられているのを目にした。「月台」とは、中国語・台湾語で鉄道のプラットフォームのことを指す言葉である。しかし、私はこの言葉が詩的情景を含んでいるように思えた。鉄道の乗降をする台が、夜空にある月のための台であるとは、その心はいかなることか。そこで、この語のもともとの意味をたどることにした。 「 ...
Cycling Edge 33: 日月潭
日月潭(リー・ユエ・タン、Sun Moon Lake)は台湾中央にある美しい湖。環島(台湾一周)サイクリングでも海岸線を離れて山間を抜け、わざわざ立ち寄るほど人気がある。世界で最も感動的なサイクリング・コースTOP 10に選ばれ、映画「南風」でも自転車旅の目的地になっていた。台北から高速バスに乗って約4時間。標高が高いので寒さも増した日月潭に降り立つ。小雨まじりの曇天が続く。 翌朝、日月潭の中心地 ...
早朝耐寒ライド 2025 Winter
【ご連絡】雪のためライドは中止とさせてください。8:00に集合後に近くの喫茶店でのモーニングは実施します。ご参加いただける方は気をつけてお越しください。(2025.02.22) 来る2月22日に、クリティカル・サイクリングと運動体設計の共催による早朝耐寒ライドを行います。こちらはIAMASの卒展のイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方の方にもぜひお越しいただい ...
自転車建築(21)「フレームの中、フレームの外、ゆらぎの境界」展
2025年1月10日から19日まで、名古屋の市民ギャラリー矢田にてファンデナゴヤ美術展2025が開催された。IAMAS博士前期課程2年の浅尾楽が企画した「フレームの中、フレームの外、ゆらぎの境界」が採択され、筆者の門田とIAMAS卒業生の西尾秋乃でグループ展を行った。 チラシ 企画概要 現代社会において、映像は主にスマートフォンやパソコンの画面で視聴されています。このように、映像の撮影から公開まで ...
サイクリングが奏でる音楽:Sound of Cycling(3)
”サイクリングを音楽にする”という発想から始まったプロジェクト「Sound of Cycling」。制作過程記録の第3回目は、センサーから取得した数値を音楽にするためのプロセスと、システムの実車への搭載についてお伝えする。 風と動作の音楽化プロセス 以下、システム概略図。制作時のメモ代わりにも使っていたもので、最終的に変更された箇所もあるがおおよその全体像を示している。 マイクから取り入れた風の音 ...
リアルタイムBGMシステム(10)
2024年11月から、自転車運転中にスマートフォンなどを使用する「ながら運転」に対する罰則が強化された。デバイスを手で持って画面を注視する行為はもちろん、自転車に取り付けたデバイスの画面を注視することも禁止されている。アプリの開発を進める中で、この規制に関連して「自転車運転中はどうすれば良いか?」という課題がある。どんなにアプリの操作をシンプルにしても、運転中に注意が散漫となれば交通事故のリスクが ...
Cycling Edge 32: 台湾の自転車シェアリング
当然のように台湾でも自転車シェアリングは盛んだ。台北でも、後に訪れた台中でも、白と黄色の自転車YouBikeをよく見かける。どこにいても少し歩けばドック(スタンド)が並んんだ貸出ステーションがある。専用のYouBikeアプリを使えば、近くのステーションの場所や利用状況がすぐに分かる。筆者も地下鉄では遠回りだっり、バスでは分かりにくかったりする場所に行くのに何度か活用した。 YouBikeは悠々カー ...
Cycling Edge 31: 台北
12月の後半に台湾に出かけた。年末年始の混雑を避け、暖かい場所で自転車に乗る魂胆。ところが、台北に着いて驚いた。人々がダウン・ジャケットやロング・コートを来ていたからだ。日中は20℃近く、夜でも10℃以上あるとは言え、現地の人は15℃以下を日本での氷点下に感じるらしい。実際にも小雨混じりの曇天で肌寒く感じる。寒波が到来しているそうだ。夏服ばかり持参したことを嘆く。 翌日、Rapha Taipeiに ...
『Bicycle Club』誌460号の特集「街と自転車」に寄稿しました(小俣雄風太さんとの対談も)
1985年の創刊から40周年を迎えた自転車雑誌『Bicycle Club』の最新号(460号、1月20日発売)は「街と自転車」が特集。一年前に編著書『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』を出したこともあり、この特集のうちの6ページ「世界と比べても注目を浴びる国 日本の街の自転車文化」の執筆依頼を頂いた。『旅するツール・ド・フランス』の著者である小俣雄風太さんとの対談も、レースと生活利用という自転車文 ...
「夜騎開封」について考える
中国の鄭州市で「夜騎開封」と呼ばれるシェアサイクルによる夜間サイクリングが流行していた。 2024年6月に鄭州市の大学生が小籠包を食べるために自転車で約50km離れた開封市まで走る様子がSNSで流行った(バズった)ことをきっかけに、若者たちが夜間に自転車に乗るようになり、最大20万人も集まったという。 ブームのきっかけとなった大学生たちの自転車に乗って夜の街を駆けた動機が、大学の授業後に、小籠包を ...
正月を綯う
娘と二人で出かける元日のサイクリングは、新年の恒例行事になりつつある。そのきっかけは2021年正月、新型コロナウイルス感染拡大によって多くの行事が中断される中、屋外であり、かつ一箇所に人が密集しないサイクリングならば実施できるだろうと考えたことだった。[参考: https://criticalcycling.com/2021/01/newyear-newtype-group-ride/] 以来、正 ...
Cycling Edge 30: ソーシャル×散走
シマノが企画する「ソーシャル×散走」企画コンテストが毎年開催されている。学生を対象として、自転車に乗って社会課題に取り組む企画を募集し、発表し共有するコンテストだ。馴染みのない「散走」という言葉は、散歩をするように自転車に乗ることらしい。また「ソーシャル」は直接的に社会課題を意味しないので、悩ましいタイトルではある。応募サイトでは以下のように説明されている。 21世紀を迎え、モノや情報があふれる現 ...
わたしはゆるく、自転車にのる。(その2)
わたしの自転車にまつわるお話。 実は、わたしは自分で新しい自転車を買ったわけではない。中古の自転車を譲り受けたのだ。今回は、その自転車を手に入れて整備したときの話を書こう。 初めて自転車と会ったのは10月。自転車は使われていなかったそうで、チェーンなどところどころが錆びついていた。おまけに自転車につけていたワイヤーロックも錆びついていたし、番号も忘れ去られ外すことができない。わたしは、そのまま自転 ...
自転車建築(20)「光の方へ」展
2024年12月26日から29日まで、東京都荒川区にある元映画館で、グループ展「光の方へ」が開催される。この展覧会に筆者の門田、ニセテクスチャ(オオタソラと小林玲衣奈によるゲイジュツ・チーム )が出展する。門田は助手展から引き続き、Light on Earth シリーズを展示している。 企画概要 生活を送りながら光の方へ走っている。時々制作もしている。そうすると生活も制作もごちゃ混ぜになって光その ...
サイクリングが奏でる音楽:Sound of Cycling(2)
”サイクリングを音楽にする”という発想から始まったプロジェクト「Sound of Cycling」。このプロジェクトは、サイクリングを単なる運動としてではなく、聴覚的にも楽しもうという試みである。制作過程記録の第2回目。 何を拾うか サイクリングに体験を“音”に変換し、さらに“音楽”にしていくにはどのような要素が必要なのか。「何を持って音楽となし得るのか」を考えつつも、まずはサイクリングを表現する ...
リアルタイムBGMシステム(9)
前回からシステム構造をSwiftに移行したが、実装にはSwiftとUIKitを使用して記述していた。UIKitはiPhoneの登場と共にリリースされた歴史あるフレームワークである。現在では新しいフレームワークとしてSwiftUIが提供されており、将来性を考えるとSwiftUIへの移行が望ましい。しかし、物体検出などのサンプルコードの多くが従来のUIKitで記述されていることや、新しい言語への不慣れ ...
Visions in Motion 22:原付と法律
モペットの取り締まり 日常の行動範囲では意識していなかったが、昨今の交通事情やモビリティの多様化により法改正が進行している。原付や軽車両に対しての例外的な規則があるなど事情を理解していないと混乱する。産経新聞(2024/11/1)によれば、警視庁はペダル付き電動バイク「モペット」の公開取り締まりが行われた(東京都新宿区)。 参考:「改正道交法施行「ながら自転車」や酒気帯び厳罰化 「モペット」ルール ...
Cycling Edge 29: チェンマイ郊外
タイ、チェンマイの市街地は必ずしも自転車に適した走行環境ではなかった。そこで趣向を変えて、郊外の自転車ツアーを申し込んだ。その名も「Half-day hilly E-bike adventure (fully paved roads, GUIDED)」と実に軟弱そうなコースだ。朝にホテルに送迎車が来て、約20km離れた郊外のツアー事務所へ向かう。ここで数人と合流して、ガイドの先導でサイクリングに繰 ...
12月21日のBicycle Film Festival Japan 2024 in 尾道で上映されるのはどんな作品?
ニューヨーク発の自転車映画祭Bicycle Film Festival(BFF)が尾道で12月21日に開催される(12:00~)。みんな忙しい年の瀬、しかも直近のイベントになるが、都合がつきそうな人はぜひ足を運んでほしい。実務的な事項はチケットサイト https://peatix.com/event/4201379?lang=ja-jp にまとまっているのでそちらで。ここでは行こうか迷っている人な ...
リンツの自転車事情
IAMASの交換留学制度を利用してオーストリアのリンツ(Linz)に滞在している。 ようやく生活が落ち着いたので、nextbikeというどうやらヨーロッパで広く使われているレンタルサイクルのアプリをインストールして、クレジットカードと電話番号を入力。 使い方は日本とほとんど同じだ。サイクルステーションで利用したい自転車の番号を確認し、アプリ内で予約をする。自転車の後輪付近に付いていた専用のQRコー ...
道路モニター体験記
私がときおり市道を自転車で巡っているのは、決して「小さな旅情」を求めているからではない。むしろ、自転車の車輪は、路面の小さな段差やひび割れを、正直に伝えてくる振動を探っているようなものだ。仕方なく、というほうがあっているかもしれない。私が今年度に認定を受けている、市の道路モニターという肩書きは、何とも物々しく聞こえるが、その実態は「あそこが凹んでいる」「ここは亀裂だらけだ」と、いちいち報告をする ...
Cycling Edge 28: チェンマイ市街地
11月の満月の夜、タイのチェンマイに出掛けた。何千何万というランタン(天灯)が夜空に舞うコムローイ祭りを見るためだ。もっとも上海の空港が管制封鎖でトランスファーに失敗。お祭りの朝に到着するはずが実際には夕暮れ時。あと1時間遅れたら空港が閉鎖されていた。タクシーで市街地の大渋滞を抜け、山間の会場を目指す。辿り着くと、すでに月が高く昇っている。イベント開始30分前。間に合った。 翌日、何はともあれ自転 ...
わたしはゆるく、自転車にのる。(その1)
幼い頃は、自転車に乗るのが楽しくなかった。 小学生の頃、お母さん、お姉ちゃん、わたしの3人で並んで自転車に乗れば、必ずついていけなくなってしまっていた。道路のちょっとした段差、信号のない横断歩道、スピードが上がりやすい下り坂など、自転車の操作が乱れやすい場所を通るとき、わたしはとても慎重になってしまうのだ。そして遅れて、焦って追いつこうとして、また遅れて……。自転車を運転しながら楽しむような余裕が ...
自転車建築(19)Light on Earth #1
前回の記事では、エティエンヌ・ルイ・ブレーを参照し、球体の自転車建築制作に取り組むことをお伝えした。しかし、現在勤務している女子美術大学で2024年11月28日から開催される助手展に向けて、別の自転車建築の制作を進めていたため、今回はその作品について先に紹介したい。 門田が展示する作品のタイトルは「Light on Earth #1」。この作品は、8月のワークショップで使用した「moving ho ...
サイクリングが奏でる音楽:Sound of Cycling(1)
「サイクリングを聴いてみたい」――そんな思いから、サイクリングの体験を音楽化する作品「Sound of Cycling – サイクリングが奏でる音楽」を制作した。 サイクリングをもっと楽しみたいというシンプルな動機から、運動であるサイクリングを“音”に変換し、“聴く”ことで新たな体験を生み出せるのではないかと考えたのがこのプロジェクトの始まりであり、生成された音をさらに“音楽”へと昇華させることが ...
リアルタイムBGMシステム(8)
今までの開発環境(Web、Python)では、処理が重くモバイル端末の発熱問題もあったためApple エコシステムで作動するネイティブアプリケーションにプログラムを移行している。筆者にとって初めてのSwift環境での開発となりかなり手こずっている。以下に添付しているデモ動画は、Swiftで物体検出(Yolo v8)を行うだけのシンプルな動画になる。これだけシンプルなアプリでもかなり実装に時間がかか ...
Visions in Motion 21:原付と日常
コロナ禍に入ってしばらくして、電動バイクを購入した。といってもペダル付きのタイプで、バッテリーが切れても自走できるのが特徴だ。スペックは、モーター定格出力:500w、航続距離:50km。原付1種:排気量50cc以下(電動機の場合は定格出力0.6kW以下)の区分となり、ナンバー登録、自賠責保険の加入、普通自動車免許(または原付免許)が必要。法定速度は時速30km、交差点での二段階右折が定められている ...
Cycling Edge 27: 倉敷・真備町
晴れの国、岡山、3日目。戦争遺構の蒜山高原や森の芸術祭の県北部から南下。総社市で洋食ランチをいただき、デザートのパンを頬張ってから、お隣りの倉敷市の真備町に向かう。2018年7月の西日本豪雨の被害が大きかった地域だ。堤防が決壊して水位5メートル以上もの浸水にみまわれ、全壊した家屋も多く、死者は51人にものぼっている。その後6年経て、かの地を自転車で巡るわけだ。 まず、まびふれあい公園でバンから自転 ...
1×2仕様のカーボンリジッドMTBを組んで大弛峠へ
「関戸橋フリマ」でハードテールMTBのカーボンフレームを買ってしまったので、リジッドフォークに1x2スピードという仕様で組み上げ、グラベルを含む秋の大弛峠越えへ行ってきた。 関戸橋でフレーム入手 多摩川にかかる関戸橋の横の河川敷で、春と秋の二回、自転車部品・用品のフリーマーケットが自然発生する。秋の回が10月19日にあり、手元の余剰パーツを放出しに友達と出かけた。 持ち込んだガラクタはぼちぼち売れ ...
モビル文学(9) 視認のための奮闘記
本記事は筆者のIAMAS(情報科学技術大学院大学)における修士研究である、自転車に乗りながら小説を読む試み「モビル文学」についての連載第9回目で、今回は前回の連載記事の続きのヘルメット制作の成果を執筆していく。 前回記事はなんとクリティカルサイクリングの1000記事目の投稿だったらしい。 モビル文学(8) ヘッドトラッキングの仕組み 前回記事で触れたヘルメットの試作の中で、デバイスの重さに接続部分 ...
インゴルド「シートとサドル」を読んで
イギリス生まれの人類学者ティム・インゴルドのエッセイ「The Seat and the Saddle: How Slow Is Quick and Fast Is Stuck」と題したものがある。地域の再生にサイクリングやウォーキングの道がなぜ、そしてどのように役立つのかを調査した様々な記事の中の一つである。(Cycling & Walking for Regional Developme ...
Cycling Edge 26: 森の芸術祭
蒜山高原の戦争遺構を自転車で回った翌日は、森の芸術祭に出かけた。いわゆる地方芸術祭のひとつで、岡山県北部の数ヶ所をエリアとして、今年初めて開催されるそうだ。丘陵地を取り囲んで緑の森と山々が連なる。晴れの国らしい快晴に心が躍る。ちなみに前日にも蒜山ミュージアムでの展示を見ていた。ただ、これは文字通り美術館であって「森」ではなかった。 昨日に引き続き自転車を積んだバンで移動し、まずは奈義町エリアへ。こ ...
Cycling Edge 25: 蒜山高原の戦争遺構
10月中ばに岡山県の蒜山高原に出かけた。自然豊かな観光地で、3年前は整備されたサイクリング・ロードを最新のレンタル自転車で快走して高原リゾート気分を満喫した。一方、今回は目的が異なっていた。のどかで美しい風景とは裏腹に、かつては日本陸軍最大規模の射爆演習場があったと聞いたからだ。その戦争遺構は今でも残っているとのことなので、実際に自転車で巡ることにした。 同行者2名とともに自転車を載せたバンで蒜山 ...
自転車建築(18)ニュートン記念堂を載せる
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 自転車建築の概要 本記事で自転車建築の今後の展望を論じるにあたり、ここで一度その特徴を振り返る。 自転車建築は従来の建築における内外の分離関係が固定されている状況を超えて、映像によって外 ...
Cycling Edge 24: ドイツ郊外
ドイツのフライブルクで都市の自転車環境を体験したので、次は地方を調査しようとした。正直に言えば、シュヴァルツヴァルトや田園地帯をe-Bikeで快走して、郊外を満喫したかったわけだ。そこでレンタル自転車ショップに向かう。平日にもかかわらず、多くの人で賑わい、活気にあふれている。そのほとんどが電動アシストのマウンテン・バイクなので、否が応にも意気高揚してくる。 ところが、ショップでは当日も翌日からも予 ...
リアルタイムBGMシステム(7)
前回のシステムを公開して使用した方から、カメラ画面が小さくて見づらいと言われた。システムを実装するのに夢中になり肝心な体験の部分が疎かになってしまっていた。そのため、UI部分の見直しデザインを再度行った。 デモバージョン3は以下のURLで確認可能である。PCまたはスマートフォンに対応 https://zumisio.github.io/real-time-bgm-project-2024-9.5 ...
Visions in Motion 20:うごく・うごかす・うごきをみる
展覧会開催期間の半分を過ぎ、現時点で個々の作品についての個人的な思考を巡らしてみる。3作品に共通する「うごく・うごかす・うごきをみる」というキーワードは、作品ごとにその役割が一致しているわけではなく、どれもが絡み合って成立している。 かんしょうこう 会場の中では唯一暗い部屋で鑑賞する「かんしょうこう」は、構成要素がシンプルな作品である。光と縞模様と白い物体に影が落ちている状況を観察することを促して ...
Cycling Edge 23: フライブルク
8月から9月にかけて南ドイツに滞在してので、フライブルク(Freiburg)在住の小畑和香子さんを訪ねた。小畑さんは「世界に学ぶ自転車都市のつくりかた」の著者の一人であり、担当されたドイツの章での「ドイツは自転車先進国ではない」との衝撃的な書き出しを疑問に思っていたからだ。そこで連絡を取ったところ、快く時間を取っていただき、自転車に乗って街を巡ることになった。感謝申し上げます。 朝、フライブルクの ...
私の自転車キャンプ用メスキット(2024年10月現在)
継続運用している自転車キャンプ用メスキットが多少のアップデートを経ているので、ここらで記しておく。 「メスキット」(mess kit)とは、フィールドで使用するために携行する調理・食事のための道具一式のこと。要は野外活動用のメシ・キットである。 トランギアのメスティンでまとめる自転車キャンプ用メスキット 2022年2月の記事 スリップメスティンで自転車キャンプ用メスキットをアップデート 2022年 ...
モビル文学(8) ヘッドトラッキングの仕組み
本記事は筆者のIAMAS(情報科学技術大学院大学)における修士研究である、自転車に乗りながら小説を読む試み「モビル文学」についての連載第8回目で、今回は空間に表示しているAR文字オブジェクトと体験者の頭の動きを同期する「ヘッドトラッキング」について書いていく。 「モビル文学」については、下記の第3回目の記事でまとめている通り、指定した位置(緯度経度)にAR文字オブジェクトを表示しています。しかし、 ...
Hangar(8) – 自転車格納庫のような店舗
自転車格納庫と聞いて、読者諸氏は何を思い浮かべるだろうか? おそらく、多くの人は無機質な金属の棚や、整然と並べられた自転車の姿を想像するのではないだろうか。それも自転車格納庫である。しかし、そうでなくとも自転車格納庫と等価な場所もある。 一見すると普通のカフェや雑貨店のように見える店舗であっても、特別な魅力を持っている場合もある。その特別な魅力の中に、自転車格納庫にとって必要な条件が見いだせるかも ...
Cycling Edge 22: ラドラー
8月から9月にかけて滞在したドイツでは、機会があればラドラー(Radler)を飲んでいた。何しろ、これはドイツ語で「サイクリスト」の意味だから、自転車のエッジ(領域)に他ならない。ビールをレモネードで1:1で割ったカクテルで、アルコール度数が低く、爽やかで飲みやすい。日本ほどの灼熱地獄ではないものの、ドイツでも今年は暑かったので、日中に木陰で飲むラドラーは格別だ。 一説によるとラドラーは南ドイツの ...
Cycling Edge 21: ゴミ拾いサイクリング
自分史上もっとも暑かった夏が終わりそうで終わらない9月末の朝、自転車に乗ってゴミ拾いをした。そのためにスーパー・マーケットの買い物カゴにゴミ袋を入れ、養生テープで留める。カゴの取っ手をBromptonのハンドルに通し、荷台用のゴム紐で固定する。これで長めのトングを入れればゴミ収集車の完成。同行した知人はフード・デリバリー用の巨大バックにゴミ袋を入れて背負う。 準備が整えば、市街地中心部を出発。まず ...
自転車建築(17) My Living Home Ⅲ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前々回から引き続き、門田家の部屋を模型化し、自らの生活空間に風景の映像を重ね合わせる手法の実現を目指す。 第15回の記事で試みた表現では、ドアの覗き穴から差し込む映像が玄関からダイニング ...
Cycling Edge 20: カメラ・ボタン
2024年9月20日に登場したiPhone 16シリーズの最大の特徴はカメラ・ボタン、正式にはカメラ・コントロール・ボタンだ。このボタンを軽く押すとカメラ・アプリが起動する。画面がロックされていても、他のアプリが開いていても大丈夫。もう一度ボタンを押せば写真が撮影できる。ボタンの長押しや指を滑らせるなど多彩な操作も用意されている。これぞスマートフォン・カメラのエッジ(最前線)だ。 https:// ...
リアルタイムBGMシステム(6)
前回の記事でリアルタイムBGMシステムのデモバージョン1を公開した。デモバージョン1と言いつつ実際は、動作チェック程度しか出来なかった。そこからユーザーインターフェース、デザインの改善とサウンドシステムの拡大を行ったバージョン2を開発した。まだまだリリースできる段階ではないが、前回より遊べる状況になってきた。 デモバージョン2は以下のURLで確認可能である。PCまたはスマートフォンに対応 http ...
Visions in Motion 19:うごキズム
Visions in Motionの活動基盤である「運動体設計」プロジェクトによる展覧会「うごキズム ~うごく・うごかす・うごきをみる~」が、2024年9月28日から大垣市スイトピアセンター アートギャラリーで開催されます。この展覧会は、IAMASと大垣市文化事業団の連携により、プロジェクトの成果を展示するものです。 企画概要 動きは、私たちが世界に生き、自分自身を見つけるために不可欠な働きです。 ...
Cycling Edge 19: リア・キャリア
先日、ドイツを訪れて一番驚いたことはe-Bike用の充電ステーションだった。次に驚いたのは車両の後部のキャリアで自転車を積んでいるクルマが多いことだ。これは頻繁に見かける一方で、クルマの屋根に自転車を積むルーフ・キャリアはまるで見かけない。あまりにも見かけないので、ルーフ・キャリアは禁止されているのかと思ったほどだった。 ドイツでは背丈が高く屈強な人が多い。つまり、自転車をクルマの屋根に載せるのは ...
Cycling Edge 18: 充電ステーション
8月後半より2週間ほど南ドイツに滞在し、近隣のフランス、スイス、オーストリアも訪れた。いずれも国境を自由に行き来できる。雰囲気は似ており、市街地でも観光地でも自転車を数多く見かける。なかでもe-BikeやPedelecと呼ばれる電動アシスト自転車が多い。新型コロナ・ウイルスによるパンデミックを契機として一気に増えたらしい。 そのような状況に感心していたところ、観光地ライン滝で見かけた標識に驚いた。 ...
モビル文学(7) 発表場所に応じた制作と撮影
今秋にモビル文学(映像版)の作品発表が東京と熱海であり、ここ数ヶ月はその準備に勤しんでいる。 IAMASの修士研究として取り組んでいるモビル文学AR版(ARによる街への小説表示)との違いは、小型プロジェクターを搭載した自転車で街に映像化した小説を投影することで、こちらの映像ヴァージョンは現代美術作品として世の中へ発表をしていく。 展示が決まった6月中旬から8月下旬にかけて、東京と熱海、全く環境の違 ...
峠を越える儀式
京都市街地の北に位置する花背峠は、京都の自転車愛好家たちによく親しまれている峠道である。この道の古い歴史では、日本海から京都へと魚を運ぶのに使われたという通称「鯖街道」として、人々が行き交う道でもあった。 一般にはこの峠を境として北側が花背と呼ばれる地域であり、川が流れ、水田や木々が広がる農業地帯である。今年の6月と8月とに自転車で花背峠を行き来して、7月に行われた祇園祭のための祭具を自転車で運ん ...
きゃんつー集い2024(夏)、私の旅装
8月頭のきゃんつー集いに参加した際の旅装とその運用を、フィールドで気づいた課題を交えつつ記録しておく。ダイゴマンが参加者全員についてまとめてくれた「きゃんつー集い2024-輩の旅装」と合わせてご覧頂ければ幸いだ。 荷物と携行方法 まずは今回の旅の荷物と、それらをどう運んだかを振り返る。自転車は柳サイクルのATB(オール・テレイン・バイシクル=全地形自転車) Cozmo。 全ての荷物を積んだ状態(撮 ...
Cycling Edge 17: クリティカル・サイクリングの投稿規定
クリティカル・サイクリングでは自転車に関する実践や調査などを本サイトに掲載している。最初の投稿は2016年6月2日であり、8年以上にわたって1,000件近くの記事が公開されている。その内容の多彩さと充実は現時点では7名の、これまでを含めると総勢25名の執筆陣によって行われている。その尽力はかけがえのないものであり、何よりもまずもって感謝申し上げたい。ありがとうございます。 一方、執筆者が増え、多く ...
自転車建築(16) ワークショップ
8/24(土)に岐阜県大垣で自転車建築キットを用いたワークショップを行った。 メディアアートの楽しさを広めることを目的とした、全4回のワークショップのうちの1回を担当した。 概要 このワークショップは、写真の原点である「カメラオブスクラ」を作成し、身近な風景を新しい視点で捉えることを目的としている。初期のカメラオブスクラは巨大で、暗い部屋やテントに映像を映し出すものだったが、今回のワークショップで ...
Cycling Edge 16: テスラにルーフ・キャリア
テスラ(Tesla)のモデルY(Model Y)の天井にルーフ・ラックとサイクル・キャリアを取り付けた。もちろん、自転車を運ぶためだ。一向にトゥ・パッケージとヒッチ・ラックが日本では発売されないので、自転車のエッジ(限界)を拡大するには止むを得ないとシビレを切らした次第。本国アメリカでは吊下型に加えて、新たに荷台型のヒッチ・ラックも発売されている。テスラ・ジャパンは奮起して欲しい。 テスラ純正の荷 ...
リアルタイムBGMシステム(5)
本システムの課題解決には、スマートフォン単独で実行可能なアプリケーションの開発が必要である。しかし、アプリ開発経験の乏しい筆者にとって、iOSとAndroidアプリの直接的な開発は困難であると判断した。そこで、まずはWebベースでのアプリケーション開発を試みることにした。 開発プロセス 1.コードの移行 従来Pythonを用いて記述していたコードを、HTML、CSS、JavaScriptを用いてW ...
Visions in Motion 18:太陽光とオムレツ
前回に続き、ソーラークッカーを用いて調理を試みる。 前回は角度調整の失敗により期待した温度が得られなかったため、今回は太陽の入射角度を慎重に調整した。また、より短時間で調理できる具材を吟味し、オムレツを作ることにした。 まず、機器と付属のシリコントレーを30分ほど予熱する。具材のトマト、ピーマン、玉ねぎをみじん切りにする。クッカーが温まったら、卵と具材を撹拌し、トレーに流し入れる。 この時点で51 ...
Cycling Edge 15: 九十九里浜
8月上旬に房総半島に出かけた。猛暑日がなく涼しい街と言われている千葉県の勝浦での避暑だ。実際にも朝夕の涼しい潮風に吹かれると楽園気分。しかし昼間は暑い。潮風もぬかるんで気持ち悪くなる。気象データでは東京の最高気温が35℃を超えた日に、勝浦は30℃少々だったりする。しかし、勝浦でも35℃近くになる日もある。地球沸騰化で「涼しい」の基準がおかしくなっているとしか思えない。 勝浦の浜辺の夜明け しかも勝 ...
2024年8月、わくわくバイクパッキング in 諏訪エリア
8月頭、通算10回目の開催となる「きゃんつー集い」に出かけた。会場は諏訪湖南西のキャンプ場だ。各々がやりたいルートを走る自己完結したサイクリング、その交点としての野営地を示し合わせるのが集いのコンセプトだが、今回は知り合って10年近くなる自転車仲間のたけひーと同道することになった(これといってルートを決めていなかったらしく、声をかけたら乗ってくれた)。ここではその初日の様子をざっと記しておきたい。 ...
モビル文学(6) なんだ、これは!
地元川崎の先輩、岡本太郎はこう言った。 「芸術ってのは判断を超えて、『なんだ、これは!』というものだけが本物なんだ」 筆者が所属するIAMAS(情報科学芸術大学院大学)の修士研究として「モビル文学」の制作を始め、半年が経った。少しずつアウトプットの練度が上がってきた実感があるものの、自転車に乗りながら小説を読むという学校の不良債権代表のような取り組みを自身の言葉で語ることが中々出来ず『なんだ、これ ...
潮待ちの海を自転車で行く
日頃稽古を受けている能楽師の家中で、広島の鞆の浦で舞台をつとめる機会があるというので、昨年初めて末席に加えてもらったことがある。その能舞台というのは由緒のある神社の中にある野外能舞台である。いま日本国内でも能舞台は屋内に設置されることが多いが、この能舞台はいま現存する中では最古の移動組み立て式の屋外能舞台と言われている。夏の暑い炎天下ではあるものの、貴重な場所でまたとない体験を得られる機会でもある ...
Cycling Edge 14: SETOUCHI CYCLING BOOK
予定していなかった吉備路自転車道を走ったのは、前日にSETOUCHI CYCLING BOOKをいただいたからだった。これはSetouchi Véloのパンフレットで、瀬戸内海に面する9つの県が連携してブランディング中のサイクリング・エリアが紹介されている。比較的新しい取り組みであり、シンプルでクリーンなデザインが好印象。オンラインの時代にあって紙の印刷物の在り方を提案する姿勢もうかがえる。 表紙 ...
Cycling Edge 13: テスラで車中泊
キャンピング・カーのような本格的な車中泊でなくても、クルマのなかで仮眠できると嬉しい。例えば、早朝から自転車をクルマに載せて遠方に出かけ、夕方までサイクリングに興じたとする。そんな時は体力を使い果たし、注意力も散漫になっている。運転をして帰路に就くのは危険だ。そこで短時間でも仮眠を取り、疲労が回復してから運転する。結果的に自転車のエッジ(限界)を広げることになる。 クルマの中で手軽に仮眠を取るには ...
自転車建築(15) My Living Home Ⅱ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前回に引き続き、門田家の部屋を模型化し、自らの生活空間に風景の映像を重ね合わせる手法の実現を目指す。 今回は360°カメラを用いて検討を行った。通常、建築模型は縮尺に基づいて作成するが、 ...
Cycling Edge 12: 続・Apple Vision Proに周辺視野を
3Dプリンタで制作した開放型ライト・シールはApple Vision Proに周辺視野を取り戻し、安全で自然な行動を可能にした。しかし、プラスティックの装着感は快適にはほど遠い。そこで製品のライト・シールを覆う布を取り除くことにした。もっとも、そのような前例はない。iPhoneなどデジタル機器の分解で有名なiFixitもライト・シールには手をつけていない。運を天に任せ、カッターナイフを突き立てる。 ...
リアルタイムBGMシステム(4)
これまで、リアルタイムBGMシステムの開発を進めてきた。その過程で、ブログを3回更新し、プログラミングの実装に注力した。この実践により、システムの具体的な課題と可能性が明確になった。しかし、プログラミングの話題が中心となり、ブログ内容にマンネリ感が生じていた。だが、プログラミングを通じて得られた知見は、次のステップへの重要なヒントとなった。 システムの概要 リアルタイムBGMシステムは、環境に応じ ...
Visions in Motion 17:太陽光とコーヒー
夏の日差しをポジティブに捉えてみる。以前購入したソーラークッカー「GoSun」のパッケージを引っ張り出し、試してみることにした。手始めに、シンプルにお湯を沸かすことにする。ガラス管の容量は420mlあり、水をギリギリまで注ぐ。 日の当たるベランダに、付属のスタンドを使って斜めに傾けて設置する。季節による太陽の照射角度に合わせてスライドできるようだ。正午過ぎのコンクリートの温度は50度近い。水の温度 ...
Cycling Edge 11: 吉備路自転車道
梅雨だから当たり前とは言え、今年は妙に雨が多い。そんな6月下旬、梅雨の合間に嘘のように綺麗な晴れ間が広がった。場所は岡山、さすが晴れの国。時は朝、所用での移動中ながら半日ほど時間の余裕があった。しかもテスラ(TESLA)にはBromptonを忍ばせている。これは走るしかない。調べると近くに吉備路自転車道があることが分かり、備中国分寺の駐車場から岡山市街地に向うことにした。 この自転車道は、瀬戸内地 ...
信州にシングルスピードMTBを置く
信州にシングルスピードMTBを置いた。親戚の家への滞在中に、そこを拠点として気軽にあちこちを探索するための一台。まだ持ち込んだばかりで近場をほんの少し乗り回しただけだが、地形や目的とのマッチングは悪くなさそうだ。ミニマルかつ比較的チープな構成の「置き自転車」を組むのもなかなか面白い。 早朝のご近所散策風景。 この置き自転車はオークションにて1万円台で入手した鉄フレーム(ミヤタのリッジランナー)をベ ...
モビル文学(5) 傑作となり得る小説を書こう
本記事は筆者のIAMAS(情報科学技術大学院大学)における修士研究である、自転車に乗りながら小説を読む試み「モビル文学」についての連載第五回目で、今回は本取り組みに適した小説の書き方についての考察を行う。 「モビル文学」は体験場所を舞台として執筆したAR小説を同地をサイクリングしながら読むということを最大の特徴としており、小説の中に自転車を漕いでいる土地をそのまま登場させたり、自転車で街を散策した ...
Hangar (7) – 解体から始まる自転車格納庫
Hangarとして選ばれる場所がどのような基準で選定されたのか、その決定プロセスや理由を明確にすることは重要である。これについて、様々な地方自治体における自転車駐輪設備のほか、自転車道の整備において、場所の選定が積極的な姿勢で臨まれていないことが多々ある。多くの場合、理想的すぎるか、現実を見ていないかどちらかである。 私達が次のHangarを作る場所は、兵庫県神戸市の六甲山の麓にある。六甲山はひと ...
Cycling Edge 10: 京都の裏道
6月中旬、京都を自転車で走った。午前中に空き時間があるので、京都在住の知人に案内を依頼していた。何しろ京都はオーバー・ツーリズムの激震地。特に近年の円安によって海外観光客が激増。観光名所は人で溢れかえり、市内交通は麻痺状態。となると自転車で軽快に市中ライドができるとは思えない。そんな危惧を抱きながら、輪行したBromptonとともに京都駅に降り立つ。 JR京都駅0番線 さすがに京都駅は混沌とした混 ...
Cycling Edge 09: 能登半島(特別編)
前編と後編に続いて、同行した3人からいただいた寄稿を特別編として掲載します。 非現実な現実を巡り 文章と写真:志村翔太 瓦礫の山を前に30分くらい佇んでいると、痛みや悲壮感を感じなくなってしまった。 次第に街が映画やアニメーションのワンシーンのように見えた。脳が慣れてしまったのかもしれないし、非現実な光景をフィクションと結び付けて理解することを拒んだのかもしれない。 街は災害の爪痕を刻みながらも限 ...
運動体設計+クリティカル・サイクリング早朝盛夏ライド2024
来る7月21日にクリティカル・サイクリングとIAMASの学内プロジェクトである運動体設計との共催による早朝盛夏ライドを行います。こちらはIAMASのオープンハウスのイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方でも少し早めにお越しいただき、ライドの後にオープンハウスをご覧いただければ幸いです。 運動体設計+クリティカル・サイクリング早朝盛夏ライド2024 今年の早朝盛 ...
自転車建築(14) My Living Home Ⅰ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前回まで連載していた自転車建築キットは現在もブラッシュアップ中だが、一段落ついたので、ここで新たな自転車建築プロジェクトをスタートする。 今までの自転車建築に用いた模型はシンプルな形状が ...
Cycling Edge 08: 能登半島(後編)
(前編より続く)能登半島地震の被災地を自転車で走る2日目は、志賀町の宿を出て県道48号線を東に進み、能登島を目指す。この日は時間の関係で自転車をバンに載せて移動する。能登島でも東部の海岸線を中心に3時間ほど走った程度。復興が遅れていると言われる珠洲市方面にも行けなかった。そもそも能登は日本海側ではもっとも大きな半島であり、自転車で回れば随分と時間がかかるはずだ。 能登島への道中は前日同様に5月らし ...
リアルタイムBGMシステム(3)
前回の記事では、物体認識アルゴリズムであるYOLOを使用して風景を認識し、認識したタイミングでドラムを鳴らすシステムを構築した。このシステムは、街のオブジェクト(車や人)を認識し、リアルタイムで音楽を生成することに成功した。しかし、通常モードのYOLOは、自分が認識して欲しい木を認識しなかった。木は音楽のリズムに適していると考えられたため、認識して欲しかった。 木を認識させるには、YOLOに木を学 ...
Visions in Motion 16:反転
自転車を漕ぎ出せば絶えず、風を切る音や、滑走するタイヤと路面の摩擦、ペダルからチェーンを駆動する音、振動が全身に伝わってくる。他方で、池や水田など水面に映る景色と遭遇し、足を止めれば、風がない、静止する世界にいる、微動する自我が顕在化する。 映像:四万十川(高知):沈下橋 映像:仁淀川(高知):沈下橋 水面に映る景色を「水鏡」(みずかがみ)という。風がなく波が立っていない水面は、より平滑に反転した ...
Cycling Edge 07: 能登半島(前編)
5月下旬に能登半島に赴いた。2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災地を自転車で走るためだ。すでに5ヶ月近く経ったにも関わらず、復旧が進んでいないと聞く。報道で取り上げられることも少なくなり、人々の関心は薄らいでいるに思える。そこでまずは出かけてみようと思いたった。筆者も僅かな支援をして以降は忘れかけていたからだ。 今回の参加者は筆者を含めて4人で、途中休憩しながらバンで6時間ほどかけて福井 ...
日曜日、ささやかなパレスチナ連帯サイクリング
日曜日に二人の仲間と「パレスチナ連帯サイクリング」へ出かけた。7月7日にもう少し人数を増やしたライドをやりたいと思っていて、その下地作り的な意味もある。今回は、十条のパレスチナ料理店ビサンでランチ→東京藝大での展示「不和のアート:芸術と民主主義 vol. 2」→下北沢かまいキッチンでの『自由と壁とヒップホップ』上映会という流れ。忘れられない一日となった。以下にざっとレポートを記す(※筆者がスマホを ...
モビル文学(4) ARシステムを搭載して街へ出る
本記事は筆者のIAMAS(情報科学技術大学院大学)における修士研究である、自転車に乗りながら小説を読む試み「モビル文学」についての連載第四回目で、今回は前回の記事で紹介したARを用いた文字表示システムの開発を使って実際に街の中で小説を読むことの実践について紹介する。 「モビル文学」2024年5月バージョン 上記の画像は現時点での「モビル文学」の機構についての説明画像である。 自転車にARアプリケー ...
Hangar (6) – クラウドな自転車格納庫
コンピューターの世界には、クラウドサーバという技術がある。これは、インターネットを通じて遠くにある巨大なコンピューターの一部を借りて、利用するようなものである。大元のコンピュータが持つ計算機能やデータなどから、その一部を「分身」のような形で作り出し、好きなところで、好きなときに使うことができるコンピューティング技術である。 自転車駐輪場は、都市の中で利用される自転車のための、クラウドサーバのような ...
Cycling Edge 06: 東京自転車節・考
「東京自転車節」は2020年の東京で自転車配達員として働くセルフ・ドキュメンタリー映画。2021年7月公開当時に関心を引いたものの、最近になってようやく観ることになった。かつてフード・デリバリーは最先端の社会システムであったし、新型コロナ・ウイルス禍は戦争を凌ぐ危機にすら思えた。だが、それらも遠い昔のように思える今日この頃だ。 本作の主人公は映画監督自身であり、山梨で運転代行で生計を立てていた。し ...
Cycling Edge 05: 地方の自転車専用道路
筆者の自宅から20〜30kmほど離れた大野町には、しばしば自転車で出掛けている。広々とした田園地帯を抜ける農道が整備されており、交通量も少ない。取り囲む揖斐川と根尾川の堤防道路や中央部を流れる三水川沿いの小径も走り易い。春ともなれば古墳群の妖艶な枝垂れ桜が季節を告げ、バラ公園では色とりどりの豪奢な薔薇が咲き誇る。新緑、紅葉、冬枯れ、季節ごとに美しい風景が広がる。 そんな大野町で先日、普段は通らない ...
自転車建築(13)スマホ版体験キットを作るⅣ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前回に引き続きスマホ体験版キットの報告を行う。 とうとう完成した。 360°カメラからスマホに変更することで、空間を見る視点が固定される。自転車建築の新たな表現として可能性を感じていた。 ...
Cycling Edge 04: 韓国の自転車シェアリング
2024年4月半ば、5年ぶりに韓国を訪れた。韓国は日本以上にクルマ社会であり、渋滞だけでなく暴走気味の運転が多い。一方で自転車道はよく整備されており、これまでもソウルや近郊のチュンチョンやテジョンを走って、その走行環境の良さに感心していた。今回もインチョン空港からソウルに向かう電車でも自転車を見かけて嬉しくなる。日本以上に自転車が社会に受け入れられているように思える。 今回は有り難いことにソウル在 ...
リアルタイムBGMシステム(2)
The Chemical Brothersの《Star Guitar》のミュージックビデオ(MV)は、ただの列車の旅を撮影したように見えるが、実際には監督ミシェル・ゴンドリーによって精密に計算され、音楽の各ビートに合わせて風景が変わるように編集されている。この手法により、視覚的にリズムを感じることができる。このMVを中学生の頃に初めて見て以来、筆者は電車に乗るたびに風景に合わせたリズムを脳内で再生 ...
Visions in Motion 15:重力
自転車に乗るためには、言わずもがな重力を意識する。足を離せば右へ左へよろめき、曲がるときには遠心力と身体のバランス感覚が無意識に作用する。上り坂はよりペダルにかかる負荷を感じ、下り坂では自重による加速をブレーキで制御する。 一枚の紙にも重力を意識する瞬間がある。フライヤーを手に取れば紙はたわみ、書かれている文字組は上から下へ、横書きならば左から右へ視線を誘う。ここで、最近作った印刷物を例に挙げてみ ...
Cycling Edge 03: Apple Vision Proに周辺視野を
すでに実践したようにApple Vision Proは高品質な映像の鮮明さと低遅延において、あらゆるHMDのなかでもっともサイクリングに適している。ただし、速度によってアプリの表示が抑制されることと、目の周囲が覆われていて周辺視野が得られないことが問題になる。このうち今回は周辺視野に取り組む。Apple Vision Proによるサイクリングの限界(エッジ)に挑むわけだ。 人の視野は左右の眼を合わ ...
ディングルスピード仕様の古いロードバイクで遊ぶ
床を拭いたり皿を洗うように、普段、自転車を触りながら他のことを考える。家族や友達のことだったり、仕事のことだったり、アメリカなどの大学でのパレスチナ連帯キャンプのことだったり(先日、この主題でリリースされたマックルモアのラップ曲Hind's Hallを日本語訳した)。このところ主に触っている自転車は近所の方が処分するというので譲り受けた古いロードバイクで、いわゆる「ディングルスピード」仕様で組んで ...
モビル文学(3) ARシステムの開発
本記事は筆者のIAMAS(情報科学技術大学院大学)における修士研究である、自転車に乗りながら小説を読む試み「モビル文学」についての連載第三回目で、今回はARを用いた文字表示システムの開発について記述していく。 前回の自転車のハンドルにiPhoneを固定して小説を読むAR版プロトタイプの制作において体験者の身体とデバイスが密着していることが文字の視認性を向上させる必須条件であることが分かりARグラス ...
Hangar (5) – 路上の自転車格納庫
どこに駐輪場を設置すべきか、それは意外に難しい問題である。特に、自転車が頻繁に利用される都市部では、ただ道やルートを計画するだけではなく、それをどのように組み込むかが重要だ。 「ナショナルサイクリングロード」の要件には、「サイクルステーションがルート上におおむね20kmごとに整備されていること」というものがある。しかし、これは長距離移動を移動するツーリズムを対象としているため、一般的な都市のサイズ ...
ポール・オースターと自転車
2024年4月30日、ポール・オースターが亡くなった。アメリカ当代きっての小説家、詩人。その小説の多くは主人公が自己の同一性と存在意義に苛まれ、夢遊病のように都市を彷徨い、あてどもなく荒野を旅する物語だ。愉快な話はひとつもない。それなのに、読み始めると引き込まれてしまう。当人は眼光鋭く、いつも厳しい表情をしている。インタビューなどでもまず笑わない。 彼は長らくニューヨークのブルックリンに住み、小説 ...
Cycling Edge 02: PikaBoostのアルゴリズムと法令
多機能ヘルメットで知られるLivallのPikaBoostは後付けの電動アシスト・ユニット。2023年3月に納品予定だったのが、2023年12月半ばに届く。ピカッとブースト!と軽口を叩きたくなるポップなデザイン、黄色いアクセント・カラーが何かを連想させる。KickstarterでUS$299(約46,000円)だったのもポップ。比較的安価であり、自分のお気に入りの自転車を気軽に電動アシスト化できる ...
自転車建築(12)スマホ版体験キットを作るⅢ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前回に引き続き体験キットの制作を進めた。 前回で明らかになった課題はレーザーカッターで各部材が噛み合う形状に切り出した接合部に多くの隙間が生じたことである。 検討の過程で、模型の各面を一 ...
Cycling Edge 01: ダーク・ツーリングからサイクリング・エッジへ
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)のプロジェクト実習「運動体設計」の一環として、昨年度はダーク・ツーリング(Dark Touring)を行ってきた。これは負の遺産を巡って自転車で実走する取り組みで、具体的には福島の帰還困難区域や巨大なダム湖に沈んだ村に残された地域、あるいは超高級観光地化するニセコや大阪万博建設地の人工島など11ヵ所にのぼった。記事としては12編だ。 いずれも印象深く、気づくこと ...
リアルタイムBGMシステム(1)
先日10km程のライドの様子をタイムラプスで記録し家に帰って確認した。 当たり前だが、撮影された映像には音がないことに気づく。タイムラプスは、一定の間隔(1秒ごとなど)で静止画を連続して撮影し、それらの静止画を動画として再生する手法だ。そのため、タイムラプスで撮影された映像には音がないのは当然のことである。しかし、完成した動画は静止画の連続であるにもかかわらず、脳が補完?して映像として見える。その ...
Visions in Motion 14:あしらい
我々が目にする文字、その形、配置、雰囲気について考えてみる。具体例として「集まる」「流れる」「透ける」「連なる」「滲む」文字のあしらいを振り返る。 集まる文字 岩瀬崇の「ことばの途上」あわ居(2021)では、折りたたまれた表紙カバーの背面に書籍の全文(約4万字)が一望できるよう配置されている。文字サイズは1.5mmで、かろうじて読める程度だ。黒背景に白抜き文字の仕様は、印刷された紙の物質感を離れ、 ...
続・自転車と空間コンピューティング講座
クリティカル・サイクリングは運動体設計との共催で自転車と空間コンピューテイングを巡る特別講座を行います。これは2月に実施した第1回〜第4回に続く第5回〜第8回として開講。具体的には今回からはアプリ開発を集中的に行い、開発環境の整備から基礎的な開発技法までを実践的に習得します。IAMAS学外の方も参加も可能ですので、ご希望の方は参加申し込みフォームよりご連絡ください。 なお、本講座の目的は自転車に乗 ...
ファデイ・ジュダーの詩「ミメーシス」
私の娘は 自転車のハンドルに 巣をかけた蜘蛛を 傷つけはしなかった 二週間 娘は待ち続け 蜘蛛はみずからどこかへ行った 巣をはらってしまえば 蜘蛛もそこはおうちには ならないんだってわかり 自転車にすぐ乗れるのにと言うと 娘は「そうやって人は 難民になるんでしょ?」と言った パレスチナ難民の両親のもとに生まれたアメリカ詩人Fady Joudahによる詩 "Mimesis" を訳出した。強者 ...
自転車で巡るアンコール遺跡群
筆者が初めて訪れた国外の街はカンボジアのシェムリアップだった。20歳のことだ。 「本当に目的地に到着するのだろうか」と不安になりながら空港でトゥクトゥクに乗って、真っ暗な闇の中で心臓の高鳴りを感じたことを昨日のことのように覚えている。シェムリアップの街が放つ活気やアンコール遺跡群のスケールの大きさに圧倒されて、それまで自宅と大学図書館と映画館を往復していた塞ぎ込みがちな生活から一転、その数年後には ...
Hangar (4) – 災害時における自転車格納庫の新たな役割
1995年、寒い明け方に阪神淡路大震災が発生した。以来、私たちはいかに脆弱な日常のインフラに依存しているかを思い知らされ続けている。水道、電気、ガスといったライフラインの断絶はもちろんのこと、通学路、通勤路として当たり前のように利用していた道路や鉄道の大規模な破壊が私たちの移動手段を一変させる可能性と共に、私たちの生活は成り立っている。 自然の力そのものを阻止する術を準備することは、現実的ではない ...
Apple Vision Proを自転車で運ぶ3つの方法
Apple Vision Proは気軽に楽しめるものの、持ち運ぶのは悩ましい。機材として精巧なだけでなく、ガラスが壊れたりファブリックが汚れたりするかもしれないからだ。付属する前面ガラスを覆うカバーは内側を保護できない。別売のトラベル・ケースは大きく嵩張る。いずれも自転車で運ぶには問題があるので、より良い運搬方法を探ることになった。 Apple Vision Pro トラベル・ケース できるだけコ ...
Dark Touring 12: ホー・チ・ミン
今月初めにベトナムのホー・チ・ミン市を訪れた。寒い日本を抜け出し、暖かい場所で過ごそうという魂胆。ただし、以前に同市やハノイを訪れて交通事情に絶句していた。市街地は大混雑、郊外は路面がボコボコだからだ。クルマより遥かに多くのスクーターが濁流のごとく渦巻き、途切れることなく流れ続ける。信号機や交通ルールも怪しい。その中を歩行者が飄々と横切る。信じられない曲芸状態。 自転車はほぼ見かけない。だが皆無で ...
自転車建築(11)スマホ版体験キットを作るⅡ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前回は多くの人に自転車建築を体験してもらうことに自転車建築の展開可能性があると考え、スマホ版体験キットの制作を行うことを決めた。したがって、今回の記事は体験キットの制作進捗状況に関するも ...
Dark Touring 11: 高松
2月半ばに香川県高松市を訪れた。同地は昨年11月に「Dark Touring 09: 瀬戸内」で島々を巡った際に拠点として滞在していた。高松は人口の割には充実した都市機能を持っている。自転車フレンドリーな印象もある。しかし郊外ライドで向かった大串岬への国道11号線は必ずしも良い道路ではなかった。ならば川沿いや山間などは快適に走れるかもしれない。そう考えて2回目の訪問となった。 前回はレンタル自転車 ...
BMXグラフィティ 総集編
このブログでは2023年4月21日から毎月21日にBMXグラフィティシリーズを更新してきた。この一連の取り組みはIAMASの修士研究の一環として行われ、修士論文としてまとめられているが、IAMAS図書館でのみ閲覧可能で、気軽に見れない。このブログを通して行ってきた連載を、クリティカル・サイクリングの独自の観点から総括したいと思う。 本ブログのトップページにクリティカル・サイクリングについてがあり、 ...
Visions in Motion 13:積層
岐阜県揖斐郡の池田山麓には、110基以上の群集墳がある。これらは願成寺西墳之越古墳群として知られている。6世紀末から7世紀初頭以後に作られ、横穴式石室をもつ直径5~20mの円墳である。2021年に発掘調査報告書のデータを元に各円墳の高さと直径を可視化し、XEROXのオンデマンド・プリンターで印刷・製本した。 ダイアグラム:上(一覧) ダイアグラム:横(一覧) 印刷仕様では、シルバー(下刷り)+CM ...
Dark Touring 10: 舞洲・夢州
大阪の舞洲(まいしま)そして夢洲(ゆめしま)に出かけた。2025年日本国際博覧会(以下、大阪万博)の開催予定地を自転車で走るためだ。大成功を収めた1970年の大阪万博をもう一度、との安直な発想なのか、構想から準備まで問題山積みである上に、誰も関心がないから盛り上がらない。そんな現在進行中の奈落への道を走ろう。ただ走るだけでも体感して体得することがあるに違いない。 「儲かりまっせ」と根拠なく言い張る ...
『路上の抵抗誌』
友人から教えてもらった『路上の抵抗誌』創刊号を自転車で買いに出かけた。今回(年1号ペースの予定だそう)は特集が「路上空間を歩くこと」ということもあってか自転車の話題はほとんど登場しないが、自分としては共鳴する部分の多い雑誌だ。 『路上の抵抗誌』は古今東西における路上での生活実践を見聞し、路上をめぐるさまざまな表現を集めることを目的とした雑誌です。(中略)路上空間は私たちの営みのなかで形成され、変容 ...
モビル文学(2) 映像装置で小説を表示してサイクリングをする
本記事は前回に続くモビル文学シリーズの第二回目となる。今回は小型プロジェクターを搭載した自転車によって街に映像として編集した小説を表示する取り組みを紹介する。 映像投影装置付き自転車に乗ってサイクリングをする様子 プロトタイプの制作はとてもシンプルで、事前に書いておいた小説を映像編集ソフトで文字ベースの映像を制作し、自転車のハンドル付近に装着したiPadと小型プロジェクターで進行方向に投射して実験 ...
Hangar – 新しい自転車格納庫 (3) 空間のデザイン
自転車を停めるためには、その場所にいくつの、何枚の、壁や囲いが必要になるだろうか。空から降ってくる雨から自転車を守るためには、天井が一枚あると良い。その屋根の下に自転車を停めることができれば、自転車が雨に濡れたり、サドルに溜まった雨でズボンを汚してしまったりせずに済むだろう。 屋根だけでなく壁に囲まれている空間があれば、風が吹いて自転車が倒されることを防ぐこともできよう。またそれだけではなく、外部 ...
空間コンピューティングにおける移動
Apple Vision Proを毎日のように使用している。装着したままで日常的な動作ができるし、多少の休憩を挟みながら何時間か使い続けても疲れない。ビデオ・パススルーの映像は高精細であり、歪みや遅延が少ないからだ。すでに試みたように自転車に乗りながら使うこともできる。ただし、目の側面が覆われていて周辺視野が失われるのは大きな問題。安全とは言えないので、この点は今後の改善が望まれる。 そもそも私た ...
自転車建築(10)スマホ版体験キットをつくるⅠ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 前回制作した等身大で鑑賞できる自転車建築は解像度に制限があるVRゴーグルとは異なり臨場感溢れる映像体験が魅力的だが、前作を通じて、”デジタル機器を通した映像の空間体験”という鑑賞構造に対 ...
BMXグラフィティ 卒展篇
筆者が通っている大学院IAMASの卒業展示が、明日2月22日から25日まで開催される。詳細はWebサイトを確認してほしい。 筆者は、原宿のBLOCK HOUSEで開催された個展のアップデート版を展示する予定だ。BLOCK HOUSEでの展示の詳細は先月の記事を確認してほしい。個展は終わったが展示の様子の写真を追加でアップロードした。 BMXグラフィティ 個展篇 また、2月23日には早朝耐寒ライド2 ...
Visions in Motion 12:走査(スキャン)
年一度刊行されている『IAMAS紀要』は、教員および外部執筆者による寄稿を中心にメディア表現研究を社会に提示し、その体系の礎となることを目的としている。 第8巻()と第12巻()は、クリティカル・サイクリングの記事として紹介されている。これらの表紙のビジュアルを継続的に担当しており、それぞれの巻ごとのデザインについて振り返ってみる。まずはじめに連続性を考え、身の回りにあるものをモチーフに、手法はス ...
Apple Vision Proで空間ライド
Apple Vision Proが届いた。その素晴らしさは昨年から何度も使用して強く実感していたものの、改めて個人用となれば感慨もひとしおだ。何しろ1976年のApple Iからアップルはパーソナル・コンピュータを作り続けているのだから、48年目の新作となるわけだ。かつてのカウンター・カルチャーの申し子は現代において何を切り開くのだろか? 何はともあれ自転車に乗るしかない。 特筆すべきはApple ...
脚を奪われ、夢を砕かれてなお、生き抜くための物資を届け続けるパラ自転車チーム「ガザ・サンバーズ」
あらゆる言葉が意味を喪失する状況が私たちの世界で(再び)現実に生じている今、私には、自転車という限定的な枠組みのもとで何かを語ることができない。だから以下は、私たち人間に起きていること、私たちが人間としてどうありうるか、の断片として受け取ってもらいたい。 パレスチナ、ガザ地区に、Gaza Sunbirdsというパラサイクリングチームを組織し活動してきたアスリートたちがいる(この短い記事が仕上がった ...
モビル文学(1) ARで小説を表示してサイクリングをする
今回より自転車を使った移動並びに投影技術・テクノロジーを文学表現と融合させること目指し、映像装置に改造した自転車やARデバイスを装着した自転車を用いて、街をテーマにした小説をキャンバスとしての都市に描き出す「モビル文学」についての連載を開始する。 「モビル」と「文学」についてはそれぞれ下記のように定義しており、長い時間をかけて世界中で展開していくつもりだ。 モビル(Mobile): 自転車を使って ...
Hangar – 新しい自転車格納庫 (2) ライト兄弟の格納庫
ライト兄弟が初めての動力飛行を行った場所は、ノースカロライナ州キティホーク近郊にあるキルデビルヒルズという、砂丘の広がる丘陵地帯だった。そこから4kmほど北のキティホーク町にある郵便局兼住居に、ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライトの兄弟は間借りをしていたという。この地での彼らの飛行試験と格納庫について詳しく見てみよう。 当初、その地でライト兄弟が飛行試験を進めていくときに、彼らはテントを張ってそ ...
早朝耐寒ライド 2024 Winter
来る2月25日にクリティカル・サイクリングと運動体設計の共催による早朝耐寒ライドを行います。これはIAMASのいわゆる卒展のイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方でも少し早めにお越しいただいて、ライドの後に卒展をご覧いただければ幸いです。 今回のライドは「自転車と空間コンピューティング講座」を兼ねており、その第3回と第4回にあたります。自転車に乗りながら空間コ ...
自転車と空間コンピューティング講座
2024年2月2日にアメリカ合衆国でApple Vision Proが発売される。これまでMacでグラフィカル・コンピューティングを、iPhoneでモバイル・コンピューティングを確立したAppleが新たに提唱する空間コンピューティング(Spatial Computing)のための最初の製品だ。AppleはARKitや空間オーディオなどが示すようにデジタル技術を現実空間に広げることに熱心であった。そ ...
自転車建築(9)自転車に茶室を載せる
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 今回の自転車建築はいつもと一味違う。 カメラオブスキュラを使う点は以前と変わらないが、HMDを通して空間を体験するのではなく、本作は直接目で見て体験できるサイズで作成した、茶室の機能をも ...
BMXグラフィティ 個展篇
今までの連載で行ってきたBMX Graffitiだが、文化庁:令和5年度(2023年度)国内クリエイター発表支援プログラムに採択されたことを受け東京で個展を開催する事になった。 開催場所は、渋谷区神宮前にあるBLOCK HOUSE 4Fになる。ここのギャラリーを選んだ理由は、いくつかある。まず天井全体がガラスになっており、日光が直接入る空間になっている。夜はもちろん暗くなる。そして、ギャラリーの扉 ...
Visions in Motion 11:洞窟探検
左半身を下にし、30センチほど進むとコンダクターからは仰向けになるよう指示された。下腹部に蠢く何かを感じながら、LEDに照らされる洞窟の中を右へ左へ慎重に進んでいく様子がモニター越しの映像から確認する。 70〜80センチほど進んだ頃、ようやくコンダクターは終点を告げる。この間15分ほどが経過し、ここから来た道をゆっくり引き返すと言う。ポリープの探索はここから始まる。そう、これは病室のベッドで横たわ ...
Dark Touring 09: 瀬戸内
本州と四国に囲まれた瀬戸内海。その海辺と島々は温暖で穏やかな気候で知られ、海産物や果物に恵まれている。その西部にサイクリストにとっての聖地、しまなみ海道があり、アワイチの淡路島は東部になる。中央部は瀬戸内国際芸術祭で有名であるものの、あまり自転車の話は聞かない。それは何故だろうか。そんな疑問を持ちながら、高松を拠点にいくつかの島を巡ってみた。 豊島に向かう船より この地域では小豆島の次に大きい豊島 ...
共に走ることの「予示」性:1/6野辺自転車ワークショップ所感
1月6日の「野辺自転車ワークショップ」がとても素晴らしかった。国内だけに目を向けても能登の震災から始まった重苦しい年の初めで、事前の告知もあまり盛んに行っていなかったにもかかわらず、名古屋や遠くは兵庫県から来て下さった方々を含め、総勢19名の賑やかな自転車散歩となった(ありがとうございました)。 5日の「都市自転車レクチャー」も一方通行のレクチャーというよりゼミナールっぽい感じで、参加者それぞれに ...
自転車によるオートマティスム
オートマティスム(Automatism)は、特に芸術や文学の分野において、無意識の表現を重視する技法や思想です。この概念は、特に20世紀のシュルレアリスム運動において重要な役割を果たしました。シュルレアリスムの芸術家や作家たちは、無意識の心の流れや思考を可能な限りフィルタリングせずに表現しようとしました。彼らは、無意識の中にこそ、真の創造性や人間精神の本質が隠されていると信じていました。このアプロ ...
Hangar – 新しい自転車格納庫 (1)
Hangar (ハンガー) は、自転車のための駐輪場である。ただし、駐輪するだけではなく、整備や修理などをはじめとした自転車の運用にとって快適な、未来の自転車社会に貢献する創造的なプロジェクトである。 自転車は個人の移動手段になる道具としてだけではなく、日常社会や人の住まう街や都市にとっての移動システムとしても注目されている事実は、近年様々な分野で見つけることができるだろう。また、道路における自転 ...
自転車にとっての制御システム
過去に執筆した記事では、人間が自転車にとっての動力源であり、さらにはフレームであることを示した。自転車と人間の関係を一つの移動体システムとして捉えるとき、自転車にとって人間はこれらに加えて、制御システムとしても機能していると考える。さらにに自転車には、制御システムとしての人間の機能を効果的に発揮させる性質がある。 自転車という機械は、私たちの身体を拡張し、自然に身体の一部として受け入れられている。 ...
Visions in Motion 10:島巡り
11月に瀬戸内の島々を巡る機会を得て、直島と小豆島について書いてみる(豊島や高松市内については省略)。岡山の宇野港よりフェリーで3kmほどで渡った直島は20年ほど前に訪れて以来だ。今年は芸術祭がない年であることや月曜日というタイミングもあってか、海外からの観光客はいたものの比較的静かだった。 直島 北側一帯の木が枯れているのは、かつての銅や金の製錬所からの煙害ではなく、2004年の山林火災の影響だ ...
自転車建築(8)自転車に建築を載せるⅢ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。前回に引き続き、カメラオブスキュラ を利用して建築の要素に着目した表現を考える。 検討項目は以下になる。 円柱(赤外線カメラ) 円柱 格子壁 前回同様、円柱の空間を検討項目に含めている。こ ...
自転車のコード詩
寒い冬の昼下がり、自転車のコード詩を作ろうと思った。普段まったくないことだが、朝から立ちくらみがして、外出を控えていたからだ。普段ではない心身であれば、普段にはない行動をしたくなる、ってこと。とは言え、コード詩が何であり、どのように作るのかは漠然としていた。そこでChatGPTに作ってもらうことにした。困った時のAI頼み。オプションはData Analysisが最適、かもしれない。 あなた自転車を ...
銀塩(輪)車 第20回 試作6号(モデリング)
今月の記事では、これまでに取り組んできた試作6号の撮影に向けて、3Dプリンターを用いて制作しているカメラの改良を重ねた。これまでの試作6号に関する情報については、第17回以降の記事をぜひ読んでいただきたい。本連載は、以下のような目標を掲げながら、写真と自転車を組み合わせながら様々な形で試行錯誤していく内容である。 自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵 ...
BMXグラフィティ(9)考察篇
前回の記事では、室内と都市空間での制作の違いをまとめた。今回の記事では、これまでの探求と撮影した写真に基づき、より深い考察を行う。 2000枚の写真を全て見るのは難しいので、いくつかピックアップして見ると撮影した写真に共通する特徴が見えてくる。それはマンホールや白線など都市に普遍的に存在するインフラストラクチャーに注目し、そこでトリックを行なっていることである。BMXに乗り都市を探索し始めた最初は ...
ChatGPTとDALL-Eが描くLEGO自転車
大規模言語モデルによるChatGPTの快進撃が続くなか、その開発を行うOpenAIのお家騒動が勃発。巷では、AGI(汎用人工知能)が開発された、そのために慎重派の取締役会が急進派のサム・アルトマンCEOを解雇した、などと噂が噂を呼ぶ。しかし大多数の従業員が反対して取締役会は降伏、アルトマンは僅か4日間で復帰、と波乱万丈の急展開。結果的にタガが外れたAI開発はSkynetを生み出すかもしれない。 映 ...
自転車と知られざる競技たち
自転車での鬼ごっこはご存知だろうか。 自転車に乗って鬼ごっこをするという企画が先日CYCLE MODEというYouTubeチャンネルより公開された。大阪府枚方市にあるヒラカタパークを貸切、1人の鬼と7人の逃走者で構成され、安全面から直接のタッチはなく自転車で追い越されるとアウト、制限時間2時間の間に逃げ切るというゲームだ。多視点のカメラから迫力のある映像を楽しむことができる。 他にもこのうような自 ...
13歳の自転車地図:IAMAS新春レクチャー&ワークショップのコンセプト
編著書『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』が11月に出たということで赤松さんにお誘い頂き、来年1月5日(金)・6日(土)に大垣エリアで「都市自転車レクチャー&野辺自転車ワークショップ」をさせてもらえることになった。レクチャーとワークショップは片方だけの参加でも楽しんでもらえるように用意を進めているが(学外からのご参加も大歓迎です ※いずれも前日までにお申し込み下さい)、本とリンクさせつつ都市〜野辺 ...
自転車語を話すGPTsと富有柿を買いに行こう!
ChatGPTを運営するOpenAI社から「GPTs」という機能がリリースされ、ユーザーが独自にカスタマイズ出来るChatGPTを作ることが出来るようになった。 試しに自転車語を話すChatGPTを開発してみよう。名前はCycleMateとした。 下記の画像はCycleMateの設定である。GPTの名前やアイコン、説明文を決め、細かい応答の設定は添付ファイルによって定めることが出来る。 Cycle ...
都市自転車レクチャー&野辺自転車ワークショップ
運動体設計では、都市と野辺という対極的な環境における自転車を巡ってレクチャーとワークショップを行います。講師は最近刊行された書籍「世界に学ぶ自転車都市のつくりかた」の編著者である宮田浩介さんとアラスカやウイグルなど国内外での実走経験が豊かな吉田達平さんです。気軽で便利な移動手段である自転車が先進的な都市計画の中心となり、広大な自然と豊かな人間性へと繋がることを実感していただけると思います。お正月明 ...
ファットバイクの生まれ変わり
筆者がまだ中学生だった10年ほど前、一部の界隈で「ファットバイク」と呼ばれる極太タイヤを履いた自転車が一時的に流行った。ファットバイクは、幅の太いタイヤを使用し、雪や砂の上など、普通のタイヤでは走行困難な場所での使用を目的とする自転車である。当時、街中でこのような自転車を見かけると、街の道路には不釣り合いな外見から滑稽だと思っていた記憶がある。それからしばらくするとファットバイクは街から姿を消した ...
Visions in Motion 9:ルーティン
自転車に乗ることを、嗜好と実用の両立と考えるならば、コーヒーを飲むために焙煎することを、嗜好と実用の両立となぞらえて振り返ってみる。 筆者は2016年(クリティカル・サイクリング設立ととほぼ同時期)、ふと家にあったブリキ缶と金網で焙煎することを試みた。それまで焙烙(ほうろく)という土鍋のような道具で焙煎をしたこともあったが、15分もの時間をガスコンロの上で煎り続ける根気は続かない。知人に手回しでき ...
自転車建築(7)自転車に建築を載せるⅡ
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。 今回は自転車建築の原点であるカメラオブスキュラ を出発点とし、建築の要素に着目した自転車建築の表現を考えることにした。ここでいう建築の要素とは、柱や壁、屋根、床などの建築を構成する部材を ...
Artistic Imaging in the Age of Mobility
2023年11月10日から12日まで行われたアート・フェスティバルAIIF (Advanced Imaging International Festival) で「Artistic Imaging in the Age of Mobility(モビリティの時代における芸術的な視覚化)」と題して講演を行った。この国際会議のテーマは「A.I.(Artificial Interlligence) and ...
銀塩(輪)車 第19回 試作6号(停滞)
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。 「銀(塩)輪車」第1回より この連載は、以上のような目標を掲げながら自転車に乗る行為とその身体性の新たな記録方法を、銀塩写真の多様な手法を自由に用いながら模索していくも ...
J-Wave Innovation Worldで自転車話
11月24日にJ-Waveのラジオ番組「Innovation World」に出演します。同番組の「ROAD TO INNOVATION」という枠で20時10分頃から20時40分頃までの30分間。WEBサイトの告知では「今回のメッセージテーマは『自転車の話』です。」となっています。よろしければご聴取ください。 J-Waveラジオ番組「Innovation World」ROAD TO INNOVATI ...
BMXグラフィティ(8)都市への探索篇
今までの連載では、キャンバスの素材による印象、トリミング、紙の歪みなどに焦点を当ててきた。だが、最終的な作品では、これら全てを取り払いストリートに出た。 ストリートに出た理由は室内ではなく都市空間で行うことによって得られる体験や感覚に着目したためだ。画像を比べて見るとわかりやすいと思うが、室内では、紙が敷かれただけで、トリックを実行するモチベーションが湧きにくい問題がある。しかし、都市空間では、路 ...
Critical Cycling GPT
数日前から本サイトのトップ・バー、あるいはメニューに「GPT」という項目が加わっている。これを開くとクリティカル・サイクリング専用のGPT(事前学習済みの生成的トランスフォーマ)が現れる。いわゆるオレ様ChatGPTだ。2023年11月6日(PST)の「OpenAI Dev Day」イベントで発表されたGPTsというサービスを活用しており、現時点ではChatGPT Plusユーザのみが利用できる。 ...
Dark Touring 08: 旧徳山村門入集落
日本最大の貯水量を誇る徳山ダム。そのダム湖によって当時約1,500人が住んでいた徳山村は水没し、全村廃村となっている。だが実は水没しなかった集落、門入があり、今も住む人がいる桃源郷のような場所という。在りし日の姿は映画「ふるさと」に残されている。悲しい歴史もあって、いつか訪れたい場所であった。しかし、集落への道路は水没しているので、峠越えをして険しい道なき道を進むしかない。 その峠、ホハレ峠までは ...
『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』刊行
このたび、編著書『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』(副題:人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン)が学芸出版社から刊行されました。かねてより接触のあった、未来への広い視野を持って自転車利用推進に関わっている方にお声がけし、その結果、私・小畑和香子さん・南村多津恵さん・早川洋平さんという執筆陣でこの一冊を編むこととなりました(担当編集は岩切江津子さん・岩崎健一郎さん・安井葉日香さん)。今回はこの本 ...
サーフ ブンガク カマクラを訪ねて
筆者は江ノ電を愛している。そしてASIAN KUNG-FU GENERATIONと「サーフ ブンガク カマクラ」を愛している。 サーフ ブンガク カマクラとは、日本を代表するロックバンドであるASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)がリリースした、江ノ電の各駅をテーマにした楽曲が駅順に収録されているコンセプトアルバムである。 2008年にリリースされた作品では実在する15 ...
違法電動アシスト自転車
国民生活センターが2023年10月25日に公開した電動アシスト自転車の検証動画が話題となっている。 ■動画解説 ※大きな音がします。視聴に際して、ご注意ください。 【シーン1】道路交通法の基準を大幅に超過した銘柄による加速 ・停止状態から最高速度まで加速し、停止する様子。 【シーン2】シーン1と同一の銘柄における、第一種原動機付自転車との100m間の比較走行 ・横並びで停止した状態から加速し、10 ...
アラン・チューリング:コンピュータの父と自転車
アラン・チューリングは、現代のコンピュータ科学の父とも称される天才的な数学者である。彼は第二次世界大戦中にエニグマ暗号の解読に成功し、その功績で知られている。彼にはコンピュータの原理とリンクした自転車のエピソードもある。 第二次世界大戦中のイギリスの暗号解読活動の中心地であったブレッチリー・パーク(Bletchley Park)。ここでアラン・チューリングはドイツのエニグマ暗号機やその他の暗号通信 ...
Visions in Motion 8:虚実
我々は日常生活の中でどのように情報を受容しているのか? 筆者の関心の一つである「サイネージ」という分野を取り上げ、実践的に功罪を検証してみる。ここで「サイネージ」とは、交通標識や貼り紙、看板なども含んだ総称として用いる。逆説的ではあるが、サイネージの実例をもとに生成AIによって画像を生成し、生成AIに感想を述べてもらう。 事例1:注文の多い公園( by DALL.E3) 生成AI(GPT-4)によ ...
自転車建築(6)自転車にテレイドスコープを載せる
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。今回は万華鏡案の検討を引き続き行った。 検討項目開口部の位置が異なる万華鏡を3パターン作成した。 両側面 背面 天面 両側面から風景を取り込む 3ミラーシステムの万華鏡を参考に作成 地上の ...
銀塩(輪)車 第18回 試作6号(カメラ制作)
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。 「銀(塩)輪車」第1回より 前回の記事ではオーストリア・リンツでの自転車観察について紹介したが、今月からは再度上記の連載の目標に沿って自転車と銀塩写真に向き合っていこう ...
BMXグラフィティ(7)制作篇 part2
BMXグラフィティ(6)制作篇 先月の記事では、6月に制作した習作シリーズを掲載した。主に、トリミングや素材による印象の違いを提示したシリーズになる。 今回紹介する習作シリーズは、BMXのトリックのラインよりも、トリックによる紙の破れや歪みに焦点を当てたものである。 展示では2枚セットの絵が並べられている。これらの絵は、同じトリックにより同様のラインが描かれている。そして1枚をグレーで塗りつぶした ...
Apple Vision Proを待ちながら
世界の縁でポツンとたたずむ僕たち。ゴドーを待っているのかもしれないが、毒にも薬にもならない与太話ばかりしている。まれに誰かがやって来ても、箸にも棒にもひっかからない。ゴドーが誰でどんな奴かは知らない。ゴドーを待っているのか否かもあやふや。そんな2023年秋、Apple Vision Proを待っているうちに何故かMeta Quest 3がやって来た。 Quest 3はOculus系譜のスタンドアロ ...
Dark Touring 07: 成田国際空港
発着する飛行機を撮影しようと調べていたところ、成田空港の航空写真を見て驚いた。滑走路や誘導路の中に民家とおぼしき建物が写っていたからだ。優美で人工的な幾何学模様を描く空港施設とは明らかに異なる雰囲気。しかも空港の地下に道路を巡らせた立体構造が見て取れる。自動車道に沿って歩行者や自転車のための専用の側道もあるようだ。 Googleマップの航空写真 これは、空港建設に反対する三里塚闘争の団結小屋が、法 ...
フロント積載ハーネス・システムとその運用の変遷
今回は自分がよく使っているフロント積載のシステムとその運用スタイルの変遷を紹介したい。ハンドルバー前への荷物の配置は、自転車に跨がったままでの中身へのアクセスが容易で、常に目に入っていることで物の紛失なども起きにくいので安心感も高くオススメだ。 前荷ismのための自転車ジオメトリー考察 ラックとハーネス 自分のシステムは基本的にフロントラックを必要とする。ラックなしで似たような積載もできなくはない ...
自転車に乗って狩りへ行こう!
Pokémon GOで一斉を風靡したNianticの新作スマホアプリであるモンスターハンターNowが9月14日に配信を開始した。 ゲームシステム自体はPokémon GO同様オープンワールドとARをベースとしていて、実空間で移動をしながらモンスターと対峙するシステムを踏襲しているが、その中身は畜産と狩猟くらいの差があると思った。Pokémon GOにおいてモンスターは捕まえる対象であり、どこでいつ ...
LUUPがサブスクリプション開始と料金改定
電動キックボードや電動アシスト自転車のシェアリング事業を展開しているLUUPが2023年11月よりサブスクリプションを開始するということだ。 以前よりLUUPについては何度か取り上げているため、LUUPの詳細については過去の記事をご覧いただければと思う。 LUUP電動キックボードライド 今回のアナウンスでは大きく2つのである。料金改定とサブスクリプションの開始である。 [料金改定] 【変更前】ライ ...
こち亀「開発!人間フレームの巻」について
集英社・少年ジャンプで長寿連載された秋本治の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公、両津勘吉は警察用自転車を愛用している。作中で両津がこの警察用自転車で自動車と衝突したり、時速80キロで走行したりという強烈なエピソードがあるため、両津と自転車のイメージは強いだろう。 第60巻には「開発!人間フレームの巻」というエピソードがある。このエピソードが掲載されたのは1989年で、この時期は80年代後半の ...
Visions in Motion 7:周辺視
写真を撮る時、画角を決める上で対象に近づいたり離れたり、ズームレンズを動かしトリミングする。比率は3:2にすることが多いが、Instagramの投稿では1:1にトリミングする。 佐藤雅彦『プチ哲学」(マガジンハウス、2000)の中に「ケロちゃんの危機一髪」という作品がある。2枚の絵の右側には、ケロちゃんが水辺で突き落とされようとする瞬間。だが、左側の引いた画角に目を移すと上からリンゴが落ちてきてい ...
自転車建築(5)自転車におうちを載せる
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。今回は万華鏡案の検討と、前回のワンルームに続く日常にありそうなシチュエーションを利用することで生み出せる表現の検討を行った。 検討項目 塔の万華鏡(天面開口) 塔の万華鏡(側面開口) 赤い ...
銀(塩)輪車 番外編⑨ リンツ自転車観察
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。 「銀(塩)輪車」第1回より 通常は上記のような目標を掲げながら、自転車と銀塩写真を掛け合わせることで新たな写真表現を探している本連載だが、今月は本連載のサブプロット的立 ...
BMXグラフィティ(6)制作篇
BMXグラフィティ(5)プロトタイプ制作篇 先月の記事で書いたスプレー缶が噴射可能になったBMXを用いて、色々な絵(グラフィティ)を描いた。 今回紹介するのは、6月頃に制作した習作シリーズである。 (1)キャンバスサイズをSM号(227mm × 158mm)から50号(1167mm 803mm)まで5種類にトリミングしたシリーズ、(2)トリミングを何もしてないP500号(2182×3333mm)、 ...
Dark Touring 06: IAMAS旧校舎
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)の旧校舎は移転以降10年近く、バリケードとセキュリティ・システムに閉ざされている。そのために廃墟のような崩壊は免れている一方で、簡単には近づけない市街地の魔界といった雰囲気がある。そして近く転用または取り壊しになる可能性があるらしい。そこで、ツーリングの要素は希薄ながら、今回許可を得て旧校舎探索を実施した。7月末の酷暑日だった。 旧校舎(左上、赤丸)と現在のIA ...
Dark Touring 05: 谷山集落跡
最近取り組んでいるダーク・ツーリングの実践として提案があり、谷山集落跡に出かけた。と言っても有名な観光地や重量な史跡ではない。数十年前に廃村になった山間の小さな集落跡だ。随分と年月が流れ、道は絶え家屋は朽ちているのだろうか。だが、Googleマップに掲載されているし、最近の写真やビデオも見つかる。ライトウェイトな廃墟らしい。そこで7月の半ばに数名で出かけた。 詳細はこの後に続く谷山集落跡ツーリング ...
きゃんつー集い2023夏in滋賀フォトアルバム
野営する自転車ツーリングの好きな奴らの交点「きゃんつー集い」に行ってきた。今年の夏の開催地は滋賀北部の余呉。前後にあれこれつなげた旅にすることはできなかったが、弾丸関西行も楽しかった。写真メインで記録を残しておく。 朝、輪行の乗り換え駅にて。端っこにカメラを向けているので無人に見えるが、振り返ると部活動の高校生ほか乗客は多数。 小田原駅の新幹線プラットフォーム。弁当を二つ買い、こだまに乗る前に一つ ...
ChatGPTと夏の思い出を作ろう
筆者は夏生まれなので夏が大好きである。秋冬春と消化試合のような季節を粛々と耐え忍び、澄んだ青空に真っ白な入道雲が浮かぶひと時を全力で楽しんでいる。 本記事はいつも大変お世話になっているChatGPTと夏の思い出を作るための思索と実践である。読者のあなたはどんな夏を過ごしましたか?楽しい記憶を数えて両手で指折り出来ると良いのですが。 ChatGPTが人間と同じ景色を認識するには 今回「ChatGPT ...
BICYCLE ARCHITECTURE BIENNALE
BICYCLE ARCHITECTURE BIENNALEをご存知だろうか。 自転車の移動を促進することで、街を変え、街が世界(コミュニティー)を変革する、というキャッチフレーズのもと開催されている建築デザイン展である。Bicycles Transform Cities, Cities Transform the World BAB 2019 映像 ビエンナーレでは、世界中にあるデザインされた自転 ...
自転車の語源
交通史研究家、齊藤俊彦は(日本における自転車の製造・販売の始め.交通史研究 第13号)において、彫刻家の竹内寅次郎が自転車の名付け親ということを明らかにした。外国人が乗っていた一人乗りの三輪車(ラントン型)を参考に作成した模造品を「自転車」と寅次郎が命名。明治3年に寅次郎が製造・販売の許可を東京府に申請した際の願書が自転車という言葉の最古の記録とされている。しかしながら、寅次郎がなぜ自転車と命名し ...
Visions in Motion 6:モーションブラー
残像効果について考えてみる。 20世紀初頭(1912〜1921年)、未来派に属していたジャコモ・バッラは『鎖に繋がれた犬のダイナミズム』によって絵画に初めて「動き」を取り入れた。マレーやマイブリッジによる連続写真撮影を分析した結果だ。その後、バッラの犬の運動表現は、赤塚不二夫の「天才バカボン」に登場するレレレのおじさんへと影響はもたらされたのだろうか。 鎖に繋がれた犬のダイナミズム(ジャコモ・バッ ...
自転車建築(4)自転車に万華鏡を載せる
本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。前回の次回予告通りに既製品での検討と、追加でワンルームの模型を使用し検討を行った。 検討項目 ワンルームの模型 アルミホイル ザル ワンルーム模型を用いた検討目的は、私たちが普段暮らしてい ...
銀塩(輪)車 第17回 試作6号(計画)
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。 「銀(塩)輪車」第1回より 本連載は、このような目標を目指し自転車に乗る行為とその身体性の新たな記録方法を、銀塩写真の手法を用いながら模索している。これまで計5回に渡っ ...
BMXグラフィティ(5)プロトタイプ制作篇
これまでの連載では、BMXとグラフィティの歴史や種類について触れてきた。初回で触れた通り、この目的は、グラフィティと自転車を融合させ、新しい体験を生み出す自転車制作の過程と結果を紹介することである。今回の5回目では筆者が制作している自転車の紹介を行う。制作は今年の1月から開始された。 まずは1月に制作したプロトタイプ。 BMXに養生テープがかなり貼られており、見た目の完成度は、ご容赦いただきたい。 ...
夏は水冷式ライド・システムで
夏は暑い。とても暑い。それは当たり前とは言え、年々暑さが増して常規を逸している。国連のグレーテス事務総長が地球沸騰化( Global Boiling)を宣うほどだ。そう、もはや地球温暖化(Global Warming)ではない。そんな時代には自転車に乗ることも辛い。そこで、これまでの水冷式ライドを発展させて、水冷システムを背負ってライドすることにした。 システムはとても簡単。ハイドレーション・バッ ...
STRiDAダラダラ記(4) 使って直して 後ヒンジ編
前回は、KS3変速機が装着されている下フレームと前後輪、それについているドリブンプーリーを修理・交換した。特殊な自転車故にどうしても専用パーツが使われている部位があり、それが修理不能の原因になりそうだと感じた。 今回は、日用したことで見つかった問題とその修正を行っていく。 シンプルすぎる構造のヒンジ STRiDAシリーズはフレームの後ろ側がヒンジとなっており、折りたたむ構造となっている。ヒンジの構 ...
Dark Touring 04: ニセコ
北海道で帯広を中心としたトカプチ40ツーリングの後はニセコに向かう。直線距離にして200km、自動車なら4時間、鉄道なら6時間、自転車なら18時間23分。それだけ距離が離れていることもあって環境や文化は大きく異なる。帯広は広大な平野を活かして大規模農業が盛んであるのに対して、山間のニセコは起伏が多く農業の生産性が悪いと言う。だがニセコは北海道はもとより国内有数のリゾート地だ。 それは極上のパウダー ...
紙芝居自転車実践記 IAMAS OPEN HOUSE編
紙芝居自転車の存在を知ったのは、移動史を調べている最中のことだった。 昭和20年代から30年代、即ち戦後の復興時期からテレビ普及の僅かな間に紙芝居を載せた自転車が方々駆け巡り、街角に子供達が集まることが日常だった時代があったようだ。調べたところによると、職業としての紙芝居屋は鑑賞料として子供達に飴を売り、その引き換えとして娯楽を提供することで生計を立てていたらしい。 映画「ミツバチのささやき」の冒 ...
丸いものを四角くする
世の中には目を疑うような特殊な自転車を作る人たちがいる。常識では思いつかない、そんな自転車の話をしたい。 車輪が回らないローポリ自転車 動画を見ると、昔のゲーム機に登場するようなタイヤが四角くローポリゴンタイヤからインスピレーションを受けていることが分かる。四角い車輪を無理やり回転させるのかと思いきや、最終的にはキャタピラー構造のような仕組みを自作してしまっている。タイヤをチェーンに沿って1帯ずつ ...
モビリティの未来、イーロン・マスクが描く火星移住
イーロン・マスク(Elon Musk)、この名前は、モビリティの未来を革新するビジョナリーとして世界中に知られる存在だ。彼の存在が世界のモビリティに与えた影響は計りしれない、彼が指揮を執るTeslaが電気自動車(EV)業界を牽引したことで、今日では至る所で電気自動車が走行する世界が実現した。この事実から、マスクが描く未来がモビリティの未来であると筆者は強く感じる。テスラの公式ウェブサイトにも掲載さ ...
Visions in Motion 5:脳内補完
再びモアレ(Moire)という現象を応用して、スリットアニメーション(Slit Animation)または、スキャニメーション(Scanimation)の原理を紐解き、プラクティカルな試みを行う。これらは見る人の脳内に自動的に被遮蔽部の輪郭を補完する、アモーダル(Amodal)補完と呼ばれている視覚認知現象からアニメーションを表現することができる。 制作手法は、Adobe Illustratorで ...
自転車建築(3)自転車に塔を載せる
本連載では、建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。 前回に引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探求する。今まではシンプルな立方体の模型に対して、開口部のサイズや配置が空間の質にどのような影響を与えるかを検討してきた。今回は開口部ではなく、物体自体の形状に注目して、自転車や光と ...
銀塩(輪)車 第16回 試作5号(写真)
この連載では、以下のような目標を掲げながら自転車に乗る行為とその身体性の新たな記録方法を、銀塩写真の手法を用いながら模索していくものである。今月の記事では、前回に制作し撮影を開始した試作5号で撮れた写真を見ながら考察し、次回以降の方向性についても言及する。 自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある ...
BMXグラフィティ(4) BMXショップとパーク
BMXは、街の一般的な自転車店ではなく専門店でしか手に入らない特別な自転車だ。今回はIAMAS周辺のBMXショップとパークを紹介していく。 自分がBMXを買おうと考えた時、自分の記憶を辿っても自転車店で陳列してるのを見た記憶がなかった。どうしたら買えるのだろう。ネットで調べていくと、どうやらBMXの多くは専門店でしか取り扱いがないことがわかった。ラッキーな事に筆者が通うIAMASから6kmほどの距 ...
Dark Touring 03: トカプチ
7月初めに北海道に赴いた。空港に降り立った瞬間に笑みが浮かぶ。煌めく光と乾いた冷ややかな空気がに身体中の細胞が活性化する。短い夏の始まり、自転車に乗るには最高の季節。至高の大地。道は広く、地平の彼方へと続く。緑豊かな原野を抜け、海岸を走り、山に挑む。どこを走っても楽しい。なかでも帯広周辺はトカプチ400としてナショナル・サイクル・ルートに選ばれている。 このトカプチ400は、帯広駅前を中心に大きく ...
STRiDAダラダラ記(3) 部品は増えるよ動くまで
使える部分を組み合わせて使えるものにする オークションで落札したジャンクのSTRIDA フリマサイトにて販売されていたオプションパーツがたくさん付属したSTRIDA EVOのフレームのジャンク 前回、オークションでSTRiDA EVOのジャンクを落札した。駆動に必須なベルトはなく、コアな部品であるKS3クランクは修理が現実的ではないセレクトラッチが折損していた。そのため、フリマサイト、自家塗装され ...
自転車用Bluetoothスピーカーを新調(Owltech OWL-BTSP01S)
自転車に乗りながら音楽を聴く時のために、OwltechブランドのBluetoothスピーカーOWL-BTSP01Sを購入した。自転車用として売られているものではないが、自分には合っている。以下、これまでの遍歴も合わせてざっくりした使用感を紹介する。なお、いずれも防水性を備えたアウトドア向けの品である。 フロント積載に合うスピーカーが欲しかった 外界との間に壁を作る音楽の聴き方・自転車の乗り方は好き ...
移動における「確かさ」とは何だろう(3) 修正プロンプトライド編
本記事はサイクリングを通して移動における確かさを探る短期連載の最終回。会話型AIが生成した「偶然」によるサイクリングの実践記となる。 前回の直感によるライドでは、「偶然」というTipsを見つけ、実りのある実験が出来た。一方で、会話型AIとのライドも諦めておらず、空き時間を見つけてはプロンプトの修正に勤しんだが、芳しい結果はあげられなかった。そこで移動に際して必ず定量化出来る方角と距離をランダムにシ ...
移動における「確かさ」とは何だろう(2) 直感ライド編
本記事はサイクリングを通して移動における確かさを探る短期連載の第二回目。自らの直感に頼ったサイクリング実践記となる。 前回のAIライドから数日が経ち、振り返りを兼ねて先日のライドとは真逆の下記条件設定を行い、自転車に乗って街へ出た。 行き先を決めない 地図を見ない AIや人に尋ねず自分が面白そうだと思う方向へ直感で進む 筆者はAIと人間を対比対立する二項と捉えてはいないものの、「人間」という存在を ...
移動における「確かさ」とは何だろう(1) AIライド編
本記事はサイクリングを通して移動における確かさを探る短期連載の第一回目。会話型AIとのサイクリングの実践記となる。ChatGPTを始めとした、大規模言語モデルを基に構築された会話型のAIが登場して以来、仕事の自動化、情報アクセスの向上、クリエイティビティの領域での活用など、数多くの分野で人間がこれまで時間をかけて行ってきたタスクや創発行為の補助を受けることが可能となった。 以上を抽象化した上でCh ...
2023.07.01 ついに道路交通法の改正
LUUP webサイトより 2023年7月1日 ついに30年間改正されなかった道路交通法が改正された。 以前の記事でも何度か取り上げてきたので詳細については割愛させていただくが、大きくは3つのアップデートが行われた。 道路交通法の改正と電動キックボード 電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新たな車両区分に追加 電動キックボードの最高速度が15km/時から20km/時へ変更 運転免許の ...
運動体設計+クリティカル・サイクリング早朝盛夏ライド2023
来る7月23日にクリティカル・サイクリングとIAMASの学内プロジェクトである運動体設計との共催による早朝盛夏ライドを行います。こちらはIAMASのオープンハウスのイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方でも少し早めにお越しいただき、ライドの後にオープンハウスをご覧いただければ幸いです。 運動体設計+クリティカル・サイクリング早朝盛夏ライド2023 IAMAS周 ...
チカーノの”Lowrider Bicycle”
”Lowrider Bicycle”は「チカーノ」と呼ばれるアメリカ西海岸・イーストロサンゼルスのメキシコ系移民達が生み出したカルチャー、"Lowrider"の一部として存在している。 "Lowrider"は「チカーノ」の社会的・経済的な状況と彼らの創造性が交差した結果として誕生したカルチャーである。1950年代、「チカーノ」コミュニティでは多くの家庭が新車を購入する経済的余裕がなかった。そんな彼 ...
Visions in Motion 4:バランス/アンバランス
生命レベルでは、私たち体内の60兆の細胞は絶えず入れ替わり、バランスを取りながらも、生から死へと進んでいる。形あるものが生まれ、形のないものへ壊れていく。そんなことを考えながら、あえて無目的に形を作ってみる(バランスを意識しながら)。 材料と手法は、安価に入手できるストローを基本とし、ジョイントとなる部材(レーザーカッターで切り出したアクリル板)によって6方向に組み上げる。フィンランドの伝統装飾「 ...
自転車建築(2)自転車に暗い部屋を載せる
前回実験した、天井開口と壁面開口の2種類の開口の違いから生まれた光と影の構成のうち、壁面開口バージョンからはカメラ・オブスキュラのような表現が得られた。風景を眺めるための建築的な開口部ではなく、風景を光の像として取り入れるための開口部という側面に筆者は魅力を感じた。 そこで、今回はカメラ・オブスキュラに焦点を当てた表現を考えることにした。また、自転車を漕いで映像を記録するだけでなく、HMDで映像を ...
銀(塩)輪車 第14回 試作5号
ロサンゼルスから藤沢・湘南台への引っ越しをしてからの記事ではこの連載の本来の目的に沿ったような自転車・写真活動を行えていなかったが、今月からは気を取り直して実験を行っていく。本連載は、以下のような目標を掲げながら、銀塩写真的表現を用いて自転車によるという行為や体験を試行錯誤しながら再発見していくものである。今月の記事から新しく「試作5号」の制作と実験について記事に書いていく。 自転車を通じて体験し ...
BMXグラフィティ(3) BMXの種類とスタイル
直径20インチ、そして極めて頑丈なフレームがBMXならではの特徴であり、マウンテンバイクのようなサスペンションや変速機は備えられてないシンプルな作りとなっている。 BMXのルーツは、1960年代後半の米国。子供たちが、自転車でモトクロスをまねたことだとされる。そしてBMXフリースタイルという競技の歴史は1980年代初頭、BMXの大会でレーサーたちが、ジャンプ中に決める“トリック(技)”を披露したこ ...
QuickShotでクイックなパンク修理
自転車で避けられない不幸がタイヤのパンク。しかも気をつけていて何ヶ月もトラブルがなかったのに、何の前触れもなく突如としてパンクするからタチが悪い。そこでパンク修理キットをツール・ボトルなどに入れて常に携行する。これを最近はQuickShotにしている。直径3.5cm、長さ10.6cmの円筒形で重量は63gと小型軽量で、これ1本でパンク修理ができるスグレもの。 実際の使用方法は付属の金具をバルブに取 ...
Dark Touring 02: フクイチ2023 後編
福島第一原子力発電所を巡るツール・ド・フクイチ(筆者による造語)の2日目。まずは郡山海岸に向かい、立ち入り禁止の境界からドローンを飛ばす。明るい日差しと穏やかな風のもと、白昼夢のような景色が広がる。水素爆発で上部が吹き飛んだままの1号機やカマボコ型の屋根を取り付けた3号機などが見て取れる。ニュース映像で何度も見た地点にこれ以上近づけないもどかしさに焦燥する。 Googleマップで調べると、今回ドロ ...
普段使いの自転車にカモメハンドルバーを入れた
日頃の足として使っているLe Mans Sportifにカモメハンドルバーを入れてみたら「街乗りから軽いツーリングまでならこれが最高なのでは?」と思えるくらい好感触だったので、どこがどう良いのかを書き出してみる。 動機の一つはCozmoとの棲み分け 組み上がって半年ほどになる柳サイクルのオーダー車Cozmoが自分に馴染んでくるにつれ、その設計上のベース車となったMiyata Le Mans Spo ...
Dark Touring 01: フクイチ2023 前編
6月初めにツール・ド・フクイチ(筆者による造語)を行った。これは2018年に行った福島第一原子力発電所へのライドの第2弾になる。以前はもちろん今でも周辺は放射線量が高く、立ち入ることができない。しかし、当時は制限されていた国道6号線の通行が、昨年8月末より徒歩や自転車でも可能になった。つまり分断されていた南北のルートが復活したわけで、これは実走する意義があると感じた。 避難指示区域の概念図(202 ...
ポーランドの自転車事情
5月にポーランドにて行われた WRO Media Art Biennale での展示があり、1週間ほど現地に設営滞在していた。今回の記事では写真とともにポーランドの自転車事情についてお話しできればと思う。 ポーランド滞在中の部屋からの眺め ポーランドの都市の一つ、ヴロツワフという場所で今回参加したWRO Media Art Biennaleが開催されていた。ヴロツワフはポーランドの中でも最も古い都 ...
ジブリ作品に見る「象徴」としての自転車
自転車は通常、物理的な距離を移動するための手段、すなわちモビリティとして使用される。しかし、物理的な距離の制約が存在しないアニメーションの世界において、自転車は単なる移動手段ではなく、象徴としての役割を果たす。象徴表現を巧みに用いたアニメーションを制作するスタジオジブリ。スタジオジブリの作品には自転車が登場するものがいくつかある。本稿では、スタジオジブリのアニメーション作品において、象徴としての自 ...
Visions in Motion 3:パンタグラフィー 線で描かれるもの
身体と動き(その拡張性や認知のズレ)について思いを巡らし、過去に実施したワークショップの経験を反芻してみた。 2018年11月「養老アート・ピクニック」というイベントでワークショップ形式の作品『パンタグラフィー 線で描かれるもの』を実施した。パンタグラフとは、ギリシア語語源は 「すべてを(παντ-)かくもの(γραφ)」。17世紀初頭(1603年)Christoph Scheiner(クリストフ ...
自転車建築(1)自転車に建築を載せる
もし建築が動いたら、どのような空間体験が可能か? 本連載では、建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求する。 その初歩的な試みとして、360°カメラを内部に設置した建築模型を自転車の台車に取り付けて街中を走行する作品を制作した。建築と自転車が融合したインタラクティブな手法を通じて、光が空間を駆け巡り、開口から見える風景は激しく変化するなど ...
銀塩(輪)車 番外編⑧ 自転車と怪我
前回は、ロサンゼルスから引っ越し湘南台での自転車ライフがスタートしたことを記事にした。本来ならばこの連載の本筋のテーマを進めたいところだが、今回は少しいつもと異なる自転車と怪我、そして安全と身体について書いてみようと思う。 https://twitter.com/shibahara107/status/1660540303466696704?s=20 自転車と怪我について書こうと思ったきっかけは、 ...
BMXグラフィティ(2)ストリート・カルチャー
ストリート・アートは、公共の場で行われる芸術表現の一形態であり、多くの場合、無許可で都市環境で行われるものである。グラフィティ、壁画、ステンシル・アート、ステッカー・アート、ウィートペースト、ストリート・インスタレーションなど、さまざまな形態が含まれる。ストリート・アートは、社会的・政治的メッセージを伝えるツールとして使われることが多く、BMXやグラフィティ文化など、都市のサブカルチャーと強い関わ ...
mocopi、自転車に乗る
ソニーの簡易モーション・キャプチャmocopiを身体に取り付けて、自転車に乗ろう。カラフルな6つのセンサーをスマートフォンに接続し、手首、足首、頭、腰に取り付ければ、すぐに身体の動きをデジタル化してくれる。従来のセンサー方式の製品に比べると遥かに手軽だし、価格も安い。またカメラ方式では第三者視点のカメラが必要になるので、移動する状況に適さない。 もちろんアバターとしてダンスをしたり、仮想世界を彷徨 ...
STRiDAダラダラ記(2) EVOを買ってしまったぞ!
オークションで落札したジャンクのSTRIDA オークションでSTRiDA EVOのジャンクを落札したものが届いた。ベルトはないので動かない。目に見えて樹脂製のフロントプーリーが曲がっていて、漕げない状態になっている。STRIDAのフロントプーリーはグラスファイバー強化プラスチックだが、一体どういう壊れ方をしたのか?そもそもグラスファイバーで強化されたプラスチックがねじれているの一体何があったのであ ...
シングルスピードはやっぱりいいな
連休に親戚を訪ね、預けてあるシングルスピードATBを数ヶ月ぶりに乗り回したらとても良かった。 里の奥、半島の背をなぞり海を見つける 同じ自転車でのサイクリングについて前に書いたもの 跨がって、ただペダルを踏む。ギアを合わせてから、というステップがないことはシングルスピードの大きな強みだ。歩行から走行へ、最短で移れる自転車。 Konaの26インチ車 A'Ha(1997年モデル) 早く遠くへ行きたいか ...
バイシクル・アーバニズム + How is Life?
「バイシクル・アーバニズム」は千葉学(建築家/東京大学教授)によるプロジェクト。東京という都市を作り替えるにあたり、大規模な都市計画によらず小さなモビリティから再定義しようとする。その前提として20世紀の大量高速移動から21世紀は自動運転やマイクロモビリティへと置き換えが進むことを挙げている。 今回は東京のTOTOギャラリー間で開催された企画展「How is Life?ー地球と生きるためのデザイン ...
フリーマーケットで特別な自転車を
来る5月14日(日)にBLOCK47でフリー・マーケットが開催される。このイベントに某チームが他にはないユニークな自転車を出展。いわゆるセカンドハンドながら、目立ったキズ等はなく機能的にも問題ない掘り出しモノ。以下の説明や関連するリンクを参考に、当日は試乗して検討して欲しい。ショップにあるような一般的な自転車ではないので、この機会をお見逃しなく! 【追記】記事公開後にお問い合わせをいただき、すべて ...
なぜ自転車を”漕ぐ”と表現するのか
「自転車を漕ぐ」という表現がなぜ使われるのかについては現時点でインターネット上だけでなく、書物においてもこの情報に関する明確な説明が見つからない。インターネット上では幾つかの情報が散見されるが大部分は曖昧な仮説や推測に依存しており、事実に基づく考察はほとんど見当たらない。そもそも自転車に乗る行為を「漕ぐ」と表現するのは日本語特有であり、英語では "ride a bicycle"、フランス語では " ...
Visions in Motion 2:トポグラフィー その場所を描く
何かしらの表現活動をする場合、動機となるものが必要だ。今回はとある建築様式のモチーフをとり上げる。 対象とする建物は名古屋城南にある1933年に竣工された愛知県庁大津橋分室。設計:愛知県営繕課(黒川巳喜、土田幸三郎)、愛知県信用組合連合会が建設し、1957年に愛知県の所有移転された。戦前(1937年)と戦後直後(1947年)の地図を見比べると、空襲により黒く示されていた名古屋城周辺が空き地となって ...
野草採取ライド&クッキング 2日目
本記事は2日間にかけて行われた野草イベント2日目の活動報告である。 前回(野草採取ライド&クッキング 1日目)のまとめ 筆者である門田は、風景の魅力をより深く味わえるようにするため、風景を構成する要素の一つである野草にフォーカスしたイベントを2日間にわたって開催することを決めた。1日目には大島堤サイクリングロードで野草採取の催しが行われ、門田、浅尾、赤松先生の3人でカラシナ、ヨモギ、コウゾリナ、ツ ...
銀塩(輪)車 番外編⑦ 湘南台自転車ライフ
今回の番外編では、筆者の引っ越しに伴い始まった湘南台での自転車ライフについて紹介したい。新しい街に新しい自転車で、これからどのように自転車を楽しんでいくかを考えていきたい。またアメリカ・ロサンゼルスでのこの連載、「銀塩(輪)車」での実験は引き続き日本でもやっていく予定なので、来月以降はまた連載の本筋の内容に戻る。 引っ越し さて、これまでの筆者のロサンゼルスでの留学期間は無事に終了し、日本の大学へ ...
BMXグラフィティ(1)グラフィティのための自転車を考える
自転車は最高の逃走手段である。都市空間でグラフィティを行った後は特に。 機動性が高く、狭い通りや道路を素早く移動できるため、犯罪行為を働いた後に迅速に逃げることができる。また、自転車はスケートボードに比べて静かで目立ちにくいため、犯罪者にとっては最適なモビリティと言える。逃走手段というネガティブな使われ方が多い。一方でグラフィティと自転車を掛け合わせて新たな体験拡張を行っている事例は少ない。そこで ...
野草採取ライド&クッキング 1日目
本記事は2日間にかけて行われた野草イベント1日目の活動報告である。 前回(野草採取ライド&クッキング 前日譚)のまとめ 大垣〜新潟470kmロングライドの旅を通じて筆者は、草木の生い茂る風景を見ることに飽きてしまい、そのことから自身の感性が鈍化していることに気づいた。そこで、風景を構成する要素について知ることで風景の魅力を享受できるようになるのではないかと考え、野草について学ぶことにした。 活動の ...
STRiDAダラダラ記(1) STRiDAに(また)乗ろう
STRiDAという特殊で魅力的な折りたたみ自転車をレストアし、乗って色んな場所に持っていって乗り回しているので、その顛末を連載形式でダラダラと説明する。 STRiDA EVO(隅田川にて) その目的は以下の通り・同型の自転車を整備する際の参考とし、特殊な変速装置の面倒くささと利点を記録する・加工技術の民主化によって使うことと作ることが近くなっている2020年代に、とても広く普及している道具である「 ...
柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #6:フォーク交換を経て一層しっくりきたCozmo
柳サイクルのオーダー自転車Cozmoに乗り始めて6ヶ月目に入った。自分の指定したCozmoのジオメトリーのイマイチだったかなというポイントを3月初旬のフロントフォーク交換でほぼ解消できたので、その辺のことを記しておこうと思う。 700C前輪を入れ房総バイクパッキングに どの部分を何mmにするか自ら考え、柳サイクルの飯泉さんにそのジオメトリーでの製作をお願いしたCozmo。実際に組み上げてみて以来、 ...
野草採取ライド&クッキング 前日譚
以前投稿した「大垣〜新潟470kmロングライド 道中編3日目」にこんな一文がある。 ’’昨日の雨とは違い、空が晴れていることに有り難みを感じつつ、その一方で青い空と生い茂る木々とアスファルトの変わり映えしない風景には飽きてきていた。’’ 大垣〜新潟470kmロングライド 道中編3日目より そのような感想を記述した僕は、自分自身の感性が鈍っていることに気づいた。 その瞬間、昭和期の詩人、茨木のり子が ...
豊島観光と自転車
週末を利用して3泊2日の瀬戸内旅行を敢行した。 新幹線とバスを使い、フェリーを乗りこなし、島々へ辿り着いた時に豊富なレンタルサイクルを見つけてしまい、記事を書かざるを得ないと感じたので、今回の記事である。 直島と豊島 (Benesse Art Site Naoshima より) 地図を見てみると直島は思ったよりも小さい。筆者の勝手な先入観かもしれないが、直島がドドンと大きく、豊島がポツリと存在する ...
ポケモンの「じてんしゃ」から自転車を考える。
筆者は5歳の頃に補助輪を外した自転車に乗ることができるようになり、小さな田舎町を駆け巡っていた。実は筆者はその前にも「じてんしゃ」に乗って、魅力的な珍しい生き物がいる広大な土地を冒険していた。それは任天堂が販売しているポケットモンスターシリーズのゲームの中の世界である。 ポケモンゲームシリーズの初代から登場しているじてんしゃ(以降自転車と呼ぶ)だが、一部の作品では自転車の機能を継承したポケモンライ ...
自転車実走の線 – 活動報告
2022年4月から2023年3月までの1年間、萌芽プロジェクト「プラクティカル・サイクリング」の外部研究員という役割を得て、自転車で実際に走行を行うという調査を行った。 調査する対象は、走る道、道そのものである。 サイクリングは何日もかけて自転車で旅をすることから、住まいの近くにあるスーパーやコンビニに買い物にいく自転車まで、日常非日常を問わずどこにでもあるありふれた行為なのだが、現代社会において ...
プラクティカル・サイクリング 2022-2023
プラクティカル・サイクリング(Practical Cycling)は2022年4月から2023年3月まで実施したIAMAS(情報科学芸術大学大学)の萌芽プロジェクトだ。IAMASでは修士課程の授業科目としてプロジェクト実習があり、萌芽プロジェクトはその準備段階にあたる。このプロジェクトの責任者は赤松正行(筆者)で、研究分担者は松井茂と瀬川晃。プロジェクト開始にあたって以下の構想を掲げていた。 任意 ...
Visions in Motion 1:運動体とは何か
これまでプラクティカルと銘打ってきた投稿では、文字通り、実践の中から視野を広げる試みとしてきた。本来なら、背景を説明し、なぜ実践するのか、順を追っていくことが他者への理解になるはずだが、多かれ少なかれ、面白そうだから、思いついたから、仮説的推論(アブダクション)に委ねている。 ちょうど昨年から担当の連載が1周したところでもあり、新たに「運動体(in Motion)」というキーワードで投稿をしてみよ ...
自転車旅行の携行品チェック・リスト
この1年は自転車旅行に行く機会が増えたので、その際の携行品を紹介したい。まず、一番多かったのは公共交通機関で現地に赴いて自転車をレンタルする場合で、小型スーツケースとバックパックで出かけていた。パッキングとしては用途ごとにまとめるのが良い。例えば、カメラやツールなどライド用品はフレーム・バッグに入れておく。そのまま自転車に取り付けて走り出せるし、忘れ物をしなくて済む。 小型バックパック(Rapha ...
つくば霞ヶ浦りんりんロード (4) 旧筑波鉄道ライド
バイクロアの翌日は、つくば霞ヶ浦りんりんロードの旧筑波鉄道コースを走った。そう、鉄道廃線跡の自転車道だ。かつての非力な蒸気機関車でも無理なく通れるように急なカーブや激しいアップダウンはなく、ゆるやかな直線道路が続いているはずだ。前日に続いて雲ひとつない快晴。早朝の凛とした冷たい空気に春の暖かい陽光が差し込む。JR土浦駅を出発し、桜が咲き始めた郊外へ向かう。 走り出してすぐに感銘を受けたのは、路面や ...
つくば霞ヶ浦りんりんロード (3) 土浦レイクサイドバイクロア3
2023年3月18日〜19日に開催された土浦レイクサイドバイクロア3(以下、バイクロア)に初めて参加した。「じてんしゃの運動会・文化祭とキャンプ」と謳うこの野外イベントは何やら楽しげな雰囲気で一杯。シクロクロスのレースを中心に周辺ライドなどのイベントがあり、飲食や自転車関連のブースも数多く賑やかな様子。会場はJR土浦駅から自転車で10分ほどの霞ヶ浦総合公園。 前日に土浦入りして星野リゾートBEB5 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その12
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の12回目。風になり、自転車に乗る。自転車に乗ると風を感じる(凡庸な交換)。走ることで体が温まる(当たり前)。空気を切り裂いていく感覚は、まるで鳥のように自由だ(鳥が自由を感じるわけがない)。汗をかき、息を荒らすこともある。だけど気持ちは常に高揚している(だけど冷静ならわかる)。景色を眺めながら、遠くまで走れる(眺めなく ...
鹿児島の離島を巡る (2) 種子島ライド
屋久島一周(ヤクイチ)ライドは叶わなかったものの、種子島への高速船の出航には間に合った。貨物料金を支払い、自転車を輪行袋に入れて運び込む。水中翼船なので揺れや振動がなく、夕暮れの穏やかな海を滑るように進んでいく。宮之浦港から西之表港まで45分間、最高速度は時速80kmを超えるそうだ。種子島では可愛い赤灯台が出迎えてくれる。そう、ここはロケットの島だ。 到着した港で予約していた軽トラックを借りる。荷 ...
2023年4月~の自転車ヘルメット着用「努力義務」は何を意味するか(個人と社会、それぞれの視点から)
近頃よくニュースになっている自転車ヘルメットの努力義務化とはどんなもので、どんな影響が考えられるか。主なポイントを、擬似的な対話(個々人の生活の視点)と解説(社会的な視点)の2パートに分けて整理してみた。 1. 対話編(個々人の生活の視点から) ― 4月から自転車のヘルメットが義務になるんでしょ? 完全な義務ではないんですが、2023年(令和5年)4月施行の改正道交法で「自転車の運転者は、乗車用ヘ ...
鹿児島の離島を巡る (1) 屋久島ライド
2月は一年でもっとも寒い時期。そこで軟弱者の筆者は知人とともに南の島に向かった。九州の南、鹿児島の離島、屋久島と種子島だ。中部圏からは直行便がないので、名古屋空港から早朝に出発して福岡空港でトランファが3時間ほどあり、市街地に出て博多ラーメンをいただく。そして小型プロペラ機で屋久島に降り立ったのは14時過ぎ。冬とは思えない明るい日差しと暖かさに歓喜する。 屋久島空港に到着したプロペラ機 投宿して一 ...
ポーランドの Rowerowy Maj キャンペーン
今年の5月から2週間ほどポーランドへ展示のため訪れる。 事前にポーランドの自転車事情を知っておこうと調べていた際に見つけたキャンペーンが興味深そうであったので今回はこのキャンペーンについて書けたらと思う。 "Rowerowy Maj "をご存じだろうか。これはポーランド語で「自転車の5月」を意味している。 これは小学生の登下校を車輪のついたもので通うという社会的・教育的キャンペーンである。目的とし ...
Brendan Carberryのレゴペダル
マウンテンバイク乗りでエンジニアのBrendan Carberry氏はユニークかつクリエイティビティ溢れる自転車パーツを制作している。Brendan氏はTikTokを中心にYouTube,Instagram等で自身の制作物を公開しており、現在それらSNSの総フォロワーは30万人以上である。 彼の制作物はどれもユニークで興味深いが、彼の制作物の中で私が特に推しているのがレゴブロックと自転車ペダルを組 ...
つくば霞ヶ浦りんりんロード (2) 霞ヶ浦ライド
土浦での初日は冷たい冬の雨が降りしきった後、翌日は曇りから次第に晴れ間が広がるライド日和となる。まずはル・サイク土浦で、同行の知人は電動アシストのクロス・バイク、筆者はロード・バイクを借りる。そして自転車を押し歩いて駅ビルを抜けて東側に出れば、つくば霞ヶ浦りんりんロード。道路は広くないものの、路面に描かれた大きなブルーの矢印が心強い。 霞ヶ浦一周は時間的に難しいので、今回は時計回りに北側を廻る。霞 ...
銀塩(輪)車 第13回 試作4号(偵察)
今回の記事では、レドンド・ビーチそしてパロス・バーデス周辺において試作4号を実施しやすい理想的なロケーションを発見すべく夜間に偵察を行った。前回に引き続き試作4号のための下準備となる内容であるが、夜間にロケハンを行ったことで実施の際の露出やシャッタースピードに関してもある程度の予測が可能となりそうである。本連載は、以下のような目標を掲げながら、写真と自転車を組み合わせながら様々な形で試行錯誤してい ...
つくば霞ヶ浦りんりんロード (1) プレイアトレ土浦
現時点で6ヵ所が選定されているナショナル・サイクル・ルートのひとつ、つくば霞ヶ浦りんりんロードを走るべく茨城県の土浦に赴いた。東京駅から特急で50分ほど、土浦駅のホームに降り立って唖然とする。待合室やエスカレータなど構内にサイクリングのグラフィックスが溢れていたからだ。やり過ぎ、あるいは、潔い、だろうか。JRの駅がこれほどまでに愚直にアピールするのは珍しいかもしれない。 JR津浦駅のホーム待合室 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その11
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の11回目。8回目に「11回目は結論であろう12回目へのブリッジ」だとある。次回3月18日は岐阜市のETHICAで、複合芸術会議2023「サバイバル複合芸術」Vol.3「「根生」 – 詩の視力 – 詩が根づく〈場〉とこれから」。告知では「詩はどこに生きているのか。またその様子はどのようにして見られるのか」。ひとまずその問 ...
冬将軍を撮影をする6つの方法
サイクリングでの楽しい出来事や美しい景色は写真に残しておきたいもの。普段は大活躍するiPhoneも、これが冬になると操作が怪しくなる。特に厚手の手袋では、画面のタッチ操作ができないし、側面のボタンを押すのも難しいからだ。手袋を脱げば良いとは言え、着脱に手間がかかるし、素手で寒さに震えるのも辛い。そこで厳冬期にiPhoneで撮影をする方法を工夫してみよう。 手袋 iPhoneの操作に限らず細かい作業 ...
ちょっこっと雪と戯れる、近場のお山サイクリング
市街地でもうっすら積もるくらい雪が降った週の終わり、友達二人(ダイゴマン、マクロス)と近くの山へサイクリングに出かけた。行ってみると期待していたほど雪はなかったけれど、色々な状態の路面を経験し楽しく遊ぶことができた。以下にその断片を記録しておく。 グリグリ登る 朝、山の近くまで輪行し、駅前の日向で自転車を組み立てる。空はよく晴れて予報通りポカポカ陽気になり、この時点でもう暑いくらいだった。重ね着を ...
阿智村でARサイクリング
名古屋方面から中央自動車道を進み、8.6kmもの長い恵那山トンネルを抜けると長野県阿智村だ。この地の昼神温泉は長野出身の知人のお勧めで、日本一の星空としても観光に力を入れている。しかも世界初の観光サービスと謳うARサイクリングもある。寒さが厳しくなりつつあった年末に、星が綺麗なのは冬!寒空でこそ温泉!とうそぶいて出かけることにした。 阿智に着いて何はともあれACHI BASE(阿智☆昼神観光局)に ...
2023年7月1日より改正される道路交通法とLuup
以前から電動キックボードシェアLuupについて取り上げてきた。 LUUP電動キックボードライド 道路交通法の改正と電動キックボード 電動キックボードLuupなど電動小型モビリティに対する制限が今後緩和されることについて触れてきた。いよいよ道路交通法が改正される具体的な日程と変更された規制が公開されたのだ。 2022年4月19日(火)に国会で成立した電動キックボードをはじめとする電動小型モビリティの ...
早朝耐寒ライド 2023 Winter
来る2月26日にクリティカル・サイクリング主催による早朝耐寒ライドを行います。これはIAMASのいわゆる卒展のイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。近隣の方はもちろん、遠方でも少し早めにお越しいただいて、ライドの後に卒展をご覧いただければ幸いです。 今回はパラソル付きのキッチン(屋台)として改造し、さらに現在開発中の前代未聞、驚愕のペダル・シンセサイザーを装着した特別仕様のカーゴ・バ ...
Practical Cycling 11:ワークショップ
これまで自転車の話題から離れ、寄り道をしていたので少し軌道修正を試みる。 自転車を漕ぎながら、靴下を編む「チャリックス」という試みをしているメーカーがある。創業90年以上靴下を作り続けているSOUKIという会社が、編み機と自転車を融合させている。 出典:チャリックス by SOUKI 編み物は、両手にかぎ針という印象が強いが、16世紀中頃からイギリスを発祥として機械化された歴史は古い。日本では高度 ...
自転車屋さんの高橋くんの自転車屋さんに高橋くんはいるのか?
「自転車屋さんの高橋くん」は松虫あられによる漫画(2019〜)であり、それを原作とするテレビ・ドラマ(2022)。自転車の物語となれば否応なく気になってくる。テレビ・ドラマは昨年11月から12月にかけて全8話が放映されていた。しかし、筆者はテレビを持っておらず、番組を見ることはなかった 。だがYouTubeに予告編などがあり、Netflixではディレクターズ・カット版が公開されている。 そのディレ ...
銀塩(輪)車 第12回 試作4号(計画②)
今月の記事では、第11回において提案した試作4号に関しての計画を再度確認し、実施に向けての撮影場所や使用機材等といった詳細についても考えていきたい。本連載は、以下のような目標を掲げながら、写真と自転車を組み合わせながら様々な形で試行錯誤していく内容である。 自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある ...
高知の川と海を走る (3) 黒潮ライド
高知でのライド、初日の四万十川、翌日の仁淀川に続き、最終日となる3日目は高知市南部の海岸道路、黒潮ラインを中心に走った。まず、セントラル・フットサル・パーク四国にてロード・バイクをレンタル。アルミ・フレームのエントリー・グレードながら、軽い走り出しに笑みが浮かぶ。快晴、温暖、微風と天候も良く、素晴らしい一日になりそうな予感。 自転車を借りた高知市の中心部から海までは少々距離がある。部分的には独立し ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その10
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の10回目。歌人の田中槐さんから、以前書いていた「自転車に「乗る」ためのレッスン」に関する情報にと、『明日に向って撃て!』に登場する自転車についてメールをいただく。自転車は未来の馬だと主人公。大ヒット曲「雨にぬれても」が流れる。概ねこんな唄かな。「頭上に雨粒が落ちてくる。まるでベッドに対して大きすぎる男のように、何もかも ...
高知の川と海を走る (2) 仁淀川ライド
高知県でのライド、四万十川に続く2日目は仁淀川の流域を走った。宿を早めに出発したものの、足摺岬と黒潮町に立ち寄ったこともあって、目的地に着いたのはお昼前。この間は約180kmで自動車で4時間近くかかっている。ともあれ、いの町観光協会でクロス・バイクをレンタル。前日とは打って変わって雲ひとつない晴天。汗ばむほどに暖かく、ほぼ無風の絶好のライド日和。 市街地はすぐに終わり、広々とした仁淀川を上流に向か ...
柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #5:馴染んできたCozmoと「ワン・バイク」の夢
フレームセットを受け取ってから2ヶ月余りになるYanagi Cozmo。#4で書いた3日間のバイクパッキングの後でセッティングが見えてきて以降、自分とのシンクロ度が急速に上がった初めてのオーダー自転車は、早くも1台で何でもこなす「ワン・バイク」に近い存在になりつつある。今回はそのあたりの感触を綴り、本シリーズの結びとしたい。 生活圏の小宇宙をかき回す自転車 自分の生活圏には、ありがたいことに都市部 ...
ChatGPTに自転車を尋ね、入試問題を解く
ChatGPTは2022年11月にOpenAIが公開した対話(チャット)サービスで、AIを活用した高度な受け答えが注目されている。昨年の夏に話題を集めたAIによる画像生成に似ていて、こちらは入力したテキストに対する応答をテキストとして返す。内容だけでなく文脈も理解しており、最早チューリング・テストに合格するのではないかと思うほど自然で的確な受け答えだ。 ChatGPTを利用するのは簡単で、Open ...
ストランドビースト自転車
テオヤンセンをご存知だろうか。 彫刻家であり人工生命体「ストランドビースト」を制作している作家である。 筆者は2017年に三重県で行われた「三重県立美術館 開館35周年記念Ⅱ テオ・ヤンセン展 人工生命体、上陸!」へ実際に足を運んだ際に大きく感銘を受けた。もともとストランドビーストは知っていたのだが、その過程で使われていた道具やプロトタイプなども丁寧に展示されていた。 また家系図のように広がるスト ...
鳥山明とミニベロ
漫画界の巨匠である鳥山明が描いたミニベロについて考える。鳥山明の作品はストーリー構成からキャラクターデザイン、コマ割りまでどこをとっても魅力で溢れている。筆者は特に鳥山明が描く、眺めるだけでワクワクし冒険に出たくなるようなマシンの魅力に少年の頃から今も魅せられている。そんな鳥山明はいくつか自転車のイラストを描いている。そして鳥山明が描いた自転車の多くは小径タイヤを持つ自転車であるミニベロであった。 ...
Practical Cycling 10:図形楽譜
楽譜の図形化について考えてみる。Steve Reich の Clapping Music(1972)は、現代のクラシック音楽の中で最も単純な楽譜の1つであり、演奏するのが最も難しい楽譜の1つだと言われる。 楽譜の長さは、4小節ただこれだけ。 The rhythmic pattern that forms the basis of Steve Reich’s Clapping Music. 二人の演 ...
大垣〜新潟470kmロングライド 道中編4日目
初心者2人の自転車旅行、大垣〜新潟470kmロングライドは金沢でリタイアし、走行距離は210km、全体の44%の達成で終えた。 金沢駅 金沢駅で喜ぶ浅尾 自転車旅行は金沢で終えたわけだが、その後車で新潟に行き、ネットカフェに宿泊。4日目は越後妻有里山現代美術館へと向かった。大地の芸術祭で絶対に見たいと思っていたのは、クワクボ先生のLOSTと、クリスチャン・ボルタンスキーの作品だ。 美術館に展示され ...
銀塩(輪)車 番外編⑥ アメリカでの自転車購入
雪は降らないにしても、ロサンゼルスにもしっかりと冬の季節が到来し寒い日々が続いている。今月は筆者も冷たい海風にやられて風邪をひいてしまい、先月の記事にて計画していた試作4号の実験を行うことができなかった。今月の記事ではその代わりに、先月末に新しく購入した自転車について紹介したい。購入したのは中古のロードバイクであり、アメリカでは利用者の多い個人売買サイトを通じて手に入れた。その体験と購入までの流れ ...
大垣〜新潟470kmロングライド 道中編3日目
旅行前に計画した日程によれば、3日目である今日に金沢を出発して、新潟の直江津に到着する予定だった。しかしながら初日と2日目ともに、道中の様々な要因により十分な距離を走行できず、本来の目的地まで辿り着くことができなかった。 現在地は福井県福井市米松、予定していた全工程470kmに対して130km、36%だ。 5日目の晩には新潟を出発して大垣へ帰る必要があるため、昨日の晩にこれからの旅程について相方と ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その9
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の9回目。松井さんをなんとか自転車に乗せようというのが裏テーマだと赤松さんに言われ、それを聞いてしまったら、乗りたいという気持ちに傾いていた僕としても、赤松さんにバランスをとって、自転車に乗らないことが僕のメインテーマですから、と言わざるを得ないことになるわけで、それはクリティカル・サイクリング宣言に語られる、バランスの ...
高知の川と海を走る (1) 四万十川ライド
遠いようで近い、あるいは近いようで遠い四国の高知はこれまで数えるくらいしか訪れたことがなかった。それも高知市内だけなので、郊外は知らないでいた。ところが、昨年公開された映画「竜とそばかすの姫」を見て、現実世界の冒頭シーンだけで舞台は高知だと思った。沈下橋や清流(と濁流)のせいだろうか。だがそれは他の土地にもある。何故だろう?そんな感慨を持って11月半ばに高知へ出掛けた。 自宅近くの名古屋空港から高 ...
柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #4:新しい相棒Cozmoとバイクパッキングへ
11月11日から13日にかけ、2泊3日のバイクパッキングに出かけた。組み上がったばかりの新しい相棒=柳サイクル「 Cozmo(コズモ)」のフィールドテストを兼ねた、未舗装路を積極的に走る野営旅だ。今回はこの道中の様子を中心にお伝えしたい。 柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #3:いよいよマイ自転車「Cozmo」を組み上げる 前回記事 Day 1:高原から高原へ、グラベルルートで峠越え 旅とフ ...
大垣〜新潟470kmロングライド 道中編2日目
疲れ果てて辿り着いた敦賀。翌日の天気は雨だった。 8時に起床し、身支度を始める。 コンビニ飯で朝食をとり、レインコートを着て、コンビニで購入したゴミ袋でバッグを覆った。 疲労&雨で、朝から気が落ち込む 口数の少ない朝だったが、ちょうど他の部屋の掃除をしていたホテルのオーナーに軽く挨拶してから、少し気が楽になった。 9時に出発。 まずは第1目的地として鯖江に辿り着くことを目標とした。 2日目の道のり ...
後付け電動アシスト自転車
電動アシスト自転車のありがたさを感じることがたまにある。 終電を逃した際に利用する電動キックボードシェア・シェアサイクルサービスLUUPの電動アシスト自転車に乗った時が特にそうだ。 だが電動アシスト自転車を自前で購入するには予算がある程度かかってしまう。また常に電動アシスト自転車に乗りたいわけではない。自身の足を利用して漕ぎたい日も。 このモヤモヤを解決してくれるプロダクトが存在していた。 "Sw ...
カーゴバイク化キット制作:2
本記事ではカーゴバイク化キット制作:1で目論んでいた、車椅子に牽引ジョイントを装着することでサイクルトレーラーとして成り立つかどうかの可能性を試作を踏まえ考えていく。 試作を行う為、車椅子探しから行った。車椅子をフリマサイト等で検索してみると、中古車椅子はは流通量が多く安価に取引されていることが確認できた。筆者もフリマサイトにて試作品のための安価で程度の良い車椅子を入手することが出来た。 フリマサ ...
Practical Cycling 9:平面充塡
前回に続き、連続性のあるパターンを表現してみる。タイヤ痕のような線状に現れる軌跡に対して、平面上に繰り返し展開されるパターンは「平面充填:テセレーション」という専門用語がある。 ある図形を使って隙間も重なりもなく平面を敷きつめることを、「テセレーション(tessellation)」と呼びます。この言葉は、四角を表す「テセレ」と、移動を表す「レーション」からできています。例えば、長方形のような四角い ...
大垣〜新潟470kmロングライド 道中編1日目
出発。 1日目の目的地は福井県の鯖江駅周辺。ネットカフェに泊まる予定だ。スタート地点は大垣にある情報科学芸術大学院大学の校舎である。Appleマップで調べると、距離は112km。自転車でおよそ6時間30分かかるようだ。 Googleマップ上での道のり 後に合流する塩澄と森田に別れを告げ、13:00に出発した。 出発する門田と浅尾 すこし移動するだけで、町並みは変わる。田んぼ、空、下校中の小学生、お ...
銀(塩)輪車 第11回 試作4号(計画)
今回の記事では、第10回の試作品の結果を踏まえて次なる制作について考えていく。本連載は、以下のような目標を掲げながら、写真と自転車を組み合わせながら様々な形で試行錯誤していく内容である。 自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真 ...
自転車を載せてテスラで出かけよう〜モデルY編
テスラ(Tesla)のモデル3(Model 3)は史上最良のクルマではあるものの、セダンなので自転車の車内車載には不利だった。キャビンもトランクも広くトランクスルーだが、リア・ウィンドウは固定でトランクの間口が狭いからだ。一方、兄弟車であるモデルY(Model Y)は車高が高く、リア・シートを倒せば後部全体が利用でき、背面はハッチバッグで大きく開く。さっそく自転車を積んでみよう。 後部トランクの床 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その8
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の8回目。8回目にもなるとすでに計画は無いのだが、次回のことを意識するとその次の10回目を考えなくてはならず。10回目は11回目の方向性を踏まえなくてはならない。11回目は結論であろう12回目へのブリッジとして重要な意味を持つはずだからと仮定したいのは、12回目で終わりだと予告しようということでなく、今回このまま回数を重 ...
柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #3:いよいよマイ自転車「Cozmo」を組み上げる
10月28日、電車を乗り継いで鎌ケ谷の柳サイクルへ。オーダーしていたフレームセットを受け取るためだ。基本仕様の決定について書いた#1、ジオメトリーのパズルと格闘した#2に続き、今回は第1次の組み上げまでを綴る。 柳サイクルはこんなとこ 鎌ケ谷大仏駅から徒歩5分ほど、住宅街の一角に柳サイクルはある。西武柳沢の狸サイクルの敷地に間借りしていた頃は小さいプレハブに閉じ込められているようだった長身の飯泉さ ...
大垣〜新潟470kmロングライド 準備編
「シミュレーションじゃだめなんだよ」 クワクボ先生に言われたこの言葉から全てが始まった。 教員が勢いで言ったのかもしれないささいな言葉でも、学生にとっては大事件である。 シミュレーションをすることで物事が分かった気になっているのかもしれない僕たちは、現実の体験を通してしか得られないものを求め、自転車旅行に出かけることにした。ちょうど大地の芸術祭が開催中だったので、新潟の越後妻有里山現代美術館を目的 ...
危険運転ラッパーWaxのTwo Wheels
アメリカのラッパーWaxはミドル・テンポの佳曲「Two Wheels」で気負いなく自転車を歌う。ロサンジェルス在住らしくビーチ・クルーザーに乗り、閑静な住宅地の広い道路を通り抜ける。青い空の下、サーフ・ボードならぬギターを背に抱えてスタジオに向かい、途中で出会った子犬を可愛がる。荒廃したシャッター街を歩き、ヴェニス・ビーチの砂浜で一人ギターを掻き鳴らして歌う。 途中でプール・サイドのパーティに立ち ...
自転車が走らないヴェネツィア
8月〜10月までクロアチアで滞在制作をしていた帰り道にヨーロッパへ立ち寄って帰国をすることにした。時期的にもヴェネツィアビエンナーレが行われていたため、初ヨーロッパ1人旅ヴェネツィア編が始まったのだ。 ベルリンからヴェネツィアへ向かう飛行機搭乗口 マルコポーロ国際空港に到着すると、ヴェネツィアの街中へ入るには水上タクシーか時間が倍ほどかかるバスという選択肢を突きつけられた。乗ったことのない水上タク ...
Rhizome Cycling
本稿は、IAMAS修士1年を対象に開講された授業であるデザインエンジニアリング演習での制作課題から生まれた、シェアサイクルのデータビジュアライゼーション作品の紹介である。 人々の移動手段の変化は、人々の生活を大きく変容させる。近年導入が加速するシェアサイクリングは、人々の移動、ひいては生活を現在進行形で変化させている存在だろう。ではそれは、一体どのような変化であり、そしてこれから先どのような可能性 ...
Practical Cycling 8:連続する軌跡
まだ雪景色を見る季節には早いが、雪道を自転車で走ることを想像してみる。普段アスファルトでは意識しされないタイヤの軌跡が現れる。この連続したパターンにはトレッド(tread:踏面)という専門用語があるらしい。舗装路や非舗装路の走行に適した、操縦性や転がり抵抗、駆動力や制御によってパターンの特徴が分かれる。 今回は著作権フリー素材を用いて、トレッドパターンによる雪景色を再現してみた。 パース:ブロック ...
自転車に乗ってヒトラーは戦場を駆け巡る
アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)はドイツの政治家であり、ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)を率いて第二次世界大戦を引き起こし、ユダヤ人虐殺などの戦争犯罪の張本人として悪名高い。その彼は第一次世界大戦が勃発した1914年、25歳で軍隊に入り、自転車伝令兵(Kradfahrer)として軍役に就いている。つまり、戦場を自転車で駆け抜けるバイク・メッセンジャーだ。 自転車に乗る身体障害をも ...
銀(塩)輪車 番外編⑤ NY自転車観察
今月20日から3日間ほどニューヨークへ行っていたため、今回はNYにて観察してきた現地の自転車事情について紹介していきたい。この連載の本編の内容に関しても、先月の第10回にて少し前進できた感覚を掴むことが出来たが、今回は筆者が旅行中に活動していたマンハッタン・ブルックリンの地区において観察してきた事象を写真と共に振り返っていきたい。 マンハッタン さて、NYといえばマンハッタン地区を想像する人が多い ...
信越自然郷を走る (3) 飯山ライド
斑尾高原の翌日は山を下り、飯山駅の信越自然郷アクティビティ・センターで自転車を借りて周辺をライドした。ここは2019年にリニューアルとのことで、清潔で整った施設に充実したラインナップのレンタル自転車が並んでいる。トレッキングや冬のスポーツのレンタルもあり、アパレル販売や周辺情報の提供もある。新幹線駅でもあり、この地域で自然に親しみ身体を動かして遊ぶ拠点になっている。 信越自然郷アクティビティセンタ ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その7
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の7回目。現在、2022年10月19日(水)9時20分執筆中。公開は10月18日(火)のはずだったが執筆中。いま9時22分を過ぎた。すでに締切というか、公開日を跨いでいる。あ、9時23分だ。つまりサイクルをつくることができず、1ヶ月を自分のペースにできていない。まもなく9時24分だが、これはクリティカル・サイクリング宣言 ...
交通規制情報の悪夢
遠方への自転車ツーリングでは、道路の規制情報を参考にルートを計画したい。道路は常に通行できるとは限らない。計画的な道路補修もあれば、大雨による土砂崩れなどで通行止めになることもあるからだ。特に人里離れた山や海岸では近くに迂回道路がなく、大きく引き返えさざるを得ない。そのような道こそ自転車で走りたいのに、災害に弱く、復旧も遅れがち。何年も放置されていることすらある。 全国的な道路の交通規制情報はJA ...
柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #2:ジオメトリーを自分で考えてみる
今回の(初めての)フレーム製作オーダーにあたり、ジオメトリーは柳サイクルの飯泉さんに全てお任せするのではなく、自分で考え、悩んでみることにした。この記事ではその模索の過程を振り返ろうと思う。 ベース車のジオメトリーを測る 一つ前の記事で書いた通り、自分のオーダー車は普段よく乗っているミヤタのLe Mansスポルティーフ(以下Le Mansと略称)を参照し、その弱点を解消していく方向で仕様を決めた。 ...
信越自然郷 (2) 飯山サイクル・バス・ツアー
長野県飯山市の自転車専用のツアー・バスを見学させていただいた。単に自転車を乗せられるだけでなく、クラシカルでチャーミングな佇まいが何とも魅力的。渋い緑と白のツートーンのカラーリングに、サイド・モールやバンパーの銀メッキの波板が雰囲気たっぷり。そして大きなルーフ・キャリアから愛嬌のあるエンブレムやオレンジのランプまで芸が細かい。いざ自転車冒険の旅へ(行きたい)。 ベースになっているのは日野リエッセⅡ ...
radbahn ベルリン地下鉄1号線高架下
クロアチアでのアーティストインレジデンスを終えて、帰国間際にベルリンを訪れた際に偶然見つけた場所について記したい。 radbahnという言葉をご存知だろうか。ドイツ語直訳では自転車道を意味する。 では実際に筆者がベルリンで見かけた看板に記載されている「radbahn」とは何なのか。 このプロジェクト「radbahn」はベルリン市街を走る地下鉄(地上も走行する)1号線の高架橋下空間を自転車専用道路に ...
カーゴバイク化キット制作:1
筆者はかねてからカーゴバイクの制作に取り組んでいる。制作の計画を立てる中でカーゴバイクを1から作るのではなく、一般的な市販の自転車に装着することでカーゴバイクとしての利用を可能にするカーゴバイク化キットを制作したいと考えるようになった。キットの素材や構造を検討する中で、車椅子をカーゴ部分として利用する案が浮かんだ。本投稿では車椅子を利用した車椅子カーゴバイクキット制作の計画を書く。 車椅子がカーゴ ...
Practical Cycling 7:時を刻む
時を刻む。この記事を投稿する2022年9月30日22時現在、100年の尺度で俯瞰してみるとどうなるか、年・月・週・日・時・分・秒の単位で不可逆な時間の流れを円環上に定量的な配置で試みた。 さて福井県の三方五湖の一つ、水月湖で採集された「年縞」と呼ばれる縞模様がある。プランクトンの死骸や黄砂や鉄分などが季節によって交互に堆積し、1年に約0.7mm、全長45m、7万年前の人類がまだ日本列島にも到達して ...
信越自然郷を走る (1) 斑尾高原グラベル・ライド
残暑厳しい8月の終わり、街を抜け出してGiroがプロデュースする斑尾高原のグラベル・バイク・パークに出かけた。この標高約1,000メートルのリゾート地はスキーなどのウィンター・スポーツの他にも、高原の地形や植生を活かしたトレッキングやトレイル・ランが盛んだそうだ。そのような良い環境もあって2020年からオフロードの自転車専用コースが整備され、今年で2シーズン目の運営が行われていた。 前日からの雨が ...
銀(塩)輪車 第10回 試作3号
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。「銀(塩)輪車」第1回より 本連載は上記を目標に掲げ、写真と自転車を組み合わせながら試行錯誤している。この第10回では、今月に撮影を行なった「試作3号」の詳細について説明 ...
伊坂ダム・サイクル・パークでタンデム&変り種自転車
三重県四日市市市街地近くの伊坂ダムはこじんまりとしたダム湖を持ち、全長3.6kmの周回道路ではウォーキングやサイクリングができるように整備されている。その伊坂ダム・サイクル・パークでは各種レンタサイクルを提供しており、手ぶらで気軽に遊びに行けるのが嬉しい。実は数年前に訪れたことがあって、そのB級ぶりに感心していた。そして今回近隣で空き時間が生じて再び訪れることになった。 ここではタンデム自転車をレ ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その6
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の6回目。イランに行った。出かける前、赤松さんとイランは自転車の国ですねとか言い合って、レポートしますよと約束したものの、実際にかの地で自転車を見かけることはなかった。実際ハイパー自動車大国で、あてははずれた。僕が運転するわけじゃないので基本タクシーだけど、テヘランでは同乗者から「カミカゼ・タクシー」という死語が飛び出す ...
バイシクル・フィルム・フェスティバルへ行こう、スマートフォンで
バイシクル・フィルム・フェスティバル(Bicycle Film Festival 2022 Tokyo Virtual)が9月8日から10月10日まで開催されている。自転車を題材として短編映画を中心に13本、合計2時間近くの充実したラインナップ。期間中は何度でもオンラインで視聴できるので、すぐにでも見始めると良いだろう。ドキュメンタリーからアニメーションまでたっぷり楽しめる。日本語音声または日本語 ...
柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #1:基本仕様を決める
かねてよりお世話になっている柳サイクルさんで、フレームセットをオーダーした。自転車を一から作ってもらうのは初めてだ。自分がそうだったように、関心はあるが実際どんな感じなのか分からないという人も多いと思うので、何回かに分けてそのプロセスを共有してみようと思う。もちろんこれはあくまで柳サイクルさんの場合であり、中でも少し特殊なケースに該当するため、そこを踏まえた上で参考にしてもらえると嬉しい。 まずは ...
展覧会「タレスの刻印」開催
2022年9月11日より10月2日まで日本橋馬喰町のギャラリーNEORT++にて展覧会「タレスの刻印」を開催します。これは星空を撮影した写真展ながら、星空とは思えないような写真であり、半透明のアクリル・パネルに360度全周囲映像を投射して写真展とは思えないような展示になっています。ご高覧いただければ幸いです。初日の夕方にはレセプションとアーティスト・トークもあります。 展覧会「タレスの刻印」 夜空 ...
クロアチアの自転車事情
クロアチアのアーティストインレジデンス参加のためクロアチアに9月から10月半ばまで滞在をしている。今回はクロアチアの自転車事情についてお話できればと思う。 クロアチアの首都ザグレブに滞在している。滞在して一週間程度だが、街のサイズがコンパクトなせいか、自転車移動をしている住人の割合が多いイメージがある 引用 CROATIATOURSより マウンテンバイク、電動アシスト自転車の割合が多く、ピストバイ ...
自転車の補助動力
自転車にとって人間はエンジンだ。一人の人間が生み出せる瞬間の力は約0.5馬力、持続して発揮できるのは約0.1馬力だ。この非力なエンジンを使用している自転車はモビリティとして非常に優秀と言えるだろう。自転車誕生以来、人々は非力な人間の力をどのように補助するかを考えてきた。 現在、補助動力で主流なのはモーターを使用した電動アシストだが、自転車の補助動力として最初に用いられたのは蒸気エンジンだ。1868 ...
Practical Cycling 6:回転する視点
本棚にある書籍を円環状に配置し、中心からの視点と外側からの視点の違いによって生まれる感覚の面白さの追求を試みた。18冊の書籍を用いて、背表紙を中心に配置した場合と、背表紙を外側に配置した場合との、2パターンをiPadで撮影してみた。「フォトグラメトリ」という技術を用いて、さまざまな角度で25枚の静止画によって書籍の位置関係を空間内で合成している。 ところどころ穴が空いたり、本と本とがくっついている ...
DreamStudioとMidjourneyが描く架空の車輪動物
昨今のAIブームの中でも特にテキストからイメージを生成する技術(Text-to-Image)が注目されている。何しろ簡単な言葉を入力するだけなので手間要らず。しかもそれっぽい高品質の画像が次々と現れるので、ワクワクドキドキしながら楽しめる。すでに本サイトでもイベント広報に活用したり、紹介記事が公開されている。今回は最近注目されているDreamStudioとMidjourneyに車輪動物を描いてもら ...
銀(塩)輪車 番外編④ アメリカでの自転車修理
今月の記事では、先月に引き続き番外編としてアメリカでの自転車事情について書くことになった。というのも、本連載の本筋の内容に沿った次なる試作品の制作が、自転車の故障と修理によって叶わなかった。2ヶ月立て続けの番外編になってしまい、本連載の本来の内容に少し間が空いてしまっていることは不本意はであるが、今月の記事ではアメリカでの自転車の故障と修理についての筆者の体験の記録を残していこうと思う。 スポーク ...
太平洋岸自転車道 (1) 御前崎・浜岡ライド
大井川の上流から河口まで辿った後、御前崎手前の宿を目指す。このあたりは鉄道がなく、バスは自転車お断りと輪行不毛地帯。だから、再び降り始めた雨の中を自転車で走るしかない。大井川河口に近い太平橋を渡って西へ向かう。このバイパス道路には両側ともに歩行者と自転車の専用レーンが設けられている。真新しい路面ペイントに心が弾む。ただ、車道を渡る際に歩道の段差があるのは走りにくい。 国道150号バイパス道路の歩行 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その5
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の5回目。cycleという文字列が有する音「sa・i・ku・ru」。「サ・イ・ク・ル」は「差・異・来・る」に置き換えることができる。向こうから、「差・異」が走って「く・る」わけだが、それは「行・く」ことでもあり、再≒リ「差・異・来・る」とはその意味だ。「さ・い」ですか。「差・異・狂」うっていうニュアンスもありますか? 「 ...
電動アシスト自転車はUSB充電で
最初に結論、もしくは懇願を書いておこう。 電動アシスト自転車のバッテリーはUSB充電にしてください、メーカー様。 数日前にミヤタのRidge Runner用に充電器SUM50を購入した。週末のプチ避暑生活のために自宅と山小屋との片道約30kmを自転車で行き来することが多いからだ。往復60kmは満充電のバッテリーで十分に持つものの、山小屋周辺で走り回ろうとすると心もとない。さらに購入時に付属していた ...
涼と未舗装を求めて走る、夏の甲信バイクパッキング
七月末から八月の頭まで、信州~甲州のバイクパッキングに出かけた。「きゃんつー集い」への参加の前後に単独の日程を足した、涼しさと未舗装路を求めての自転車小旅行。その三泊四日の行程をここに記しておく(末尾に旅装の簡単な説明も)。 一日目 夕食、買い出し、宿り 初日は輪行で日没過ぎに岡谷入り。諏訪盆地でも都内よりずっと涼しい。夜風を楽しみながら夕食へ。空の一角がたまに光るが、予報では天気は曇りのまま持つ ...
第三者視点自転車用ハンドルバーマウントで360度全天球映像を撮影
Insta360から360度カメラを自転車に取り付ける自撮り棒、第三者視点自転車用ハンドルバーマウント(Third-Person Bike Handlebar Mount)が発売された。これまでは一般的な自撮り棒を工夫して自転車に取り付けても、安定した運用は難しかった。それが360度カメラのトップ・メーカーから自転車用と銘打った専用マウントが登場したのだから、これは期待してしまう。 この製品はプラ ...
Midjourneyを使って空想自転車を生成してみる
Midjourneyをご存じだろうか。 Midjourneyとは、入力した英語の文章に沿って1分程度でAIが画像を出力するサービスである。使い方については次のサイトなどを参考に試していただければと思う。 今回Midjourneyを使って誰も見たことがない未来の自転車を生成してみてはと思う。 早速試しに"future bicycle" と入力して画像生成を行うと以下のような画像が出力される。 SF世 ...
XYZ Cargo Trike キッチンバイク化計画
XYZ Cargoの自転車はフレームをアルミ製角パイプのボルトオンで構成しているモジュラー自転車だ。どこでも入手できる素材と誰でも出来る接合法を採用しているので、利用者はレゴの様に部材を組み合わせ、自転車の機能を簡単に拡張する事が可能だ。自転車とレゴどちらも幼少の頃から親しんで来た筆者は、この自転車に心を掴まれてしまった。筆者は最近キッチンカーの代替になり得るキッチン自転車に関心を寄せている。そこ ...
Practical Cycling 5:回転する閾値
前回に引き続き「回転するグラフィック」を実践してみる。 透明のフィルムにプリントした直線や曲線などの単純な図形を吊り下げることで物理的に回転させた前回の手法に対して、今回はPCの画面上のみで回転をシミュレーションしてみた。当初はアニメーションするためのツールとして、Adobe Animeteを選んだものの画像を連番で格納するGIFアニメーションのファイルは、圧縮による劣化が耐えらず已むなくボツ。 ...
大井川流域を走る (3) 下流・河川敷ライド
大井川の上流、中流と巡った後は順当に下流となる。ただ、当初の予定では下流域は当日の宿に向かうだけの消化試合と見做していた。何しろ大井川流域のサイクル・ツーリズム情報RIDE Oigawaでは下流をまったく取り上げていないからだ。ともあれ、雨は小降りとなり、再び自転車で走り出す。目指すは30kmほど先の御前崎手前の宿。その辺りへの鉄道はなく、バスは自転車お断りであった。 RIDE Oigawaの全コ ...
銀(塩)輪車 番外編③ 自動車と自転車
前回の第9回では、体制を立て直すということで本連載の内容を整理し、計画を立てて今後のアクションを明確にした。ただ、今月は予想以上に忙しくなってしまったため、次なる試作品を制作することは叶わなかった。今回は連載本来の内容からは逸れ、番外編としてアメリカでの自動車と自転車ついて、筆者が考えることを記録していきたい。 ロードトリップ 今月の大きな出来事の中のひとつに、カリフォルニア州ロサンゼルスからコロ ...
大井川流域を走る (2) 中流・秘境ライド
大井川上流の湖畔ライドを終えて、寸又峡の宿に向かう。そして翌日は大井川沿いに下って市街地に戻ることを予定していた。この地域のサイクル・ツーリズム情報RIDE Oigawaでは、秘境ライドと温泉ライドと呼ばれる中流域のコースに寸又峡への往復が加わることになる。走行距離は長めではあるものの、下りであるので楽な行程であるし、一泊して疲れを癒すことができる。皮算用は完璧だ。 RIDE OigawaのPDF ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その4
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の4回目。以下は「自転車操業」を説明したWikipediaの文章である(詩のために一部改変がある)。①〜㉕の漢字を空所に補充せずに読め。「自転車は◯っているあいだは◯れないが◯まると◯れてしまうことに◯えている。◯◯◯の◯◯◯◯によって◯◯された。(中略)また、◯◯の◯◯◯◯が◯◯に◯るが◯◯のための◯◯が◯◯に◯ってお ...
大井川流域を走る (1) 上流・湖畔ライド
静岡県の大井川に出かけ、その流域を自転車で巡った。たまたま夢の吊橋や奥大井湖上駅の写真を見かけ、興味を持って調べるうちに魅力的な地域だと感じたからだ。しかもRIDE Oigawaと銘打ってサイクル・ツーリズムも展開されている。そこで鉄道を利用して上流まで輪行し、そこから下流へと自転車で下ることにした。江戸時代に越すに越されぬと詠まれ、今はリニア中央新幹線問題で揺れる川でもある。 RIDE Oiga ...
メスティン用インナーケースを友達が作ってくれた
自転車旅で使うメスキット(調理キット)として使っているメスティン。先々月、定番のトランギアTR-210から8A(ヤエイ)ガレージのスリップメスティンへのアップグレードについて書いたが、今度は友達がインナーケースを作ってくれたのでそれを紹介したい。 Daigogear MTIC-01(仮称)。内側はメッシュ、外側はリップストップナイロンで重量15グラム。 メスティンにインナーケースを、と考えた理由は ...
夏はビンディング・サンダル
熱帯化した日本の夏、灼熱の炎天下を自転車で走るには少しでも涼しくなる工夫をしたい。そこで裸足にサンダルはどうだろう。靴下とサイクリング・シューズは熱がこもり汗で蒸れるが、これなら風通し良く快適だ。しかもビンディング対応のサンダルもある。筆者はシマノのSD5(SH-SD501)を最近購入して気に入っている。ありそうでなかった、なさそうであったフットウェアだ。 このサンダルは厚めのソールにSPDクリー ...
レインボーブリッジライド応募開始
以前東京都主催のレインボーブリッジライドについての記事を投稿したが、ついに応募が始まった。 詳しくは次のリンクから実際に応募することができる。 イベント名は"GRAND CYCLE TOKYO"で自転車愛好家向けコースと一般コースが3つの計4つのコースが用意されおり、それぞれ参加費用も変わってくる。 レインボーブリッジが江東区に建てられているためか、江東区の区民は優先される。 また参考までに都内選 ...
BLOCK47にて溶接体験
岐阜羽島駅から歩いて数分の場所にある、自転車関連施設BLOCK47内にあるDIYモノづくり工房にて溶接体験をしてきた。私は溶接に関して全くの素人だ。自転車フレーム自作への思いを募らせていたのもあって、かねてから溶接をしたいと思ってはいた。しかし、知識と設備のどちらも持ち合わせていなかったので、今まで手を出せずにいた。体験では溶接素人の私がアルミ素材を溶接し、ボトルケージの制作を行なった。 DIYモ ...
Practical Cycling 4:回転する干渉
今回のプラクティカルな事例としては自転車から離れ「回転するグラフィック」について紹介する。 春日森の文化博物館(岐阜県)のために制作した作品部分(2021) 透明フィルムにプリントした二層のパターンを什器から吊るして回転させている。風を受け回転することで重なるパターンの干渉縞(モアレ)が生じる。プリントはカラーよりモノクロの方が展示空間には馴染み、直線(水平・垂直・斜め)、円、曲線とパターンの種類 ...
パラソル・キッチン・トライク、夢の途上(早朝盛夏ライド 2022 Summer改)
IAMASのオープンハウスのイベントとして、毎年恒例となった早朝盛夏ライドおよび朝食会の開催を予定していました。しかし、急速に新型コロナウイルス感染症が拡大している状況を受けて、いずれも中止することになりました。楽しみにしていただいていた方には申し訳ありません。企画者一同としても、とても残念に思っています。 一方、早朝盛夏ライドおよび朝食会のために制作していたパラソル付きのキッチン(屋台)としてカ ...
銀(塩)輪車 第9回 体制立て直し
先月の番外編②では、筆者のロサンゼルスでの自転車ライフについて紹介した。今回は本連載の本来の目的に戻り、引き続き試行錯誤をしていく。本連載における目的というのは、以下の通りである。 自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用い ...
TrailNoteでGPSログを編集
筆者は自転車に乗る時はサイクル・コンピュータで走行ログを取っている。これにはGPSによる位置情報が数秒ごとに記録されており、どのようなルートを走ったかが分かる。センサーを使っていれば、スピード、ケイデンス、心拍数なども記録される。ただし、操作ミスなどでログの修正が必要になることもある。そこで今回はmacOS用の無償アプリTrailNoteを使ってログを修正する方法を紹介する。 ちょうど先日の富士山 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その3
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の3回目。3回目は、Olga Neuwirth & ICI EnsembleのCDアルバムについて。ついては、このアルバム、ノイヴェルトのクレジットがlaptopとbicycle-machineとなっている。bicycle-machineとなっているのがなんのことだか、ライナーノートを読んでも分からない。分からな ...
富士山麓樹海をトレイル・ライド
霊峰富士の山麓に広がる青木ヶ原は、昼間でも薄暗く鬱蒼とした原生林。平安時代の大噴火によって溶岩流に覆われ、焼き尽くされた森林が、長い年月をかけて蘇っている。その死と再生の特異性ゆえか、道を外れると元に戻れない、コンパスやGPSが狂う、自殺の名所で遺体が散乱といった噂が、まことしやかに語られる。そんな樹海を巡る自転車ツアーがあると知って出掛けた。好奇心は猫をも殺す。 Google Earthでの青木 ...
明治迅速測図で振り返る、川から川を繋いだ江の島サイクリング
梅雨の合間の土曜日、仲間と江の島へ出かけた。複数の川筋を辿るアップダウンの少ないルートで、昼頃から数時間のサイクリングだ。あまり写真も撮らなかったので、明治期の「迅速測図」上にルートを描画し、つい最近の体験を百数十年前の土地の姿に重ねて振り返ってみることにする。 多摩川から江の島へのルートの全容(マップ画像:農研機構農業環境変動研究センター ※以下、地図画像の出典は別記なき限り同じ)。 待ち合わせ ...
AppleマップとYahoo!マップで自転車ナビゲーション
2022年5月27日にApple Maps(Appleマップ)が、そして6月2日にはYahoo! MAP(Yahoo!マップ)が自転車でのルート検索や走行ナビゲーションに対応した。先行するGoogle Maps(Googleマップ)が現時点で10都道府県限定であるのに対して、これらは日本全国どこででも利用可能。そこで自転車のハンドル・バーにスマートフォンを取り付けて、AppleマップとYahoo! ...
自転車をモデリングしてみるということ
筆者は普段、制作会社でエンジニアとして勤める傍ら、プライベートではCGや映像制作の勉強をしている。 CG制作ではMVやVJの映像制作に必要となる簡単なモデリングなども行うが、いつかのタイミングで自転車のモデリングを行いたいとも考えていた。 モデリングをするということは自転車の構造を細部まで観察する必要があり、乗っているからこそわかることもあるかもしれない。 早速だが今回制作した自転車は以下のように ...
自転車マッティングのススメ
自転車でお気に入りの場所へ出かけ、椅子に座って寛ぐ自転車チェアリング、同じくハンモックで寛ぐ自転車ハンモッキングを楽しんできた。そして第3弾として最近気に入っているのが自転車マッティングだ。これは要するに地面にマットを敷いて寝転がること。ただそれだけで背筋が伸ばしてリラックスできる。考え事や読書をするうちに、いつしか微睡んでしまうこと請け合い。 このためにはキャンプ用のスリーピング・マットが軽量で ...
Practical Cycling 3:ブランド=烙印
ロードバイクを手に入れてから、ずっと悶々としていることがある。フロントフォークにURL(2007年ごろの時代性なのか?)が入っていることに気づき、ブランドのロゴやパターンがフレーム全体にわたり配置されていることに違和感を持ち続けている。仮に塗装を施しても凹凸までは消せないため、手始めにサンドペーパーをかけてはみたものの想像以上に時間がかかり途方に暮れる。 辛うじて消し去ることができたシートステーの ...
鳴門海峡の両岸を走る (2) 鳴門ライド
淡路島の南端を巡った翌日は、大鳴門橋を渡って四国の鳴門を走る。ただし、橋は自動車専用であり、フェリーもない。幅1,340mの鳴門海峡を目の前にしてサイクリストは途方に暮れしまう。そこで自転車による地域振興を目指すASAトライアングサイクリングツーリズムの一環として、ハコバスと呼ぶサイクル・バスが運行されている。サイクル・トレイン以上に珍しい貴重なサービスだ。 これは一般的な路線バスながら、側面から ...
銀塩(輪)車 番外編② LA自転車ライフ
昨年末に家族の住むロサンゼルスに引っ越してから、日本にいた頃よりも自転車に乗る機会が格段に多くなった。ロサンゼルスは滅多に雨が降らず、毎日が気持ちの良いサイクリング日和である上に、家から10分ほどででビーチ沿いのサイクリング専用ロードを走ることができる。自転車を楽しむには最適な環境である。今月の「銀塩(輪)車」では従来の連載の内容から少し離れて、最近の筆者の自転車ライフについて紹介したい。ぜひ銀塩 ...
鳴門海峡の両岸を走る (1) 南あわじライド
淡路島の南と四国の北東を隔てる鳴門海峡は、渦潮で有名な海の難所。両側から触手を伸ばす特異な地形を繋いで大鳴門橋が架けられている。この橋は自動車道の他に鉄道部分を持ちながらも、その敷設可能性はゼロに近い仰天構造。そこで、新幹線がダメなら自転車があるじゃない、と地元では気勢をあげているらしい。これは無茶振りのようで未来を暗示している。それを確かめるべく彼の地に出かけた。 新幹線で輪行して京都に移動し、 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その2
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の2回目。文字通り自転車が走る。文字通りを自転車が走る。文字通りの自転車が走る。言われた通りの自転車が走る。望み通りの自転車が走る。自転車が文字通りを走る。自転車が言われた通りを走る。自転車が望み通りを走る。文字通りを走る自転車。言われた通りを走る自転車。望み通りを走る自転車。文字通りの自転車は走る。言われた通りの自転車 ...
富山湾の円弧を巡る(2)富山湾岸サイクリング・コース、東側ルート
ナショナル・サイクル・ルートたる所以を探る富山湾岸サイクリング・コース2日間の実走。暴風雨に見舞われた前日の西側コースに対して、翌日は抜けるような青空のもとで東側ルートに挑む。こちらはサイクル・トレインがあるので利用しない手はない。東富山駅から乗車、入善駅で下車してサイクリング開始。東側ルートの始点である県境で折り返し、東富山に戻るべく湾岸を走り抜けた。 サイクル・トレインは一部の土日しか運行して ...
スリップメスティンで自転車キャンプ用メスキットをアップデート
少し前に、細長い箱形のメスティン(定番のトランギア製TR-210)を活かした自転車キャンプ用メスキットを組んだ。概ね満足していたが、素材が無垢アルミのため食材がくっつきやすく(その結果として焦げやすく)、フィールドでの清掃の負担が大きいという課題があった。そこで今回、内部コーティングの施された8A Garage(ヤエイガレージ)のスリップメスティン(レギュラーサイズ)を購入。よく使う道具になりそう ...
富山湾の円弧を巡る(1)富山湾岸サイクリング・コース、西側ルート
2019年に制定されたナショナル・サイクル・ルートは「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」で、現在6つのコースが指定されている。そのうち今回は富山湾岸サイクリング・コースを実際に走ってみた。実のところ、富山と言えば立山連峰や海産物を連想するだけで、自転車のイメージはなかった。それではこれは実際に出かけて実走するしかないと思い立ったわけだ。 そこで4月の下旬、知人のクルマに自転車2台を積 ...
レインボーブリッジライドへ参加しよう
「レインボーブリッジを自転車で駆け抜けたいと思ったことはないか?」 小池百合子都知事の発言である。 2022年11月23日(勤労感謝の日)にレインボーブリッジを自転車乗りに一般開放するというイベントを、東京都が企てていることが先日4月16日分かった。20㎞コース、ファイミリー向けに8㎞と13㎞のコースを設定。当日は首都高を通行止めにしてコースとして利用するとのことだ。今年の7月頃に開設されるホーム ...
ウクライナでサイクリング
【閲覧注意】戦争の砲撃で破壊された街や惨殺された人の遺体などショッキングな写真が掲載されています。そのような画像にストレスを感じる方は閲覧をおやめください。 ロシアが軍事侵攻したウクライナでの自転車関連の写真を紹介する。「Bicycle Ukraine」といったキーワード検索の結果からの抜粋で、順不同である。砲撃で破壊された街で自転車に乗る人々は毅然としており、当初は牧歌的にすら思えた。だが、悲惨 ...
Practical Cycling 2:シンボルP
前回の記事でシンボルマークとロゴタイプの制作プロセスを紹介したが、関連してこれまでグッズ展開としては、ステッカーとバッジの他、ウェア、バナー、フラッグと広がった。 クリティカル・サイクリングの主題による変奏曲とフーガ(2017-04-08)クリティカル・サイクリングのオリジナル・ウェア(2017-07-21) Practicalと銘を打っているからには、今回も実践も見せる必要がある。 2018年に ...
Prehistoric [Kofun-period] Bicycle / 古墳時代の自転車
Masayuki AkamatsuPrehistoric [Kofun-period] Bicycle2022 MediumTwo bicycles Dimensions130 x 120 x 100 cm + 90 x 70 x 20 cm AcknowledgmentI would like to express my special thanks to Shinsuke Sagisaka, ...
銀(塩)輪車 第8回 試作3号(偵察)
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。「銀(塩)輪車」第1回より 本連載では以上のような目標を掲げ毎月検証を重ね記事を公開している。前回の第7回では、試作2号を経て次なる手段を探るべく様々な可能性について考え ...
願成寺古墳群美術展 2022 に自転車作品を出展
2022年4月23日から開催される願成寺古墳群美術展で、自転車を用いた作品を出展します。この展覧会は111基もの古墳が群集する願成寺西墳之越古墳群での現代アートの野外展示で、今回は国内外20組の作家が参加している。緑豊かな自然と千数百年前の遺構の中での展覧会は全国的にも珍しい。しかも、前身となる展覧会を含めると2008年から続く本展は今年で完了となるとのこと。 願成寺古墳群美術展 2022会期:2 ...
Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その1
「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩のはじまり。数列でルールを決めて詩を書けば、自ずと「cycle」は始まる。それが期待されている気もするし、僕の役割として、バランスはとれているのかもしれないが、いかにも芸がない。詩は批評である、としばしば言われるし、それに僕も同感する。実際、批評は「自己省察(self-reflection)」であると考え、この数年、自分 ...
BLOCK47 グランド・オープン
新しい自転車施設BLOCK47が2022年4月17日にグランド・オープンとなる。この日から3日間はオープニング・イベントとしてSTREEKなど特別な自転車の展示や試乗、ファミリー向けのマルシェやワークショップ、そしてオリジナル・グッズの抽選プレゼントなど催しが盛り沢山。クリティカル・サイクリングのメンバーもアドバイザーとして参加しているので、お出かけいただければ幸いです。 グランド・オープンに先立 ...
仕事場への行き帰り、自転車で転がっていく恍惚
この春、リモートをやめて通勤することになった。経路には大きな駅への自転車区間が含まれる。二年ぶりに走り出してみたら、一瞬で多幸感に満たされた。四月の河川敷をお気に入りの自転車でクルーズなんて快いに決まっているけれど、実際に感覚情報の洪水に身を委ねる時間は、本当に圧倒的で笑いがこぼれるばかりだ。 往路の瑞々しさも良いし、復路の優しい倦怠も良い。人と人は近過ぎず、それぞれの道行きを穏やかに見送ることが ...
瀬戸内、海の大三角形 (3) しまなみ海道
瀬戸内トライアングルは1日目と2日目で、さざなみ海道、とびしま海道を走破し、しまなみ海道の半ばまで進んでいた。そして最終日は宿泊地であった大三島の西岸を出発。昨日と同様に天候は良く、明るい日差しと穏やかな風はザ・瀬戸内海。この日は尾道の手前で知人に会う予定があり、その後は早めに帰路につきたかったので、時折短い休憩を取るだけで、ひたすらペダルを踏むことになる。 しまなみ海道に入ってすぐに気づくのは、 ...
改造自転車 from TikTok
短尺動画のプラットフォームとして有名なTikTokを筆者が眺めていた際に、目に留まった"改造自転車"についてまとめたい。ありがたいことにハッシュタグ改造自転車でまとめられていた。 そもそも「改造自転車」といわれると筆者の中高生時代ではハンドルを大きく曲げる「鬼ハンドル」や「カマキリハンドル」のイメージしかなかったが、それらのレベルをはるかに越える自転車ばかりであった。 1.ライトアップ改造自転車 ...
瀬戸内、海の大三角形 (2) とびしま海道
さざなみ海道、とびしま海道、しまなみ海道と3つのサイクリング・コースを回る瀬戸内トライアングル3日間の2日目。初日は早朝に自宅を出発して新幹線と在来線で尾道へ移動。電動アシスト自転車をレンタルして、さざなみ海道を西へ進む。午後からは小雨模様だったこともあって先を急ぎ、夕方までに約66kmを走って分岐点より少し手前の宿泊地に到着していた。 この日、2日目の朝も早めに出発。雨は昨日のうちに止み、薄曇り ...
Practical Cycling 1:シンボルC
Critical Cyclingの活動は2016年から始まった。Aboutページに掲載されている「シンボルマーク」と「ロゴタイプ」をデザインしたのは6年近く前のことで、改めてこの場を借りて制作プロセスを思い出してみる。 まずは「Critical」と「Cycling」双方に共通する頭文字「C」をモチーフにしたマークや、自転車のシルエットなどをリサーチした。自転車のモチーフは、横や正面、ギヤやチェーン ...
瀬戸内、海の大三角形 (1) さざなみ海道
しまなみ海道は尾道と今治を結ぶサイクリング・ロード。のどかで美しい瀬戸内海の島々を巡り、ヒルクライムを兼ねて高架橋を渡る爽快感も素晴らしい。自転車のために道路や施設が整備されており、飲食や観光を含めたサイクル・ツーリズムとして成功している。筆者は10年前に半分ほどの行程を走っただけで楽園気分を満喫。そして最近の春の陽気に誘われて、島を渡る風になろうと思い立った。 しまなみ海道(2012年4月) そ ...
銀(塩)輪車 第7回 インターバル
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。「銀(塩)輪車」第1回より 本連載では、ここまでこのような目標を掲げて毎月記事を書いてきたが、前回の第6回にて試作2号が飛躍的な進歩を遂げることができなかったことによって ...
BLOCK47が支援を求めてクラウドファンディング中
2022年4月、つまり来月に開業する新しい自転車関連施設BLOCK47が支援を求めてクラウドファンディング中だ。これは部材や備品などが高騰しているため、計画通りの調達が困難だからだと言う。そこでクラウドファンディングで有志の方々からの資金援助を得て、充実した施設を目指すとしている。アドバイザーとして参画しているクリティカル・サイクリングとしても、皆さまからの支援をお願いしたい。 例えば、自転車の練 ...
内田百閒「鬼苑乗物帖」
本書には36本の短い作品が収められており、それらの中でも「乗物雑記」と「轔轔の記」の2作品は、明治後期から昭和前期にかけての、都市の交通文化を見つめた著者による覚書きであり、乗り物批評でもある。 「乗物雑記」では、交通手段が便利になっていくことに反して、人々のほうが場所や用事に振り回されてしまい、「移動する」ではなく「移動せざるを得なくなる」ような本末転倒と不自由さを批評している。満員電車や交通事 ...
道路交通法の改正と電動キックボード
2022年3月4日に道路交通法の一部改正案閣議決定され、以前記事にも取り上げた電動キックボードについて、物議をかもしている。 改正案によって変更されたのは主に以下の項目である。 電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新たな車両区分に追加電動キックボードの最高速度が15km/時から20km/時へ変更運転免許の登録が不要となり、代わりに16歳以上の利用のみに制限 これまで電動キックボードを ...
ツイード・ラン尾州名古屋2022に参加
3月12日に開催されたツイード・ラン尾州名古屋2022に参加した。これはツイード(毛織物)の衣服を身につけて自転車で街を巡るユルいイベント。2年ほど前のツイード・ラン尾州羽島2019は楽しかったものの、今回は遠慮しようと思っていた。それはコースが名古屋の中心部であり、良い印象がないからだ。しかし、それでも参加したのは春の陽気に誘われたからに他ならない。 そんな予感が的中。当日は快晴で気温は22℃に ...
プーチンさん自転車に乗る
ロシアの大統領ウラジーミル・プーチン(Владимир Владимирович Путин / Vladimir Vladimirovich Putin)が自転車(велосипед)で緑豊かな公園を走る映像がある。フラフラと乗るのはフル・サスペンションのマウンテン・バイク。機関銃は付いていない。並走するのはタンデム体制の盟友ドミートリー・メドヴェージェフ(Дмитрий Анатольевич ...
カーゴバイクによる生活改革:ドキュメンタリー映画『マザーロード ~母親たちの自転車革命~』
カーゴバイクのある暮らしにフォーカスした自転車ドキュメンタリー映画『マザーロード ~母親たちの自転車革命~』(2019年アメリカ、81分)が、日本映像翻訳アカデミーのイベントで日本初公開となった。専用ページで申し込めば、3月13日まで無料で視聴できる(※パスがメールで届くまでに最大3営業日かかるとのこと)。ここでは作品の概要と注目ポイントを記しておこう。 『マザーロード』(原題Motherload ...
ゼレンスキーさん自転車に乗る
ウクライナの大統領ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキー(Володимир Олександрович Зеленський / Volodymyr Oleksandrovych Zelenskyy)は、コメディアンとして活躍していた。彼はテレビ・ドラマ「国民の僕(Слуга народу / Servant of the People)」(2015〜)を制作、主演している。学生が隠 ...
Googleマイマップでサイクリング・コースを共有
これまでにGarmin Connectを用いてサイクリング・コースを作成した(前編、後編)。作成したコースはURLやWEBサイトへの埋め込みで共有できるものの、少々役不足かもしれない。それは周辺の見所や飲食店といった周辺情報が十分に提供できないからだ。そこでGarmin ConnectのコースをGoogleマップのマイマップに移そう。これで当該箇所の名称だけでなく、説明文や写真を加えることができる ...
銀(塩)輪車 第6回 試作2号(実施)
先月の番外編では、一度この連載の趣旨から外れロサンゼルスでの自転車事情とライドのレポートを行った。今回からは本連載の目標に戻り、第5回にて計画していた写真の撮影方法を実施した。この第6回では実際にどのように撮影を行い、その結果どのような写真が撮影できたかを見ていきながら、次なる試作へと考察をしていく。ここで再度この連載の目標を以下で確認したい。 自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経 ...
Garmin Connectでサイクリング・コースを作成(後編)
前編では、Garmin Connectで走行データをコースに変換した。ただ、走ったことがないなど走行データがないこともある。そこで後編では、ゼロから新しいコースを作成する。これはスタート・ポイントとゴール・ポイントを指定するだけだ。スタート・ポイントだけを指定して元に戻ることもできる。これだけでコースが作成されるので、必要な修正を加えてコースを完成させることになる。 新しいコースの作成 Garmi ...
ショップにある自転車
1980年から1990年代にかけて、任天堂ファミリーコンピューター・通称ファミコンは日本における娯楽の形態に新しいスタイルをもたらした。各家庭のテレビの前の空間の風景を大きく変えてしまった。一方で同じ頃の屋外では、子供たちの遊び道具として人気だったものにジュニアスポーツ自転車があった。 参考記事 昭和すごかった “やり過ぎ”上等「スーパーカー自転車」はいかに少年の心をつかんだのか スポーツカーのよ ...
Garmin Connectでサイクリング・コースを作成(前編)
サイクリング・コースを作成するには、どのツールを使うと良いだろうか? かつては定番だったルートラボ亡き後、筆者はGarmin Connectを使うことが多くなった。このWEBサービスおよびアプリは無料で利用でき、Google Mapsベースなので地図情報が詳細といったメリットがある。ただし、ユーザー・インターフェースは洗練されていないので、ここでは基本的な使い方を紹介したい。 走行データからコース ...
トランギアのメスティンでまとめる自転車キャンプ用メスキット
キャンプブームで大人気だというメスティン。定番のトランギア製を購入し、自転車キャンプ用のメスキットを組んでみた。その構成などをメモしておく。 狙い:湯沸かし以外もそれなりにできて、かつコンパクトなキット 「メスキット」(mess kit)とは、フィールドで使用するために携行する調理・食事のための道具一式のこと。要は野外活動用のメシ・キットである。「メスティン」(mess tin)はメスキットの一部 ...
バーナード・フィッシュマンの自転車で月へ行った男
バーナード・フィッシュマン(Bernard Fishman)の「自転車で月へ行った男」(1979)は、文庫本で170ページほどの中編小説。原題は"The man who rode his 10-speed bicycle to the moon"、主人公はニューヨークで成功したグラフィック・デザイナーで、豪華なアパートに住んいる。45歳の誕生日に妻からプレゼントされたのが10段変速の自転車。誰もが ...
自転車とNFT
昨今盛り上がりをみせているNFT(非代替性トークン)アート。 筆者も先日NFT作品を公開してみた。つくづく売れない。 fondationにて出品中の作品 NFT出品はNFTの勉強を兼ねてということもあり、自転車との交わりについても調べてみたので簡単ではあるが記事としてまとめたらと思う。 COLNAGOによるNFTアート イタリアの自転車メーカー、COLNAGO(コルナゴ)は自転車業界で初めてNFT ...
早朝耐寒ライド 2022 Winter
来る2月23日にクリティカル・サイクリング主催による早朝耐寒ライド を行います。これはIAMASのいわゆる卒展のイベントとして行われ、どなたでもご参加いただけます。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行以降、新型グループ・ライドを行なってきましたが、今回は通常のグループ・ライドとして実施します。オンライン参加はありませんので、現地にお集まりいただけるようお願いします。 クリティカル・サイクリング早 ...
自転車と放蕩娘 (最終回)「自分がまだ生きていることを自分で確認するためのライド」未来編
前回、大岩オスカールの作品を論じたことで、この連載をひと区切りしようと考えるようになった。というのも、次の課題が見えてきたからだ。 ジェンダーについて考えながら行き当たったのは、「当事者性を中心に据えずに、どのような語り口を見つけることができるのか」である。言うまでもなく、当事者であることを軽んじるつもりはない。当事者が声を挙げなければならないような非対称な状況があるのは事実だ。ただ、その先にどの ...
RSAサンバッグスでオリジナル・バッグを作る
BESVのJG1用に独自のデザインによるオリジナルのフレーム・バッグを作っていただいた。それはバッテリーを格納するフレームの形状が特殊だからだ。ドリンク・ボトルの出し入れのために後方を空けておきたいといった要望もある。そこで、ラフなスケッチを描き、段ボール紙と養生テープでモックアップを作ってみる。しかし、これに近い既製品は探せど探せど見つからないでいた。 そこで知人が推薦してくれたRSAサンバッグ ...
銀(塩)輪車 番外編 LA自転車観察
2021年の年末に、ロサンゼルスに引っ越した。先月分の連載記事はそれによって執筆することができず、休載となってしまった。今月以降はロサンゼルスよりこの銀(塩)輪車をお届けする。今回は番外編ということで前回からの続きではなく、ロサンゼルスの自転車事情に関して、引っ越して以来観察してきたことを写真とともに紹介したい。 アンティークマーケットにて偶然見つけたサイクリングの壁画 実際に私と家族が暮らしてい ...
ロッタちゃんの手続き的知識
「長くつ下のピッピ」などで有名なスウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(Astrid Anna Emilia Lindgren)は、幼い少女ロッタが自転車に憧れ、乗ろうとする物語を書いている。それが「ロッタちゃんとじてんしゃ」(1971)で、盟友イロン・ヴィークランド(Maire-Ilon Wikland)による色彩豊かな挿画が添えられた楽しい絵本だ。 ロッタは自転車が欲しい。兄や ...
詣でなくてもライド
本年最初の自転車ライドに出掛けたのは、元日の朝10時頃のことである。JR明石駅からもほど近いレンタルサイクルで自転車を借りる。店につくと店主が一人待ち構えていた。 「元日から営業しているのですか」と、前日の大晦日に店に聞いてみたところ「言ってもらえれば開けますよ」という。1年前も利用した明石淡路島レンタサイクルの使い勝手に助けられて今年も元日サイクリングの準備は整った。 娘と二人で出掛ける元日のサ ...
バスをチャーターして自由奔放自転車ツアー
大型バスをチャーターして自転車ツアーを行った。これはバスをギャラリーやイベントに活用するMOBIUM(モビウム)の協力を得て実現したもの。何しろ路線バスを買い取って改造し、音響映像機器や工作機械などを搭載した移動空間だから、自転車への応用も夢が膨らむ。そこでまずはシンプルな自転車ツアーを企画、冬の寒い時期ゆえに、少しでも暖かいところへと赴いた。 まずMOBIUMの駐車場で自転車を積んで出発。2時間 ...
雪の日、いつもと違ういつもの道を走る
1月7日、東京にもまとまった雪が降った。雪が降ったら自転車に乗らずにはいられない。いつもよく走っている生活圏の未舗装路が、いつもとは大きく違う表情を見せてくれる日。東京のまちの雪は長く持たないから、そして沢山の人が隅々まですぐに踏みしめてしまうから、積もったらすぐに飛び出していくべきだ。 雪を纏った武蔵野の木々 雪中サイクリングの機会が訪れると、ディスクブレーキのMTBを持っていて良かったと思う( ...
君がくれたグッドライフ、あるいは答えのない問い
クリスティアン・チューベルト監督によるドイツ映画「君がくれたグッドライフ」(2014)は、妻や友人たちと自転車で旅をする、いわゆるロード・ムービー。そのタイトルやポスターは家族と仲間に感謝!人生最高!と言わんばかり。甘ったるい日本語ラップがタイトル・バックに流れそう。だが、内容はまったく違う。原題は「Hin und weg」、「行きて帰らぬ」といった意味だろうか。 映画は主人公がエアロバイクを漕ぐ ...
万博と自転車と万博
万博記念公園駅から歩いて大阪万博記念公園に行く途中からすでに「太陽の塔」を目視できる 昨年は仕事でドバイ万博に携わったこともあり、万博というものへの興味と昔から気になっていた岡本太郎の"太陽の塔"を一目見たく、ドバイから帰国して間もない11月に大阪万博記念公園へ遊びに行くことにした。その際、当時の万博資料を集めた「EXPO'70パビリオン」の中で、「電気自転車」の展示を偶然にも発見した。 EXPO ...
Cycliqのサイクル・レコーダで無意識記録を目指す
最近はCycliq(サイクリック)のライト兼サイクル・レコーダ、FLY12 CE(フロント用)とFLY6 GEN 3(リア用)を利用している。Cycliqはオーストラリアのサイクル・レコーダ専業メーカーで、2014年3月に最初のクラウドファンディングを成功させている。その後数年に渡って製品を改善しており、完成度が高い。いずれも随分と大きく重いものの、2つの機能を持つことを考えると妥当かもしれない。 ...
自転車と放蕩娘 (30)「自分がまだ生きていることを自分で確認するためのライド」
今回で、この連載も30回目を迎える。連載を始めた当初、「女性と自転車という切り口で、連載してみないか」という誘いに応じたのには、理由があった。ロードバイクで長距離を走る時に感じた感覚を言葉にすることで、私なりにフェミニストとしての立場を形にしようと考えたからだ。その動機となったのが、次の感覚だ。 「数人のグループで同じ道を走りながらも、個人の時間を楽しむような感覚は、大げさかもしれないが、共同体の ...
木製自転車と塗装の工房、アトリエ・キノピオ
木製自転車とカスタム・ペイントの工房、アトリエ・キノピオを訪ねた。間もなく雪が到来しそうな12月。雲ひとつない快晴ながら、信州の空気は凛として冷たい。工房は市街地から少し離れた丘陵にあり、見上げる大樹のもと、住居と作業場の木造家屋が連なっている。道端のイタリア国旗と立て看板、そして軒下のサイン。工房主宰の安田マサテルさんらが、にこやかな笑顔で出迎えてくれる。 安田さんは学生時代から自転車作りが好き ...
Bromptonのお尻への振動を和らげる
自転車に乗ると路面からの振動によってお尻が痛くなることが多々ある。振動を和らげる手段はいくつかあるものの、クッション性を高めれば走行性能が下がりねない。Bromptonを前提としてサドル周りの振動吸収を検討してみよう。これは他のタイプの自転車にも応用できる。ただ、Bromptonは折り畳み機構やシートポストが長いといった特有の制約がある。 ゲル入りサドル 路面振動吸収の王道は太いタイヤと柔らかいサ ...
新しい自転車施設BLOCK47が来春オープン
来る2022年4月に自転車を中心とした複合施設の開業が予定されている。具体的な施設だけでも、様々な車種を取り揃えたレンタサイクル、週替わりで展開されるショールーム、研究開発やセミナーを行うオープン・スタジオ、修理整備や金属溶接ができる自転車工房、ヴァーチャル・ライドができるトレーニング室、そして近郊ライドの基地としての更衣室やシャワー室といった具合だ。 BLOCK47の構想イメージ 場所は新幹線駅 ...
神出山田自転車道
新型コロナウイルス感染症は未だ冷めやらぬ2021年の秋、兵庫県神戸市がサイクルツーリズムの実証実験を行った。神戸市独自の地域振興の施策でもあり、観光庁による「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業(事業者連携型)」という、まあつまり、もともとあった観光施設で今は使われていないものに付加価値をつけて活用しましょう、という地域振興政策でもあったりする。この頃この手の社会実験、実証実験に類するものをち ...
蒜山高原で爽快快適サイクリング
11月初旬に岡山県の蒜山高原を訪れた。中国縦貫自動車道を抜けて県道422号線を北上すると、やがて神々しい威容の大山(だいせん)が姿を表す。その手間のなだらかな一帯が蒜山(ひるぜん)高原だ。目的地はその中心地、隈研吾設計の4つの建物で構成されるGREENable HIRUZEN。最新の木造建築群の前に昭和風情あふれる遊園地がある脱力感も素晴らしい。 GREENable HIRUZENのサイクリング・ ...
初冬の週末、富士の裾野へバイクパッキングに
富士の裾野へキャンプツーリングに行ってきた。社会情勢の影響もあり師走にずれ込んだ「きゃんつー集い」である(今年は公開告知なし)。自分はアドベンチャー要素を見込んだルートでちょっとしたバイクパッキングのつもり。メカトラブルで途中から文明度の高い方へエスケープしたが、皆と合流してからの時間も含めとても楽しい旅になった。 道半ばで断念となったミニアドベンチャー 始発輪行、そこから舗装路で標高を上げる。早 ...
「自転車」という名のJ-POP集
「自転車」というタイトルの楽曲を検索した。「Bike」や「Bicycle」などではなく漢字三文字の「自転車」だ。結果的にJ-POP系がほとんどで、演歌や歌謡曲には見当たらない。テクノやヘヴィメタもない。ミドルからアップ気味のテンポが多いのは自転車のスピード感だろうか。だから何だとは言えないものの、気負いのない個性的な曲が揃ったように思える。 オレスカバンド「自転車」 JUDY AND MARY「自 ...
サイクリング DJ
自転車に乗ってDJをしているDom Whiting をご存じだろうか。 (photo from the guardian) パンデミックの影響でクラブが閉鎖されたことをきっかけに、どうにか音楽から離れ離れになった人々をつなげられないか、そう考えたDom Whiting はカスタム3輪車とDJ機材、ポータブル電源、スピーカーを一つにまとめ上げた。一番最初は自転車走者の後に乗ってDJをするスタイルだっ ...
鳴り物入りの自転車:レインスティック/レインループ自転車
「鳴り物入り」とは楽器などで賑やかに調子を取って囃し立てること。日本舞踊や歌舞伎、あるいはお祭りやチンドン屋などでお馴染みのピーヒャラ、ドンドンだ。それでは自転車にも鳴り物を入れて、走行を盛り上げてはどうだろうか? 思い浮かんだアイディアの一つは中南米の楽器レインスティックだ。中空のサボテンの棒を傾けると、中の小石が転がって雨のような、波のような音がする。 まず、小さなレインスティックを車輪の中に ...
自転車と放蕩娘 (29) 特別なことがない日のライド
今更ながら、私がなぜロードバイクに乗るようになったかというと、学生時代に偶然出会ったからだ。当時は京都に住んでおり、市内を移動する手段として自転車が最適だと感じていた。しかし、都心近郊に引っ越して坂の多い地域に住むようになると、交通手段は電車か車に代わった。そんな折、岐阜へ引っ越して大垣に住むようになって、自転車熱が再燃したのだ。 大垣市内、大島堤サイクリングロード とはいえ、今も昔も、ロードバイ ...
AirTagを自転車に隠せ
AppleのAirTagは「見つける天才」。鞄や財布につけておけば、見当たらなくなった時にiPhoneやApple Watchで探し出せる。自転車は大きいから見失うことはないとは言え、それでも筆者は自転車にAirTagを付けている。巨大駐輪場で置き場所が分からなくなるかもしれないし、心無い人が鍵を破壊して持ち逃げるかもしれないからだ。そこでここではAirTagを自転車への取り付け方を見て行こう。 ...
銀(塩)輪車 第5回 試作2号(計画)
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。「銀(塩)輪車」第1回より 本連載ではこのような目標を掲げて、月1ペースで記事を書いている。今回の第5回ではこれまでの試作や考察を踏まえて、新たな試作2号に用いるための新 ...
ユーロヴェロ
近頃、サイクリングルートとして設定されたルートのことを調べたり、実際にそのルートを走ったりすることを経験するとサイクリングルートには想像力が大切だと気づく。日本には「道の駅」のような施設や、高速道路にはサービス・エリアなどが整備されているが、その多くは自動車や自動2輪などのエンジンのついた乗り物を主軸に置いている。 サイクリングルートの多くのは、自動車道路のように十分な整備状態にはなっていないこと ...
東京サイクルデザイン専門学校を見学
渋谷駅近くの東京サイクルデザイン専門学校は、2012年に開校した日本で最初の自転車専門学校。卒業制作展などで注目していたところ、念願かなって授業の実習を見学させていただいた。同校では2年制の自転車プロダクトコースで整備から制作まで幅広い技術と知識を学び、さらに1年をかける3年制の自転車クリエーションコースでは社会との関わりや人々の生活の在り方までをも考察すると言う。 最初に案内された教室では1年生 ...
暗渠を辿りピーター・シスの迷宮と夢へ
練馬区美術館の「ピーター・シスの闇と夢」展に、自転車で暗渠をたどって行ってきた。Google Mapsで怪しい緑道を見つけたところから思いついたルートは、図らずもシスの世界に入ってゆくのにぴったりのものだった。その断片をここに記録しておく。 地理院地図=標準地図と地形分類(ベクトルタイル提供実験)で表示した中村橋駅付近。石神井川系と神田川系の間の尾根筋を千川通りが走っている。 練馬区立美術館は西武 ...
2021 ACC’s International Academic Conferenceのお知らせ
2021年11月25日から11月26日まで韓国光州広域市のAsia Culture Centerで「2021 ACC’s International Academic Conference」が開催されます。この国際会議では、新型コロナウイルス感染症、人新世、気候危機、技術革新、人権、ジェンダー平等、移民難民といった時代の転換期におけるアジア文化の変化を巡って議論が行われます。 会期:2021 ...
自転車洗車整備サービスのトライクル訪問記
自転車の洗車と整備の専門店、トライクル(TRYCLE)を訪ね、洗車の様子を見学させていただいた。自転車くらい自分で洗えば良さそうだが、ついつい億劫になる。グラベルで泥まみれなのに、忙しさで時間が取れなかったり、手際良く洗える場所がなかったりもする。しかも素人作業では、きちんと洗えているか心許ない。そこでプロフェッショナルなサービスが注目されている。 トライクルはJR南武線の矢野口駅から徒歩数分のこ ...
LUUP電動キックボードライド
今都内ではLUUPという電動キックボード/電動アシスト自転車シェアサービスが流行しつつある。今回はその試乗ライドをレポートできればと思う。 渋谷区宇田川町のポート LUUPについて Luupは、「街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる」をミッションに、電動・小型・一人乗りのマイクロモビリティの短距離移動のためのシェアリング事業を展開しています。電動キックボードなどの新しいモビリティを日本で安全か ...
DJI Action 2は自転車カメラの新機軸になるか
GoProのライバルであるDJIが、新しいアクション・カメラAction 2を発売した。前モデルがGoPro HEROシリーズの模倣じみていたのに対して、今回は独創的なアプローチを取っている。それは本体のサイズを半分にして、マグネットによる着脱モジュール構造を採用したことだ。これによって撮影スタイルが広がることを狙っているのだろう。GoPro HEROとInsta360 Goの中間的な立ち位置だ。 ...
自転車と放蕩娘 (28) 個人史から語る女性ロードレースの歴史
秋晴れの気持ちのよい日には、たとえ近所でも自転車で出かけたくなる。最近はもっぱら、片道1時間くらい走るだけの短いライドだが、それでもモードが切り替わる瞬間が好きだ。結局のところ、鋭敏な身体を取り戻すことが、私にとってロードバイクを手放せない理由なのだと思う。次は、長距離や坂道も走りたいと欲が出てくる。 そんな省エネ(?)ライダーには心許ないが、女性のロードレースの歴史についての本があると聞き、読ん ...
自転車に乗って選挙に行こう
次の日曜日、2021年10月31日は衆議院議員総選挙だ。満18歳以上の日本国民は、万難を排して投票に出かけて欲しい。当日に所用があれば期日前投票や不在者投票なども利用できる。今回の投票は3種類あり、そのうち比例代表選挙では政党に投票する。そこで各政党の選挙公約や政策マニフェストから、自転車についての記述を抜き出して掲載しよう。投票の参考になれば幸いだ。 総務省の第49回衆議院議員総選挙サイトのアド ...
銀(塩)輪車 第4回 オペラトール
前回の第3回では本連載の試作1号となるピンホールカメラを用いた撮影を行ったが、結果として露出不足の写真が出来上がってしまい失敗作となった。今回の第4回では異なる撮影・現像方法を試す予定であったが、今月は撮影及び大学の暗室を借りる時間が取れず試作2号を行うことが叶わなかった。そのため今回は一度、手を動かすことを止めて今後の方針を考え直すことにする。 結果的に今回は自転車に関する記述がほとんどなくなっ ...
CITY CYCLINGガイドブックで空想サイクリング
CITY CYCLINGは、かつてRaphaから発売されていた都市ごとにサイクリングを楽しむガイドブック集。2013年にヨーロッパの9都市8冊が刊行され、2018年には続編としてアメリカ合衆国の4都市4冊が出版されている。1冊ごとに購入できるだけでなく、ボックスセットもある。すでにRaphaのオンライン・ショップでは掲載されておらず、絶版状態ではあるものの、Amazonなどではまだ入手できるようだ ...
新年新型グループ・ライド 2021<サイドB>
おことわり 今回は「サドル沼には手を出すな」第2回の内容を予定しておりましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響(なのかどうかはわからない)による自転車パーツの輸入・入荷の遅延、入荷時期不明などの事情により、取材情報不十分につき掲載内容を変更してお送りいたします。 前書き 今回は、本年の正月にお伝えした「新年新型グループ・ライド」のアナザー・ストーリーである。その記事中で確かこのようなこと ...
Ray-Ban Storiesで一人称視点のライド撮影
世界的なサングラス・メーカーRay-Banから発売されたRay-Ban Storiesは、やや大ぶりなサングラスに見えるが、2つのカメラを両端に備えている。これにより一人称視点、つまり自分が見ているようにビデオや写真の撮影ができる。自転車に乗りながらであれば、自分のライドを振り返ったり、他の人に伝えたりできるわけだ。映像表示機能はないので、スマートグラスやARグラスではない。 https://yo ...
里の奥、半島の背をなぞり海を見つける
先日、久々に良いなと思えるサイクリングをした。親戚の暮らす町が付け根にある半島を、その背骨に沿って海まで。 日々の暮らしのすぐ裏手にあり、だが端まで辿ってみる人は少ないルートだ。常緑広葉樹の多い地方で、まだ秋も深まる前とはいえ眺望もあまりない。たまにあっても写真など撮らずに駆け抜けてしまう。 少し古いシングルスピードのリジッドMTBで、踏めないほどの斜度はない道を黙々と、キリのいいところで休みつつ ...
IAMAS周辺ライド #10 根尾薄墨桜 80km
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライド、今回は樹齢1,500年以上、つまり古墳時代に苗木が植えられた老木ながら、巨大な一本桜で美しい花を咲かせる淡墨桜を目指す。片道40kmほどなので、朝に出発すればお昼までには到着するだろう。その途中は木々に囲まれた旧道と根尾川の清流が楽しめるし、マグニチュード8.0と推定される日本史上最大の直下型地震を引き起こした根尾谷断層も通過する。 薄墨桜(Wiki ...
帰国と食料調達隔離ライド
9月末に2か月弱のドバイ出張から帰国した。 出張案件が公になったため簡単に周知すると ドバイ万博2020 の日本館でのインタラクティブコンテンツ実装周りを会社仕事として取り組んだ。ドバイの近くに訪れる際は立ち寄っていただけると嬉しい。 ドバイ万博2020 日本館 さて無事に設営を終えて帰国して過酷だったのが日本での隔離生活である。新型コロナウイルスの感染拡大を予防するために義務付けられている。まず ...
マグネット・リリーサーで背面バッグ固定
自転車に乗る時に小さなショルダー・バッグやサコッシュは使い辛い。背中に回しても脇や前にズレてくるし、前傾姿勢ならペダルを漕ぐ足の邪魔になるからだ。そこでマグネット・リリーサーで使い勝手を良くしよう。マグネット・リリーサーは磁石で簡単に着脱できる連結アクセサリーで、例えばキャンプや釣りで頻繁に使う道具をカバンや衣服に装着するために用いられる。 バックパックにマルチ・ツールをマグネット・リリーサーで取 ...
自転車と放蕩娘 (27) 山下菊二《高松所見》(1936)に見るモダンガール
「自転車のある情景展」が、徳島県立近代美術館、八王子市夢美術館で開催されている。ミショー型自転車に始まる、量産型自転車や競技用モデル、宣伝ポスターの展示もさることながら、本展の魅力は、美術作品の中で自転車がどのように捉えられ、描かれてきたかにあるだろう。作品にとどめられた自転車の表象は、作家個人の関心だけでなく、地域や時代の変化を先取りしている。まるでタイムカプセルを開けるかのような感覚で、絵画を ...
処理能力を倍増させたGoPro HERO10 Black
GoProから新しいアクション・カメラHERO10 Blackが発売された。以前はHERO7のスタビラズ能力に心底驚かされたが、それ以降は小手先の変化でしかなかった。しかも今回は前機種のHERO9とまったく同じ形状で同じサイズだと言う。HERO9のモジュラーなど周辺機器がそのまま使えるメリットはあるものの、ロゴの色の違い以外は区別がつかないのだから、目新しさに欠けると言いたくなる。 だが、HERO ...
銀(塩)輪車 第3回 試作1号
本連載の第2回ではピンホールカメラの原理と作り方、そしてどのようにピンホールカメラを用いて自転車に乗る行為を記録するか、ということについて述べた。今回は試作1号として第2回で作成したピンホールカメラを自転車のハンドルバーとダウンチューブに設置し、7時間のライドを撮影した。この第3回ではその出来上がった写真を紹介しながら、次作への改善点などを述べていく。 今回のライド 今回、試作1号として撮影したラ ...
ジャケ買い自転車アルバム16選
ジャケ買いとは中身を知らずにジャケットなどパッケージの写真やデザインに惹かれてレコードなどを購入すること。オンライン試聴が当たり前の今日では想像もできないが、良い音楽は良いジャケットであることを根拠に、命題の逆は成り立たないことを無視していた。そんな20世紀文化に習って、筆者が気に入った自転車のジャケットを並べてみる。その実体が如何なる音楽であるかは関知しない。 Guns N' Roses - C ...
サドル沼には手を出すな (1)
自転車のサドルは、座るものなのか?そうではないのか?この問いには長らく答えが出ていない。なぜならそれは公に知られた問いではないし、答えは個々人の感覚と納得に委ねられているからである。 ロードバイクに乗ってみたことがない人にはほとんど知られていない。ママチャリのような広く厚みがあり、スプリングまで入っていて着座しやすいサドルはロードバイクには付けられていない、ということを。一方、ロードバイクに乗った ...
ヘンリック・オッレの冒険の食事
ヘンリック・オッレ(Henrik Orre)の「Food for Adventure」はサイクリストのための料理レシピ本の第3段。以前の「Velochef」と「Velochef in Europe」はクルマで移動し、ツアー・バスやホテルで調理することが前提になっていた。それに対して今回は自転車で移動し、野外やテントで調理をする。つまり、食材も調理道具も最小限に切り詰める。それでこそ、どこへでも出か ...
フォーク後ろ寄り積載で低速時のヨロヨロを解消
前回の記事では「前荷ism」という言葉をでっちあげて自転車の前方への積載とジオメトリーとの関係を掘り下げたが、一口に「前荷」と言ってもどこにどう積むかで違いが出るということも見えてきた。今回はフォーク積載に注目し、野営あり&未舗装ありのツーリング≒バイクパッキング向けセットアップを検討する。 前荷ismのための自転車ジオメトリー考察 フォーク後ろ寄りに積んでみてびっくり ここ一年くらいの間に度重な ...
自転車に乗って、明日に向かって撃て!
アメリカン・ニューシネマの傑作、映画「明日に向って撃て!」(1969)は、原題「Butch Cassidy and the Sundance Kid」の通り、実在した悪漢二人組の物語。その始まりは1890年代のアメリカ西部。ワイルド・ウエストと呼ばれた西部開拓時代は終焉を迎え、フロティアが消滅した頃。新しい時代の息吹に気づかないふりをして、主人公たちは身に染み込んだ古い行動規範にすがろうとした。 ...
ドバイと自転車と電動キックボード
会社仕事の都合で8月の頭から9月末までアラブ首長国連邦 ドバイに海外出張で訪れている。一ヶ月が過ぎようとしているが、連日30度を越える気温も強烈な日差しには未だに慣れない。年に数回しか雨が降らないというドバイの空の色は毎日同じ風景であり、日本の気候の豊かさが恋しくなった。 宿泊ホテルからの眺め ドバイの自転車事情を調べるぞ、と意気込んだものの仕事が大詰めという事もあって未だ砂漠にもブルジュ・ハリフ ...
BESV JG1を下駄にする
BESVから発売されているグラベル・ロード系の電動アシスト自転車 JG1が納車されて、ちょうど2ヵ月が経過した。この間、毎日のように通勤や買い物に利用し、休日には郊外でのライドに出かけていた。もともと下駄自転車としてJG1を選んだので、より気軽に乗れるようにパーツを取り替えたり、アクセサリーを追加したりしている。ここでは、そのJG1下駄化の暫定報告を行いたい。 ロゴ 2〜3日試し乗りをして特に初期 ...
自転車と放蕩娘 (26) オラファー・エリアソン《あなたの新しい自転車》(2009)
女性と自転車を切り口に始めたこの連載では、女性の作り手/乗り手にフォーカスすることもあれば、作品などに登場する自転車に乗る女性の表象を扱うこともある。いずれにしても、明確に女性が関わっていることがわかる場合が多いが、時折どちらにも含まれないケースがあることにお気づきの方もいるだろう。そんな時こそ、立ち止まって考えてもらえたら嬉しい。 《あなたの新しい自転車》2009Your new bike, 2 ...
ナノプレッソでエスプレッソ三昧
ライド先の人里離れた山野海川で飲むコーヒー、特にエスプレッソは素晴らしい。疲れた身体を癒し、活力を与えてくれる。ただ、そこにはエスプレッソ・マシンもなければバリスタもいない。そこで道具一式を持参してコーヒーを淹れる。自転車だから可能な限り荷物を少なくし、手軽に扱えるのが望ましい。このために筆者はワカコ(Wacaco)のナノプレッソ(Nanopresso)を使っている。 ナノプレッソは小さなペットボ ...
銀(塩)輪車 第2回 ピンホールカメラ
本連載の第1回では自転車と写真技術の父ニエプス、そして自転車に乗るという行為の新しい記録方法の模索という内容について述べた。そこで第2回ではこの連載を通して制作していく作品についてを書く。またその作品のための試作と検証を行なったので、それについても紹介したい。 ピンホールカメラを纏う 長時間露光を用いることによって、ライドの中で移り変わる風景を重なっていくように記録できると考える。「銀(塩)輪車」 ...
FITT360で首周り映像を撮影
自転車に乗りながら主観的な360度全天球映像を撮影するには、対応カメラをヘルメットに取り付けることが考えられる。これで良好な映像が得られるものの、カメラの重みが辛く感じるし、角のように見えて奇異な印象を与える。そこでLinkflow社の首に掛ける360度カメラFITT360シリーズに注目したい。ちょうどネック・スピーカーのような形状で、左右前方と後方に3つのカメラを備えている。 FITT360は重 ...
「京都市自転車総合計画2025(案)」に関する市民意見を送りました
先月の記事で述べた、京都市への意見を提出した。 以下、全文を公開する。 京都市は現在深刻な財政危機に直面している。そのような状況下にあって、将来に向けた自転車を軸とした都市計画を推進する上で財政の絞り込みの影響は避けられない。 しかし、これまでの取り組みで実現されてきた中でも、市内における矢羽根マークを主とした自転車走行環境の整備については、未整備の箇所や重点地区以外への拡大を継続的に進めていく必 ...
Snow Peak Goで白馬をライド&ランチ
長野県白馬村にあるスノーピーク・ランドステーションを訪れ、Snow Peak Goなるアウトドア体験に参加した。これは電動アシスト自転車を借りて美しい景色が連なる周辺をライド、レストラン特製のデリ(ランチ)をいただき、コーヒーを淹れる。そして最後は温泉という極上コース。自転車や道具の使い方から周辺情報まで事前に丁寧な説明を受けて、半日ゆったり楽しめるようになっている。 レンタルした電動アシスト自転 ...
前荷ismのための自転車ジオメトリー考察
先月の信州の旅(前回はその装備について書いた)は、普段から乗っているLe Mans Sportifの汎用性の高さを再確認させてくれるものだった。古くて重いのに登坂が楽しい自転車で、グラベルやトレイルもそこそこいける。一方で限界もかなりよく分かってきて、弱点を克服した「次の一台」の妄想が頭の中で始まっている。ここではその妄想の一部、車体前部のジオメトリーに関する考察をメモしておく。「下駄自転車」の記 ...
「自転車のある情景」展 @ 徳島近代美術館
徳島近代美術館で特別展「自転車のある情景」が開催中だ。英語タイトルはArt Scene with Bicycle、「その誕生から現代まで、自転車にまつわる絵画やポスター、そして歴代の名車が集結」し、「さまざまな時代と場所を彩ってきた、自転車たちのアートシーン」を巡って充実した展覧会が開催されている。自転車をテーマにした美術展は多くはないだけに、この機会に是非出かけて欲しい。 特別展「自転車のある情 ...
東京オリンピック2021開会日ライド
2021年7月23日、IAMASオープンハウスのイベントの1つ新型グループ・ライド 2021 Summer に参加した。私は東京からの参加であったが、その日は幸運なことに東京オリンピックの開催スタート日でもあったのだ。 新型グループ・ライドに参加しつつもGoProで撮影をしていたため、今回も簡単な映像としてまとめた。 いつものように自宅の代々木からスタートして千駄ヶ谷駅前を通過して国立競技場を目指 ...
IAMAS周辺ライド #9 藤橋 42km
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺のお勧めライド、今回は初めて山を登り、揖斐川町藤橋の道の駅を目指す。このルートの起点はIAMASではなく、山に近い揖斐駅としている。これはIAMAS最寄りの大垣駅から揖斐駅までサイクル・トレインが利用できるからだ。もちろん、IAMASから揖斐駅まで17kmほどを自転車で走っても構わない。さらに揖斐駅では電動アシスト自転車のレンタルもある。 このルートでは標高 ...
自転車と放蕩娘 (25) 新型グループ・ライド 2021 Summerから見えてきたこと
去る7月23日、新型グループ・ライド 2021 Summerに参加した。最初にオンラインでのグループ・ライドが行われた昨年の夏に比べると、どことなく空気が違って感じられた。照りつける陽射しをものともせず、自噴水を汲みに集まる人々や、サイクリストたちとすれ違ったのが印象的だったからかもしれない。 自噴井で知られる、加賀野八幡神社 私が訪ねたのは、加賀野八幡神社と結神社とステンシルアート(放課後児童ク ...
新型グループ・ライド 2021 Summer 開催レポート
灼熱の夏日となった2021年7月23日、新型グループ・ライド 2021 SummerをIAMASオープンハウスのイベントとして開催した。これはビデオ・ミーティングと現在位置共有のオンライン・サービスを使って、遠隔地の人とコミュニケーションしながら一緒にライドをする趣向だ。海外を含め各地でのライドは十数ヵ所となり、視聴のみの人を含めると延べ数十人の方に参加いただいた。 今回は新しい試みとして、2グル ...
銀(塩)輪車 第1回 ニエプス
自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。 このようなテーマを掲げて今月から月1ペースで記事を書こうと思う。今回は第1回として、ニエプスと自転車について少しばかり調べた上で、今後制作する作品の構想を軽く紹介したい ...
IAMAS周辺ライド #8 琵琶湖 84km
これまで紹介してきたIAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺のお勧めライドは、距離にして10〜30km程度、ゆっくり走っても半日で回ることができる軽めのコースだった。ところが今回は片道42km、古来からの交通の要衝であり、東西文化の分岐点である関ヶ原を超えて琵琶湖に到る。往復すれば84kmの、ちょっとしたロング・コースだ。 このコースは江戸時代に整備された中山道を通っている。かつては人が歩いた旧街 ...
「京都市自転車総合計画2025(案)」に関する市民意見の募集
京都市自転車政策審議会がとりまとめした、表題の「京都市自転車総合計画2025(案)」について,市民の皆様からの御意見を募集しますという告知があったので、市民として意見をとりまとめることにした。 募集開始は令和3年7月19日、つまりこの記事が公開される次の日からなので、今回は計画の内容を概観した上で、どのようなテーマについて意見をまとめていくかを整理していくことにする。 京都市自転車総合計画2025 ...
バイクパッキングのための積載の実践、信州の夏の一例
厄介な世情ではあるがバイクパッキングに出かけることになったので、そのための積載を煮詰めている。やろうとしているのは、多少の未舗装路探索も含む夏の信州キャンプツーリングだ。まだ納得のいかない部分もあるが、概ね悪くない形にまとまってきたので紹介しておきたい。基本的な考え方については以前の対談記事を参照してほしい。 車体 自転車は1980年くらいのMiyata Le Mans Sportif。クロモリに ...
Raphaの自給自足サイクリスト
Raphaの自転車読本、HANDBOOKシリーズは現在4冊刊行されている。いずれもカジュアルな上質紙を使った中判のペーパーバックで、100数十ページに渡ってカラフルなイラストとシンプルな文章で構成されている。姿勢を正して読むべき厳格な書籍ではなく、自転車にまつわるアレコレを平易に説明したガイド本だ。気軽に開いて興味の赴くままパラパラと眺めることをお勧めしたい。 その第3巻にあたる「The Self ...
ツール・ド・西美濃 2021
毎年開催されていたツール・ド・西美濃が今年はオンライン形式で開催される。従来は9月に丸一日かけてロング・コースを走破する典型的なサイクリング・イベントであった。しかし、昨年は新型コロナ・ウィルスの感染拡大のために中止。現在も終息が見通せない状況なので、開催が危ぶまれていた。ところが、今年はまったく新しいスタイル、つまり集中管理型ではなく自律分散型での開催となった。 このイベントは7月21日から2ヵ ...
都内ピストライド映像記録
知人から今後の自転車走行記録を映像として保存するべくGoPro HERO8とGoPro FUSIONの2台をお借りした。 しかしながら梅雨は自転車乗りへの天敵、購入してまもないピストバイクを雨に濡らせて錆びさせたり、滑って転んで大事故というわけにも行かず、一度テスト撮影として撮りためてきたテスト映像をゆるりと見返していきたい。 基本的には通勤途中の映像、退勤途中の映像、土日出勤途中のデータが多いた ...
Our Third e-Bike, BESV JG1
電動アシスト自転車として2017年は街乗りの折り畳み小径車QiCycle、2018年はマウンテン・バイクのRidge Runnerを購入した。その後は新しい車種を試乗しても触手が動かなった。それは国内法規による足枷により、走り出しや上り坂以外は単に重たい自転車に過ぎないからだ。ところが、最近では軽量な電動アシスト自転車が現れている。そのひとつ、BESVのJG1に試乗して快適だったことに驚いた。 J ...
自転車と放蕩娘 (24) フランシス・ベーコンが見た「自転車レース」
渋谷区立松濤美術館で開催されていた画家、フランシス・ベーコン(1909-92)の展覧会が閉幕した。今回の展示の目玉となっていた「Xアルバム」と呼ばれるドローイングの中に、「自転車選手の写真上のドローイング」2点が含まれている。 生前のベーコンは、自身の創作プロセスに関する情報を緻密にコントロールし、絵画の準備のためのドローイングやスケッチはしないと語っていたという。ところが、ベーコンの死後、残され ...
新型グループ・ライド 2021 Summer
IAMASオープンハウスの一環として、7月23日に新型グループ・ライドを開催します。これはオンライン・サービスを利用してコミュニケーションを取り、お互いに離れた場所ありながら一緒にサイクリングをする、新しいかたちの自転車ライドです。日本のみならず世界中どこからでも参加できます。自転車の方はもちろん、そうでない方も大歓迎です。是非ご参加ください。 新型グループ・ライド 2021 Summer 日時: ...
Bromptonのちょっとしたアクセサリー5選
Bromptonは基本的な形が美しいので、できれば手を加えたくない。一方で数多くのアクセサリーが発売されているので、何かと試したくなる。快適な走行や折り畳みを阻害しないことは大前提。そのようなせめぎあいを思い悩むのも、また楽しい。ここでは筆者が使っている小技的なお気に入りを紹介したい。ちなみに、筆者のBromptonは2014年モデル。年式によって異なる部分もあるので注意して欲しい。 ハンドルバー ...
自転車による通勤手当と出張旅費
新型コロナウイルスの感染を避けるために移動手段が変化している。電車やバスなどの過密な公共交通機関の利用が減り、代わって増えたのは自家用車、自転車、徒歩といった単独移動。ただし、自動車は交通渋滞になり、徒歩での長距離移動は難しい。そこで自転車だ。感染リスクが少ないだけでなく、市街地では自動車や電車よりも手軽に素早く移動できる。しかも心身の健康に良く、楽しい。 ここで気になるのは、業務での自転車による ...
TTTは面白い
自転車ロードレーサーにとってTTTといえば、「チーム・タイム・トライアル」のことだ。チームの人数は様々だが、3、4人で1チームとして走るレースもあればプロのトップチームが走るレースなどでは8人ほどのチーム全員が一丸となって走るものもある。 TTTはチームが一列になって走り、なるべく前を走る自転車とそれに続く自転車の間隔を狭くすることが重要となる。そうすることによって先頭のメンバーが風除けとなって後 ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (7) STUnlocker編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のソフトウェアの設定を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 これまではシマノの電動アシストSTEPSについてハ ...
自転車に乗ったあいつ、という生き物を撮る
友達が自転車に乗っている姿を写真に撮るのが好きだ。人が動いているのを見るが好きなのだと思う。動きには、それぞれの身体特性、蓄積した癖、その時の心の状態が表れてくる。 自転車遊びの写真は無人の車体と風景の組み合わせになりがちだが、「自転車に乗っている人」を撮る場合、自転車はもはやじっくり眺めるための展示物ではない。それは「拡張された人間」という生き物の一部として、運動の中に溶け込んでいる。 自転車と ...
湊ナオのイノセント・ツーリング
湊ナオの「イノセント・ツーリング」は、自転車で紀伊半島南部を巡るツーリング小説。この手の自転車作品の中で本作を特異にしているのは、出版日が2021年2月であること。そう、新型コロナウイルスのパンデミックが収束しないまま1年が経過した頃。何をどのように描くにしても、全世界が一変した状況を無視できないからだ。まったく新しい小説が生まれる可能性すらある。 さて、物語は2020年の8月に始まり、早々にコロ ...
オリンピックと自転車専用空間
Google マップの経路検索の交通手段選択タブに”自転車”が選択出来るようになっていた事に気が付いたのは、ピストバイクを東京都内で乗り始めてからである。どうやら去年から日本の一部地域で使えるようになったらしい。 Googleマップ、日本で「自転車ルート」に対応 10都道府県で(2020/09/18) 実際にGoogle マップが提案する経路通りに自転車を漕ぎ進めると、大概は自転車レーンのマークが ...
デイヴィッド・バーンのアメリカン・ユートピア
「アメリカン・ユートピア」(2020)はデイヴィッド・バーン(David Byrne)による舞台を、スパイク・リー(Spike Lee)が映画化した作品。デイヴィッド・バーンはトーキング・ヘッズのリーダーとして活躍し、白人ながらアフリカ音楽を大胆に取り入れたことで有名。スパイク・リーは黒人監督として「マルコムX」など数々の映画で人種差別問題を訴えている。その2人がタグを組んだわけだ。 この映画では ...
自転車と放蕩娘 (23) ライドから考えるアートとジェンダー
梅雨の晴れ間、久しぶりにロードバイクに乗ってみた。と言っても、野暮用で近所を走る程度でしかなかったが。それでも、行き先ではなく乗ること自体を目的に、走り出しからスピードに乗るまでの風を切る音やブレーキをかける感覚を味わうのが好きだ。走り去っていく風景よりも自身の五感に注意を向けると、ふと川沿いの湿度の厚みを思い出したりする。時間ができたら、杭瀬川周辺に出かけてみたい。今年は蛍を見られるだろうか。 ...
自転車の周囲を録画するサイクル・レコーダ
自動車の周囲の映像を常に記録するドライブ・レコーダは、万一の場合にも交通事故や危険運転などを録画して検証することができる。国土交通省の調査によれば2020年10月の時点でドライブ・レコーダの搭載率は53.8%と普及が進んでいる。一方、自転車については同様のサイクル・レコーダはまだまだ一般的ではないようだ。そこで実際の製品を購入して、その画質や使い勝手を調べてみた。 サイクル・レコーダの選択肢は多く ...
ジャン=ジャック・サンペの今さら言えない小さな秘密
「今さら言えない小さな秘密」はジャン=ジャック・サンペによる絵本(1995)、そしてピエール・ゴドー監督による映画(2019)。物語の主人公は片田舎の自転車屋さん。どんな自転車も素早く修理する腕の良さで皆から尊敬されている。そんな彼には誰にも言えない秘密があって、それはなんと自転車に乗れないこと。子供の頃から何度も練習したが乗れないまま…と設定だけでクスっと笑ってしまう。 そこに写真家がやって来て ...
シマノのサイクリング情報Cyclingood
Cyclingood(サイクリングッド)は、世界最大手の自転車部品メーカーであるシマノが運営する自転車関連のWEBサイトであり、年4回発行しているフリー・ペーパーだ。いわゆるオウンド・メディアながら、自社製品のアピールはほとんどない。健康、生活、社会の3つのテーマに沿って自転車がもたらす豊かさを発信するソフト路線で、ありがちなスポーツ・マッチョな雑誌とはまるで雰囲気が違う。 そのキャッチ・フレーズ ...
子供と親の自転車参与観察
吉本興行のお笑い芸人、小籔千豊による動画「フォートナイト下手くそおじさん」というYoutubeチャンネルがある。 小籔は自分の子供に勧められて渋々、テレビゲーム「フォートナイト」を始めてみたところ、面白くてゲキはまりしてしまったという。次第にゲームが上手くなりたいと思い、上記のチャンネルを作って上手くなるためのモチベーションとしており、配信では視聴者とチームプレイをしたり、自分の息子と一緒にゲーム ...
VanMoofのFind My機能
鞄や財布を置き忘れた時にiPhoneなどを使って探し出せるAirTagは、新しいタイプの製品として注目されている。従来からiPhoneやApple WatchなどのApple製品はFind My機能で探すことができたので、これを単体のアクセサリーとして汎用的に使えるようにしたのがAirTagだ。この円型の小さなデバイスは、それ自体が可愛らしく、何にどのように取り付けるかを工夫することも楽しい。 さ ...
赤松さんの羽根サンダル(「赤松さんは下駄自転車が欲しい」後編)
「究極の下駄自転車を考える」を書いた折、Critical Cycling主宰の赤松さんから「私も下駄自転車が欲しい」(大意)とのメッセージを頂いた。今回はそれを受け、ご本人との対談形式で「赤松さんのための下駄自転車」を考えてみることにした。まずは基本的な条件を検討し、「後編」でいよいよ実車を買う、もしくは組むところに追い詰めてゆきたいと思う。赤松さんは下駄自転車が欲しい(前編) 前回このような流れ ...
都内ピストバイク乗り始め
ピストバイクの購入 岐阜県大垣市にある大学院IAMASでの学生生活を終えて4年、東京代々木で一人暮らしを始めたことをきっかけに、念願の自転車を手に入れた。都心の様々な場所(新宿、渋谷、表参道、下北沢など)へアクセスが良い"代々木"という場所に住みながら、自転車を持っていなかった事がずっと気掛かりであった。 新しいもの欲しさに、大学院時代から乗っていたロードバイクではなく、シングルギアが特徴のピスト ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第26回 突然ながら最終回
気がつけば2年以上も書いているのだが、当初からもっとも気になっているゴダールの『勝手に逃げろ/人生』(1979年)に到達しない。つまり、自転車をきっかけに映像をみることがなんとなく楽しいということから、これを研究として分析する方法を探していたのかも知れないと、最近気がついたのだ。それは結果的に自転車から離脱するのだが、この文章を書いていたことからはじめていた「メディア技術の諸相を主題とした、NHK ...
AirTagは自転車を進化させるか?
長らく噂されていたAppleのAirTagが発売された。直径31.9mm、厚さ8.0mmで缶バッジのような小さなデバイスだ。これを財布に入れたり、カバンに取り付けておけば、置き忘れた時に簡単に見つけ出せるようになっている。iPhoneを使ってAirTagから音を鳴らす、その位置を地図で表示する、近くであれば方向と距離を示す、といった機能があるからだ。このAirTagは自転車でも使えるだろうか? も ...
自転車と放蕩娘 (22) 公共圏としてのジェンダー
自転車に乗るようになり、思いがけず克服したことがある。ライドをしながら撮影されることに対する恐怖心だ。画像や映像が拡散され、容易に特定される現在、無防備な状態を晒すなんてもってのほかと思うむきもあるだろう。女性であればなおさらかもしれない。にもかかわらず、映像との付き合い方を考え直すきっかけとなったのが、赤松正行の《Vanishing Ride/ 消失するライド》(2018-2019)であった。と ...
第2次自転車活用推進計画(案)へのパブリック・コメント
国土交通省が第2次自転車活用推進計画(案)に関するパブリック・コメントを求めている。案の公示が2021年4月28日で、意見の受付は同日から5月11日までと僅か2週間しかない。これでは国民の声を聞いているフリでしかない。わざわざビックリ・マークを付けたり、意見提出が30日未満の理由を空白にするサイコパス状態。しかし、僅かに与えられた機会だ。例え一言でも率直な意見を伝えよう。 第2次自転車活用推進計画 ...
続・オリジナルBromptonフロント・バッグ
Bromptonのフロント・バッグは、純正品からサード・パーティ製まで数多くの種類が販売されている。だが、それに飽き足らず、前回はキャリア・フレームを使ってキャリー・オン・バッグをBrompton化した。そして今回は、フレームのないキャリア・ブロックに嵌め込むアダプタを用いる。このアダプタをバッグに直接ボルト留めする豪快な方法だ。価格はAliExpressで1,209円だった。 4つのボルトでバッ ...
情報科学芸術大学院大学 紀要 第12巻「新型コロナウイルスと自転車」
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の紀要、その2020年度版にあたる第12巻が先日刊行された。その特集は「COVID-19以後のメディア表現研究」と題して、全世界を一変させた新型コロナウイルス感染症に対するIAMASでの取り組みを紹介している。これには、バイオ・アート、クラブ体験、福祉技術、舞台作品、イノベーション、建築など、多岐に渡る研究や表現が含まれる。 クリティカル・サイクリングからは「新 ...
オンラインと実会場、2つのサイクル・イベント
新型コロナウイルスの猛威がとどまらない昨今、自転車や関連グッズの展示会であるサイクル・イベントも大きな影響を受けている。昨年以来、多くのイベントが中止になった。屋外であっても多くの人が密集するイベントは感染リスクが高いからだ。そのような状況下で先月はオンラインで、今月は実会場で開催されたイベントに参加した。ニューノーマルのイベントは如何に在るべきだろうか。 サイクルモードオンライン2021 まず、 ...
[車輪の言葉、車輪の数] テンション
この連載では自転車の車輪やホイールについての考察を書き進めてきたのだが、前回記事の内容についてのコメントを受け取ったので、ここに取り上げさせていただいた。 改めて考えてみると、細いスポークで(しかも今回は少ない本数で)数十キロもの体重を支えられるのか疑問に思いました。連載をざっと見返してみましたが、そのあたりの解説はないですよね? ぜひ、初学者向けの車輪の力学講座をお願いします。 前回はホイールの ...
GoPro LabsのQRコードでお手軽セッテイング
GoPro Labsは、GoPro自らが提供する実験的な機能の数々で、アクション・カメラGoPro Heroや全天球カメラGoPro Maxで利用できる。中でも注目すべきはQRコードによるカメラ・コントロール。QRコードと聞くと野暮ったいイメージを持つものの、これが実に手軽で便利であった。GoProはカメラだからQRコードと相性が良く、GoProにQRコードを見せるだけで様々な設定が一気に行える。 ...
赤松さんは下駄自転車が欲しい(前編)
「究極の下駄自転車を考える」を書いた折、Critical Cycling主宰の赤松さんから「私も下駄自転車が欲しい」(大意)とのメッセージを頂いた。今回はそれを受け、ご本人との対談形式で「赤松さんのための下駄自転車」を考えてみることにした。まずは基本的な条件を検討し、「後編」でいよいよ実車を買う、もしくは組むところに追い詰めてゆきたいと思う。 宮田:赤松さん、こんにちは。 赤松:こんにちは。宮田さ ...
DJI FPVで一人称視点ライド
DJIの新しいドローンFPVを使って自転車に乗る。と書くと意味不明だが、要はドローンの機体を自転車の前部に取り付け、そのカメラからの映像をゴーグルで見ることだ。そうすれば、他の人が乗る自転車に乗る体験ができると考えた。言い換えると、これは自分の目を自転車に取り付けることであり、視覚としての幽体離脱、あるいは自転車への憑依かもしれない。 DJI FPVは目を完全に覆うゴーグルを使って一人称視点(Fi ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第25回 自転車から趣味の意味を考える
『時効警察』をいまさら見ている。2006年のドラマだ。当時も見てなかったので、ほんとにいまさらなのだが、三木聡を中心としたディレクターによる脱力感溢れる、“コールドケース”だ。『コールドケース』とは、CBSが2003年から放送していた、人気ドラマだ。近年日本版リメイクがwowowで放送されていた。『コールドケース』は、解決できなかった事件を再捜査するわけだから、まぁ、ろくでもない話が多い。特にアメ ...
新型グループ・ライド 2021 Spring
来たる4月11日に新型グループ・ライドを開催します。今回は少し趣向を変えて、ガイド役が周囲の様子を伝える映像と音声を参考にしながら、他の参加者は同じコースを辿ることを想定しています。この場合も、新型コロナウイルス感染予防のために対人距離を取るので、時間的に遅れて分散的に走行することになります。自宅などで視聴したり、後日に走行して追体験することもできます。 新型グループ・ライド 2021 Sprin ...
自転車と放蕩娘 (21) 続・サイクリングばあさん
前回の連載で紹介した、群ようこの「サイクリングばあさん」。その後、女性が自転車に乗ることに対して意識の差があるのか、インドからの留学生にも尋ねたところ、母親の世代は自転車に乗っていないという。彼女自身は自転車に乗ることに抵抗がないため、聞かれるまで意識すらしなかったと聞いて、このような日常の記憶を手がかりに、埋もれていくジェンダー意識を掘り起こすことに新たな可能性を感じ始めている。 改めて、昭和2 ...
星井さえこのおりたたみ自転車はじめました
星井さえこの「おりたたみ自転車はじめました」は、初心者向けに折り畳み自転車の楽しさとノウハウを伝えるイラスト・ブック。200ページ近いフルカラーの本書、平易な語り口と愛らしい絵柄で、その魅力に引き込まれる。なにしろ、公園で優雅にくつろぐ女性に憧れて、いきなり折り畳み自転車を購入する。「まずは形から入ってみた…!!」と圧倒的に正しい理論展開にエールを送りたくなる。 こうして折り畳み自転車を相棒として ...
猫と自転車に乗れたなら (12)
猫と自転車で花見ができたなら〜 今年の桜の開花は最速らしい。京都は例年より十日も早く、気がついたら葉桜のところも。トラコを背負って花見サイクリングするつもりなので、早く出かけないと散ってしまう。 今日は暖かく格好の花見日和。ランチはトラコと花見に行こう、といそいそ。が、そのトラコはグーグー熟睡状態。まあ、猫にとって昼間は幸せなお休みタイムなので起こすのはちょっと忍びない。「まあ、いいや」トラコとは ...
雪道とサイクリング
キタキツネの足跡を追って森の中へ 太宰治の小説『津軽』。冒頭に「津軽の雪」として7つの言葉が登場する。「こな雪 つぶ雪 わた雪 みづ雪 かた雪 ざらめ雪 こほり雪」 雪にこんなに種類があるのか、と驚く人もいるだろう。でも北国の雪はたった7つに分類できるほど単純なもんじゃない。降るタイミング(初雪、なごり雪)、雪の降り方(粉雪、淡雪、ぼたん雪)、積雪の様子(新雪、締雪:しまりゆき、垂り雪:しずりゆき ...
[車輪の言葉、車輪の数] 組み付け
気候がだんだんと温かくなり、新しい自転車を入手したならば、サイクリングの季節はすでに到来だ。新しい自転車は、完成した自転車をもう一台買うことに限らなくてもよい。バージョンアップやアップデートという手段もあるからだ。 服装に例えるならば、春に向けてひと揃いのスーツを買うことも新しい服装を手に入れることになるし、春らしい服や靴をそれぞれ個別に手に入れて自分の好みで組み合わせることも新しい服装へとアップ ...
Create MLでBromptonを機械学習する
これまでディープ・ラーニング(深層学習、機械学習の手法のひとつ)を用いて映画などの映像から自転車を見つけ出してきた。これは、コンピュータなどの機械が自転車を学習しているからだ。ただし、どのような車種であっても単に自転車として扱われる。そこでBromptonを学習させて、Bromptonとして検出することを試みる。そのためにAppleの機械学習トレーニング・ツールCreate MLを利用する。 ic ...
百年あまり前、オンタリオ湖のそばでサイクリングに明け暮れた女性たちの肖像
Ten diaries spanning 1893-1914 illustrate the life of a single working woman set free by the bicycle and enlivened by friendships, the Kodak, the theatre, and a connection with the natural world.1893年 ...
電動キックボードで公道を走行
これまで電動キックボード(電動キックスケーター)は、様々な制約のために私道や私有地を走行するしかなかった。ところが最近になってシェアリング事業の実証実験が行われたり、公道走行可能をうたう機種が発売されたりと何やら騒がしい。そこで筆者も公道走行可能な電動キックボードFG-EKR01-BKを購入した。税込価格は43,780円と、ちょっとした自転車よりも安い。 この電動キックボードは、圧縮陳列で有名なド ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第24回 実況者のレッスン2
Critical Cyclingにおいて、自転車に乗らないで参加は異端視されてきたが、クラウド・コンピューティングを使用したWeb会議サービス、Zoomを使用した新型グループライドにおいては、そこそこ歓迎される。その役割はグランド・コントロール──というとかっこいいのだが、要するに走行音で音量がうるさくなったサイクリストをミュートする役割──である。このことについては、「自転車に『乗る』ためのレッ ...
冬将軍と闘う3つの装備〜日常アップデート編
これまで何度か、寒い時期の自転車ウェアやアクセサリーを紹介してきた。ポイントは顔、手、足という末端を寒さから守ること。2年ほど前の日常編で普段遣いとして導入した帽子、手袋、靴は、暖かさは十分ながら、やや嵩張って大袈裟であった。その後、同じような機能性ながら薄くて軽いものにアップデートしている。寒空の通勤や通学の参考に、今回はそれらを紹介しよう。 顔の防寒対策 まず、頭にはモンベルのノースポール・キ ...
新型グループ・ライド 2021 Winter 開催レポート
2021年2月21日、やや肌寒くも快晴で爽快な朝、新型グループ・ライド 2021 WinterをIAMAS卒展でのイベントとして開催した。これは遠隔地にいながらオンラインで繋がって一緒にライドをする趣向。これまではZoomのビデオ会議とZenlyなどの現在位置共有を利用していたが、今回はClubhouseの音声チャットだけを利用することにした。つまり、声だけのグループ・ライドというわけだ。 Clu ...
猫と自転車に乗れたなら (11)
荷物を自転車に乗せたなら〜 立春も過ぎ、三寒四温の日々となってきたら、春はもうすぐ。そう、本格的な引越しシーズンの到来! 日本では、引越しが決まると業者に頼むのが一般的。私は「引越し貧乏」と揶揄されるほど引越しが多く、これまで30回くらいは引越ししている。若い時は2t車や4t車を借りて、自分で引っ越しすることが多かった。米国に住んでいた時は、みんなに見習って、U-Halのトレイラーを車につけて引っ ...
結束バンドでスノー・タイヤ、南極点を目指す
自転車のタイヤに結束バンドを巻き付ける。これで通常のタイヤがスノー・タイヤになる。雪に対するグリップ力が大きくなるからだ、結束バンドは取り付けが簡単で、価格も低いので、スパイク・タイヤなどに取り替えるより手軽だ。雪原を走るために専用のファット・バイクを用意するまでもない。雪が降り積もっていても、普段使っている自転車で出掛けられる。凍結した路面も怖くない。本当か? そこで数センチほど雪が積もった朝、 ...
[車輪の言葉、車輪の数] タイヤバブル1890
自転車の部品の中で、最も修理や交換の頻度が高いものといえば、タイヤではないだろうか。実際に自転車店からも、パンクの修理は売上収益の点でかなり効率のよい作業だ、という話を聞いたことがある。 長い車輪の歴史を見わたしてみると、車輪の構造や車輪の組み方は、時代を経ても大きな変化を起こしていないようにも感じる。それは中心にハブがあり、スポークで円周のリムとハブをつなぐ、そしてこの構造が地面上を回転すること ...
移動貧困社会からの脱却
楠田悦子の編著、高齢者事故からモビリティを考える会の執筆による「移動貧困社会からの脱却」は、クルマを運転できなくなった高齢者の問題に対して、多様な観点から解決策を紹介する書籍だ。日本は融通がきかないクルマ至上社会であり、壮年期にクルマを謳歌した高齢者がクルマを諦めざるを得ないのは、確かに「貧困」なのだろう。そのような煽情的なタイトルの本書、まずは目次を見ておこう。 序章 痛ましい高齢ドライバーの自 ...
究極の下駄自転車を考える
近頃「究極の下駄自転車」の妄想が頭の中で膨らんでいる。ひょいっと下駄をつっかけるように気軽に跨がって出かけることができ、歩くような低速でも快適で、速く走ろうと思えば応えてくれる、そんな自転車。その構成はどんなものになるか、自分の偏った経験と見聞を凝縮して記述してみたい。なお「~でなければならない」といった教義化は何よりも下駄の精神に反するので、「こうだったらよさそう」くらいの話として受け取ってもら ...
新型グループ・ライド 2021 Winter
来る2月21日に新型グループ・ライドを行います。これはオンライン・サービスを利用してコミュニケーションを取りながら、お互いに離れた場所ありながら一緒にサイクリングをする、新しい形の自転車イベントです。日本のみならず世界中どこからでも参加できます。自転車の方はもちろん、そうでない方も大歓迎です。新型コロナウイルス感染予防に努めながら、楽しくグループ・ライドをしましょう! 新型グループ・ライド 202 ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第23回 自転車を誤用する
前回、北野武が原作を書いた「たけしくんハイ!」での自転車のことを書いた。原作者である北野は、1989年『その男、凶暴につき』で、主演だけで無く、映画監督としてデビューする。当初は深作欣二が撮影する予定だった。 北野の映画に一貫することは、誤用である。『その男、凶暴につき』でもバッティングセンターに行くシーンがあるが、基本的にバットは凶器に使用される。ちなみに、野球をめぐる誤用は、その後の多くの北野 ...
Activ5でアイソメトリック自転車エクササイズ
ActivbodyのActiv5は、掌サイズの小さな筋力トレーニング用デバイス。いつでもどこでも手軽に使えて、スマートフォンのアプリと連携して効率的に筋力アップに取り組むことができる(はず)。圧力センサーが仕組まれた単純なデバイスだから、それほど期待していなかったものの、これが結構面白く思わず筋肉をプルプルさせてしまう。冬場や新型コロナウイルスでの運動不足解消にピッタリだ。 通常の筋肉トレーニング ...
自転車と放蕩娘 (20) サイクリングばあさん
昨年末、自転車にまつわるエッセイ、小説、詩、漫画のアンソロジー『自転車に乗って アウトドアと文藝』(河出書房新社、2020年)が刊行された。前回の赤松正行の記事「金子みすゞの電報くばり」に登場する金子の詩も収録されている。 その中で私の目に留まったのは、群ようこの「サイクリングばあさん」だ。まず惹かれるのは軽妙なタイトルだが、登場するのは群の母親だ。67歳で、近所に買い物に行くために「前傾姿勢にな ...
金子みすゞの電報くばり
大正から昭和にかけて活躍した童謡詩人、金子みすゞは、26年間の短い生涯に500編以上の詩を遺している。もっとも有名なのは「わたしと小鳥と鈴と」だろうか。「みんなちがってみんないい」と100年近く前に高らかに多様性を謳っている。いや、それは絶望からの希求かもしれない。それほど薄倖の人生であり、最後は自ら命を絶っている。そんな金子みすゞが自転車の詩を書いていることに、ふと気がついた。 赤い自転車、ゆく ...
猫と自転車に乗れたなら (10)
チョコレートを食べながら自転車に乗れたなら〜 1月下旬になると多くの人々の関心を集め、市場を賑わすのがチョコレート。そう、もうすぐバレンタインデー。コロナ禍で在宅勤務となり、義理チョコを配る必要もない。また、好きな人にチョコレートを渡すことは、不要不急の要件に、必ずしも該当するわけではないので、是非、自転車に乗って颯爽と届けたらいい。ということで、今回はチョコレートをテーマにしたい。 そもそもこの ...
Ass Saversはお尻の救済者
Ass Saversは自転車用の泥除けフェンダー。製品名は「お尻の救済者」とクスっと笑ってしまうし、スウェーデン製ながら、Made in a very rainy place(とても雨の多いところで作られたよ)と嘯くのも楽しい。リア用とフロント用があり、それぞれいくつかのバリエーションがある。一部例外もあるが、簡単に取り付けと取り外しができるので、使わない時は鞄などにしまっておける。 左から順にリ ...
[車輪の言葉、車輪の数] 手組み・完組み
自転車には、つくり続けていく楽しみがある。それは特定の時点に完成という点を打たずに、ずっと続いていく、つくり続けることを完遂したい、という密やかな悦びなのかもしれない。 といっても、自分自身で金属を加工したり、コンピュータで3次元モデル作成してパーツを作りだすというわけではない。それでも私は、自分のロードバイクをつくり続けている、と主張する。 これは先日送られてきた写真で、ロードバイクの前輪を挟み ...
新年新型グループ・ライド 2021
新年新型グループ・ライドのZoom画面 2021年の正月を迎えた。自転車家にとっての新年参賀のための移動手段は、言うまでもなく自転車である。しかし今の世の中は年が改まったからと言って関係なく、新型コロナウイルス感染症の影響が続いている。 そのような中で、季節や気候へ対応して自分の身体との調整を絶えずつづける自転車乗り、自転車家は、元日から出かける。祝賀の雰囲気は、たとえ寒くても防寒をして、年の改ま ...
自転車キャンプツーリング装備はこう考える:これから始める人のためのガイド(後編)
自転車キャンプツーリング装備の構築はどんな風に考えたらよいか。これをテーマに、未経験者に役立ててもらうべくスタートした対談の後編をお送りする。前回は「キャンツーは人それぞれ」「セットアップを形だけ真似るのはよくない」と確認した上で「住」「衣」を扱った。今回の主要ポイントは「食」と積載である。「形だけ真似るのはよくない」という前提は変わらないので、それがどういうことか分からなければ、まず前編を読んで ...
軽く自転車が登場するポップ・ソング5選
どこまでも拡大し常態化する新型コロナウイルス感染症、地球温暖化の逆証明なのか近年稀に見る大寒波、傲慢なポピュリズムにより崩壊寸前の民主主義などなど、目を覆いたくなる状況が続く。そんな時にこそ能天気な音楽を聴くのはどうだろうか。ここでは自転車の価値や意義はさておき、何故か自転車に関連する楽曲を取り上げる。もちろん、そこにも自転車ならではの何かがあるはずだ。 Carlos Vives & Sh ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第22回 ドラマを司る自転車の位置
この年末年始、1985年にNHKの銀河テレビ小説「たけしくんハイ!」の再放送があった。僕はどういうわけか、この時期の銀河テレビ小説がよほどお気に入りだったらしく、とにかく懐かしく見てしまうのだ。そしてこの「たけしくんハイ!」は特に見直したいと思っていたところが、DVDはもちろんのこと、VHSでもいまは手に入らないと諦めていたドラマだった。久しぶりに見て、どの回のエピソードも我ながらよく憶えていると ...
a+uのバイシクル・アーバニズム
雑誌「a+u」2021年1月号の特集が「バイシクル・アーバニズムー新しいモビリティと変化する都市」と知って取り寄せた。冒頭の数ページを除いて、その後のほぼすべての約190ページを自転車と都市に費やす充実度。建築と都市の情報誌らしく大判のカラー誌面に精細な図版と写真をちりばめ、細かな文字で詳細な情報を載せている。日本の雑誌ながら和英バイリンガル完全対応と海外志向も強い。 さて、ゲスト編集者でもある千 ...
自転車と放蕩娘 (19) オペラ歌手三浦環の自転車通学
前回の記事で紹介した、女性初の自転車世界一周を成し遂げたアニー・コーエン・コチョプスキー。彼女が日本を訪れた明治28年(1895年)3月、新聞各紙がその様子を伝えている。3月2日付けの『東京朝日新聞』の記事からは、東京での自転車流行とともに女性の一人旅に対する好奇の眼差しを窺い知ることができる。 自転車乗りの流行は独り東京のみならず目下欧米にても亦大流行となり貴女に至るまで意気揚々自転車に乗りて競 ...
Theta Z1で360度全天球映像のライブ配信
360度全天球カメラの多くは、映像のネットワーク配信が可能だ。この時、HMDを用いれば、鑑賞者は任意の方向を見ることができる。そこで自転車に乗りながら映像を配信すれば、鑑賞者は自宅に居ながらにして自転車に乗る体験が得られる。ここではRicohのTheta Z1(カメラ)とモバイル・ルータ、それにOculusのOculus Quest 2(HMD)を用いて、リアルなバーチャル・ライドを試してみよう。 ...
猫と自転車に乗れたなら (9)
サンタと自転車に乗れたなら〜 今年のクリスマスはステイホームという人たちがきっと多いだろう。しかし、子どもたちはCOVID-19(新型コロナウイルス)状況があろうとも、純粋にサンタさんを心待ちにしているはずだ。 ここ数年、この時期になるとサンタ姿で自転車に乗っている人を見かけるようになった。2014年には、サンタサイクリングがイタリアで流行ったが、そのせいか、仲間たちでサンタのコスプレ姿でライドを ...
松本俊夫の銀輪、そして憂鬱のアーカイブ
日本の実験映画の第一人者である松本俊夫の「銀輪」(1956)は、自転車を題材とした12分弱の短編映像で、日本自転車工業会が自転車の輸出促進のために発注した宣伝映画だ。これが東京大学を卒業後入社したばかりの映画会社での初監督作品だから恐れ入る。しかも制作に参加した山口勝弘や武満徹らも駆け出しだ。才能も技量も未知数の若手集団に任せるほどの進取の気概があったわけだ。 制作の経緯もさることながら、その内容 ...
[車輪の言葉、車輪の数] 車輪の先発明(主義)
「車輪の再発明」という言葉がある。 すでに一般に広まっている技術を知らないまま、新たに開発された技術だと考えているようなことを「それは車輪の再発明をしているようなものだ」と言うときがあるが、これは車輪があることを知らずに一から発明しようとする取り組みを咎めているというよりも、その取り組みが結果的に時間や労力や経費などを無駄にしてしまう、ほんとうは省くことができた仕事を省けなくする、そのような損失に ...
Bromptonに冬タイヤSchwalbe Winter
冬の雪道を走るために冬用のタイヤに履き替える。それはクルマだけでなく、自転車にも用意されている。しかも、小径車輪で心許ないBrompton用もあるのだから、どの程度の雪道性能があるのか試したくなる。ちょうど朝から雪がちらつく絶好のチャンスに取り出したのはSchwalbe Winter 16 x 1.2、泣く子も黙る72個の金属ピンが埋め込まれたプチ・スパイクなタイヤだ。 Schwalbe Wint ...
自転車キャンプツーリング装備はこう考える:これから始める人のためのガイド(前編)
サイクリングの道中での外寝は素晴らしいものだ。前回もバイクパッキング=冒険的な自転車旅のことを書いたが、今回(と次回)は自転車キャンプツーリング未経験者に参考にして頂くべく、その装備の組み立て方を論じる。本稿には対談形式を採用し、お相手には筆者が参加している「きゃんつー集い」の主催者ダイゴマン氏をお招きした。 イントロ:キャンツーは人それぞれ 宮田:ダイゴマンさん、こんにちは。今回は自転車で出かけ ...
Loop Mountでスマートフォンをマウント
近年、私たちの生活を一変させたテクノロジーを挙げれば、それはスマートフォンだろう。ところが、自転車に乗るとスマートフォンを適切に扱えない。手で持つのは危ないし、ポケットに入れると使えない。そこでスマートフォン・ホルダーを後付けするが、これまでの市販品は嵩張り不格好なものばかりであった。そこで機能性とともに美しい外観と使い易さを目指したのがLoop Mountだ。 この製品は7,404 人から£38 ...
QooCam 8Kの高解像度全天球映像で走る
360度全天球カメラで撮影した映像は、対応したHMDで周囲を見回して見ることができる。そこで自転車に取り付けて撮影すれば、自分が自転車に乗っているように感じるだろう。これは自分自身のサイクリングを思い出すのにも良いし、他の人の映像なら訪れたことのない場所を走る感覚が得られる。さらに何らかの事情で自転車に乗れない人にも、擬似的に自転車に乗る体験を提供することができる。 このような映像は上下左右前後と ...
自転車と放蕩娘 (18) 自転車での世界一周から考えること
去る11月18日、2人の女性が自転車に関するギネス世界記録を更新した。今年のギネス世界記録のテーマは「Discover your World」。そのタイトルにふさわしく、タンデム自転車で最速の世界一周を成し遂げたのが、イギリスの女性2人組、Cat DixonとRaz Marsdenである。 Cat DixonとRaz Marsden、愛車の「アリス」「Guinness World Records」 ...
ニック・フェルズのps[c]yched
ニック・フェルズ(Nick Fells)のps[c]yched(サイクド?)は、弦楽四重奏と自転車、そしてエレクトロニクスのための楽曲。2014年に委嘱されてイギリスのグラスゴーで初演されている。演奏風景の動画はないようだが、その録音が公開されている。車輪のラチェット音から始まる20分弱の演奏、まずはじっくりと聞いてみよう。耳慣れた自転車や弦楽器の音の他にも、何やら不思議な音が漂う。 nickfe ...
猫と自転車に乗れたなら (8)
猫と自転車に乗れたなら〜 先月の新型グループ・ピクニック 2020 Autumnでは、同僚の先生からブロンプトンを借りて乗ってみた。この折りたたみ自転車がどれほどの名車かについては、私の説明なぞ全く不要だが、その携帯性と積載性にはやはり驚かされた。はじめは紹介してもらったビデオを見ながら、折りたたみ方法を学んだ。見ているうちに、自転車の構造を活かしつつも、折りたたむ所作と畳まれた後の全体デザインに ...
Mr.ビーンのカンヌで大迷惑?!
Mr.ビーンはイギリスの大人気コメディTV番組であり、ローワン・アトキンソンが怪演するキャラクタ。言葉ではなく極端に歪ませた表情と身振りで爆笑を引き起こし、先輩格のモンティ・パイソン同様に際どいブラック・ジョークを撒き散らす。そんなMr.ビーンの最終作となった劇場映画「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」のパッケージでは、レッド・カーペットを自転車で走っている。これは期待せざるを得ない。 「Mr.ビ ...
[車輪の言葉、車輪の数] ツールのホイール
秋も深まった紅葉の時期にツール・ド・フランスを話題にすることは、少し変な感じがするかもしれない。しかし、今年のツールは開催時期が例年と異なっていたことは、皆さんがご存知の通りである。 第107回となるこのレースは、2020年6月27日から7月19日まで行なわれる予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行により延期となり、8月29日から9月20日までに変更された。およそ2か月遅れた世界最大の自転 ...
iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxで自転車ビデオ撮影
スマートフォンに搭載されるカメラの性能向上は著しく、多くの人が手軽に美しい写真やビデオを撮影している。もはや単体のカメラは必要ないほどだが、それでもスマートフォンは望遠と手振れ補正(スタビライズ)は苦手だ。そこで今回は手振れ補正が強化されたAppleのiPhone 12 Pro(以下、Pro)とiPhone 12 Pro Max(以下、Max)を自転車のハンドルバーに取り付けてビデオ撮影を行った。 ...
落葉松に落葉松の風―晩秋の信州をゆく週末バイクパッキング
土曜の未明から信州へ出かけた。最低気温が0度を下回る高原に集まりキャンプをする約束をしていて、そこへ行くのに通ってみたい道があった。季節やエリアも含め、自分にとっていくぶん冒険性を伴うルート。文明から離れる方向性を帯びた自転車旅のことをバイクパッキングというが、短いながらそんな感じのツーリングができた。道中のメモを元に、その手触りを振り返ってみたい。 「落葉松」の名前を思い出したのは、山に入ってし ...
今お勧めしたいレッスン用自転車3選
自転車を思索する詩人、松井茂がママチャリを錆び付かせたと嘆いている。となると、自転車に「乗る」レッスンをしていたのか否か、大いに怪しい。しかも今後、ママチャリなしの思念はあてどなく遥か彼方へと彷徨いかねない。もちろんそれは断固回避しなければならない。形而上と形而下の両輪のバランスを取ってこそ、私たちは自転車に「乗る」ことができるからだ。 そこで予算や用途などにはこだわらずに、今お勧めしたい自転車を ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第21回 初心忘れるべからず
最近赤松さんのインタビューが公開されている。そこには僕のこと、この連載のことが書かれている。 - 自転車を持っていない人も参加できますか?かならずしも自転車に乗る必要がないのが、クリティカル・サイクリングのおもしろいところです。「宣言」を起草したメンバーのひとりである松井茂先生は、ママチャリを持っているらしいんだけど、乗っているところを見たことがない。そんな彼がブログに書いているテーマは「自転車に ...
自動車王ヘンリー・フォードは自転車好き
ヘンリー・フォード(Henry Ford)は自動車会社フォードの創立者であり、実用的な自動車を普及させてモータリゼーションを導いた自動車王だ。同時に環境汚染、交通渋滞、交通事故を深刻化させた張本人であるわけで、クルマに悩まさせるサイクリストとしては目の敵にしたいところ。だが意外にも彼は自転車好きであったことが知られている。 Henry Ford with a Bicycle, Detroit, M ...
自転車と放蕩娘 (17) 久保田成子《デュシャンピアナ:自転車の車輪》
2021年の3月から新潟県立近代美術館で開催される「Viva Video! 久保田成子展」の情報が公開された。久保田成子(1937-2015)は、ニューヨークを拠点に活躍したヴィデオ・アーティスト。1970年代に映像と立体を融合させた「ヴィデオ彫刻」を発表し、その中でもマルセル・デュシャンの作品を参照したシリーズ「デュシャンピアナ」は高く評価されている。 久保田成子と《ヴィデオ・ポエム》1968- ...
iPhoneのLiDARで路面スキャン
iPad Pro(2020)に続いて、iPhone 12 ProおよびiPhone 12 Pro MaxにLiDARスキャナが搭載された。これは目に見えない数百個もの赤外レーザー光を放ち、それらが前方の物体から跳ね返ってくる時間を測る。これによって前方の物体までの距離や形状を正確に計測できるわけだ。暗い場所での素早いオート・フォーカス、ARオブジェクトの自然な配置、様々な空間的映像エフェクトなど、 ...
猫と自転車に乗れたなら (7)
猫と自転車に乗れたなら〜 先週の土曜日、筆者は「新型グループ・ピクニック 2020 Autumn」に参加、ミニFMの実験的放送を試してみた。実験の主な目的は災害時に使える簡易ラジオ放送の模索。しゃべり手がiPhoneのマイクアプリで自分のしゃべりや道ゆく人たちのインタビューを、同じiPhoneに接続したトランスミッターを通して電波として発信。この電波を筆者の自転車の前面につけたラジオで受信する。U ...
NACTOの街路のパンデミック、その対応と復興
全米都市交通担当官協会(NACTO)が作成した「Streets for Pandemic Response & Recovery」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する世界各地のストリート・デザインをまとめたもので、英語版とともにアラビア語、イタリア語、日本語、ポルトガル語、スペイン語、トルコ語の翻訳版が公開されている。日本語版のタイトルは「街路のパンデミック 対応と復興 ...
[車輪の言葉、車輪の数] ラジアルとタンジェント
ある日、自転車に乗って交差点の信号待ちをしていたところ、少し離れた場所からこちらを見ている男性が軽く会釈のようなしぐさをしたかと思うと、ゆっくりと私のほうへ向かって歩み寄ってきた。 「時々見かけるんですけどね、このラジアル組みにはどういう意味があるんですか?」 男性は私の自転車の前輪のほうを手でやんわりと指しながら、小脇には風呂敷に包まれた荷物を抱えながら、少し照れたような様子で話しかけてきた。ふ ...
マウリシオ・カーゲルの111人のサイクリストのための音楽
マウリシオ・カーゲル(Mauricio Kagel)の「Ein Brise」(1996)は、ドイツ語で「そよ風」の意味で、なんと111人のサイクリストによって演奏される楽曲だ。実際に何度か演奏され、その記録が公開されているので、まずはビデオを見て聞くのが良いだろう。本当に111人もいるのか数えようもないが、老若男女随分と多くの人が自転車に乗って演奏を楽しんでいる。 この曲のサブタイトルは「Fugi ...
百年以上前に自転車キャンプツーリングを確立したトーマス・ホールディングが気になる
(C) Michi Mathias 合理的思考の可能な自転車ユーザーがツーリングの際にわざわざキャンプをする理由といえば、経済的に困っているか、野蛮な気質が多く残り過ぎているかである。合理的に言えば、いずれについても恥じる必要はない。 トーマス・ハイラム・ホールディング (Thomas Hiram Holding, 1844-1930) の、ちょっと回りくどく、そして魅力的な言葉だ。今回は自転車キ ...
新型グループ・ピクニック 2020 Autumn
ニュー・ノーマル時代に向けて「新型グループ・ピクニック」を開催します。これは新型コロナウイルスの感染を避けて、人々がオンラインで繋がるピクニックです。自宅でも景勝地でも、徒歩でも自転車でも構いません。好きな場所で好きなスタイルで、スマートフォンを持って参加してください。映像を送り合い、会話をしながら、遠隔地の人々と一緒にピクニックを楽しみましょう。 新型グループ・ピクニック 2020 Autumn ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第20回 完璧な乗り物
この半年ほどNetflixを見るようになった。よくもわるくも世界中で番組を制作して配信している面白さ、過剰さ、雑さ、番組っぽさと動画っぽさが入り交じる。ここ数日、というか、一気見してしまったのだが……、「タコスのすべて」(Las cronicas del taco)だ。 10年以上前になるが、メキシコの大学に詩の朗読で呼ばれた際、なんとも心地のいい街で食べたタコスはたしかに美味かった。しかしこれが ...
GoPro HERO9のアンニュイな進化
毎年秋になるとiPhoneの新機種が発売される。同じようにGoProのHEROシリーズもまた秋に新機種が発売される。これらは季節の気象現象のようであり、デジタル民族の秋の収穫祭かもしれない。そのような冗談はともかく、2018年のHERO7、2019年のHERO8に続いて、お約束のようにHERO9が登場した。毎年の進化の最新型がどのようなものであろうか。 世間的には前面のカラー・ディスプレイやセンサ ...
自転車と放蕩娘 (16) 環境型電動アシスト自転車キットのパイオニア
女性と自転車をテーマとするこの連載で、自転車エアバッグを開発した2人の女性をとりあげたことがある。他にも自転車に関わる発明がないか探してみたところ、Christine Outramの記事を見つけた。彼女は2009年、MITの学生チームの一員として、電動アシスト自転車キットの開発、製品化のプロジェクトThe Copenhagen Wheelを牽引した。 所有する自転車にアタッチメントを取りつけて、電 ...
自転車を載せてテスラで出かけよう〜モデル3編
クルマの役割のひとつに自転車を乗せることがある。これで混雑する市街地を避けたり、自転車では難しい遠方まで出掛けたりできる。このとき、ルーフ・マウントなどのキャリアを利用する他に、自転車をそのまま車内に収めることもできる。ここではテスラ(Tesla)の中では一番小さく、大きな荷物が載せにくいセダンであるModel 3での、自転車の車内搭載を見てみよう。 TESLA Model 3 Roof Rack ...
猫と自転車に乗れたなら (6)
猫と自転車に乗れたなら〜 今年の夏は、自転車に乗るのも躊躇わせるほどの猛暑だった。とは言うものの「暑さ寒さも彼岸まで」で、9月下旬になるとさすがに秋めいてきた。いよいよ自転車乗りの季節到来である。そこで、とある晴天の日曜日、久々にトラコとルンルンのサイクリングに出掛けた。 トラコはぺキュートバッグに入ると、ちょっと得意げ。「わたし、今からお母さんと出掛けるの〜」、と他の猫たちに自慢しているようにも ...
新型コロナウイルスと自転車:マスク番外編
新型コロナウイルス感染予防のために、先の記事では夏に自転車に乗るためのマスクを紹介した。そして季節は巡り、肌寒い日もある秋ともなればマスクの暑苦しさも幾分は解消される。これからも各メーカーは素材やデザイン、そして機能を追求して、四季ごとに多様なコレクションを打ち出すだろう。だが、その前に一風変わったマスクも紹介しておこう。 犬柄のフェイス・マスク 目だけを出して頭から首までを覆うフェイス・マスク( ...
[車輪の言葉、車輪の数] 18mm あるいは 20mm
人類学者ティム・インゴルドは、「物質(素材)と想像力(作り手)との相互作用による応答」が、対象を観察をする上で大切にすべきことであると主張している。ただ漫然と見て記録するのではなく、人が身の回りにある素材に対して真剣に向き合い、そのありかたを受けとめて、素材とともに自らも変化を起こしていくことが重要である。「つくること(メイキング)」とは、このような応答=コレスポンダンスによって達成される、とい ...
ジャネット・サディック=カーンのストリートファイト
ジャネット・サディック=カーン(Janet Sadik-Khan)による「ストリートファイト(STREETFIGHT)」は、彼女がニューヨーク市の交通局長として取り組んだ都市改革について著している。共著者はメディア戦略を担当したセス・ソロモノウ(Seth Solomonow)。日本語版は400ページ弱で、巻頭のカラー写真だけでも30ページあり、本文中にもモノクロ写真が豊富に掲載されている。 ジャネ ...
夏の終わり、数十キロの崖線をポケットにしまう
9月の初めの土曜日、友達と崖線サイクリングに出かけた。近場の多摩川河川敷から「立川崖線」を辿り、扇状地の頂点へ。子供の探検のような、場所から離れるのではなく場所に近づくための移動を繋ぐライドは、市街・郊外・山間部を縫い合わせてこれらの境界をぼかし、距離の感覚を更新させてくれた。 立川崖線をなぞるルート(の一つ) 立川崖線は多摩川が過去に形成した河岸段丘の連なりの一つで(他に国分寺崖線などがある)、 ...
新型コロナウイルスと自転車:マスク編
新型コロナウイルス感染症の流行から数ヵ月が経過し、落ち着く気配があるのかないのか分からいまま、鈍痛のような危機感を覚えながら毎日を過ごしている。今後の見通しには諸説あるものの、100年前のスペイン風邪に倣うなら、収束までに何年もかかるだろう。つまり、今後も感染予防に努めなければならない。具体的には身体的距離を保ち、マスクをつけ、手洗いをし、三密を避けることになる。 このうちマスクが悩ましい。特に何 ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第19回 未完結の時間
前回実況したことを書いた。メディアは違うけれど、主観的には中継をしている。見ているという状況だ。それをある放送人は、かつて「未完結の時間」と言った。映画とちがって、いちど撮られ、場合によっては編集されている映像ではない(誰かしらこのあとどうなるのかを知っている)、テレビジョンによって実現された時間、空間、つまり状況。なにが起こるのか、どうなるのか、同時中継である以上、制作者も視聴者も誰もこの映像の ...
ケイシー・ナイスタットの自転車レーン
ケイシー・ナイスタット(Casey Neistat)は映画監督にしてYouTuber、トレード・マークのサングラスをかけてデジタル・ガジェットを使い倒し、ニューヨークを所狭しと駆け回る悪ガキぶりが印象的。そんな彼の出世作となったのが自転車に乗って自転車レーンを走るビデオ、その名も「Bike Lanes」(2011)。それは当たり前では?と思うと大間違い。早速、その動画を見てみよう。 冒頭でケイシー ...
自転車と放蕩娘 (15) ヘレン・ケラーとタンデム自転車
「寛容は精神の大いなる賜物。それは、自転車でバランスをとるのと同じように、脳の努力を必要とします。」とは、ヘレン・ケラーの言葉だ。 ヘレン・ケラーは一歳八ヶ月のときに患った病気のために盲聾となり、六歳から始まった家庭教師アン・サリヴァンの指導によって障がいを克服。ケラーが井戸水に触れ、もう片方の掌にサリヴァンが「w-a-t-e-r」と綴った瞬間、モノに名前があることを知る「奇跡」の逸話は、ウィリア ...
iPhoneのTrueDepthカメラで路面スキャン
iPad Pro(2020)背面のLiDARスキャナを評価した際に、iPhone Xなどの前面に備わるTrueDepthカメラに比べて「自転車走行に似合うのはLiDARだ」と考えた。どちらも3次元空間の深度を取得する目的は同じであるものの、それぞれの動作原理から得手不得手を推測したわけだ。だが、本当にそうであろうか? 机上の空論はサイクリストに相応しくない。実際にTrueDepthカメラを試してみ ...
猫と自転車に乗れたなら (5)
前回は猫がうまく自転車を利用している話だったが、今回は自転車に乗ってくる“ある人”と野良猫の関係についてである。 自転車に乗ってくる“ある人”とは、自転車で自分たちに食事をもってきてくれる人。一般に「ホームレス」と呼ばれる人。 今年3月、岐阜市長良川で野宿生活をしている男性が5人の若者に暴行され尊い命を奪われた。もともとは河原の猫たちに石を投げていた若者たちから守ろうとしたこの男性に対し、矛先を変 ...
エイミー・ウォーカーの自転車生活でいこう!
カナダのバンクーバーで暮らすサイクリスト、エイミー・ウォーカーが編集した「自転車生活でいこう!」は、サブタイトルの「自転車が人生を変える50の理由」が示すように、50の観点から33人の自転車好きが自転車を論じたエッセイ集だ。以下のように序文にあたる1章に続いて4部構成でまとめられており、どこから読んでも構わない。各章は数ページと短く、気軽に読むことができる。 1章 自転車がもたらす「魔法の瞬間」( ...
[車輪の言葉、車輪の数] 2分の1
真夏のサイクリング中、ロードのほど近くを流れる川に頭まで浸かって、汗を流して体温を下げ、生きかえったような心地でまたペダルを回し始めることがある。近年の夏は大変暑いので、川に浸かりに行くためにサイクリングに出かけるようなことがあっても不思議はない。 着替えをする用意があるようなこと事は稀であり、水に浸かってしまうとびしょ濡れになってしまうのではないかという心配があるかもしれないが、それは要らぬ心配 ...
トヨタの未来都市Woven Cityを走る自転車
トヨタ(Toyota)は世界最大の自動車メーカーながら、販売台数が3%程度しかない弱小メーカーのテスラ(Tesla)のほうが時価総額が高い。つまり企業価値がないと見なされた屈辱的な立場にある。そのような危機的状況を脱するべく、トヨタが考える未来の都市像をWoven City(ウーブン・シティ)として発表している。2020年1月、世界最大の消費者向けエレクトロニクス展示会CES 2020でのことだ。 ...
道中で目覚めるための装置としての自転車
出かけた先で眠るのが好きだ。もっと正確には、目覚めることが好きだ。絡み合い継ぎ足され続いてきた意識と思考の綱を、眠りによって断ち切り再スタートする。世界が新鮮さを取り戻し、感覚のチャンネルがいっせいに開かれる。あたかもそこで生まれ直したかのように、場所との関わりが一から始まる。このプロセスと自転車はとても相性が良いように思う。 友達との待ち合わせ時刻まで仮眠した河川敷ベンチ 夏のある日、八ヶ岳の裾 ...
トーマス・スティーブンスの自転車世界一周冒険譚
自転車乗りなら自転車で世界一周を一度は夢見るかもしれない。だが実際には困難極まりない。時間、費用、体力、気力、いずれも途方もないからだ。そんな偉業を世界で初めて成し遂げたのが、イギリスのトーマス・スティーブンス(Thomas Stevens)だ。しかも、時は19世紀末、ペニー・ファージングと呼ばれる前時代的な「だるま型」自転車だったのだから、驚いてしまう。 ペニー・ファージングに乗るトーマス・ステ ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第18回 実況者のレッスン
今回は、すこし趣向を変えて、僕自身が映像のなかに入り込んだ、自転車に「乗る」ためのレッスン。というのは、2020年7月23日に開催された、「Critical Cycling 新型グループ・ライド」で、赤松武子さんと実況を担当した体験について、振り返っておきたい。すでに、「新型グループ・ライド 2020 Summer 開催レポート」(2020年7月27日)があるので、そちらとあわせてお読みいただける ...
iPad ProのLiDARで路面スキャン
2020年3月に発売されたiPad Proには背面にLiDARスキャナが搭載されている。これは目に見えない赤外領域のレーザー光線を照射することで、前方の物体の形状や距離を測定する。端的に言えば三次元スキャナであり、計測や測量はもとより、ARでの自然な描画(隠面消去)も可能になる。ロボットや自動運転の自動車が周囲の環境を把握する技術を、日常生活用品のタブレットに搭載した訳だ。 それではiPad Pr ...
自転車と放蕩娘 (14) マリー・キュリーの新婚旅行
小中学生の頃、多くの人が読む伝記の一冊に『キュリー夫人伝』がある。娘のエーヴがマリーの死の4年後1938年にこの伝記を出版した同年、日本でも白水社から翻訳が出版されている。アメリカでは1943年に伝記に基づいた映画『キュリー夫人』が製作されているが、この映画は日本では1946年2月、アメリカ映画輸入再開第1号として公開された作品でもある。科学教育を背景に、マリー・キュリーの伝記がひろく普及したこと ...
新型グループ・ライド 2020 Summer 開催レポート
IAMASオープンハウスの一環として行われた新型グループ・ライド 2020 Summerは、新型コロナウイルス禍とともに、異常気象とも言える長く降り続く梅雨空の元で行われた。激しい雨で走行を断念した人も多かったものの、結果的に自転車に乗った参加者と自宅から参加者との割合が程良く、絶妙なホストの進行でトーク・ショウとしても楽しめたと思う。 具体的には自転車に乗っていたのはIAMASがある岐阜県西濃地 ...
猫と自転車に乗れたなら (4)
猫と自転車に乗れたなら〜 前回まで、いかにして「猫と一緒に自転車に乗れるか」について、世界各地の事例をもとに、筆者が実践したことを書いてきた。 猫と自転車に乗ることは、確かに簡単ではなかった。しかし、それは猫が自転車を好きではない、ということではない。むしろ、猫たちは自転車が好きなのではないかと感じている。 そこで、今回は猫になったつもりで、猫が自転車に向けて積極的にアプローチすることもあるという ...
新型グループ・ライドのギア、オーディオ編
新型コロナウイルスの感染予防に配慮した新型グループ・ライドは、各地の人々が自転車に乗りながらオンライン会議システムに集う。その際に音声による参加者同士の会話が重要なので、聞き取り易いイヤフォンやマイクを使いたい。ただし、耳を塞いで周囲の音が聞こえない場合は安全運転義務違反になる。そこで安全に会話できるであろうオーディオ製品をいくつか試した。 具体的にはIAMAS学生の柴田英徳が、自転車に乗って建物 ...
[車輪の言葉、車輪の数] 32ノッチ
車輪は古来から修繕して使用するもので、破損した箇所があったら取り替えて使っていた。 日本の平城京平安京の時代でも、車輪を購入した公式な記録が残されており、そこには車輪一式に加えて、取り替えや修繕のための部材も一緒に調達していたことが分かる。 車輪は歴史の長い技術だが、しっかりと手入れをしておかなければ、役目を果たさなくなってしまうということは、ずっと変わっていないことがわかる。 自転車をメンテナン ...
新型グループ・ライド 2020 Summer
来る7月23日に新型グループ・ライドを行います。これはオンライン会議サービスを利用して、お互いに離れた場所でコミュニケーションを取りながらサイクリングをする、新しい形の自転車イベントです。日本のみならず世界中どこからでも参加できます。自転車の方はもちろん、そうでない方も大歓迎です。新型コロナウイルス感染予防に努めながら、楽しくグループ・ライドをしましょう! 新型グループ・ライド 2020 Summ ...
「サイクリング」「サイクリスト」のフレームの外へ
cycling と「サイクリング」はイコールではない。このことを再確認し共有する必要を、近ごろ強く感じる。COVID-19パンデミックを受け世界で盛んに交わされている自転車利用全般の話が、日本語に入ってくるなり「サイクリング」の話になっていることが少なくないからだ。今回はそのあたりについて書いておきたいと思う。 翻訳に気をつけよう cycling は「サイクリング」に限らない、あらゆる自転車利用の ...
新型グループ・ライドのギア〜ビジュアル編
新型コロナウイルス禍における新型グループ・ライドでは、各地に散らばる参加者が同時にサイクリングをしながら、オンライン会議システムでコミュニケーションを取ることを試みた。この時、お互いにカメラの映像を送っていても、それを見ながら走ることは難しい。iPhoneの画面を見ながら走行するのは危険だからだ。そこで、この問題を解消すべく、特殊なディスプレイを試してみた。 Vufine+ ビューファインのVuf ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第17回 映画の過剰摂取!?
2020年1月。このWeb連載、「自転車に「乗る」ためのレッスン」について話す授業をした。正直なところ、準備を重ねた割に、自分が考えていること、書いてきたこととはなにか? を手探りで振り返る時間となり、聴講した学生にとっては、この人は何を面白がっているのだろうか? と訝られるばかりの授業となっていたに違いない。 僕にとってもこの連載は、「自転車に「乗る」ため」と称して、映像に「乗る」ためのレッスン ...
テスラで行こう
一昨日、つまり2020年7月1日にテスラ(Tesla)の時価総額がトヨタを上回り、自動車業界のトップに立った。テスラはアメリカの電気自動車(EV)メーカーとして有名だが、その販売台数はトヨタの3%程度しかない。つまり、僅かな数の自動車しか売っていないにも関わらず、世界でもっとも価値が高い自動車メーカーになったわけだ。これは自動車業界の新旧交代を鮮烈に印象付けている。 電気自動車は環境に優しく、燃費 ...
自転車と放蕩娘 (13) 女性のための自転車アクセサリー
新しい趣味やスポーツを始める時、「道具から入る」という人もいるだろう。私自身はそこまで極端ではないつもりだが、使い心地の良さにはめっぽう弱い。特に、自転車用品はミニマルかつ高機能なものが多いのも、魅力のひとつだと思う。ここのところ作品論の連載が続いたので、今回は肩の力を抜いてお気に入りの自転車アクセサリーを紹介する。 ロードバイクに乗るつもりだが何を最初に購入すべきかと聞かれたら、迷わずお勧めする ...
巨大積載量を誇るフード・デリバリー用バッグ
新型コロナウイルス感染防止として自転車が注目されている。満員電車や交通渋滞を避けることができ、環境負荷が低く、健康にも良いからだ。もっとも自転車も万能ではない。例えば、大きな荷物を運ぶのは簡単ではない。トレーラーやカーゴ・バイクなども考えられるが、気軽に普通の自転車でとなると大型のバックだろう。そこで今回は最大級のサイズであろうフード・デリバリー用のバッグを紹介したい。 この手のバッグを数年前にロ ...
猫と自転車に乗れたなら (3)
猫と自転車に乗れたなら〜 猫は自転車に乗せることが難しい動物である。しかし、飼い主の努力と便利なグッズ次第で、一緒に自転車に乗れるようになる。前回の記事を読んでいただいたみなさんからの目には見えないエールを感じた私。実践編をお伝えすべく、自分向けのミッション「猫と自転車に乗る」プロジェクトを立ち上げた。 頼りになるのは便利なグッズ。前回の記事でも紹介したペット用バックパック「ペットキュート」を使う ...
ルカ・ブルームのアコースティック・モーターバイク
ルカ・ブルーム(Luka Bloom)はアイルランド出身のシンガー・ソングライター。1992年にリリースされた「The Acoustic Motorbike」は、同名のアルバムのタイトル・チューン。冒頭の鳥や動物の鳴き声に自転車のホイールやベルの音が混じり、性急なカッティング・ギターによって曲が導かれる。アイリッシュ・ラップやフォーク・パンクとでも言いたくなる語り歌は、力強く疾走感にあふれている。 ...
[車輪の言葉、車輪の数] “21” について
2020年5月21日、薄曇りの天気の下、京都市南区東九条南石田町にある「竹田工務店」の前にやってきた。 この日の目的は、ある調査を行うために、実際の作業が行われている現場に行き、作業状態の確認を行うことである。その調査の対象となるものは「車輪」だ。 竹田工務店の建屋の中に入るとすぐ、その「車輪」は目に入ってきた。「車輪」はおよそ2メートルほどの直径がある大きさで、上部をベルトで釣り上げられ、地面と ...
2001年未来のサイクリング
かつて予言された未来に自転車は存在するのだろうか? その例を1969年に刊行された謝世輝著「2001年の世界」に探ってみよう。これは21世紀の社会と生活を予測した子供向けの未来書だ。高度経済成長が続き、科学技術があらゆる問題を解決している。自動車は空を飛び、列車は透明チューブを突き進み、宇宙船は木星へ向かう。核融合、自然改造、気象制御、病気征服、生命改造など何でもありの無敵状態。 そのような200 ...
生活圏から始まる冒険のための都市グラベル・暗渠サイクリング
自転車遊びには一つのジレンマがあると思う。それは、走行能力や機材グレードの向上に伴って「より遠くへ行くこと」が支配的な尺度になり、自分の生活圏が楽しみの空白地帯と化してしまうことだ。このジレンマから脱する方法の一つとして、私(東京都内市街地在住)がよくやっている、都市グラベルや暗渠を辿るサイクリングを紹介したい。 暗渠かつグラベルという素晴らしい道 都市グラベル・都市トレイル 「グラベル」というの ...
技適未取得機器を用いた実験等の特例制度
近年はサイクル・コンピュータ、電動シフト、電動アシストなど自転車の電気化・電子化が著しい。これらがワイヤレス通信を行うのであれば、法的には安全基準などの技術的要件が認証された技適マーク付きの機器を用いる必要がある。技適マークがない海外製品については「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用して届け出ることになっている。 この特例制度は、海外の製品が当該国での認証を受けていれば、短期間の実験や ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第16回 『ボローニャ紀行』に書いてなかったこと
前回、2004年にNHKが制作した番組「井上ひさしのボローニャ日記」について書いた。そして今回、映像からすこし離れて、この番組の滞在をもとにした、井上ひさし『ボローニャ紀行』(文藝春秋社、2008年)から、自転車デモの行方を書こうと思った。しかし、本書には、その記述がまったくなかった。ないのだから仕方ないのだが、あの話題は番組だけで終わってしまって、この街を巡る文明に関する議論には接続しなかった。 ...
新型コロナウイルスと自転車:道路編
要約 新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により電車やバス、自動車の利用が減少する中で、徒歩や自転車での移動が重要になった。このために、欧米では道路の一部を自転車や徒歩での移動のために転用している。具体的には障壁物を並べた即席の自転車レーン整備や道路全体のカー・フリー化などがある。一方、日本ではそうした緊急の道路整備が行われていない。以前から安全な自転車走行空間が少なく、路面の混在通行マークや塗 ...
自転車と放蕩娘 (12) 子どもの頃に見た世界 よつばと!じてんしゃ
自宅勤務が続くと、いつも以上に五感が四季の変化を求めるようだ。湿度を含んだ風に乗って運ばれてくる麦の香りや、蛙の鳴き始める時間を知ったのも、大垣へ来て5年目で初めての経験だ。そんな折にふと思い出したのが、あずまきよひこの漫画『よつばと!』だ。今回は5歳の少女、小岩井よつばが自転車と出会うシーンに注目したい。 第6巻で、よつばは近所の坂田自転車店にとーちゃんと自転車を買いに行く。 以来、補助輪付きの ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 5月(後編)
「のりりん」(全11巻)鬼頭莫宏 自転車漫画「のりりん」の第1話では、自動車が趣味である主人公が、自転車に乗っている人が嫌いである理由を告白している。その理由のいくつかをセリフから抜き出すと 「スポーツだか移動手段だかはっきりしない」 「非日常を無理やり日常の中に持ち込んでる」 「妄信的で自分たちこそ最高みたいな感じ」 「興味のない人間にも強引に勧めようとする」 ということであり、故に自転車には乗 ...
猫と自転車に乗れたなら (2)
猫と自転車に乗れたなら〜 猫は自転車に乗せることが難しい動物である。ゆえに、猫と自転車に乗っているだけで世の羨望の眼差しをうける。ましてや、一緒に自転車で世界を旅しているとなれば、それだけでワールドワイドなYoutuberになれる、というのが前回のお話。 あれからさらに調べてみると、自転車に乗るのが好きではない猫も、練習すれば乗れるようになれるらしい。人間が自転車に乗れるようになるための練習が必要 ...
Nreal Lightで拡張現実ライド
HoloLensとMagic Leap Oneに続いて、新しいARグラスNreal Lightによる拡張現実ライドを検討したい。先の2製品がヘルメットやゴーグルを連想させる大仰なデバイスであったのに対して、Nreal Lightはサングラスに近いレベルに小型軽量化されているのが大きな特徴だ。いくつかのプロモーション・ビデオで雰囲気が掴めるだろう。ただ、この手の映像は話半分に見ておくほうが良い。 さ ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 5月(前編)
5月 自然と共にロードバイクで走る人を自転車家と名付けて、一年を通じた道路上での自転車家の姿書き綴ってきた。その一年間をペダリングに例えるならば、今日はクランクの上死点だ。 自転車を漕いでいるときにペダルに乗った足が一番高い位置に上がっている、その状態を想像してみて欲しい。そこはペダルの一回転の中でもっとも力が抜けているか、力を入れようにも力を込めにくい、そんなポジションではないだろうか。 だか ...
新型コロナウイルスと自転車:グループ・ライド編
クリティカル・サイクリングでは「新型グループ・ライド」と銘打って、新型コロナウイルス時代のサイクリングの在り方を実践的に検討している。これは、ワクチンが開発されていない以上、以前と同じ生活に戻るのは随分と先になるからだ。一部の地域では自粛要請という名の私権制限が緩和されつつあるものの、当面は感染予防に努めながら工夫をして自転車を利用するしかないだろう。 新型グループ・ライドでの走行 そこで、前回の ...
[輪行しませんか?] エア台湾編(2)
前回の記事で旅行の大枠について決めたので、今回は具体的にどんなルートを通るか考えてみる。都市間の移動を伴う3日目と4日目のルートにフォーカスする。 ■台北⇔基隆往復(3日目)距離は片道30km程度で山間部を抜けていくルートではあるが大きいアップダウンはなさそうだ(ルートの高低差はGoogleMapのルート検索で知ることができる)。前回紹介した環島1号線のルートが蛇行が少なく最短で基隆市まで辿り着け ...
素晴らしき自転車ライフ
「素晴らしき自転車ライフ」は、こだわりの、だけど少し力が抜けたフォト・ブック。原書は「My Cool Bike: An Inspirational Guide to Bikes and Bike Culture」と題されて2013年に出版。日本語訳も読みやすく、洒落た写真が満載。横AB判ほどで百数十ページのライト感覚はコーヒー・テーブルにもおススメ。ウイルス禍でストレスが多い昨今だからこそ、リラッ ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第15回 いつかボローニャへ行こう
NHKの『プレミアムカフェ』で、2004年に制作された「井上ひさしのボローニャ日記」を放送していた。僕的には、井上とボローニャの組み合わせには、意表をつかれた印象があった。しかし、その思い入れは並々ならぬもので、この番組よりはるか以前から、文化的に自立したこの都市は、憧憬の的であった。番組の後、井上は『ボローニャ紀行』を上梓している。 さてこの番組では、ボローニャ市街地の交通渋滞と大気汚染、つまり ...
新型コロナウイルスと自転車:ライド編
新型コロナウイルスの猛威は収まることなく、緊急事態宣言の拡大や延長で人々は疲弊している。厚生労働省のQ&Aによれば、緊急事態においては不要不急の外出を避け、3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)の避けることを求めている。一方で必要最小限の外出は自粛の対象外としており、「屋外での運動や散歩の健康維持」も含まれる。つまり、屋外で自転車に乗ることは制限されていない。 緊急事態宣言は、諸外国で ...
自転車と放蕩娘 (11) マドリン・ギンズが語る「天命反転」
1日の気温差が激しい4月のライドでは、天気予報やルートをもとに服装の調節を意識する。今回目指したのは養老山(三方山)だ。ハイキングの気温の変化にも注意を払い、晴れた日の早朝、片道2時間半ほどかけて一人出かけた。 水門川、中之江川沿いを南下して牧田川を渡り、養老町を目指す Google Mapにも表示されているとおり、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、養老天命反転地は臨時休場している。パトカー ...
猫と自転車に乗れたなら (1)
猫と自転車に乗れたなら〜 これは世界中の愛猫家たちの夢である。むしろ叶えることが極めて難しい夢である。 猫は自由気ままに動く生き物。犬のように躾けることは難しい。無理に自転車に乗せたら、どこかに飛んで行方不明になってしまうかもしれない。迷子になってうちに帰って来れなくなるだろう。 夢よりも、そんなことしたら大変と不安が大きくなり、試すことを臆してしまう。せめてキャリーバッグに入れ自転車の荷台に乗せ ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 4月
2020年4月19日 フィールドノート 前日の夜に降った雨は朝方には降り止んでいた。路面はまだ乾いていないので、空気はひんやりとしているが体感気温は低くはない。クロモリフレームのロードバイクを部屋から出し、出発前に空気圧の調節をする。 今日走る予定のコースと、雨で濡れた路面の状況をイメージして、前後とも空気圧は120psiとした。雲間から太陽が照ると体感温度はグッと上がった。空気入れに少し手間取っ ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (6) SC-E8000稼働編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のサイクル・コンピュータを取り替えている。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道での走行はできないし、無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 ミヤタのRidge Runnerが搭載するサイクル・コン ...
[輪行しませんか?] エア台湾編(1)
新型コロナウイルスの影響で自由に外出、旅行できない状況が続いている。もちろんこの連載で取り上げている輪行も公共交通を利用するわけだから例外ではない。そんなわけだから、今回はレポートではなく、あえて事前のプランニングについて書き、私の計画の立て方を追体験できるような内容にしたいと思う。 行き先は思い切って「台湾」とし、滞在日数は「4泊5日」と仮定して計画を立てる。行ったことのない国であるから、まずは ...
Core MLとNeural Engineで自転車を探す
iOSの機械学習フレームワークCore MLと最近のiPhoneなどに備わるAIプロセッサNeural Engineを用いて映画から自転車を探したところ、驚くような結果を得た。プログラミング・コードを簡潔に記述できるとともに、その処理速度が随分と速い。これが毎日使う小さなiPhoneで行えるのだから、唖然としてしまう。Neural EngineはFace IDだけでなく、汎用的なAI処理に活用でき ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第14回 インドアサイクリングする建築家
Michael Blackwoodが1990年に制作した『Arata Isozaki II: International Projects』の中で、30年前の建築家、磯崎新はどういうわけか三輪車に乗っている。2019年にプリツカー賞を受賞したことからも明らかだが、いまだ世界中の建築界に影響を持ち、様々な都市計画を実行している。 2020年2月15日、国立国際美術館に巡回した「インポッシブル・アーキ ...
自転車と放蕩娘 (10) 自律分散型社会のための思考訓練
この週末、新型コロナウイルスのオーバーシュート(爆発的患者急増)を避けるため、首都圏5都県をはじめ福島、茨城、富山、島根など計13県が外出自粛要請や東京方面への移動の自粛を呼びかけている。私も出張をとりやめ、天候を見計らって自転車でひとり背割堤を訪れることにした。 岐阜羽島駅から背割堤のスタート地点まで 背割堤は、赤松の記事にもあるように、新幹線の岐阜羽島駅から南に10kmほど下った地点にある、木 ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 3月
3月 彼岸にあたる3月は冬から春に季節が移り変わる。自転車家の「彼岸」とは、ごくごく素朴なことでしかない。自転車に乗るか、乗らないか、だ。 実は、自転車家になるには特別難しい段取りなどはない。春の陽気に誘われて自転車に乗ってしまった、そう思った時は、自転車家だ。私は自分自身を自転車家だと思っているのだが、天気と気候に誘われてついつい走ってしまったばかりだ。 春には黄砂が空を舞ったり、花粉があたりを ...
新型コロナウイルスと自転車:予防編
2019年末から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が猛威をふるい、世界的な大流行は現在も収まる気配がない。日本でも多数の感染者や死亡者が発生し、一斉休校やイベントの自粛、公共施設の閉鎖といった対策が取られている。厚生労働省のQ&Aでは、感染予防のために石鹸での手洗いやアルコール消毒が推奨され、十分な睡眠を取り、人が多く混雑する場所を避け、他人との距離を十分取るように求めている。 【 ...
リュミエール兄弟が撮った自転車
フランスのリュミエール兄弟(Auguste and Louis Lumière)は投影式の映画の発明者であり、膨大な数の実写映像を残している。ぎこちないモノクロの無声映画ながら、初めて見る人々には大変な驚きを与えた。今日の我々にとっては当時の社会風俗を知る貴重な資料だ。それでは最初期の映画に自転車は登場するのだろうか? 世界で初めての商業映画「工場の出口」を観てみよう。 リュミエール兄弟「工場の出 ...
[輪行しませんか?] しまなみ海道編(2)
今回は、しまなみ海道紹介の番外編としていくつかの島について詳しく紹介する。 【生口島】いくちしま。尾道からスタートしたとき、3つ目に到達する島である。ビーチや美術館があり、その周りには飲食店が立ち並ぶ、しまなみ海道の中では、比較的観光の色が強い島だ。 この島を通る場合、北回りと南回りの2つのルートがある。北回りのルートのほうが美術館や飲食店があり、魅力的に見えるのだが、私はあえて南側のルートを推そ ...
4352個のコアで自転車を探せ!
「ディープ・ラーニングで映画から自転車を探す」ではGPUを活用すればより早く自転車を探すことができるようになるのではないか、という赤松正行の仮説があった。ディープ・ラーニングの推論では大量の行列と行列の計算が必要だが、こういった処理は、CPUよりもGPUの得意分野だからだ。 今回、筆者がビデオ・ゲーム用途として購入したGPUが手元にあり、GPUによる機械学習にも興味があったため、自転車探しの協力を ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第13回 見えない自転車
アルフォンソ・キュアロンの『ゼロ・グラビティ』(2013年)は、斬新な演出や撮影手法に基づく物語として、未だにときどきみてしまう。もちろん、この数年の映像技術の進展に馴らされた知覚にとっては、その細部へ驚きは減じているというか、おそらくその点ではあっというまに古色蒼然たるものへと再配置されていく予感もしている。他方で、最初から技術的な陳腐化が想定されているような気がするのは、スタンリー・キューブリ ...
自転車と放蕩娘 (9) 自転車の「模型」パナマレンコの芸術
昨年12月14日、ベルギーの芸術家パナマレンコ(Panamarenko)が79歳の生涯を閉じた。今回は、移動と自由を旨としたパナマレンコの作品の中から、自転車をモチーフとした作品を論じてみようと思う。 1940年にアントワープに生まれたパナマレンコは、自転車に限らず、様々なオブジェや飛行装置を作品としたことで知られている。たとえば、初期の作品《磁力靴》(1966-67)は、両足のかかとに電磁石がつ ...
ヘルメットの未来型CLASSON
ニューヨークはブルックリンの自転車スタートアップBrooklyness Inc.が開発したClassonが2020年1月に届いた。アイディア満載の自転車用多機能ヘルメットだ。クラウドファンディングの成立が2016年7月、製品発送予定は2017年4月だったので、3年近く遅れたことになる。しかも実装されていない機能もある。とは言え、未来の自転車ヘルメットはかくあるべしと謳うコンセプトが素晴らしい。 ま ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 2月
2月 自転車家は寒がりだ。正しく言い直すならば、自転車家は寒くて嫌だと思うことを素直に嫌だと認めて、イヤだと言いがちだ。自転車家には寒波に耐える強靭な肉体とか精神が備わっているとは限らない。 1年の周期の中では、この時期はとても寒い。このような季節に自転車に乗ることは、寒い風を全面的に引き受けていなくてはならない。 ロードレーサーに乗るライディングポジションを頭に思い浮かべて見ればわかることだが、 ...
Critical Cycling+移動体芸術展 2020 Winter
クリティカル・サイクリングの8回目の展覧会、今回はIAMASの学内プロジェクトである移動体芸術との合同企画として、IAMAS卒展において開催します。プロトタイプ作品や各種資料の展示を中心に、この一年間の活動を紹介します。自転車の批評性から始まり、次第に領域を広げつつある活動をご覧いただき、意見交換をさせていただければ幸いです。 Critical Cycling+移動体芸術展 2020 Winter ...
意味なく自転車が登場するミュージック・ビデオ5選
クイーンの「Bicycle Race」やクラフトワークの「Tour de France」のように、自転車をモチーフとする楽曲なら、そのミュージック・ビデオに自転車が登場するのは当然だ。ところが自転車に関係がない曲でありながら、大々的に自転車が扱われることもある。それは単なる小道具なのだろうか、あるいは隠された深い意味があるのだろうか。そのようなミュージック・ビデオを集めてみた。 The Style ...
逆モンテカルロ法で自転車座を探す(途上編)
カール・セーガンは20世紀の星座として自転車座を提案した。これは素晴らしい着想であったものの、実際にどこに自転車座があるのかまでは言及していない。そこで、夜、星空を見上げて、あるいはプラネタリウムで自転車座を探してみる。しかし、あれこれ星々を繋げてみても、これぞ自転車と思うには至らない。目に見える星の数は有限でも、その組み合わせは無数にあるので途方に暮れてしまう。 映画「ビューティフル・マインド」 ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第12回 ぐるりと運動する
ベルナルド・ベルトルッチとキャメラマンのヴィットリオ・ストラーロが本格的に組んだ最初の作品が『暗殺のオペラ』(1970年)である。ボルヘスの短編『裏切り者と英雄のテーマ』を原作に翻案されたこの映画で、主人公は街で借りた自転車で移動する。道を尋ねに入った家で、老人は自転車を貸すのだが、壁に吊されている。 主人公は、父の愛人の家を自転車で訪ねるのだが、この訪問のシーンは、ベルトルッチとストラーロによる ...
自転車と放蕩娘 (8) 2人の女性がデザインする自転車エアバッグ
自転車に乗る時は、できるだけ荷物をコンパクトにしたい。街中を走る時は、機能性だけでなくお洒落にも気を配りたい。そんなサイクリストにお勧めなのが、自転車エアバッグHövdingかもしれない。 興味深いのは、このプロジェクトが学生による起業から始まったという点だ。Hövdingは、世界初のサイクリスト用エアバッグとして、南スウェーデンのルンド工科大学の女子学生(Anna Haupt, Terese A ...
ドライジーネに乗るシューベルト
1818年に描かれた水彩画がある。左側の太った紳士は歌曲王とも呼ばれた作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert)、望遠鏡のような万華鏡を覗き込んで悦に入っている。そこへ青年が自転車の元祖であるドライジーネに乗って突っ込み、転倒しかかっている。彼は画家のレオポルト・クーペルヴィーザー(Leopold Kupelwieser)、この水彩画の作者でもある。 万華鏡もドライジーネも当時発 ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 1月
1996年、私は引っ越しの荷物を乗せた父親の自動車の助手席に座って、京都への道のりを進んでいた。しかし、この時に車窓から見た風景をほとんど覚えていないのだ。 この時に通ったルートは「有馬道」と呼ばれている。風景を覚えていないのになぜそれが分かるのか、と言うと、父親がそう呼んでいたからだ。その時に通ったルートと全く同じではないし、一部を通っただけなのだが、そのルートはOpen Street Mapで ...
岐阜県自転車活用推進計画の検討委員会と意見評価
2019年11月27日に開催された第4回岐阜県自転車活用推進計画検討委員会に陪席し、議論を聞く機会を得た。これは、同年11月13日まで実施された「岐阜県自転車活用推進計画(案)」に対する県民意見募集(パブリック・コメント)についてインタビューを行った際に、今後開催される検討委員会を傍聴したい旨を伝えていたところ、案内をいただいた次第だ。 会場には矩形に組まれたテーブルがあり、正面に委員長、両脇に委 ...
[輪行しませんか?] しまなみ海道編(1)
多々羅大橋 今回から連載二回分に渡って、しまなみ海道について紹介する。瀬戸内地方は晴天が多く、雪の心配も少ないので、冬の季節でも走って気持ち良い場所だ。一回目の今回は、その概要や魅力について紹介する。 ちなみに筆者はしまなみ海道で、夏と冬に一度ずつ走ったことがある。夏の方は尾道から今治まで一気に走り(下図赤ライン)、冬の方は、同じく尾道からスタートして4つ目の大三島(おおみしま)からフェリーに乗り ...
和歌山の国道トンネルで自転車事故
2019年末に和歌山県内の国道42号線をロード・バイクで走行していたところ、由良トンネルの出口近くで後ろから来た軽トラックに追突され、転倒して負傷した。すぐさま救急車が駆けつけ、近くの病院に搬送されて入院。筆者はこの間の記憶がないものの、自転車の前部に取り付けたGoPro HERO8でタイムラプス撮影した映像が残っている。これは10倍速、つまり0.33秒ごとの撮影であった。 事故に遭うトンネルは2 ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第11回 自転車を拾い二人乗りする
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2004年)は、説明的な邦題どおり、第二次世界大戦末期のベルリン市街戦を舞台に、ヒトラーの最後を描いた作品だ。この作品には原作として、歴史家であるヨアヒム・フェスト『ヒトラー 最期の12日間』と、ヒトラーの秘書だったトラウドゥル・ユンゲの『私はヒトラーの秘書だった』があげられている。僕は後者しか読んではいないが、たしかに側近しか知 ...
自転車と放蕩娘 (7) サイクリングがもたらす公共圏
私にとってクリティカル・サイクリングは、サイクリングを共通言語に、ユーザーの視点から新たな表現者像を考えるための起点となっている。サイクリングを通じて感じ、考え、つくり、批評し、提案し、楽しみを享受する点では皆等しくユーザーであるが、サイクリングへのアプローチそのものが単なる消費を超え、個人の態度を表明し、次の表現を生み出す可能性がある。とりわけ、サイクリングとメディア技術の関係は、サイクリングの ...
超長い自撮り棒で自転車走行を空中撮影
先日のツイード・ランの記録映像の撮影方法を尋ねる人が多かった。これは一見ドローンを使って空中から自転車走行を追尾しているように見える。だが実際には Insta360の超長い自撮り棒(Extended Edition Selfie Stick)を自転車の後部に取り付け、同社の360度カメラInsta360 One Xで撮影したものだ。そして記録した360度全天球映像を、視線や拡大率を変えて通常のビデ ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 12月
シングルスピードの文化は、アメリカ・ニューヨークのメッセンジャー達が配達のために使用していた競技用自転車(これらは競技場の呼称から「ピスト」とも呼ばれていた)に着火点があると言われている。「もともと自転車には変速ギアはなかった、シングルスピードに乗る事は根源的な行為だ」と、乗り手を含めた形でリスペクトを集めた、というふうに理解している。 シングルスピードはいい。この単純な構造の自転車には、無駄なも ...
コールドプレイの着ぐるみ象、一輪車に乗ってサバンナを目指す
イギリスのロック・バンド、コールドプレイ(Coldplay)はスマッシュ・ヒットした佳曲「Paradise」(2011)のために摩訶不思議なミュージック・ビデオを制作している。着ぐるみの象がロンドンの動物園から逃げ出して、生まれ故郷のアフリカを目指すストーリーだ。追手をシェアリング自転車で振り切ったり、手持ちのお金が少なくて自転車ではなく一輪車しか買えなかったりする。 アフリカの一本道を一輪車で走 ...
さあ帰ろう、ペダルをこいで(ディープ・ラーニングで)
2008年のブルガリア映画「さあ帰ろう、ペダルをこいで」は、交通事故で記憶喪失になった青年が祖父とともにタンデム(二人乗り)自転車で故郷へ向かう物語。ほのぼのとしたタイトルやスチル写真、そして「世界各国の人々の心に大きな感動を残した、心あたたまるロードムービー」という謳い文句を見れば、甘酸っぱい予感しかしない。だが、本当にそうだろうか? そこで、先月取った杵柄、ディープ・ラーニングによる物体検出Y ...
データ・ビジュアライゼーションによる道路の危険性評価
今月は連載 [輪行しませんか?] を一回休みにして、筆者が大学時代に取り組んだ、自転車関連の研究について紹介しようと思う。論文のタイトルは「自転車の走行記録データに基づくビジュアライゼーションによる道路の危険性・快適性評価」(2016年)。 【研究概要】本研究の目的は自転車乗用時のログデータを収集し、そのデータをマップ上に可視化し危険区域、箇所を特定することである。最終的な考察をしやすいようにビジ ...
自転車の理想郷、Velotopia
スティーブン・フレミング(Steven Fleming)著「Velotopia」(2017年)は、自転車を中心とした都市計画を提案する。それは自転車によって豊かな生活が成り立つ都市であり、これまでのクルマ依存社会よりもエネルギー効率が高く、人々に健康と幸福をもたらし、持続可能な世界を実現する。そう、自転車(ヴェロ、Velo)による理想郷(ユートピア、Utopia)だ。 この妄想とも捉えられかねない ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (最終回)
2010年前後から、シェア自転車は世界の大都市に広まった。環境対策として、公共交通に自転車を使う試みが、一気に花開いたのである。 この爆発的な広がりは、自転車のあらゆる面に大きな変化をもたらした。 それは、1970~80年代におけるMTB登場に匹敵する革命的な出来事であった。 近年、自転車は個人財になった。しかし所有すれば、メンテナンスや駐輪スペースが必要になる。目的地に着けば出発地まで帰らねばな ...
ツイード・ラン尾州羽島2019に参加
11月30日に開催されたツイード・ラン尾州羽島2019に参加した。これはツイード、すなわち毛織物の衣服を着て自転車に乗るイベント。2009年にロンドンで始まり、現在では世界各地で開催されている。ツイードの発祥地であるイギリスが自転車王国であったことから発案されたらしい。19世紀の産業革命時代の世俗を偲ぶスチームな紳士淑女の集い、ツイードのコスプレ大会だ。 このクラシカルな自転車イベントに初めて参加 ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第10回 ぼんやりと映像から自転車を探す
毎度のことだが、前回苦しまぎれで『孤独のグルメ』からある1話を抜き出して、なんとか原稿を書いた。すると赤松正行より「80話のうち1話だけとのことですが、今回の記事のために見直したのですか? それとも記憶力抜群とか?」という書き込みがあり、返事を書こうと思っているうちに、「ディープ・ラーニングで映画から自転車を探す」ということをいきなり始めている。いやー恐れ入りました。これはこれで研究になってしまう ...
自転車と放蕩娘 (6) 「磯崎新の謎」展と大分輪行
女性と自転車という切り口で連載を始めて、6回目。そのきっかけとして挙げたのは、ロードバイクで出かける時に感じる個人と集団の絶妙なバランスだ。郊外を走る非日常の体験は、ジェンダーよりも自身が個であることを意識させ、ほどよいバランスを取り戻すことができるのだ。これに対して輪行は、極めて社会的な行為だ。まず、公共交通機関に自転車を畳んで持ち込むところから始まる。そこまでして自転車に乗らなくても、という考 ...
ミクスチャーズのプッシュバイク・ソング
オーストラリアのロック・バンド、ミクスチャーズ(The Mixtures)の1971年のヒット・チューン「The Pushbike Song」を紹介しよう。今となっては忘れ去られたこの曲を取り上げるのは、自転車のことを歌っており、この時代には珍しかったミュージック・ビデオにたっぷり自転車が登場するからだ。毒にも薬にもならないB級キャンディ・ポップに乗って、レトロなファッションが楽しめる。 曲調はミ ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 11月
11月 自転車家には2種類だけが存在する。紅葉を見届けるためにサイクリングに出向いて、自分の愛車と赤や黄色に染まった樹々との記念写真を撮り終えると春になるまでの休息に入るか、防寒のためにウェアや用具を買い足し、真冬の風に耐えながらの平地走行に備えるか、そのどちらかだ。 自転車家の見た目には、ウェアや装備品などでそれなりの季節感が見られる。それなりにというよりは、極端な差がある。夏は少しでも涼しく、 ...
GoPro HERO8のメランコリックな進化
半年ほど前にDJIは初のアクション・カメラOSMO Actionを発売し、独壇場であったGoProのHERO7に肉薄するスタビライズ性能を持っていた。しかも、起動速度や使い勝手では追い越した面もあった。そしてDJIは新しいHERO8を発売する。ライバルの登場が予感させた共進化は起っただろうか? 何はともあれ定番のスタビライズ性能を比べてみよう。 OSMO Actionのスタビライズ性能も良好だが、 ...
ディープ・ラーニングで映画から自転車を探す
松井茂は自転車映画ではない映画から自転車を探り出す。最近の記事ではテレビドラマ『孤独のグルメ』を取り上げており、約80話のうち主人公が自転車に乗るのは1話のみと言うのだから感心する。それでは、ある映画に自転車が登場するのか否かを調べるには、どうすれば良いのだろう。もちろん、目を皿にして映画を見れば良い。2倍速でもなんとかなるだろう。だが、それは面倒で退屈だ。 そこで、面倒で退屈なことならAI(人工 ...
[輪行しませんか?] 室生村編
奈良県宇陀市室生村周辺での輪行サイクリングについて紹介する。今回の目的地は、ダニ・カラヴァンの野外彫刻作品のある、室生山上公園芸術の森である。今回は、最寄り駅の室生口大野駅まで電車で輪行した。参考までに大垣からの乗り換えについて記載しておく。特急を使って片道2時間半ほどで、交通費は4000円弱。 大垣⇒名古屋(JR東海道本線)名古屋⇒名張(近鉄名古屋線特急)名張⇒室生口大野(近鉄大阪線) ダニ・カ ...
真鍋博の自転車讃歌
星新一の小説の挿画や装丁で有名なイラストレーター真鍋博は、1973年に「自転車讃歌」なる書籍を刊行している。重化学工業を中心とした高度経済成長が限界を迎え、人口集中や公害による環境破壊が深刻化した時代にあって、彼のイラストレーションは常にシンプルで軽やかであり、明るくポップな世界を描いていた。本書でも同じスタイルで、自転車と社会の来るべき姿が提案される。 本書の中心は100ページ近くに渡って描かれ ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (13)
シェア自転車は世界に広がり、遅ればせながら日本でも定着しつつある……。 一口にシェア自転車といっても、国情や発展形態により、大別すれば世界に4通りのタイプがある。主な違いは、ポート(駐輪場)と操作システムにある。 A.「フランス・ヴェリブ式」 操作パネルを備えたポート(駐輪場)が必要。初期投資大きい。公営向き。日米欧で実施。 B.「中国・スマホ式」 ポート不要。操作パネルはポートと分離して自転車本 ...
ソーラー・パネルの自転車スーパーハイウェイ
自転車と自然エネルギーとの関係に興味を持って調べていたところ、不思議な動画を目にした。それは緩やかにカーブを描きながら田園地帯を抜ける片道4車線(往復8車線)の広々とした道路で、中央分離帯に無数のソーラー・パネルが連なり続いている。しかも、パネルの下は自転車道路であると言う。想像を絶する非現実的な光景に、動画はCGによるジョークだと思ってしまった。 だが、これは実際に存在しており、韓国中部のテジョ ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第9回 グルメと自転車と孤独
『孤独のグルメ』というテレビドラマがある。2012年にSeason1がはじまり、現在Season8が放送中。輸入雑貨商の井之頭五郎(松重豊)が、ひとりでご飯を食べるという、それだけのドラマだ。ご飯を食べる店はもちろん実在の店で、料理もすべて本物だ。そう考えていくと、脚本があるとはいえ、松重豊の演技は、限りなくリアクションに近い演技といえるだろう。このドキュメンタリーとしての部分に、このドラマがうけ ...
自転車と放蕩娘 (5) 香山リカ『自転車旅行主義』
タイトルから旅行記を想像すると、軽く期待を裏切られるのが本書の醍醐味ではないだろうか。日常を分裂的に旅する、80年代文化論。クリスチャン・ラクロワの香水やYMO、ブルーハーツの音楽に紛れた通奏低音は「可能世界意味論」だ。大庭健の『はじめての分析哲学』(産業図書、1990年)を下敷きに文献を渉猟する様も、気ままな自転車旅さながらといったところだ。 『自転車旅行主義 真夜中の精神医学』(1998) し ...
カール・セーガンの自転車座
If the constellations had been named in the twentieth century, I suppose we would see bicycles and refrigerators in the sky.Carl Sagan "Cosmos" Chapter III 20世紀に星座を名付けるなら、夜空には自転車座や冷蔵庫座があるに違いない。カール・セーガ ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 10月
10月10月の週末には、さまざまな用事が立て込んでいる自転車家も多いことだろう。のんびりゆっくりと散策するようにサイクリングしたり、焼きたてのパンを買って行くあても決めないままに走り、何処ということもなく腰をおろしたらその場でパンを食べ始めていた、そのような時間を嗜む自転車家も、ひとたび家に戻ると色々と忙しい。 何しろ運動会や秋祭りなど、普段から自転車に乗って身体を養っている人にとっては、上空のト ...
自転車活用推進計画へのパブリック・コメント
2019年初頭から日本各地で自転車の活用を推進する計画が提案されている。ちょうど筆者が住む地域でも「岐阜県自転車活用推進計画(案)」(概要版)が公開され、これに対して県民意見募集(パブリック・コメント)が実施中。県内居住者で自転車を利用する人や自転車に関心がある人は、積極的に意見を伝えよう。意見募集は11月13日までなので、お忘れなく。 しかし、急に意見をと言われても困惑するかもしれない。まずは計 ...
[輪行しませんか?] 都市への輪行
筆者はIAMASの学生であり、現在大垣に住んでいる。月に一回くらい、大垣や岐阜では手に入らなさそうな本などを求めて名古屋へ足を伸ばすのだが、こういうときは必ずと言っていいほど輪行をしてしまう。 こういう都市部への輪行は、今に始まった話ではない。IAMASに入学する前、千葉市に住んでいたころも総武線で東京方面に輪行をしていた。降車駅の混雑を避けるために、あえて乗り換えのない千駄ヶ谷駅や信濃町駅で降り ...
パラメタ・テラスとシェイク自転車
今年で3年目を迎える養老アート・ピクニックは、その名の通り、ピクニック感覚で気軽にアートを楽しむ2日間のイベントで、岐阜県の養老公園で開催される。そのプレ・イベントとして自転車関連の催しをクリティカル・サイクリングのメンバーが企画運営する。これまでも特殊な自転車の試乗会など斜め上を行く展開だったので、さて、今年は如何に、乞うご期待。 まず「パラメタ・テラス」では、昨年の養老サイクル・ステーションの ...
オリジナルBromptonフロント・バッグ
Brompton用フロント・バッグはワンタッチで着脱できて、重くてもハンドルを取られない優れた機構を持っている。これはバッグ底面の装着部でハンドルではなくフレームに装着するからだ。背面には堅牢なフレームが入っていて型崩れしない。このような専用バッグは使い勝手が良いものの、機構が嵩張り、価格が高く、種類が限られる。しかし、一定の条件を満たせば、専用ではないバッグも利用できる。 このことに気づいたのは ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (12)
2016年前後、大小さまざまの企業や自治体が、シェア自転車事業に参入した。欧米や中国のように大掛かりではなかったが、小規模拠点が全国に広がった。それは市民の新しい足、また新時代のシェアリングエコノミーとして、世間の注目を集めた。 ━マスコミは、IT企業の参入を華々しく報道した。話題の筆頭は、先発の「NTTドコモ」を追う「ソフトバンク」であった。 「ヤフー」などグループ企業が出資して、ベンチャー子会 ...
超小型・超軽量のアクション・カメラ、Insta360 Go
Insta360社から初のアクション・カメラInsta360 Goが発売された。親指サイズにして18.3gと超小型・超軽量で、衣服や物に取り付けるのも簡単。強力な手ブレ補正で安定した綺麗な映像が得られる。撮影される映像は正方形であり、どのように回転しても構わない。もっともバッテリー容量が小さいので、長時間撮影はできない。ここぞという瞬間に、写真や短い動画を撮ることが想定されているようだ。 このIn ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第8回 意外性と因果性
夕闇迫る坂道を全力疾走する足立麻子(を演じるのは小泉今日子)。背景には、黄色いゴミ袋がやたらと目立つ。次のカットで、全力疾走のまま道を右折しようと膨らんだところを(といっても少々わざとらしい)、突如現れた自転車から身を逸らし、「キャー」っと嬌声を上げた足立麻子はゴミ袋の山に突っ込む。突っ伏して、娘の名前をつぶやき、もう一度立ち上がる。 『トウキョウソナタ』(2008年)以来4年ぶりに撮影した『贖 ...
自転車と放蕩娘 (4) 女性建築家が設計した住宅
少し暑さのやわらいだある日の夕方、最寄の大垣駅からひと駅の距離を小径車で走ってみた。用事を済ませたが、日が落ちるまでにはまだ少し時間がある。気軽に寄り道できるのが、自転車で出かける醍醐味だ。 寄り道の目当ては、穂積駅から北に約3kmの本巣市北方町にある、岐阜県営住宅ハイタウン北方だ。磯崎新が女性建築家四人を選び、「ジェンダー」というテーマのもと、一人一棟ずつ(全430戸)を設計するというユニークな ...
カクテル自転車の試乗・試飲会
自転車に乗ってカクテルを作る「カクテル自転車」の試乗・試飲会を行います。これはベースとなる飲料に果物や木の実、昆虫などの食材をブレンドしてオリジナル・レシピを作る作品で、その配合や撹拌は自転車の乗り方によって変化します。アートやデザインの視点から都市農業を遊び、考えるプロジェクト「ART FARMing」でのプロトタイプ展示では、関係者によるデモンストレーションが行われます。 ART FARMin ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 9月
自転車家たちがよく使うジョークとして「フレームからパーツが生えてきた」というフレーズがある。多くの場合それは「知らない間にあなたの自転車には変化が起こっているようだ、そのための原資はどこからきたのか」という趣旨で隣人からの問い合わせがあったときの「模範解答」として使われることが多いようだ。 園芸家が花壇に植物を生やすように、自転車家は自転車を生やしているのだろう。花壇に相当するものは自分の身体なの ...
シンプルで美しいリア・バッグTailfin AeroPack
サイクリングで荷物が多ければ、専用バッグを自転車に取り付ける。ハンドルバーやサドルに固定するバイク・パッキングは手軽だが、より安定させるにはラックを取り付けると良い。ところが、ロード・バイク、特にエアロ・カーボンのような特殊形状のフレームへのラック取り付けは難しい。そこで、多くの自転車で利用できるように考案されたのがTailfinのAeroPackだ。 このAeroPackは、後輪の車軸から伸びる ...
自転車の安全運転を訴える教育映画One Got Fat
1963年にアメリカで制作された「One Got Fat」は、自転車の安全運転を訴える教育映画だ。タイトルを直訳すれば「一人は太った」であり、これからして意味が分からず困惑する。オープニングこそ明るく軽快な音楽が流れるが、すぐに何やら怪しげな雰囲気になる。経年劣化なのか色あせた色調とフィルム・ノイズが不安を掻き立てる。15分弱の短編なので、何はともあれ観て欲しい。 詳しく解説するのは野暮だろう。1 ...
[輪行しませんか?] 輪行でしか行かないルート
筆者は輪行サイクリングを計画する時、何かしら行きたい場所をポイントにしてルートを計画する。初回の記事で触れた、徳山湖周辺での輪行サイクリングを例にして、その手順を紹介したい。 このときは、徳山村を沈めて作られた人造湖である徳山湖とその周辺について知りたいという想いから、計画が始まった。最寄駅である樽見駅をスタート地点に決定、往復するのはつまらないのでゴール地点は琵琶湖付近の長浜市木之本駅にした。ル ...
ジャック・カレルマンのトンデモ自転車
ジャック・カレルマン(Jack Carelman)の「Catalogue D'Objets Introuvables」は「トンデモないモノのカタログ」とでも訳せば良いだろうか、有り得ない空想の産物が古風なタッチで描かれている。それは工作器具や日用品、あるいは衣服やスポーツ用具、電化製品など多種多様。1969年にフランスで出版され、これまでに日本語版を含む10ヵ国語以上に翻訳されたらしい。 このカタ ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (11)
2007年パリのヴェリブ出現は、自転車史において、時代を画する歴史的な出来事であった。 ヴェリブを契機に、都市公共交通に大量の共用自転車を使う試みが、世界の大都市に一斉に広がった。 日本では、それ以前から、政府主導のもとで、30ほどの自治体が「コミュニティサイクル」と名付けた共用自転車の実施計画を進めていた。 その構想は、鉄道駅を中心に複数の小規模駐輪場(ポート)をつくり自転車を相互利用する、新形 ...
環境に感応する自転車ライト
自転車にライトは必携。夜間の薄暗い道路では、ライトがなければ心細い。いや、気持ちの問題ではなく、無灯火は危険であり、道路交通法違反だ。道路の状態が分からないので、路面の凹凸にタイヤを取られるかもしれない。また、接近する自動車の運転手から自転車が見えにくいので、追突してしまうかもれない。夕暮れて薄暗くなれば、早めにライトを点けておきたい。 一方、昼間であればライトは無用の長物であるものの、トンネルを ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第7回 舞台の地形と物語の地勢
僕がいま研究代表をしている「マス・メディアの中の芸術家像」という日文研でのプロジェクトは、研究対象の時代区分を1968年から95年と限定している。この設定はテレビというオールド・メディアの成熟期から、インターネットに象徴されるニュー・メディアの登場までの時期を指している。もっとも2019年においてインターネットは「ニュー」ではない。しかし「オールド」でも無いはずだ。ちなみに95年は、その都市の前半 ...
自転車と放蕩娘 (3) 美しき自転車乗り
舞台は19世紀後半のロンドン郊外。冒頭に映し出されるのは、木立の脇のさびしい一本道を自転車で走る、女性の姿。その直後にもう一台の自転車が現れ、女性の跡をつけていく。不穏な事件を告げる幕開けだ。 「美しき自転車乗り」は、アーサー・コナン・ドイルの推理小説「シャーロック・ホームズシリーズ」を原作とする、英国グラナダテレビ制作のドラマの第4話だ。原作に忠実と言われるグラナダ版のホームズ役は、ジェレミー・ ...
空の輪行、密室のトラブル
飛行機に乗る時に自転車を手荷物として預けて、空の輪行をすることができる。ところが今回は、思わぬトラブルに巻き込まれた。それは2019年5月17日、名古屋から山形までJALとFDAとの共同運行便に搭乗した時のこと。これまでと同じように、TrekのMadone 9.9を輪行袋に入れて預けた。万一の場合に備えて、物品価格を150万円として従価料金1,350円を支払うことも忘れなかった。 ところが、山形空 ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 8月
気候と共に歩む自転車家にとって「8月は夏」というのは暦の上でのことだ。今我々がつかっている暦もあれば、今は使われていない昔の暦もある。様々な暦が世界中で作られて使われてきたが、それらはすべて周期(サイクル)をもった何らかの出来事を元に考えれてきたものが多い。そこから考えても8月は秋なのだ。 1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けた ものを二十四節気と言う。8月には 立秋(りっ ...
ケン・ラッセルが描くエルガーと自転車
19世紀から20世紀にかけて音楽界きっての自転車好きは、イギリスの作曲家エドワード・エルガー(Edward Elgar)だろう。いわゆるクラシック音楽では目立たないイギリス勢だが、エルガーの行進曲「威風堂々」や「エニグマ変奏曲」はよく知られている。単純明快と言っても良いほど分かり易く、明るく力強いのは、植民地と産業革命によって築かれた当時の大英帝国の栄華を示している。 そのエルガーの伝記映画を、同 ...
IAMAS周辺ライド #7 川沿い南下 21km
今回の IAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライドは、市街地を抜けて東中之江川に入り、水門川、牧田川、揖斐川と続く川沿いの道を南下する。特別な目的地はないものの、川の水面や河原の茂みを楽しむことができる。特に後半はピクチャレスクな美しさに溢れ、悪路を厭わないなら、ネオ背割堤を進むこともできる。川沿いには信号もなければ交通量も少ないので、のんびり走れば良いだろう。 このルートの終点は養老鉄道の駒 ...
[輪行しませんか?] 直島編
現在、瀬戸内国際芸術祭2019が開催中である。今回はそれにあやかり開催地の一部である、直島について紹介させていただく。輪行する場合は、フェリーを使って輪行をすることになる。 フェリーでの輪行の敷居はそんなに高くない。大抵の場合、自転車を折りたたまず、手押しで乗り入れることができる。車の駐車スペースの横に駐輪して、乗っている間は海を眺めていればいい。 所要時間と料金については下記に記載する。自転車を ...
人と機械と舞踏の架け橋、Halfbike 3
ユニークな形状の立ち漕ぎ三輪車で、一般的な自転車の半分ほどの大きさしかないHalfbikeが第3世代となり、2019年5月に成立したクラウドファンディングによって、支援者に製品が届きつつある。「動く自然本能を目覚めさせる」と銘打った先代に対して、今回は「人と機械と舞踏の隙間を埋める架け橋」と謳う。これが如何なるものか、否が応でも期待が高まる。 Halfbike 3は半完成品で届くので、組み立てるの ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (10)
自転車の2大用途は実用とレジャー用である。同様にレンタサイクルでも、都市の近距離交通と、観光地の遊びに使われている……。 ━1997年京都議定書が策定された。排ガスを出さない自転車がクローズアップされ、公共交通で共用するシェア自転車として、世界で研究された。 ━2007年パリで、大規模な共用自転車システム「ヴェリブ」が始まった。 数多く点在する無人駐輪場(ステーション)に多数の貸自転車が置かれ、利 ...
Garmin Edge 820から830へ
Garminの新しいサイクル・コンピュータEdge 830を購入したので簡単にレポートしたい。購入理由は簡単で、これまで使っていたEdge 820が経年劣化したからだ。820は2年数ヵ月に渡って毎日のように利用していたので無理もない。バッテリーは1日ライドに保たなくなり、スクリーン表面は荒れて表示が読み取りにくくなっていた。タッチ精度も悪くなり、時には反応しないこともある有様。 購入したEdge8 ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第6回 止まる自転車
黒沢清の映画『勝手にしやがれ』シリーズの続編の続編に位置づけられる『蛇の道』(1998年)も相変わらず哀川翔が主役だ。シリーズと書いたが、すこしだけ設定が似ていて、哀川が主役であるということしか共通点はない。もっとも「しか」とは言っても、主役が同じ役者というだけで、充分シリーズではあるだろう。以前、黒沢映画について書いたときにも本作について言及し、哀川が自転車に乗り慣れてないということを推測した。 ...
自転車と放蕩娘 (2) ポスターに見る自由の女神たち
「自転車は女性にとって新しい世界へ乗り出すための馬であった。」”Woman and the Wheel, ” Munsey’s Magazine, May 1896 この記事は、アメリカで自転車が普及し始めた当初の感覚を伝えている。だが、その前のなんとも皮肉な一文を見逃してはならない。「男性にとって、初期の自転車は単なる新しい玩具であり、仕事や遊びで知った装置の長いリストに加わったもうひとつの機械 ...
エドワード・ゴーリーの優雅に叱責する自転車
アメリカの絵本作家、エドワード・ゴーリー(Edward Gorey)の「優雅に叱責する自転車」(1969年)は、2人の子供が奇妙な自転車に乗って不思議な旅をする物語。それぞれはハンドルとサドルに腰掛けているが、ペダルを漕ぐわけではない。そもそもペダルもなければクランクもチェーンもない、自転車のようで決して自転車ではない自転車が、意思や目的も分からないまま、2人を連れ回す。 エドワード・ゴーリーは繊 ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 7月
7月 View this post on Instagram A post shared by Tour de France™ (@letourdefrance) 7月にもなると、これまでの季節に自転車に乗っていたことの積み重ねによって、自転車家の身体が自転車に乗るために耕され、しなやかになり、いろいろな部分がいい感じになってきている頃である。いい感じとはどういうことかというと、ロードバイクの目的 ...
ソウル郊外チュンチョンでサバーバン・ライド
ソウルの市街地では交通事情が良くないものの、ハンガン沿いの自転車専用道路や地下鉄のサイクル・トレインによってサイクリングを楽しむことができた。それでは郊外はどうだろう?それを確かめるべく、、ソウルの北東数十kmに位置する地方都市チュンチョン(Chuncheon、春川)に出かけた。風光明媚な土地であり、「冬のソナタ」のロケ地としても知られる。 今回はチュンチョンまで鉄道で出かけ、ソウルに向かってライ ...
バズ・オルドリンの火星へのサイクリング道路
アポロ11号の月着陸船の操縦士であったバズ・オルドリン(Buzz Aldrin)は無償のVR作品「Cycling Pathways to the Mars」(2017)に出演、実写映像から3Dモデル化されたアバターとして、火星への飛行と移住の重要性を力強く語りかけている。そう、ちょうど50年前の7月20日(UTC)に月に着陸し、翌21日に初めて人類が月面に立ったその一人として、今度は火星に挑むこと ...
[輪行しませんか?] Bromptonでの輪行
この連載では輪行を取り扱っている。だが読者の大半は輪行は未経験であると思う。そこで今回は今後の連載内容をイメージしやすくなるよう、電車での輪行のやり方について紹介する。まず、筆者が輪行をするときに持ち歩くものを紹介する。 【輪行袋】必須。これがないと公共交通には自転車に乗せることができない。折りたたんだり、分解したりして小さくした自転車を包んで電車などに乗せる。筆者はBrompton専用の輪行袋( ...
超音波でカーボン検査
カーボンは極めて軽量で振動吸収性のある素材なので、ロード・バイクを中心に人気が高い。ただし、衝撃には弱く、事故や落車などがあれば損傷を受けやすい。しかも、目視や触診ができる傷ではなく、素材の内部に歪が生じることも多い。これは素人には判断がつかないので、専門業者に検査を依頼することになる。幸か不幸か、TrekのMadone 9.9を検査したので、そのあらましをお伝えしよう。 今回利用したのはカーボン ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (9)
2007年パリで生まれたヴェリブ式と、15年北京で始まった中国式の2つのタイプのシェア自転車は、世界の大都市に普及。市民の足として定着した。 両者の違いは、駐輪場の有り無し、カードかスマホ決済、官営か民営である。両者には、解決すべき共通の課題がある。 一つは、放置・故障・盗難車が多発、防犯や都市景観を損なうこと。 もう一つは巨額の赤字が発生、民営はもちろん公営であっても永続性に疑問符がつく。 これ ...
ソウルでアーバン・ライド
ソウル在住の知人が言うには、ソウルはもとより韓国で自転車に乗ることは自殺行為らしい。日本以上に車社会であり、運転が荒く、歩行者や自転車への気遣いはゼロだからと言う。それならばそれを確かめるべく、Raphaでロード・バイクを予約した。そもそも数少ないRaphaの店舗があるのだから、それなりのサイクリング人口があるに違いなく、相応の自転車環境があるはずだ。 Rapha Seoulはカンナムのアックジョ ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第5回 はじめて二人は傾斜に気づいた
「市場のそばに貸自転車がある。君が眼をさましたら、二台借りて乗りに行こうじゃないか。ブーシフのまわりは、だいたい平地なんだ」なぜか理由はわからなかったが、この提案は何となく彼女の心をひいた。「すてきね!」と彼女は言った(後略)ポール・ボウルズ『シェルタリング・スカイ』 実存的な頽廃を主題とした寓話。寓話と言って良いのか? 北アフリカの砂漠、この虚像の空がポール・ボウルズの小説「シェルタリング・ス ...
自転車と放蕩娘 (1) 序幕編
「女性と自転車という切り口で、連載してみないか」という誘いに、二つ返事で応じたのには理由がある。ロードバイクで長距離を走るようになり、ずっと不思議に思っていた感覚を言葉にしてみたい衝動にかられたからだ。 ソウル・漢江サイクリングロードでのライド(手前は筆者) 数人のグループで同じ道を走りながらも、個人の時間を楽しむような感覚は、大げさかもしれないが、共同体の理想を思わせる。体力差では女性に不利な上 ...
Critical Cycling+移動体芸術展 2019 Summer
クリティカル・サイクリングの7回目の展覧会、今回はIAMASの学内プロジェクトである移動体芸術との合同企画として、IAMASオープンハウス2019において開催します。プロトタイプ作品や各種資料の展示はもちろんのこと、恒例になりつつある早朝ライドも実施します。自転車の批評性から始まり、次第に領域を広げつつある活動をご紹介し、意見交換をさせていただければ幸いです。 Critical Cycling+移 ...
[Cyclist’s Cycles 自転車家12ヶ月] 6月
6月 近年、梅雨入りや梅雨明けというステートメント(声明)が、何を指し示しているのかが判然としない。「梅雨入りしました」と聞いても雨の日が続くというわけでもなく、夏真っ盛りのような青空と暑い気温に加え高い湿度と落差の激しい夕立があり、頭が痛くなったり調子を落とす人が嘆き、昨年の雨量や過去何年かとの平均降水量などと比較してやれ多いだの少ないだのと騒ぎ、傘の忘れ物は増え、自転車に乗る人にとってもすこし ...
チェスター・リーブスのママチャリ文化論
アメリカ人チェスター・リーブスによる「世界が賞賛した日本の町の秘密」(2011年)は、そのタイトルからは連想できないが自転車、それもママチャリについて論じた新書本だ。ただし「ママチャリ」だけではなく、ママチャリによって営まれる生活圏である「自転車町内」と、ママチャリでは辿り着けない目的地に繋がる「公共交通」、これらが三位一体となって日本の優れた特質を形作っていると説く。 著者はカルチャラル・ランド ...
IAMAS周辺ライド #6 金生山 18km
これまで紹介した IAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライドは、ほぼアップダウンのない平坦なコースであった。これは同校が河川域に広がる平野部に位置するからだ。一方で、周辺を取り囲む山間部まで行けば、そこからは坂バカ向けの険しい上り坂も控えている。ここではIAMASから最も近いアップヒルにして、極めて特異な地形と歴史を持つ金生山(きんしょうざん)を紹介しよう。 IAMASから金生山の麓までは片道 ...
[輪行しませんか?] 大歩危峡編
ペダルを踏み続け、坂を登りきった。下り坂に入ると同時に、景色が開けた。 両側にそびえる急勾配の山が空をV字に切り取っていた。同じ地形が奥の方まで続いている。谷底では水流とゴツゴツとした岩が勢いよくぶつかりしぶきを上げていた。 木々は急斜面に踏ん張るように生えている。道路も谷側を柱で支えられ、斜面貼りつくようにS字を描いている。川の増水に備えているのだろうか、かなり高い所に道路が位置している。 その ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (5) SC-E8000失敗編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のサイクル・コンピュータを取り替えている。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道での走行はできないし、無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 日本国内向けで展開されるシマノの電動アシスト・ユニットS ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (8)
今日、世界の大都市に広がるレンタサイクルには、2つのタイプがある。 ━ひとつは、2007年パリで始まった“ヴェリブ式”である。 自転車を都市の近距離交通手段として活用、交通渋滞、環境汚染に資する考えから生まれたもの。営利でなく、公共交通の意味合いが強く、自治体主導の運営が中心で、補助金もある。 ━もう1つは、2015年北京で興った“中国式”で、「シェア自転車」と呼ばれる。 資産を個人間でシェアする ...
リチャード・ラーマンの自転車ガムラン
カリフォルニア生れの音楽家、リチャード・ラーマン(Richard Lerman)は、自転車をガムランに見立てたユニークな作品「Travelon Gamelon」(1977)を作っている。ガムランはインドネシアの民族音楽で、金属製の打楽器で演奏される。ラーマンは自転車のスポークにフォノ・カートリッジやピエゾ素子を取り付けて、ガムランに似た音色を作り出す。車輪をスティックで叩く異世界フレーバー。 コン ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第4回 オープン・ザ・ドア
自転車という言葉の魅力は、「自ら」という点にあるような気がする。別に日本語独自というわけでもないと思うのだが、「Bicycle」という単語には強調されていないことだが、映画の中である種の自由の表象として示されるときには、やはり「自ら」に注目が向かっているのでは無いだろうか。 ベルナルド・ベルトルッチの『ラスト・エンペラー』を見てみよう。清朝最後の皇帝、溥儀を主人公にしたこの映画では、「オープン・ザ ...
大友克洋・寺田克也のビバ・イル・チクリッシモ!
西暦2020年に荒廃したネオ東京でオリンピックが開催される。その予言的な漫画「AKIRA」の作者である大友克洋は相当な自転車好きらしく、漫画家の寺田克也らとの共作で「ビバ・イル・チクリッシモ!」(2008年)なる希少本を世に出している。緻密なイラスト280点と情熱的なテキスト15万字が詰まった大型本2冊合本で、イラスト入り特製サコッシュ付きの豪華仕様だ。 2冊のうち、ソフトカバー本は2つの雑誌で連 ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (7)
今世紀に入り、日本の“自転車活用モデル20都市”では、単一の駐輪場でのレンタサイクル実験が繰り返されていた。 ところが、2007年に始まった多数の駐輪場を持つパリ・ヴェリブ方式が、都市交通手段として認められた。この方式は世界の大都市に広まり、日本でも採用された。 ━15年になり、中国でヴェリブを一段とバージョンアップした、新都市型レンタサイクルが登場した。 わずか2年ほどで、北京や上海などの国内4 ...
OSMO Actionが引き起こすDJIとGoProの共進化
先進的なドローンやジンバルを開発しているDJIが、新たにOSMO Actionをリリースした。これはDJIにとって初めての分野であり、アクション・カメラの代名詞であるGoProに真っ向から挑戦している。となると、これまで自転車カメラの最高峰であったGoPro HERO7を凌駕しているだろうか。そこで、2つのカメラをハンドルに並べて取り付け、タイル敷きの歩道を自転車で走行してみた。 GoPro HE ...
水平撮影のためのOSMO Pocket
ドローンの最大手DJIが2018年秋に発売したOSMO Pocketは、小型のジンバルを備えたスティック状の小さなカメラ。DJIが開発した優秀なドローンに備わるジンバルやカメラを、独立した製品としたのがOSMOシリーズだ。OSMO Pocketは小型ドローンのMavic Airあたりに対応するのだろうか、華奢に思えるほど小さく軽く、そして小気味良く動作する。 OSMO Plus(左)とOSMO P ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (6)
1973年のオイルショックから今日まで、国と自治体は、自転車活用社会実現を模索している……。 80~90年代には、大量の放置自転車に悩まされながら、コミュニティサイクルと呼ぶ都市型レンタサイクルの社会実験を続けていた。 例を挙げれば、埼玉・上尾駅前に駐輪タワーを建設、レンタルの採算性を研究した。 自宅から駅までを「順利用」、駅から目的地までを「逆利用」と呼び、2名が順逆4回利用すれば収益確保できる ...
[輪行しませんか?] 事始め
電車が終点の駅に停車した。私は席から立ち上がる。いつの間にか外に見える風景は、山と山の間に田んぼがあるような、典型的な田舎のものになっていた。今はちょうど田植えの時期らしい、田んぼに水が張られ光っている。 ただ一組乗り合わせていた、おばあちゃんとその孫らしき少女は、あいかわらず、おしゃべりをしていて電車を降りようとしない。まさか乗ったまま折り返してしまうのだろうか? 私は、両手に折りたたみ自転車と ...
ジャック・タチののんき自転車
フランスの映画監督・俳優のジャック・タチ、その長編映画第一作「のんき大将脱線の巻」(1947年制作、1949年公開)は、全編に渡って自転車が重要なモチーフになっている。何しろタチ自身が演じる主人公フランソワは自転車に乗った郵便配達人なのだから。フランスの田舎町で繰り広げられる、ほのぼのとしたコメディ。シニカルさはオブラートに包まれている。 原題は「Jour de fête(祭りの日)」。そのテント ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (5)
1980年代になると、自転車需要は廉価車中心に飛躍的に増大、あまりの普及が大量の放置車を生んだ。 数字でみると、3倍を超える凄まじい増加がよくわかる。 ━国内年間出荷台数 60年300万台→90年880万台 ━保有台数 60年2000万台→90年6.900万台 自転車・バイク駐輪全面禁止の看板がむなしい(東京・目白) 駅前などの放置車は、全国で100万台を超える規模になり、耐久消費材としての価値を ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第3回 消失するライド
画面は上下に二分割、いやそれが二画面だから四分割、いや上下二分割と曖昧な一画面ということで三分割・・・。赤松正行の《消失するライド》という、自転車に乗る身体からの主観映像に基づく作品だ。画面は上下が反転した映像で、ひとつの画面はタイムラプス、もうひとつの画面は上下だけでなく左右反転した映像で、膨大なフレームが重ねられ、緩慢に曖昧な風景がスローモーションで変化していく。 赤松正行による映像作品《消失 ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (4) SpeedUp FURIOUS編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のスピード・センサーの機構を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 これまでミヤタのRidge Runnerの速 ...
Vanishing Ride / 消失するライド
Masayuki AkamatsuVanishing Ride2018-2019 MediumTwo 4K Displays, macOS Computer, Original Software Running TimeRide to Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, 2018: 9'30"Ride under Cherry Blossoms at ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (4)
1995年東京・大田区の池上本門寺で、「自転車供養の会」が催された。大量に廃棄処分される放置車の冥福を祈る会であった。 80年代に発生した大量の放置車問題は、育成途上にあった都市レンタサイクルに多大な影響を与えることになった……。 ━話は1970年代に遡る。 そのころ、米国のケン・コロスバンが提唱した「バイコロジー運動」が日本にも伝えられた。 汚染も出さず健康にもよい自転車を、環境対策に活かそうと ...
Pixel 3のGoogleレンズで自転車を知る
Google謹製のスマートフォンPixel 3は、周囲のものに関する情報を表示するGoogleレンズを備えている。今回はこれで自転車を検索してみたい。従来の類似画像の検索とは異なり、それが何であるかを同定するのがGoogleレンズ。つまり、ある絵にカメラを向けると「人」や「絵」と判断するのではなく、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」だと知らせてくれるわけだ。 これは全世界を検索可能にしようとする ...
サイクル・レボリューション展(2016)の概要
2015年11月から2016年6月までロンドンのデザイン・ミュージアムで開催された「サイクル・レボリューション(Cycle Revolution)」展の概要を紹介しよう。既に3年ほど前の展覧会になるが、カタログが作成されなかったこともあって、どのような内容であったかを尋ねられることがあるからだ。そこで、撮影や公開が許可されていたので、メモ的に撮影した写真を整理した次第。 この展覧会はデザインに主眼 ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (3)
1969年(昭和44)に生まれた新造語「レンタサイクル」は、70年代になって「貸自転車」に替わる日本語として広く定着した。 もともと自転車にはレジャー用と移動交通用の二面がある。 当初は観光地のレジャー用だけだったレンタサイクルは、政府自治体の意向もあって、都市交通手段として活用する試みが始まった。別名「コミュニティサイクル」と呼んだ。 この気運のなか、全国の観光地の過疎駅で「駅レンタサイクル」を ...
山田正紀の自転車泥棒
SFやミステリなど多才な小説家、山田正紀は短編集「1ダースまであとひとつ」(1991年)の第四話に「自転車泥棒」を収録している。この20ページほどの短い物語では、サラリーマンの酔っぱらいが深夜の駅前にタクシーが来ないことに業を煮やして、鍵が掛っていない自転車を見つけて自宅に帰ろうとする。まさに正統派の自転車泥棒だが、終盤で警官に呼び止められても発覚するわけではない。 つまりこれは、自転車泥棒という ...
IAMAS周辺ライド #5 野古墳群 32km
第5弾となるIAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライドは、同校から北上して大野町の野古墳群を訪ねる。このあたりには5〜6世紀に造営された古墳が密集しており、14基が国の史跡に指定されている。小高い丘のような円墳や前方後円墳が集まった特異な地形は、歴史マニアなら近づくにつれて興奮すること間違いなし。自転車では無理かもしれないが、古墳を歩いて登ることもできる。 いくつかの古墳の脇には一本桜が植えら ...
[ESSAY] 貸自転車ショート・ストーリー (2)
1969年(昭和44)、一人の男が貸自転車をレンタサイクルと呼び替えた……。 75年になり、省エネ対策をまとめた運輸省報告書の中にレンタサイクルという言葉が初めて登場する。レンタサイクルが公式日本語になったといえよう。 さらに80年建設省資料に「神奈川・平塚駅で日本初のレンタサイクルが供用開始された」との記述がある。 当時の官公庁のレンタサイクルとは都市交通手段としての自転車のことである。「都市型 ...
シェムリアップで観光ライド
2019年1月、カンボジアのシェムリアップに出掛けた。アンコール・ワットなどの世界遺産の観光が目的ではあるが、趣味と実益、そして実践的研究を兼ねて自転車に乗ることも忘れはしなかった。そもそも当初の計画では、ベトナムのハノイから自転車で国境を超える魂胆だった。しかし、ハノイのスクーター洪水と郊外のデコボコ道路に閉口して、素直に空路でシェムリアップに向かった次第。 現地ではまず、市街地のショップに赴い ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第2回 勝手にしやがれ
横尾忠則が画題にするY字路のような、谷中にあるみかどパンの杉の木を正面から捉え、右側の道の奥から、吉行耕作(前田耕陽)のママチャリが、姿勢を低く疾走してくる。「ゆーさーん、ゆーさーん、やばいっすよー」と絶叫し、みかどパンで牛乳を飲む藤田雄次(哀川翔)を呼び出す。雄次の自転車は店の脇に一本スタンドで停止している。耕作のママチャリはY字路の麓に倒して、何だか分からないけど、牛乳を飲み干した雄次とふたり ...
360度から180度3Dに変形する全天球カメラ、Insta360 EVO
全天球カメラの専業メーカーInsta360が、360度でも180度3Dでも使えるカメラ、Insta360 EVOを発売した。これは中央部で開閉する機構が付いており、折畳めば360度の、広げれば180度3Dの映像が撮影できる。後者は視差立体視によるもので、ちょうど人の目と同じ間隔にカメラ・レンズが配置されている。小さな本体は可愛らしく、変形のギミックも楽しい。開閉のロック機構もよくできている。 そこ ...
[ESSAY] 貸自転車ショートストーリー (1)
「貸自転車」というコトバには、長い自転車側面史が刻まれている。戦後のある時期から「レンタサイクル」と呼び替えられ、最近では「シェアサイクル」(「シェア自転車」)とも言う。いずれの呼称もほぼ同義語だが違いもある。その語源を解明する。 そもそも幕末に渡来した自転車は、自輪車・自在車・西洋車などと呼ばれていた。1870年(明治3)神奈川の彫刻職人竹内寅次郎が木製三輪車をつくり、それを「自転車」と名づけた ...
多機能スマート・ヘルメット、LIVALL BH60SE
深センのスタートアップ企業LIVALLの最新スマート・ヘルメットBH60SEが届いた。一番の特徴は背面に埋め込んだ14個のLEDで、方向指示器とテール・ランプの役目を果たす。また、スピーカーとマイクも内蔵しているので、音楽を聞いたり、通話したりできる。さらに、転倒などで強い衝撃を受けた時は緊急メッセージを送る機能まである。微笑ましいほどに垢抜けないビデオをチェックしよう。 さて、肝心のヘルメットと ...
ラウシェンバーグのネオン自転車
JR立川駅を北に出て多摩モノレールに沿って歩く。タカシマヤを過ぎて右手を見ると、巨大な赤い鉢があり、その向こうに透明ケースに収まった自転車が鎮座している。訪れたのは夕暮れ時。まだ薄明るい中でネオンが輝いている。傍らには地下に続くスロープがあり、何人もの人が自転車を押して出入りしている。そう、ネオン自転車は地下駐車場を示すサインなのだ。 この地域はファーレ立川と呼ばれ、米軍立川基地跡地の再開発地だ。 ...
ポタリングのためのスマートフォン・カメラ
自転車に乗って街や郊外をのんびりと周遊することをポタリングと言う。「ぶらつく」「うろつく」といった意味だ。この時に欠かせないのが写真撮影。行き先で出会った面白い出来事や綺麗な景色を記録として残し、時にはSNSに投稿したいもの。ただ、大袈裟なカメラは相応しくないので、スマートフォンのカメラを使うことが多い。最近では驚くほど高性能なカメラが搭載されている。 そこで、代表的なスマートフォンの最新モデル、 ...
自転車という名のトランプ
ある時、トランプのケースに記されたBICYCLEの文字に目が留まった。トランプ、と言ってもフロボッツが予言した権力者ではなく、ゲームや手品に使われるカードのこと。裏面やジョーカーには自転車の絵が描かれている。ひとたび意識するようになると、多くの映画やビデオで同じカードが使われていることに気づく。随分と人気があるようだ。しかし、自転車との関係は釈然としない。 そこで調べて見ると、BICYCLEはU ...
システム・デザインのためのデザイン・システム、Rapha Custom
ロンドン発の洒落乙サイクリング・ウェアの最右翼、Raphaがカスタマイズ・サービスを開始した。このRapha Customでは、ジャージ、ビブ・ショーツ、ジレ、アーム・ウォーマー、ベースレイヤーについて、レイアウトと色やパターンを指定し、独自のロゴを入れることもできる。最少注文数は5つで、数が多くなれば安価になる。ただし、納期は8週間と長いのが玉に瑕。 実際のカスタマイズはWEBサイト上で簡単に行 ...
[ESSEY] 放置車問題未だ解決せず。
80年代には、自転車の廉価化と価値観下落により、全国の駅前などにママチャリ系軽快車やミニサイクルが大量に放置された。廃棄車や盗難車も加わって、まるで洪水のように溢れかえった。 内閣府によると、放置車はピーク時全国100万台(うち東京20万台)を超え、美観を損ない、交通を妨げ、深刻な社会問題になった。 多くの自治体が巨額の税金を投じて対策を実施。今では全国8万台(東京2万台)と大きく減少している。駐 ...
お尻の悩みを解消する大作戦
ロード・バイクに乗り始めて遭遇する最大の苦痛はお尻の痛みだろう。地面からの振動が骨盤、股、尻を痛みつける。綺麗な舗装道路であっても常に細かな振動があるし、ロング・ライドともなると痛みが累積して自転車を乗り捨てたくなるほど辛くなる。これは自転車の乗り方によって随分と解消されるが、ここではクッションやサスペンションによって物理的な改善を試みよう。 ビブ・ショーツのパッド ロード・サイクリングためのウェ ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 第1回 二人乗り
そういえば、と思い出して、久しぶりに、河瀬直美『沙羅双樹』(2003年)を見直す。作品前半、主人公の高校生ふたりが奈良町の路地を走るシーンだ。 高校の美術部で、俊が夕をモデルにデッサンするシーンから切り替わる。すこし古ぼけた大きな自転車のリアハブにまっすぐ立つ夕は、リュックサックを前に掛けて運転する俊の両肩に軽く掌を掛けている。恐らく、最初はふたりの自転車を車道を挟んで、併走しながら撮影してい ...
[ESSAY] 高速道路を走行すると……。
ある日テレビのニュース番組を見ていると、どこから入路したのか、首都高速道路を走る1台の自転車の姿が放映されていた。 ドロップハンドル・多段変速ロードバイクを巧みに操るライダーは、50kmのハイスピードで2車線の左側をキープ、自動車に交じってそのまま消えて行った……。たまたまではなく、高速道路走行の常習犯らしい雰囲気だった。 これは「道路交通法」(第8条)違反であり、「高速自動車国道法」(第17条) ...
可能世界の自転車、電動キックスケーター
小さな車輪を前後に備えた板に片足で立ち、もう一方の片足で地面を蹴って進むキックスケーターやキックボード。これにモーターとバッテリーを取り付けたNinebot社 Kickscooter ES2は、実際に乗ると不思議な印象を受けた。想像以上に強力に加速し減速する運動性能に驚くとともに、従来のキックスケーターでもなくセグウェイでもない、新鮮だが何かを思い起こす感覚があったからだ。 キックスケーターは、そ ...
Raphaはロゴのルビコン川を渡るのか?
Raphaが新しいコレクションを発表した。その名もロゴ・コレクション。文字通りブランドのロゴを大きく目立つように配したTシャツやフーディなどが並ぶ。これを見て暗澹たる気持ちになった。Raphaは機能や品質だけでなく、高いデザイン性を持ったサイクル・ウェアを世に送り出していたからだ。ストイックなまでにシンプルなエレガントさ。そこに自己主張が強いロゴが入り込む余地はない。 実際にも初期のRapha製品 ...
[ESSAY] “ひき逃げ”でなくても“ひき逃げ”になる
自転車の交通取り締まりが強化されている。もともと自転車は道路交通法上軽車両扱いである。だから、自転車乗車可とか専用道路以外の、今まで大目に見ていた一般歩道の走行を制約し、車道を走れと指導している。 昨年11月、自転車で車道を走行中に人身事故を起こし、ひき逃げで起訴された事件があった。「自転車のひき逃げとは何だ?」と思う人は多いだろう。珍しい事件だが事実である。 報道によると、東京都内でイヤホンをつ ...
シンプルな単眼ディスプレイVufine+
Vufine社のVufine+はシンプルな単眼ディスプレイで、眼鏡のツルなどに取り付けると目の前に映像が浮かび上がる。僅か26gと軽量なので、眼鏡のバランスが崩れることもなく、装着に負担がない。ジョイントやヒンジでの位置調整も良好。ただし、細いツルやヘルメットには取り付けにくいし、振動で位置がずれ易い。それでもなんとか工夫してライドに出かけよう。道を見つめるその先に映像がある。 ただ、Vufine ...
Critical Cycling+移動体芸術+現実感芸術展 2019 Winter
2016年4月より活動してきた任意グループ、クリティカル・サイクリングの6回目となる展覧会は、IAMAS学内プロジェクトである移動体芸術および現実感芸術との合同企画として、IAMAS卒展において開催します。作品や資料の展示と体験からトーク・イベントや早朝耐寒ライドまで盛りだくさん。自転車の楽しさと批評性を巡って、お越しいただいた皆様と意見交換をさせていただければ幸いです。 Critical Cyc ...
[ESSAY] 酔っ払ったら乗るな!!
ほろ酔い加減で自転車に乗った経験がある人は多い。お巡りさんもそれを咎めることはほとんどない。 昨年9月事件が発生した。一人の30代とおぼしき中年の女が、路上をふらふらと左右に蛇行しながら自転車に乗っていたという。 それをパトロール中の警官が見つけ、「自転車から降りなさい」と命じたところ、女は足元がふらつき真っすぐに立てない。呼気を調べると、通常の6倍のアルコールが検出された。 警官はその女を酔っ払 ...
書籍Lugged Bicycle Frame Constructionについて
自転車のフレームは、本を読んでから作ることが出来るだろうか。もちろん言うまでもなく、制作には専門的な知識が必要だ。また、知識だけでなく、メカニックとしての訓練や経験も要る。しかし乗り物の中で、自転車のフレームほどシンプルで、もしかしたら作れるのではないか、と思わせてしまう物もないと思う。そこで本を探してみても、制作方法が分かる書籍は、意外と少ないことがわかる。そんな悩みを抱えていた時、筆者(sy) ...
自転車に「乗る」ためのレッスン 予告編
メディア・アーティストの藤幡正樹は、自転車の乗り方をテキスト化することの困難さを、あるエッセイに書いている。一瞬「そうかな?」と思わなくも無い。実際、「ハンドルを握り、サドルに座り,ペダルを漕ぐと自転車は動きます」と書けるではないか。しかし、しかしである、人間が人工物と文字通り身体のバランスをもって一体化する部分について、書けていないのではないか? これは自転車について語る上で致命的なことだ。そも ...
外国の絵本と自転車「Everyone Can Learn to Ride a Bicycle」
子供むけの絵本には、その国の生活、文化、歴史、考えかたなどがよく表されている。自転車が登場する絵本を読めば、海外の子供たちにとって自転車がどんな存在なのかがわかるだろうし、自転車にまつわる外国語表現も覚えられるかも知れない。という訳で、クリス・ラッシュカの絵本「Everyone Can Learn to Ride a Bicycle」を紹介する。 彼はアメリカのペンシルバニア州生まれ、ニューヨーク ...
自転車を盗み盗まれる泥棒映画3選
自転車を盗む、あるいは盗まれることを題材とした映画を3つ紹介する。自動車泥棒もあるが、自転車泥棒は遥かに身近だ。なにしろ、日本国内の盗難件数は自動車が1万件に対して自転車は20万件と20倍もある。自転車泥棒はカジュアル犯罪だし、盗まれた方も防犯意識が低かったりする。だが、ひとたび盗まれるとショックは大きい。それゆえに生活や人生の機微に結びつく、そんな泥棒映画を見ていこう。 自転車泥棒 言わずと知れ ...
Bellcycleを組み立てる
今我々が日常生活で使用している自転車は、自転車の中央部にペダルやクランクがあり、ペダルを回すとチェーンにより動力が後輪に伝わる。その構造は、自転車の歴史上では「セーフティー型」と呼ばれるスタイルの構造で、このような構造になることで以前より安全になったということから、このような名前になった。 それでは、このセーフティー型が登場する前の自転車はどうだったのだろうか。セーフティー型の前はチェーンを使用せ ...
運動能力遺伝子検査「DNA EXERCISE」
これまで私は様々なスポーツに夢中になってきた。近年はもっぱらロードバイクに熱中している。ずっと前からスポーツをやればやるほど疑問に思うことがあった。それは「才能」ってなんだろう?ということだ。スポーツが上手な人もいれば、下手くそな人もいる。練習すればするほど上手くなることもあるけど、練習をしなくても上手くなる人もいて、なんだか不公平な感じがする。 オリンピック選手になるような人はどのくらい練習して ...
500km完走、FESTIVE500への挑戦
FESTIVE500とは、イギリスのサイクリングファッションブランド「Rapha」が主催するクリスマスイブから大晦日までの8日間に自転車で500kmを走る企画である。サイクリングのスポーツとしての価値を、順位やスピードを競うロードレースとは異なる、500kmという冒険により高めるようなこの企画に惹かれ、私も挑戦してみることにした。 2018年12月24日(136.8km) FESTIVE500の初 ...
書籍PEDAL POWERについて
この記事では「PEDAL POWER」という書籍を紹介する。この本はJames C. McCullaghが執筆し、Rodale Pressから出版された。前回紹介した「Bicycling Science」の著者David Gordon Wilsonも、いくつかの章を担当している。この本はまだ英語版しかなく英語は読めないほどではないが、筆者(sy)としてはたまに難しい文法だと感じた箇所があった。本の ...
冬将軍と闘う3つの装備〜日常編
これまで末端編、タッチ編、身体編、新素材編、ドーピング編と様々な観点から冬の装備を考えてきた。ただし、近くの店舗や駅までといった日常的なライドでは、手軽に寒さ対策をしたい。数分のライドのために十数分も準備がかかるのでは、出かける気になれないからだ。そこで極力手間のかからない装備を紹介したい。ここでも第一に押さえるべきは顔、手、足の末端だ。あとは適当に厚手の服を着る。 顔の防寒対策 顔の寒さ対策には ...
書籍Bicycling Scienceについて
筆者(sy)は一昨年、Bicycling Scienceという本に出会った。MIT Pressから出版されたこの本は、マサチューセッツ工科大学の教授であるDavid Gordon Wilsonが執筆した。この本は、主に自転車の構造や機能に関わる、科学的な分析と知識に関する本である。 本の構成はHUMAN POWER(人力)、SOME BICYCLE PHYSICS(自転車に関する物理学)そしてHU ...
自転車を認識する自転車カメラの最高峰、Mate 20 Pro
昨年夏の自転車カメラはHuaweiのP20 Proだった。これが冬には同社のMate 20 Proになった。いずれも背面トリプル・カメラとAIを駆使して、これでもかと言わんばかりのフォトジェニックな写真を叩き出す。P20 Proのモノクロ・カメラに代わって、Mate 20 Proには広角カメラが搭載されたのが大きな変更点。さらに、AI撮影のカテゴリが19種類から25種類に拡大、この中に自転車も追加 ...
自転車のようなものを作ること
これまで筆者(sy)は、数回に渡って自転車のプロトタイプのようなものを制作してきた。その制作の記録は、各記事、新製陸舟奔車2017、Land Crawler 2x2、X-Form Vehicle 46、Deformable Bike 60、Human-Framed Cycle で確認できる。 タイトルに「ようなもの」と書いたのは、実際制作をする間、ずっと結果物が自転車になるか分からない状態で、作業 ...
再び年末のロング・ライド狂騒曲、FESTIVE500
クリスマス・イブから大晦日までの8日間で500kmのライドを行うFESTIVE500。2016年に初めて参加して、トラブルに見舞われながらも何とか達成。昨年2017年は怪我が完治していなかったので見送り。その後、少しずつ自転車に乗るようになったものの、以前よりは回数も距離も少なくなりがち。そこで、2018年は体調復帰の確認を兼ねて、再びFESTIVE500に挑むことにした。 前回の経験からして、F ...
バランスからだ自転車~特殊自転車体験イベント
「バランスからだ自転車」は、養老アート・ピクニック2018のプログラムの一つとして開催された、特殊自転車体験イベントである。屋外でアートを体験することを目的とする、養老アート・ピクニック2018に関する基本的な情報は、以前の記事で確認が可能だ。また、使用された自転車は8種類であり、その中、試乗できる自転車は7種類あった。 試乗車 新製陸舟奔車2017 Halfbike 逆さま自転車 逆さまトライク ...
自転車を表す153言語の言葉
「自転車」は日本語であり、「Bicycle」は英語だ。この世界には何千何万という言語があり、そのひとつひとつに自転車を表す言葉がある。そこで、Wikipediaをスクレイピングして自転車を表す言葉を集めてみた。その数、153言語。見知らぬ言語も多く、その言語で自転車がどのように扱われているかを調べるのも一興だろう。なお、2018年11月25日の時点でWikipediaが扱う言語は304だ。 言語自 ...
Human-Framed Cycle~新しい身体感覚を得るための自転車
作品「Human-Framed Cycle」は、身体の形に合わせて制作された、特殊な形状の自転車である。この作品の形状や機能は、新しい身体感覚を得るために、考えられたものである。 この制作の特徴の一つに、制作過程において、必ず身体の動きと感覚から構造を考え、決めていったことが上げられる。そこで、既存の自転車の形状に頼らず、身体の感覚から形を作り上げることを目指した。つまり、作者自らが、制作過程の中 ...
冬将軍と闘う3つの装備〜ドーピング編
凛とした冷たい空気を切って走る冬ライドは格別。ただし、寒さに負けないためにも装備が重要。そこで今回は冬のドーピングを紹介する。と言っても、人間を止めるレベルには程遠く、ホット・クリーム、ホット・ドリンク、ホット・フードとナチュラル・ドーピング系だ。気合でなんとかする特攻根性は止めて、肌や内側から快適な防寒を楽しみたい。薬物は比較的安価なので、いろいろと試してみよう。 ホット・クリーム 直接肌に塗っ ...
Deformable Bike 60~変形可能な自転車
作品「Deformable Bike 60」は、パイプと、それを繋ぐオリジナルのクランプからなる、自転車組立システムである。このシステムでは、自転車のフレームと各要素を、使用者が望む配置と、形にすることが出来る。 重要な役割を持つクランプは、基本的に2本のパイプをつなげる機能を持っている。各クランプは、1本ずつパイプを掴むことができ、その2本のパイプの角度を中央の関節部分を回転させ、調整することが ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (3) Arduino編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のスピード・センサーの機構を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 最初にミヤタのRidge Runnerのクラ ...
X-Form-Vehicle 46~日常を外に持ち出す自転車
作品「X-Form Vehicle 46」は、パイプとクランプで構成された「組み立てが可能な」自転車である。この自転車の特徴は、駆動部とその他のパーツとの距離や、その配置によって作れる空間を使用者自ら定義できる点である。この機能を使うと、使用者は自分がいつも使用している椅子を、そのまま外に持ち出し、使うことができる。その結果、慣れ親しんでいる日常空間を「外に持ち出した時の感覚」が体験できる。 この ...
セグウェイ=ナインボットの自律バランス車輪
自転車ではないが、電動の立ち乗り二輪車Ninebot mini Pro(以下、ナインボットと略)を導入した。実用的な移動手段ではなく、気晴らしの玩具に近いものの、身体のバランス感覚について様々な示唆を与えてくれる。これは「都市交通を一新する大発明」との前評判を得ながら、実際には普及しなかったセグウェイの後継機のひとつ。そのセグウェイを買収したのが、中国のナインボット社という次第。 セグウェイは左右 ...
ブルース・スターリングの自転車修理人
ブルース・スターリング(Bruce Sterling)は、1997年にヒューゴー賞に選ばれた中編小説「自転車修理人」を著している。サイバーパンクの開祖らしく、高度に進化した果てに壊滅的な破局を迎え、朽ち果てつつある近未来の都市が舞台。そのような世界で自転車とその修理人がどのように描かれるのか、文中から抜粋しよう。ちなみに、モンティ・パイソンの「自転車修理マン」とは何の関係もない。 まず、冒頭に主人 ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (2) LEGO編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のスピード・センサーの機構を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 前回はミヤタのRidge Runnerの速度 ...
ネック・スピーカーで音楽サイクリング
1年ほど前からプチ流行しているネック・スピーカーは、首にかけるワイヤレスのスピーカー。ヘッドフォンやイヤフォンとは違って耳を塞がないので、自転車に乗りながら音楽を聴くのに適している。適切な音量なら警官に注意されることはないだろう。車載スピーカーと骨伝導ヘッドフォンに続く、第3の聴取方法になるわけだ。意外かもしれないが、イヤフォンより装着が目立たないのも嬉しい。 数種類ほど発売されているネック・スピ ...
再帰性反射素材で自転車ペイント
先日完成した「逆さま自転車」は無垢のクロモリ素材のままであったので、再帰性反射素材で塗装した。未塗装のまま小雨の中で使うと、翌日には錆が浮かんできたからだ。錆は紙ヤスリで取り除けるが、きちんと塗装するに越したことはない。筆者は自転車を塗装したことも、塗装のために必要となる自転車の分解もしたこともない。そこでこれは良い機会とポジティブ思考で素人作業に取り組むにした。 塗装をするのはフレームとフォーク ...
秋の夜長に自転車カード・ゲーム
晩秋ともなれば日が落ちるのが早く、早い時刻に自宅やクラブハウスに戻ることになる。疲れた身体を癒やしつつも、それでも走り足らなく思うかもしれない。そんな時は家族や友人と自転車を題材にしたカード・ゲームに興じるのも良いだろう。純粋なゲームとして駆け引きはもちろんのこと、カードに描かれた自転車や選手についてのウンチク合戦になりそうだ。そんなゲームを三種類紹介しよう。 BATTLE OF THE BIKE ...
シマノの電動アシストSTEPSの実験 (1) 磁力センサー編
【注意】本稿では電動アシスト自転車のスピード・センサーの機構を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。 道路交通法施行規則第一条の三により、日本の電 ...
自転車乗りのためのカジュアル・ジャケット
自転車乗りのためのフォーマル・ジャケットに続いて、今回はカジュアルなジャケットを紹介する。ロード・レースやブルベ用のスポーティなジャケットではなく、木枯らし吹く季節にピッタリな街乗りジャケットだ。自転車を降りてからも違和感がなく、それでいて機能的で着心地が良いものを選んだ。自転車に乗って快適なジャケットは、自転車を降りてからも快適だ。 Lightweight Transfer Jacket 前身で ...
IKEAの自転車アクセサリー
IKEAはシンプルでデザイン性が高く、使い勝手の良い家具を安価に提供している。倉庫に招き入れた客が商品を運ぶことで人件費を抑えるのは、自転車に通底するコンセプトだろう。そんなIKEAが提供する自転車用のアクセサリーを紹介しよう。種類が少ないのは残念だが、いずれも気の利いた出来栄えだ。IKEAハックよろしく、自転車用ではないグッズの流用を考えるのも楽しい。 BESKYDDA(ベスキッダ)高視認性安全 ...
拡張自転車綺譚〜逆さまハンドル二輪自転車篇
ハンドルを切る方向と実際曲がる方向が逆になる「逆さまハンドル」の自転車を制作した。改造し易いカーゴ・トライクでは既に実現しているが、一般的な二輪自転車では困難であった。これはヘッド・セット周りに空間的な余裕がなく、素人工作の範疇を超えていたからだ。そこで、何度か工房にお邪魔したこともあるShin・服部製作所の服部晋也さんに相談し、制作を依頼して完成に至った。 逆さまハンドルは、ハンドル・ステムと前 ...
自転車の整備にワークスタンド
自転車は何かと手間がかかる。フレームの清掃、チェーンの洗浄、パーツの取付など、週に1回程度は何らかのメンテナンスをする。幸か不幸か自転車の台数が増えると、その回数も馬鹿にならない。しかも自立せず、壁に立て掛けても安定しない自転車も多い。そこで後輪を持ち上げる簡易スタンドを使って作業をする。これは手軽に扱えて随分と作業が捗る。畳んで片付けると場所も取らない。 この手のスタンドでは、しゃがんで作業する ...
自転車乗りのためのフォーマル・ジャケット
ジャージやビブ・ショーツなどのサイクリング・ウェアは、しばしば「ピチピチ」と揶揄されるように、日常的に着るには無理がある。そこで自転車でショップやカフェを回れるように、普段着に近い街乗りウェアも人気がある。これをさらに進めて、オフィスにも着て行けそうなジャケットも登場している。デスクワークとサイクリングとでは、求められる仕様が違うわけだが、さて、実際にはどうであろうか? Rapha Lapelle ...
関ヶ原古戦場サイクリング・イベントに参戦
先日開催された関ヶ原古戦場サイクリング・イベントの「チェスト!島津退き口コース 63km」に参加した。当日の朝に雨が上がり、天候は曇り時々晴れ、秋らしい爽やかなライドとなった。趣旨を無視して史跡には一切立ち止まらなかったものの、古い町並みや田舎道は美しく、有名な二之瀬越は厳しくも壮大な眺めに心洗われる。このヒルクライムを含めて一日ライドとして、じっくりく楽しめるコースであった。 今回のイベントは一 ...
投函しない自転車ポストカード
「心のこもった手書きの手紙」は前世紀の美徳。そもそも手書きで文字を書かないし、手元に便箋や封筒がない。切手もなければ、料金がいくらかも知らない。ポストの場所を知らず、最寄りの郵便局も分からない。観光地や美術館には、色とりどりの絵葉書が並んでいるが、投函することはない。同じように投函するとは思えないが、自転車をモチーフとした絵葉書を眺めるのは楽しい。 アンティーク絵画によるグッズを数多く扱うPixi ...
自転車トレーラーで大型荷物を運ぶ
ドローンを飛ばすために自転車で出かけるのは、DJI Phantom程度なら通常の自転車パッキングで何とかなる。しかし、Inspire以上となると大型スーツケースほどのパッケージであり、カーゴ・バイクで運んでいた。その積載量は大きく、三輪での走行は安定している。目の前に荷物を見ながら走れるのも安心だ。もっとも、日本ではカーゴ・バイクの取り扱いが少なく、あっても高価であるのが難点だ。 そこで、もう少し ...
バランスからだ自転車の試乗車紹介
昨年の養老アート・ピクニックの「バイク・ハック」では、4台の多輪自転車の試乗を行った。これに対して、今年は「バランスからだ自転車」と題して、身体感覚を問い直す観点から7台の自転車を用意した。もちろん、芝生や舗装された小道で試乗できる。独自に設計した自転車が2台、機構を改造した自転車が3台、そして手を加えていない特殊自転車が2台というラインナップを紹介しよう。 新製陸舟奔車2017 sy, 2017 ...
進化途上の360度全天球カメラ、Insta360 One X
一時は雨後タケノコ状態だった360度全天球カメラは、極めてスタビライズ能力が高いGoPro Fusionが頭一つ抜きん出ている。ただし、これはズッシリと重たいのが難点。何分間かヘルメットに載せていると、首が痛くなってくる。そこで、長時間のライドではInsta360 Oneを用いることが多かった。そして、その後継機であるInsta360 One Xが登場したので、早速テスト・ライドを行った。 まず、 ...
自転車カメラ・スタビライズの最高峰、GoPro HERO7 Black
アクション・カメラのスタビライズ機能は、Sony FDR-X3000Rがもっとも優れていた。だが、最近になってGoPro HERO7 Blackが対抗馬として登場した。Sonyはお得意の空間光学ブレ補正によって、レンズとセンサーが動く大技。これに対してGoProのHyperSmoothは電子式手ブレ補正で、物理的に動く部分はない。モーション・センサーと画像処理だけで、どこまでスタビライズされるのか ...
ミニマリストのためのミニマム輪行袋FAIRMEAN
一定の条件を満たせば、自転車を公共交通機関に載せて移動することができる。これは輪行と呼ばれ、サイクリングの活動範囲を広げてくれる。混雑する市街地を電車で抜け出し、環境の良い郊外から走り出せるからだ。疲れたり、雨が降ったりしても、電車で戻れるのも嬉しい。自走なら何日もかかる遠方でのサイクリングも楽しめる。電車だけでなく、船や飛行機でも輪行できる。 鉄道や飛行機では、自転車を折り畳むか分解して専用の輪 ...
関ヶ原古戦場サイクリング・イベント開催
国内でもっとも有名な戦いと言えば、関ヶ原の戦い。だが、その地を訪れると、呆気ないほど何もないことに驚く。のどかな山野が広がるだけで、風光明媚な景色や壮麗優美な建物はない。しかし、天下分け目の戦いとして歴史的な意義は高い。そこで、この古戦場をアピールすべく様々な観光事業が行われている。そのひとつが今年設定されたサイクリング・コースを走るイベント。これは期待が高まる。 この関ヶ原古戦場サイクリング・イ ...
2年目の養老アート・ピクニックと自転車イベント
昨年に引き続き、今年も養老アート・ピクニックが開催される。テーマは「冒険のはじまり」。前回の気づきから、今回は動き出すことを意図している。会場は同じ養老公園で、点在するブースを歩き回って楽しめるようになっている。養老天命反転地のフィールドを丸ごとAR化する作品から、養老の滝から流れる川辺でのテント・サウナまで、多彩なプログラムを展開してお待ちしています。 養老アート・ピクニック 会期:11月3日 ...
始まりの相馬復興サイクリング、未完のツール・ド・フクイチ
相馬復興サイクリング 東日本大震災で大きな被害を受けた福島県相馬地方の復興を伝える相馬復興サイクリングが開催された。その当日は台風24号が接近しつつあり、朝から生憎の雨模様。しかし、暴風域に入るのは夜半の見込みであったので、イベントは決行となった。ただし、安全のためロング・コースは中止、全員がショート・コースを走る。小径車からロード・バイクまで、それぞれのスタイルでスタートを切る。 サイクル・イベ ...
養老サイクル・ステーションの概要と10月のイベント
9月1日にオープンした養老サイクル・ステーションは、地域のサイクリング拠点として活用していただけるよう、徐々に体制を整えている。ただ、普段は無人であり、誰かが常駐しているわけではない。ドアが閉まっていると気兼ねするかもしれないが、自由に出入りしていただければ有り難い。そこで今回はサイクル・ステーションの概要と10月に行われるイベントを紹介したい。 まず、養老サイクル・ステーションは養老公園の入り口 ...
自転車カメラとしてのP20 Pro
これまでサイクリングでの写真やビデオの撮影はiPhone Xを使っていた。これが最近はファーウェイ(Hauwai)のP20 Proだ。この評判の高いカメラは、泣く子も黙るライカの高性能ユニットを3つも背面に備え、ニューラル・ネットワーク処理ユニット(NPU)による高速な人工知能(AI)が絵作りを司る。これらが束になって世界を切り取った写真は凄まじい。重厚長大高価な一眼ナントカが霞んでしまう。 この ...
自転車ハンモッキングのススメ
自転車チェアリングのススメに続いて、今回は自転車ハンモッキングをススメたい。少々語呂が悪い気がしないでもないが、自転車に乗って山や森に出かけ、木立にハンモックを吊るして寝そべることだ。空中に浮遊し、緩やかに揺れを楽しんでいるうちに、いつしか微睡んでしまう。考えごとや読書をするつもりでいても10分と保たない。それほどまでにリラックスできること請け合いだ。 自転車で運んで野外で楽しむなら、イチオシはヘ ...
Re-cycling Wheel / リ・サイクルの車輪
Masayuki AkamatsuRe-cycling WheelDedicated to Marcel Duchamp2018 MediumMetal wheel with Synthetic Resin Propellers, Hub Dynamo and LED Light mounted on painted wood stool Dimensions128 x 60 x 34 cm Ac ...
書き込まないジャーナル、ログ、そしてリスト
人並みに日記を書こうとして一週間と続いた試しがない。日記帳を開き、日付を記す儀式だけで、億劫で仕方がない。それだけに、モバイル・テクノロジーが発達して、思いつくままツイートできるのは有り難い。日々刻々と行動や身体情報を勝手に記録してくれるのも大歓迎。当然、ライドはGarminのボタンを押すだけ。それなのにサイクリングやレースを記録する本を3冊も買ってしまった。 「Bicycle Travel Jo ...
ロゴのない自転車、NO LOGO BIKESのロゴ
北欧の初夏は日が暮れるのが遅い。世界最高の自転車都市コペンハーゲンでは、レストランからバーやカフェへと渡り歩いても、まだ空は明るい。橋の上で馬鹿騒ぎする集団をやり過ごして、中心街に戻ったところで驚いた。小さな自転車ショップに掲げられた店名が「NO LOGO BIKES」だったからだ。ウィンドウ越しに覗くと、店内の自転車はロゴがなく、すっきりとして美しい。 それも一台や二台ではない。店のすべての自転 ...
自転車に乗ってドローンを飛ばそう
自転車とはまるで違うが、ドローン(無人航空機、ここでは小型のマルチコプター)が面白い。鳥のように大空に舞い上がって、カメラ映像として見たことがない景色を見渡せるからだ。ただし、ドローンは人口密集地など飛行禁止エリアでは飛ばせない。そこで、野原や河川敷、あるいは海や山に出かけることになる。小型のドローンなら自転車で持ち運べるので、ここでは、そのパッキングを見ていこう。 3年ほど前に購入したDJI社の ...
ジアンルカ・ジミニの自転車図鑑
ボローニャ在住のグラフィック・デザイナー、ジアンルカ・ジミニ(Gianluca Gimini)のプロジェクト「自転車図鑑(Velocipedia)」は、愉快であると同時に興味深い取り組みだ。これはフォトリアリスティックな自転車のドローイング集で、少し変わった不思議な自転車が並んでいる。いや、少し変わったどころか、実際に乗ると壊れるか、前に進まないに違いない。そんな自転車ばかりだ。 このプロジェクト ...
Magic Leap Oneで拡張現実ライド
ド派手なデモ映像と巨額の資金調達を行いながら、その実態が謎に包まれていたMagic Leap社が、2018年8月より開発者向けの製品としてMagic Leap Oneの発売を開始した。これは透過型の眼鏡型ディスプレイであり、目の前の光景にデジタル映像を重ねて表示する。つまり、現実と切り離されるVR(仮想現実)ではなく、現実と情報が融合したAR(拡張現実)やMR(複合現実)の世界が現れる。 現在、M ...
電動アシスト自転車のファームウェア・アップデート
電動アシスト自転車には専用コンピュータが搭載され、モーターの制御などを行うプログラムが実行されている。ところが、プログラムにはバグ(欠陥)が付きものであり、これをゼロにすることは困難だ。ただし、見つかったバグに対しては、問題を解決した新しいファームウェアが提供される。これは新しい機能を追加するためにも行われる。そこで、常に最新のファームウェアを利用するのがキホンだ。 ミヤタのRidge Runne ...
シャン・ジャンの自転車塗り絵本
上海出身でロンドンで活躍するシャン・ジャン(Shan Jiang)の「The Bicycle Coloring Book」は、その名の通り、自転車を題材とした塗り絵の絵本。白地に細いペンで輪郭線だけが描かれているので、色鉛筆やカラーペンなどで色を塗って楽しむ趣向。横長の変形A4版で全144ページ、片面のみが塗り絵になっている。明快なストーリーはないものの、ゆるやかな連続性をもって進行する。 自転車 ...
養老サイクル・ステーション・インタビュー
クリティカル・サイクリングが運営を担当する養老サイクル・ステーションの開設に向けて準備が進んでいる。2018年7月から8月にかけて、養老公園にユニット・ハウスが設置され、内装や外装を整えて常備する物品が運び入れられた。ここでは運営の中心を担うIAMASの鈴木宣也さん(研究科長・教授)とチェ・シヨンさん(修士2年生)にインタビューを行い、その構想から今後の展開をお聞きした。 赤松正行:炎天下での養老 ...
コンパクト収納ヘルメット、FEND
FENDは畳んで小さく収納できる自転車用のヘルメット。一般的なヘルメットは随分とかさばるので、街乗りで自転車から降りた時や、旅行で輪行して出掛ける時に厄介だ。そこで収納時の小ささを主眼にデザインされたのがFEND。形状が変形するとなると耐衝撃性が心配されるが、アメリカやヨーロッパの安全基準に適合しており、安全性は問題ないと言う。 ...
ビル・カニンガムの撮影自転車
ビル・カニンガム(Bill Cunningham)は世界的なファッション写真家。ニューヨーク・タイムズに所属し、煌びやかに着飾った人々の写真を取り続けた。彼を有名にしたのは、ファッション・ショーやスタジオではなく、ニューヨークの街角で撮影するストリート・スタイル。その様子はドキュメンタリー映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」(2011)に描かれている。 トレード・マークである青いジャケットを羽織 ...
養老サイクル・ステーション開設!
昨年に引き続き開催される養老アート・ピクニックの関連プログラムとして、クリティカル・サイクリングが運営するサイクル・ステーションが養老公園に設置されます。9月1日から11月30日まで、さまざまなイベントやワークショップを開催予定。また、期間中は常時誰でも立ち寄って休憩したり、情報交換や自転車整備ができるフリー・スペースとしても運営されます。 養老サイクル・ステーション 開設期間:2018年9月1日 ...
現実の荒野を駆ける空想の自転車たち
自転車の元祖は、1817年にドイツのカール・フォン・ドライス男爵が発明したドライジーネ。これが世間の定説。ただし、広く世に認められていないものの、江戸時代の自転車など異説は少なからずある。さらに空想や伝説、あるいは悪戯や詐欺のような事例もある。そもそも自転車とは何ぞやという定義の問題もある。身近なようで近代に至るまで登場しなかった自転車。その異端史を少し紐解いてみる。 魯班の伝説自転車 ドライジー ...
モンティ・パイソンの自転車修理マン
モンティ・パイソン(Monty Python)は、ブラックでシニカルな大英帝国ジョークを連発するイギリスのコメディ・グループ。1969年のBBCテレビ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」が大人気となり、後世に大きな影響を与えている。その番組のエピソード3(第3回放送)に含まれるのが「自転車修理マン(Bicycle Repair Man)」、3分間のショート・フィルムだ。 小難しい解説は不要だろう。細か ...
ナイジェル・ピークのヒルクラム絵画
北アイルランド出身の画家ナイジェル・ピーク(Nigel Peake)の画集「Cycling Climbs」は、その名の通り、サイクリングでの登坂、すなわちヒルクライムを題材とした20枚の絵画で構成されている。これらは大判厚手の上質紙に印刷されており、弱い糊の無線綴じなので、それぞれを切り離して額装することもできる。つまり、これは20ページの書籍ではなく、副題が示すように20枚のアート・プリントだ。 ...
夏魔王から逃れる3つの装備〜ドーピング編
「記録的な」という比喩表現ではなく、まさに観測史上の記録を更新し続ける今年の夏の猛暑は凄まじい。そのような炎天下に自転車でライドに出かけるなら、夏用の衣服を整えるだけでは不十分。そこで今回は、夏のライドでの飲み物や補給食、そして日焼け止めクリームについて、筆者の経験からお気に入りを紹介したい。身体の内側から身体を支え、身体の表面で身体を守るわけだ。 ドリンク 夏のライドでは大量に汗をかくので、水分 ...
自転車チェアリングのススメ
マウンテン・バイク、それも電動アシストなら、人里離れた山野に分け入り、気に入った場所で寛ぎたいと思っていた。マットやハンモックも良さそうだが、調べているうちに見つけたのが、アウトドア用の椅子。軽量なパイプ製で、組み立ても簡単、小さく収納できる。腰掛けるだけの小さな椅子から、背もたれのある大きめの椅子まで種類も豊富で、場所を選ばない。これぞ求めていたものに違いない。 筆者がお気に入りは、何と言っても ...
Critical Cycling+移動体芸術+現実感芸術 2018 Summerの紹介
2018年7月28日〜29日に開催予定であったIAMAS OPEN HOUSE 2018は、悪天候の見込みのために中止となった。しかし、8月4日に規模を縮小してIAMAS プチOPEN HOUSE 2018を行うことになり、Critical Cycling+移動体芸術+現実感芸術展 2018 Summerも、早朝ライドを除いて当初と同じ内容で開催する。ここでは、その展示内容を写真で事前紹介する。 ...
Infentoの乗り物コンストラクション・キット
Infentoは子供向けの乗り物コンストラクション・キット。2015年にクラウドファンディングに成功して製品化している。現在は8種類のキットに4種類のアドオンがラインナップ。筆者が購入したMaster Creator Kit(US$649、7万円強)は16種類もの乗り物を制作でき、手押し車やキックボードから一般的な自転車やトライクまで多彩だ。対象年齢は1歳から13歳、親子での組み立てが想定されてい ...
SANOMAGICのマホガニー自転車
知人が言うには、職場の近くに木でできた綺麗な自転車を作っている人がいて、芸術品のような美しい佇まいだったらしい。その後、新木場の倉庫街を通りかかり、この辺りかなと思っていた矢先に、まさに煌めくような木製自転車が颯爽と走り抜け、建物の一角に入っていった。この好機を逃す手はない。思わず後を追って話しかけてみた。この工房はSANOMAGIC、自転車の主は佐野末四郎氏であった。 同氏は突然の訪問に怪訝そう ...
夏魔王から逃れる3つの装備〜衣服編
筆者の住んでいる地域の近郊は、夏の暑さで全国のトップを争う。しかも、水都と呼ばれるほど豊かな水資源が熱せられて水蒸気が充満する。つまり、夏ライドでは強烈な高温多湿の灼熱地獄を走らねばならない。よって、少しでも暑さを抑える工夫が至上命題だ。そこで、まずは夏ライド用の衣服から考えたい。夏らしい格好と言えばタンクトップにショート・パンツだが、実は軽装とは逆を行くことになる。 インナー 薄着のほうが涼しい ...
TreGo Trollyでハイブリッド・カーゴ・バイク
Kickstarterでのクラウドファンディングに登場したTreGo Trolly(以下TreGo)が、お約束の1年遅れで最近になって届いた。これは通常の自転車をカーゴ・バイク化するアタッチメントだ。しかも、気の利いたアイディアがたくさん詰まっている。もともとは開発者が大学生だった時の卒業制作だそうで、数年かけて改良を続けて完成度を高めている。 最大の特徴は、カーゴ・バイクとして多くの荷物を運べる ...
ベルヴィル・ランデブーの自転車機械
フランスのアニメーション映画「ベルヴィル・ランデブー」は2002年のシルヴァン・ショメ監督作品。自転車を巡る奇妙で奇怪な物語。自転車で疾走する爽快さやレースの駆け引きといった有りがちな要素は皆無。精緻な背景美術と極端にデフォルメされた形状や動作とともに、白昼夢のような物語が続く。セリフはほぼないので場面や展開は理解しやすいが、種や仕掛け、伏線はたっぷりと用意されている。 「ベルヴィル・ランデブー( ...
マウンテン・バイクにハイドレーション
逆もまた真なりだが、ロード・バイクからするとマウンテン・バイクは奇妙な自転車で、不便なことが多い。その一例は下に湾曲したトップ・チューブで、ドリンク・ボトルの空間に乏しい。ミヤタのRidge Runnerでは、シート・チューブにボトル・ケージ穴があるものの、標準的なボトルは入らない。かなり小さい500ml程度のボトルなら入るが、下方になるので手を伸ばして取り出すのに苦労する。 これではマウンテン・ ...
Apple StoreのRapha
先月半ばにApple StoreのWEBサイトを開いて驚いた。そこには十数点のRapha製品が並んでいたからだ。しかも新製品なのか、見知らぬものばかり。どちらも白ベースのシンプルなサイト・デザインだから、間違ってRaphaのWEBサイトを開いたのかと思ったほどだ。Raphaを連想させるのに十分だが、微妙に異なるテイストに違和感を覚えないでもない。 WEBサイトにしろ実店舗にしろ、これまではRaph ...
Critical Cycling+移動体芸術+現実感芸術展 2018 Summer
【追記】中止となったIAMAS OPEN HOUSE 2018の代わりに、規模を縮小したIAMAS プチOPEN HOUSE 2018が8/4(土)に開催されることになりました。Critical Cycling+移動体芸術+現実感芸術展 2018 Summerも当初と同じ内容で開催しますので、お越しいただければ幸いです。なお、早朝ライドは行いませんので、ご了承ください。(2018.07.30) 自 ...
otakuhouseインタビュー
自転車に乗ってサウナに出掛けるBIKE2SAUNA Meeting #2 IBIで、自転車パートを企画したのがotakuhouseさん。その時は挨拶をしただけだったが、後にブログを拝見して驚いた。ヒマラヤの山岳地帯でのツーリング記事があったからだ。やがて厳冬期のフィンランドで自転車で北極圏を目指すという投稿。しかも、雪原のテント泊でサウナ巡りをするとか。その後も草原と砂漠のウィグルに出かけている。 ...
「自転車で見た三陸大津波」を擬似並走
武内孝夫著「自転車で見た三陸大津波」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地を自転車で回った記録だ。2013年4月の青森県八戸に始まり、2014年10月の仙台に至るまで、次第に南下するように9回に分けて走行。また、2015年10月にも気になる4ヵ所を再訪している。「防潮堤をたどる旅」との副題にあるように、三陸海岸での津波と防潮堤を巡る観察と考察が中心となっている。 この取材旅行では、 ...
雨の日はボンチョで
自転車が苦手とすることのひとつは雨だ。徒歩でも自動車でも雨は憂鬱だが、傘もさせず幌もない自転車となると尚更辛くて仕方がない。レイン・スーツなどを着れば雨に濡れないとは言え、これは暑苦しいし、出掛けた先で脱いだ後が大変だ。防水性素材は次々と開発されているものの、決定打は未だない。そのような雨模様の中、ユニークな発想で作られたのが、VanMoofのボンチョ(Boncho)だ。 ボンチョを円形ケースから ...
Our Second e-Bike, Miyata Ridge Runner
2017年の時点で、私たちが最初に買うべき電動アシスト自転車は、XiaomiのMiJia QiCycleだった。洗練されたスタイルと機能、スマートフォンのようなグローバル志向、そして極めて安価で妥当な価格、と他から抜きん出た魅力を持っていた。その素晴らしさは2018年の現在も色褪せない。ただ、これは街乗り用であり、短距離の買い物や通学通勤以外には使いにくい。 そこでオフ・ロードやロング・ライド用の ...
120psi対応の小型電動ポンプ、miniFumpa
非力な人にとって自転車のタイヤに空気を入れるのは一苦労。そこでボタンを押すだけの電動式ポンプに期待したい。ただ、最初に購入したSmart Air Pump M1は空気圧100psiまでで、やや役不足。次に入手したBERKUT SPECIALISTは120psi対応でロード・バイクにも使えた。 いずれもUSBで充電するバッテリー式で携帯可能。だが、どちらも大ぶりで400g超えと重たいのでライドに持っ ...
連結自転車のプロトタイピング
複数の自転車を特製器具で繋いで乗る連結自転車の着想は、タンデム自転車からだった。二人漕ぎの自転車は簡単に思えるが、乗りこなすのは結構難しい。二人で漕ぎ出し、一緒にカーブを曲がるのは、掛け声と度胸がなければならない。どちらかが漕がずにいて、相手が苦労することもある。つまり、個人的な乗り物である自転車が、ある種の対人関係や社会性を帯びることになる。これは何とも面白く興味深い。 タンデム自転車は市販され ...
連結自転車の参加者募集
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)と大垣市は共同で小中学生向けのワークショップ「イアマスこどもだいがく」を開催します。なかでも「連結自転車〜コネクティッド・サイクリング〜」はし、特別な機構によって自転車を連結して乗りこなすユニークな試みとなります。乗り方や連結方法を工夫しながら、身体感覚を新たにして同乗者との意思疎通を図りましょう。大垣市在住の方に限られますが、ご参加いただければ幸いです。 イア ...
那須は自転車の聖地と呼べるか?
那須のサイクル・ステーションには、とても感銘を受けた。ただ、それだけでは那須の自転車事情を伝えたことにならないだろう。何しろ、全国に雨後タケノコ状態の自転車の聖地のひとつだ。サイクル・ステーションは空虚な施設だが、僅か1kmほど離れた那須サイクル・ベースは奇妙なほど充実している。隣接する駐車場は朝早くから満車状態で、随分と賑わっていることが伺える。 まず、室内には何十台ものレンタル自転車が並んでい ...
那須のサイクル・ステーション
数日間だけだが、栃木県の那須高原に滞在した。御用邸や小洒落た別荘が並ぶリゾート地。地域密着を謳うプロチームや聖地を目指す取り組みなど、自転車が盛んらしい。マップで検索すると「那須サイクル・ステーション」が見つかる。ここへ行けば、いろいろと情報が得られるに違いない。いそいそと出かけてみると、そこには平屋の立派な建物があった。十数台は停められそうな駐車場まで完備されいる。 だが、何かおかしい。その日は ...
Garmin Edgeのスクリーンショット
Garmin Edgeの診断テストの記事内容もさることながら、Garmin Edgeのスクリーンショットが撮れることに驚いたとの声を聞いた。これは隠し技でも何でもなくて、取扱説明書にも記載されているし、特殊な操作をするわけではない。ただし、その機能はデフォルトでオフになっている。そこで、以下の手順でスクリーンショットの機能を有効にする。ここでは820Jを用いて説明する。 1. ホーム画面左下の設定 ...
6月3日はワールド・バイシクル・デイ
6月3日は「世界自転車の日」(World Bicycle Day)。と言っても、知らない人も多いだろう。日本で取り上げている自転車関連のメディアも皆無。何しろ、これは2018年4月12日に国際連合(United Nations/UN)で議決されたばかり。つまり、今年が1回目の出来たてホヤホヤの記念日だからだ。ハッシュタグは #June3WorldBicycleDay 、UNらしい水色のロゴも制定さ ...
自転車関連法令の条文一覧
自転車は左側を走れ!(道路交通法 第十八条)から、電動アシスト自転車が遅いのは何故?(道路交通法施行規則 第一条の三)まで、あるいは自転車は税金を払わなくていいの?(法令が存在しない)や、競輪でバクチしてるのは何故?(自転車競技法 第一条)など、社会的存在である自転車は法律によって様々な制約を受ける。そこで、自転車を取り巻く法律の内容をまとめておこう。 インフォメーション・テクノロジーによって適切 ...
ピンク・フロイドの自転車
ピンク・フロイド(Pink Floyd)は精神障害や教育重圧などによる錯乱や孤独を歌うプログレッシブ(先進的)なロック・バンドで、音楽的にも技術的にも革新的な取り組みで高く評価された。だが後には、お涙頂戴ブルースを大袈裟な楽曲構成と絢爛豪華な舞台装置で飾り立てるようになり、巨大で愚鈍な恐竜と揶揄されてしまう。そんな彼らの最初期の楽曲のひとつが「Bike」だ。 I've got a bike, yo ...
Garmin Edgeの診断テスト
先日、自転車に乗ろうとして不思議なことが起こった。いつものようにライド情報を記録するために、Garminのサイクル・コンピュータを起動した。ところが、電源が入って表示された画面は、小さな文字で様々な情報が詰め込まれた、見たこともない画面だった。これぞ機器の動作をチェックする診断テスト(Diagnostic Test)モードだった。 この診断テストを起動するには、Garmin Edge 820Jの場 ...
新しい自転車ショップSTYLE-Bを訪ねて
今年3月、西五反田に新しい自転車ショップSTYLE-Bがオープンしたと聞いて、遅ればせながら訪ねてみた。場所は五反田駅から徒歩5分足らず、大崎広小路駅なら駅を出てすぐの高架下。だが、一見しただけでは自転車屋さんとは思わないだろう。入り口には野菜や果物が所狭しと並べられているのだから。ただ、よく見ればCYCLE&CAFEとのネオン・サインがあり、自転車が並んでいることに気がつく。 「自転車を通じて、 ...
少女と自転車をめぐる3つの映画
近年に制作された少女(または女性)と自転車をめぐる映画を3本を紹介する。必ずしも対比的に選んだわけではない。そもそも自転車の映画は少ないし、その中でも女性が主役である映画となると、さらに限られる。ざっと調べてみても、ロード・レースやメッセンジャーといったモチーフが多く、つまり、速い、強い、機敏、など男性原理っぽい映画だ。そのような傾向の中での女性自転車映画となる。 少女は自転車にのって(2012年 ...
Mirage Cameraで半球遠近法に浸る
Lenovoが発売するMirage Cameraは、Googleが提唱するVR180規格によるデジタル・カメラ。前面には人の目の間隔で2つのレンズが並び、その視差によって奥行きのあるステレオ3D撮影ができる。必要最小限の操作は上面の3つのボタンで可能。モニタ画面があるべき背面には何もない。前面すべてが撮影されるので、正確なフレーミングは不要だからだ。必要であれば、VR180アプリでプレビューする。 ...
100のアイテムで知るサイクリングの歴史
Suze Clemitson著「A History of Cycling in 100 Objects」は、その名の通り、100個のアイテムによってサイクリングの歴史を紹介するウンチク本。著者は「100 tours 100 tales」なるブログやポッドキャストを主催するスポーツ・ジャーナリストで、イギリスの大手新聞であるThe Guardianへの寄稿なども行っている。お得意のロード・レースを中 ...
大杉トレイルのプレ・オープニングに参加
株式会社CURIO訪問時に、マウンテン・バイクの自作コースに来ませんかとお誘いを受けた。山系は知識も経験もないので、自作?手作り?と目が点になりながらも、その日がプレ・オープンとのことで、これは好機と出掛けてみた。場所は岐阜県東部の関市の大杉地区、カナクズ山という緑豊かな小山の一角。提携している「ふる里農園 美の関」に無料駐車できるので、自転車を車載しての来訪も可能。 快晴に恵まれたゴールデン・ウ ...
アクション・カメラのスタビライズ比較
360度全天球カメラのスタビライズ比較を行ったからには、アクション・カメラのそれも気になる。経験的はSony FDR-X3000Rが優秀だと思っていたが、本当にそうだろうか?Sonyの光学式手ブレ補正はGoPro FusionやHero6の電子式手ブレ補正より優秀だろうか?光学式手ブレ補正と言えば、iPhoneにも備わっているではないか、などなど疑問と興味が頭をもたげてくる。 そこで、前回と同じ全 ...
(株)MINOURAの工場を見学
前回の記事である、(株)CURIO さんへの見学をした、次の日、今度は(株)MINOURAへ見学することができた。MINOURA製の自転車パーツとツールは、筆者(sy)もいくつか使用していて、製品にはいつも満足していた。そして、サイクルトレーナー市場でのMINOURAの位置は、定評のあるものなので、今回の見学はとても気になっていた。 まず、工場を含む本社が、岐阜県、しかも、今自分がいる大垣市の周辺 ...
(株)CURIOを訪問、見学する
この度、岐阜県岐阜市にある、株式会社CURIOを訪問、見学をする機会があった。筆者(sy)を含む数名での訪問。そして、私たちの共通点は、自転車やモビリティーに興味があることだった。そんな私たちが目的地に到着すると、CURIOの高橋さんと渡辺さんは、早速、自分たちが設計、そして製作した製品を中から持ち出し、紹介してくれた。 株式会社CURIO(キュリオ)は、2017年から始まった会社であるが、実は高 ...
120psi対応の電動ポンプ、BERKUT SPECIALIST
自転車で出掛ける前には、必ずタイヤに空気を入れる。空気圧が低いとパンクしやすいからだ。ロード・バイクなら、筆者はフロア・ポンプを使って120psiまで入れる。ただし、体重が軽い人や力が弱い人にとっては120psiは無理難題だろう。ある圧力を超えると、全体重をかけてもポンプが動かなかったりする。さら、以前購入した電動ポンプは100psiしか入らず、ロード・バイクには不十分だった。 ところが、最近にな ...
2つの大河を走るネオ背割堤
木曽川と長良川の間を細長く続く堤防である背割堤は、お気に入りのサイクリング・コースのひとつ。ほとんど自動車が通らず、舗装された路面状態は良好。そして、両側に大河が流れる絶景を眺めながら、延々と続く直線道路を疾走することができる。最近気づいたことに、この背割堤の西にも同じような地形があった。それは揖斐川と牧田川の間にあり、これを勝手にネオ背割堤と名付けた。 北端からネオ背割堤に入ると、間もなく砂利道 ...
相馬復興サイクリングとツール・ド・フクイチ
初めての開催となる相馬復興サイクリングの参加受付が本日開始された。これは、東日本大震災の津波と福島第一原子力発電所事故で被害を受けた相馬地方の復興をアピールするサイクリング・イベントらしい。「らしい」と言うのは開催概要の趣旨が不明瞭だからだ。垢抜けないサイト・デザインや準備中のページと相まって、即席の素人っぽい手作り感満載。ただ、それだけに復興を願って応援したくなる。 開催は2018年9月30日( ...
小杉天外の魔風恋風
小杉天外の「魔風恋風」は、1903(明治36)年に刊行された恋愛通俗小説、女学生の三角関係と友情を描いた青春物語、今日のラノベだ。今となっては知名度は低いが、当時は大ヒットだったらしい。新聞の連載であったこともあって、ハイカラさを散りばめて、テンポよく話が展開する。その冴えたるものが主人公の美貌と出立ちであり、物語の冒頭に自転車に乗って颯爽と登場する。 鈴の音高く、見(あら)はれたのはすらりとした ...
360度全天球カメラのスタビライズ比較
360度全天球カメラ(以下360度カメラ)で撮影した映像を、HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)で見ると、あたかも撮影された場所にいるかのように感じる。そこで「The Ridable City」では、360度全天球カメラをヘルメットに載せて自転車で走行しながら撮影した。その映像を固定ローラの自転車を漕ぎながらHMDで見れば、ロンドンの街を仮想ライドできるわけだ。 この映像はRicohのThet ...
Re: アイドルと自転車試論〜AKB坂道編
先の試論を公開したところ、小林昌廣からコメントが届いた。これが示唆に富んだ論考になっているので、ご本人の許諾を得て掲載する。ここでは、引用されていたビデオをインライン表示し、関連すると思われる歌詞を添えている。なお、これは「壮大な論攷の序論」であるとのメッセージもいただいている。本編の寄稿を楽しみに待ちたい。 <コメント author="小林昌廣"> 秋元康氏は「ぼくという一人称」「自転車」「教室 ...
アイドルと自転車試論〜AKB坂道編
Wikipediaは、日本の芸能界におけるアイドルを「成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物を指す」としている。この定義に加えて、近年の集団女性アイドルの記号的制服ファッションを考えれば、これは端的に中学生や高校生だ。そして、彼女たちは容易に自転車のイメージに結びつく。運転免許を取得できないので、自由な移動手段は徒歩か自転車しかないからだ。 一世を風靡した女性アイドル・グループ ...
自転車シェアリング〜深セン・ドックレス編
郊外も市街地も素晴しい環境であった桂林を後にして、次に「世界の工場」と呼ばれるIT先端都市、深セン(Shenzhen)に移動した。深センは僅か30年で人口30万人から1200万人へと爆発的に成長し、上海と北京に次ぐ中国第3位の経済規模を誇る。風光明媚な観光名所は皆無なので、観光客としては世界で4番目に高い平安国際金融中心に昇るか、怪しげな電脳街でiPhone miniを物色するのが順当だろう。 だ ...
桂林市街地での自転車事情
桂林〜陽朔のサイクル・スーパーハイウェイ(勝手な呼称)は、ロンドンのそれよりも遥かに快適だった。だが、それだけでなく、桂林の市街地でも自転車環境は素晴らしい。何しろ、ほとんどの通りで自転車専用道が確保されている。写真は桂林のメインストリート中山中路で、右から歩道、自転車道、自動車道だ。これは簡単なほうで、街路樹のある幅広い分離帯が設けられた道路も多い。 ただし、中国では電動スクーターも自転車道を走 ...
桂林〜陽朔サイクル・スーパーハイウェイ
水墨画のような景色を見たいという家族のお供で桂林(Guilin)を訪ねた。定番の漓江(Li River)の川下りの船に乗り込んだところ、ちょうど小雨模様で完璧な世界が出現。石灰岩が侵食されて垂直に切り立った山々は、荒々しい岩肌と濃い緑の樹々のまだら模様。水蒸気が立ち込めて霧となり、極端な空気遠近法で濃淡が描かれる。あまり期待していなかったものの、異世界感たっぷりの絶景に心奪われる。 これだけなら単 ...
CYCLE MODE RIDE OSAKA 2018を体験
2018年3月3日から4日にかけて行われた、「CYCLE MODE RIDE OSAKA 2018」を体験して来た。筆者(sy)は、自転車に興味があってもブランドや会社名にはあまり興味がなかったため、ちゃんと調べることをしてこなかった。だからこそ、今回のイベントを機にリサーチをしたいと思った。そこで、今回の記事は、主に筆者が実際試乗できた自転車について、周辺知識と共に書いていきたい。  会場に入 ...
「Land Crawler 2×2」を作る
IAMASの2018年度卒展で、筆者(sy)は、変わった形の自転車を試乗出来る、体験型の展示を行った。その中の作品の一つとして製作した「Land Crawler 2x2」 は、簡単にいうと「うつ伏せになって乗る自転車」である。 こういった活動を行う目的は、変わった形の乗り物に乗り、普段感じている感覚とは全く違う身体感覚を感じてもらうことにあった。そこで、今回の記事では、この作品の制作過程を順を追っ ...
Varia Visionは電脳眼鏡の夢を叶えるか?
GarminのVaria Visionは、眼鏡に取り付けるサイクリングやランニング用のウェアラブル・ディスプレイ。これ自体は単体では動作せず、同社のサイクル・コンピュータEdgeシリーズなどの情報を受け取って表示する。単なるディスプレイなので、Recon Jetに比べて小型軽量になっている。しかし、出くわした人はギョっとするに違いない。サングラスのように見慣れるまでは、何年もかかりそうだ。 さて、 ...
浅井忠の愚劣日記
2017年の「自転車の世紀」展では、趣向を凝らしたご当地展示が併設されていた。その最終巡回地の佐倉市立美術館では、浅井忠を紹介するパネルに目が留まった。夏目漱石がロンドンで綴った「自転車日記」と同時期に、佐倉ゆかりの洋画家、浅井忠がフランスで自転車を練習する「愚劣日記」を記したという。愚劣は多くの芸術家に愛されたパリ近郊の小さな村グレー(Grez-sur-Loing)のことだ。 詳しくは知らなかっ ...
RealSenseで街を3D走査ライド
Intelが開発、販売しているRealSenseは、深度(奥行き)が計測できる小型カメラ。本体から投射する赤外線のパターンを2つの赤外線カメラで読み取って、その差異から距離を測定する。その最新版であるD400シリーズは、一昔前のKinectに比べて大幅に小型化されており、性能も向上している。そこで、これを自転車に取り付け、深度情報を記録しながら街をライドした。 ここではRealSenseをBrom ...
フロボッツのハンドルバー
フロボッツ(Flobots)はアメリカのヒップホップなロック・バンド。2008年リリースのデビュー・シングルにして彼ら唯一のヒット曲「ハンドルバー」はバイオリンのピチカートに導かれて始まる。静かでメランコリックなアルペジオに、どこか不気味な雰囲気が漂う。そのミュージック・ビデオも色調を押さえたアニメーションで、歌の内容をストレートに伝えてくれる。 冒頭、ふたりの男性が丘から自転車で駆け下りてくる。 ...
IAMAS周辺ライド #4 ロームカウチ 11km
大島堤、墨俣一夜城、犀川に続いて第4弾となるIAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライドは、ロームカウチ(RoamCouch)の作品を訪ねて周遊する。これらは小屋やコンテナなどに描かれた大判の壁画で、安八町と周辺に10点以上が存在する。いわゆるストリート・アートやパブリック・アートが連想させる大都会ではなく、のどかな片田舎に展開されているのだから仰天かつ痛快だ。 IAMASからは揖斐川の橋を渡れ ...
自転車シェアリング〜ソウル 따릉이(タルンイ)編
2017年の夏、筆者(sy)は韓国のソウルで開かれた、サイクルハックというイベントに参加をした。それは、自転車にまつわるデザイン問題を解決する事を目的とする行事で、その時の記録は、こちらの記事を参照して頂きたい。そして今回の記事では、その時体験した「タルンイ따릉이」という、自転車シェアリング・システムについて書いて行きたいと思う。 「タルン따릉」という語は、日本語にするなら「チリン」にあたる。自転 ...
カラー・オーダーで自転車からロゴを抹消する
ロゴが嫌い。シンプルが好き。自転車のフレームに描かれる大振りで目立つロゴには辟易する。だから、ロゴがないか、目立たない自転車しか買ったことがない。ただ、それを貫くには現状の自転車業界は辛過ぎる。ロゴだけでなく、デザインにしろ、色にしろ、あまりにも選択肢が少ない。個人の趣味によってド派手なロゴも、サイケデリックな色彩の洪水も、落ち着いたモノトーンも選択可能であるべき。 そのような要求に応えるべく、近 ...
Critical Cycling+移動体芸術展 2018 Winterの概要
2018年冬のCritical Cycling展は、学内プロジェクトである移動体芸術との共同開催で2月22日より25日までの4日間にわたって開催した。これは、情報科学芸術大学院大学第16期生修了研究発表会 プロジェクト研究発表会(いわゆる卒展、通称IAMAS2018)でのプログラムのひとつ。作品や資料の展示、そしてライドとトークを実施し、来場者と意見交換する貴重な機会となった。 まず、展示としては ...
Bromptonキャリア・システムのユニバーサル化・簡易編
QiCycleのフロント・キャリアを利用したBromptonキャリア・システムのユニバーサル化は満足度の高い結果となった。何しろ専用バッグを他の自転車でも使えるのだから、便利であると同時に愉快なことこの上ない。ただし、金属の切断や溶接が必要なので、誰にでも勧められるわけではない。いわゆるファブ設備を利用しても、3Dプリント程度であれば、強度的にとても持たない。 そこで、より簡単な手法を求めて、Am ...
そうだ、お風呂に行こう!自転車の置ける大阪の銭湯
夫の友人たちとサイクリングに出かけると、しばしば尋ねられることがある。「妻がライドしてくれない。どうしたら一緒に来てくれるだろう?」多くの場合は「一度は一緒に出かけてみたが来てくれなくなってしまった!」というものだ。ある男性に、どんな風に走っているのか聞いてみると、大抵「ただ乗っているけど?」という答えが返ってくる。私は、あぁ、そうだよね。と納得する。 まだライドそのものの楽しさを知らない多くの女 ...
緊急指令、リア・ディレイラーを保護せよ
先日ライド中に異変が起きた。ギアを変えるとカラカラと後部から音がする。あれ?と思った次の瞬間グシャガガガっと大きな音がしてペダルが漕げなくなる。そして、ブレーキを掛けて減速したものの、ビンディング転倒。起き上がって見ると、リア・ディレイラー(以下、ディレイラー)が脱落してチェーンと絡まり、スポークが半数近く折れていた。不幸中の幸いは軽い打撲程度で大きな怪我はなかったこと。 修理をお願いしたショップ ...
フランク・パターソンのサイクリング理想郷
「サイクリング・ユートピア」は、フランク・パターソン(Frank Patterson)が描いたサイクリングを題材とするペン画集だ。そこには19世紀末から20世紀半ばにかけてのイギリスの田園地帯が広がり、美しい牧草地やのどかな田舎町を背景に、自転車による行動と生活が活き活きと描かれている。戦災で多くの原画が消失したそうで、雑誌などの印刷物から100枚以上の作品を収録している。 パターソンは元々自転車 ...
忌野清志郎の自転車ショー歌
忌野清志郎の「自転車ショー歌」は、ロード・レースを舞台にしたアニメーション映画「茄子 アンダルシアの夏」(2003年)の主題歌。これは小林旭の「自動車ショー歌」の替え歌で、どちらの歌詞も演歌の巨匠、星野哲郎による渾身のダジャレ絨毯爆撃。独特のダミ声で歌う忌野清志郎の自転車フリークぶりはよく知られているが、映画の監督であるジブリの高坂希太郎もまた自転車好き。 さて、映画および原作の漫画は、かつての恋 ...
Bromptonキャリア・システムのユニバーサル化
クラシカルで可愛らしい外観のBromptonは、優れた折り畳み小径車で、随所に施された設計の巧みさに感心する。その最たる例が専用バッグで、これがあってこそBromptonが完成すると言っても良いほど。専用バッグは十数種類あり、用途や気分に合わせて取り変えるのも楽しい。このようなバッグを他の自転車にも取り付けたくなるが、しかし、これは簡単ではない。 Bromptonのフレーム先頭にはフロント・キャリ ...
Critical Cycling+移動体芸術展 2018 Winter
自転車に乗ることが発見的な批評に繋がるとして2016年4月より活動してきた任意グループ、クリティカル・サイクリングの4回目の展覧会は、前回に引き続きIAMASの学内プロジェクト移動体芸術との合同企画として、IAMAS 2018において開催します。今回も作品の展示と体験、そしてトーク・イベント、周辺ライドと盛りだくさん。サイクリングを拡張し、モビリティの可能性を考えます。ぜひお越しください。 Cri ...
拡張自転車綺譚〜逆さまハンドル三輪車
逆さまペダルがあるなら、逆さまハンドルだってあるはず。だが、逆さまペダルはチェーンの「たすき掛け」で簡単に実現できたものの、逆さまハンドルの仕組みは見当がつかない。ハンドルを右に切ると、前輪が左を向くと良いのだが、ハンドルと前輪は固定されていて、反対に動くわけがない。だが、XYZ Cargo Trikeのハンドル機構を見て気がついた。これならできる、と。 XYZ Cargo Trikeは、カーゴの ...
大英帝国Brooksのサイクリング文化概論
Brooks Englandは、クラシカルな革のサドルやカバンで有名な自転車用品の老舗。そのBrooksが創業150年を記念して2016年に刊行した豪華本が「The BROOKS COMPENDIUM OF CYCLING CULTURE(Brooksのサイクリング文化概論)」だ。上質紙191ページのハードカバーで、通常本は£30(約4,600円)。化粧箱入りで署名写真付きの特別版は£350(約5 ...
頭の後ろに目がない人のためのVariaレーダー
なくても困らないが、あればちょっと嬉しい、便利で頼り甲斐があるが、たまに虚言癖が発露する。そんなデバイスがGarminのVariaリアビュー・レーダー(以下Variaレーダーと呼ぶ)、自転車専用の後方レーダーだ。後ろから接近する自動車は意外と気が付かない。気がついた時には、すぐ後ろにまで迫っていて驚いてしまう。バック・ミラーを付けていても、常に後方を確認するのは難しい。 そこで、Variaレーダー ...
拡張自転車綺譚〜逆さまペダル
ある日、ふと思い立った。チェーンを「たすき掛け」にすれば、後ろへ進めるのではないか、と。図の緑のようにチェーンを渡してペダルを踏めば、青い矢印の方向にチェーンが回り、後輪は逆回転する。だが、次の瞬間気がついた。自転車はフリーハブを備えているので、逆方向は空回りする。だめだこりゃ…しかし、ペダルを逆方向に回せば、赤い矢印のように動いて前に進むはず。これはこれで面白そう。 筆者は機械工作や自転車整備は ...
ソフィー・クレメンツの自転車サンバ
ロンドン在住のビジュアル・アーティスト、ソフィー・クレメンツ(Sophie Clements)は、科学や実験音楽からインスピレーションを得た映像やインスタレーションを数多く制作している。そんな彼女が、サウンド・アーティスト、ジョン・ヘンディコット(John Hendicott)とともに、自転車を題材に作ったのが「Bicycle Samba」、自転車のサンバだ。古めかしい白黒のブラウン管風映像だが、 ...
冬将軍と闘う3つの装備〜新素材編
衣服に使われる綿や羊毛などの天然素材は着心地が良いの対して、人工素材は機能性や耐久性が優れている。両者ともに年々改良されており、それぞれの長所を組み合わせた混合素材もある。このような新しい素材の開発によって、従来では考えられなかったスタイリングが可能になる。ここでは、冬の寒さを跳ね返しつつ、快適なライドを可能にする新素材を使った装備を紹介しよう。 機能性グローブ 寒さが厳しくなると、手袋を二枚重ね ...
自転車ナビゲーションの最小解HAIZE
見知らぬ街や観光地を訪ねる時、なくてはならないのは地図とコンパス。ただ、紙を広げるのは昔の話。今や誰もがスマートフォンやサイクル・コンピュータの地図を使っている。目的地を決めれば、最短ルートで案内をしてくれる。しかし、ナビゲーションの指示に盲目的に従うのは、なんだか運転機械のような気分になる。周囲の景色を楽しんだり、路上の危険に注意を払うことも疎かになる。 そこで、ナビゲーションの再発明を目指した ...
日常を背負う3つのバックパック
以前にスパイダーバックなどのライド用バックパックを紹介した。これらは100g前後と軽量で小さく畳めるものの、容量や荷重は心もとない。そこで、通勤や買物などの日常的なライドには、ある程度しっかりしたバックパックが必要になる。数年前はTUMI 26172などの薄型のビジネス・バックが気に入っていたが、自転車用のバックパックを購入して驚いた。羽根のように軽く感じたからだ。 Rapha Backpack ...
フォトジェニックを掠める3つのアクション・カメラ
サイクリングの楽しみのひとつは撮影だろう。美しい景色、美味しい料理、面白い出来事、愉快な仲間などなど、撮影したい対象は山ほどある。ただ、走行中のカメラの手持ちは危険なので、撮影方法は限られる。操作は単純で確実でなければならない。カメラも小さく軽いほうが良い。写真も動画も撮りたい。このような用途に適したアクション・カメラのうち、筆者が使っている3台(+1台)を紹介しよう。 DxO ONE 日本では未 ...
前輪駆動リカンベントCruzbike T50の組み立て
世にも珍しい前輪駆動のリカンベント、CruzbikeのT50が届いたのは半年ほど前。これはフレーム・セットであったので、コンポーネントを買い揃えて組み立てなければならない。ただ、当時は自転車事故で足が不自由であり、取り組むのは困難であった。やがて怪我は軽快したが、生来の無精者ゆえに当初の意欲は減退気味。時間ばかりが経ちかねないので、早々に諦めて近くのプロショップに駆け込んだ。 このショップは、これ ...
アルフレッド・ジャリの超男性
アルフレッド・ジャリ(Alfred Jarry)の出世作である戯曲「ユビュ王」に続く、もう一つの代表作「超男性(Le Surmâle)」は、1901年、つまり20世紀の幕開けに書かれた「現代小説」で、自転車が重要なモチーフとなっている。ジャリは孤高の天才であり、アブサンとピストル遊戯に浸る破滅的な生活を送り、34歳で逝去する。一方で、自転車を偏愛して始終乗り回していたと言う。 「超男性」の前半では ...
自転車業界のスマイル・カーブ
自転車産業の興亡史「自転車物語II バトルフィールド」を読みながら思い起こしたのは、事業プロセスと付加価値の関係を示すスマイル・カーブ。これは電子産業などの収益構造を示すグラフが、スマイル・マーク😊の口元に似ていることに由来する。事業の上流であるブランドと下流であるサービスが最も付加価値が高く、中間に位置する製造の利益率が低い。これはAppleを思い起こせば明白だろう。 スマイル・ ...
自転車物語II「バトルフィールド」
角田安正著「自転車物語II バトルフィールド」は、予約していた甲斐もあって、刊行日に受け取っていた。しかし、しばらく読み始める気になれなかった。前作である戦前篇の後半が、時代としても興味としても自分とかけ離れていたからだ。見知らぬ企業や人物への言及ばかりでは、退屈してしまうのも当然だろう。そして、その続編である本書戦後篇も、今日との繋がりは希薄だろうと思えた。 なぜなら、現在の国内自転車製造業は、 ...
ジョン・ケイルの自転車
ジョン・ケイル(John Cale)はベルベット・アンダーグラウンドのオリジナル・メンバーにして、ロック界三大馬顔の一人。幼少時からクラシック音楽の教育を受け、コーネリアス・カーデューらの実験音楽の系譜に連なるインテリでもある。ベースやヴィオラなど渋い楽器を好み、味わい深い印象的な曲を作る。翳りのある声は魅力的だが、朗々とした歌唱ではなく、主役に躍り出ることはない。 そんな彼のアルバム「HoboS ...
壊れかけのヘルメット、新しいヘルメット
先日の自転車事故では右膝(大腿骨遠位部および膝蓋骨)を骨折し、手術を受けて4本のボルトで固定するほどの怪我を負った。右側の肩や腕なども痛めたが、これは数日で目立たなくなる擦り傷で済んだ。一方、頭や顔は無傷であったが、その代わりにヘルメットの右側面は凸凹になり、細かい傷が無数に入っている。これを見ると、ヘルメットに助けられたと実感せざるを得ない。 このヘルメットは、ライドでは常に愛用していたBELL ...
Shin・服部製作所を見学
自転車をよく見てみると、専門家でなくてもどうやって動いているのか、ある程度は分かるはずである。それは、車と比較するなら、自転車はそれよりずっと少ない部品で出来ているからでもあり、自分の体を使って操縦しているからこそ、動かしている間経験する感覚が、部品と一対一で対応するような、直感的な面も持っているからだと思う。 筆者(sy)にとって、自転車ビルダーという仕事は、上に述べたような自転車の特徴を熟知 ...
IAMAS周辺ライド #3 犀川 18km
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)周辺ライド、大島堤、墨俣一夜城に続く第3弾は犀川を巡る18kmのルート。近隣の住人でなければ知らないような小さな川に過ぎず、名所らしき名所もない。それだけに自宅の裏庭でくつろぐような、のんびり感が楽しめる。川はゆるやかに曲がりくねり、おだやかに流れる水面が美しい。ただし、道は狭く、見失いがちなので要注意。 kml (Google) をダウンロード GPX (GA ...
雨ダンディになりたい3つの装備〜足元編
夏の暑さ、冬の寒さに加えて、雨の日は自転車に乗ることを億劫にさせる。身体や衣服が濡れて不快なだけでなく、道路がスリップし易くなり危険だ。だから、雨の日は自宅かカフェでやり過ごすのが一番。ただ、それでも出かける時は、ジーン・ケリーが雨に唄うように楽しくライドしたい。そこでまずに足元の装備を考てみよう。路面からの跳ね上がりで、靴が雨に濡れるのをなんとかしたいわけだ。 フラット・シューズの防水 フラット ...
子供向け自転車教室 ウィーラースクール
11月19日(日曜) 養老アート・ピクニックのイベントとして、ウィーラースクールが開催されました。ウィーラースクールとは、ベルギー発祥の子供向け自転車教室です。交通ルールやマナーをただ学ぶだけではなく、様々なプログラムを通してゲーム感覚で楽しみながら、自転車の運転技術を身につけることができます。 ウィーラースクール代表のブラッキー中島さん曰く、本場ヨーロッパでは、選手の育成・強化のための競技として ...
Reliveの新感覚ライド・ビジュアライゼーション
Reliveはライドなどのルートを3Dマップに表示して、ムービーとして鑑賞できるサービス。GPSを使って位置情報を記録し、そのルートを地図に表示するサービスは数多くある。ただ、その多くは平面の地図にルートを線で描き込んだ一枚絵だ。一方、Reliveは3次元地図に軌跡を残しながら動くアニメーションであり、格段に楽しく分かりやすい。それは実際のムービーを見れば一目瞭然だろう。 Relive 'Rivi ...
Face IDとサイクリング
iPhone Xに導入されたFace IDは顔認証により、ロックの解除や支払いの承認などを行う。これまで使われてきた指紋認証であるTouch IDに代り、iPhoneに顔を向けるだけの手軽さ。サイクリングでも写真を撮ったり、メッセージを送ったり、iPhoneを使うことが多い。ところが、寒い季節になれば指紋認証のために手袋を外すのが面倒だった。それではFace IDなら快適に使えるだろうか? App ...
ホークウィンドのシルバー・マシン
イギリスのロック・グループ、ホークウィンド(Hawkwind)が1972年にリリースした「シルバー・マシン(Silver Machine)」は、UKチャート3位のスマッシュ・ヒットとなった彼らの代表作。典型的なベースラインとギターリフ、そしてシンプルで力強いドラムが印象的なブギー・ロック。後にモーターヘッドで活躍するレミー・キルミスターが独特のダミ声で力強いリード・ボーカルを取る。 ホークウィンド ...
「新製陸舟奔車 2017」を作る
この度、岐阜県、養老公園で行われた「養老アートピクニック」にて、筆者(sy)は「バイク・ハック」という名前の展示で参加をした。この展示は、それぞれ異なる種類の自転車を実際乗ってみて、普段とは違う身体の感覚を味わえる、体験型の展示である。 この展示で乗ることができる自転車は、どれもが普段我々が使っている自転車とは違う。こちらの記事で紹介されているように、展示で使用された自転車は、荷物を運べるカーゴバ ...
バイク・ハックの多輪自転車
養老アート・ピクニックのプログラムのひとつとして、バイク・ハックと名付けた自転車関連のイベントを行った。これは江戸時代の自転車を現代の技術でリメイクするプロジェクトが発端。その新製陸舟奔車が三輪であったことから、現在市販されている三輪自転車も同時に展示して試乗してもらおうと考えた。自転車と言えば二輪車との固定観念を崩す狙いもあった。 実際に展示と試乗を行ったのは4台で、デンマークXYZ Cargo ...
XYZ Cargo Trike 輸入顛末記
デンマークのコペンハーゲンで強く感銘を受けたのが、XYZ Cargoのカーゴ・バイクだった。オープンソースのモジュラー自転車というコンセプトも興味深いし、どこでも入手可能なアルミ角パイプで構成されるフレームは、独特の造形美を醸し出している。パイプに穴を開けてボルト留めするのは、精度的に心もとないが、実際に試乗したところ、滑らかな漕ぎ具合と快適な乗り心地に驚かされた。 この時点では決めかねていたが、 ...
ペチャクチャ・クリティカル・サイクリング
養老アート・ピクニック初日の夜にプレゼンテーション・イベント「養老アート・ナイト Powered by PechaKucha」が開催された。これは20枚のスライドが20秒ずつ表示しながら話をするトーク・ショウ。ここでは筆者は行なったクリティカル・サイクリングのスライドを原稿とともに掲載する。養老アート・ピクニックにおけるクリティカル・サイクリング的視座を中心に構成している。 ...
トム・ウェイツが壊れた自転車を歌う
しゃがれ声の酔いどれ詩人トム・ウェイツが歌う「Broken Bicycles」は、映画「ワン・フロム・ザ・ハート」の挿入歌。物憂げなピアノに寄り添って「壊れた自転車、古びて切れたチェーン、錆びたハンドル・バー」と歌われる。bicyclesと複数形なので、1台ではなく2台、もしくはそれ以上の自転車が雨に打たれているはずだ。喪失の歌なのだろうか。しかし、私たちの愛は残ると言う。 Broken bicy ...
加藤一の風の翼に乗ろう
加藤一(かとうはじめ、1925〜2000)は東京生まれの画家、1958年に渡仏した後はパリで抽象絵画を描き続けた。諸作品をまとめた加藤一画集「Sur les ailes du Vent(風の翼に乗って)」は、没後の2003年に日本で刊行されたハードカバーの大判本で、精緻な印刷と重厚な装本となっている。解説や年譜は日本語で記されているが、まずは文章ではなく、絵画をじっくり見るのが良いだろう。 加藤の ...
国交省が自転車活用推進アンケートを実施中
国土交通省の自転車活用推進本部事務局が「自転車の活用の推進に関するアンケート」をインターネットで実施している。実施期間が11月15日(水)までと短いので、趣旨に賛同できるなら、アンケートに取り組んで欲しい。一般の人が国に対して意見表明できる機会は多くないので、見逃せない貴重な機会だと思う。所要時間は数分だろうか。趣旨説明はココ、アンケートはココから。 さて、行政が人々の声を聞く機会を持つことは基本 ...
Our First e-Bike, Xiaomi MiJia QiCycle
2017年から2018年にかけて、日本での電動アシスト自転車の転換が起こりそうだ。日本の鎖国的状況を打ち破って、オランダのVanMoofやイタリアのBianchiが日本モデルを発売するのに続いて、ドイツのBoschも日本参入を果たし、アメリカのTrekやTernなどが国内モデルを発売する。日本のメーカーでありながら海外展開のみであったシマノも動き出す。日本特有の子乗せママチャリにとどまる理由はない ...
BIKE2SAUNA Meeting #2 IBIにプチ参加
なにがきっかけだったのかは忘れてしまったが、ふとBIKE2SAUNAの参加者募集のページに目が止まった。一言で言えば「自転車に乗ってサウナに行く」らしい。ダート系の山道を走り、テント式のサウナに入り、傍の川に飛び込み、キャンプをする。添えられた写真やビデオからも不思議な非日常感が漂ってくる。しかも、開催地は筆者の自宅にほど近い山間なので、気軽に出かけられる。 筆者は大腿骨骨折のリハビリ中で、ゆっく ...
フランク・ザッパ plays the bicycle
変拍子と不協和音の変態音楽王、フランク・ザッパは、1963年にテレビ番組スティーブ・アレン・ショーに出演し、自転車を演奏している。自転車を楽器とみなして演奏した例はいくつかあるが、これは最も早い時期のひとつだろう。真面目に受け応えしているのだが、思わず笑ってしまう軽妙なインタビューとデモンストレーション、そして最後にはキャストやバンドを交えての即興セッションとなる。 ギターからピアノ、ドラムに至る ...
ハイテク・ノマド野郎のハイテク・リカンベントBEHEMOTH
アメリカ西海岸、マウンテン・ビューはGoogle本社があることで有名。ここで緑ロボットと戯れるのも良いが、もうひとつ外せないのがコンピュータ歴史博物館。クルマなしでは不便極まりないし、特に観光資源がないシリコンバレーに来る人は、何らかのIT関係者だろうから、ネタの宝庫であること間違いなし。しかも、奇妙きわまりない自転車まで鎮座している。何コレ?と目を丸くすること請け合い。 この機材満載の白いリカン ...
電動アシスト自転車を使いつくす本、を使い尽くせるか?
疋田智著「電動アシスト自転車を使いつくす本」は、その名の通り、電動アシスト自転車についての単行本だ。その特徴や効用から注意点や将来の展望まで、200ページに渡って説明されている。軽妙な語り口なので読みやすいが、強引な展開に辟易しないでもない。ただ、知っているようで知らなかったことも多い。電動アシスト自転車に興味がある人にも、すでに乗りこなしている人にも参考になりそう。 筆者は40年もの自転車歴があ ...
養老アート・ピクニックと自転車イベント
1300年もの歴史を誇る名瀑、養老の滝と、現代アートの聖地とも言える養老天命反転地。この2つの景勝を有する養老公園に、新しいイベント「養老アート・ピクニック」が誕生します。このイベントは十数種類のプログラムから構成されていて、自転車関連では「ウィーラースクール」と「バイク・ハック」があります。2日間だけの短期イベントですが、ご都合がつきましたら、ぜひお越しください。 養老アート・ピクニック 会期: ...
「自転車の世紀」展、佐倉市立美術館で開催
自転車をさまざまな側面から捉える展覧会「自転車の世紀」が佐倉市立美術館で開催される。これは茅ヶ崎市美術館と郡山市立美術館に続いた巡回展の最終展示となる。自転車の歴史から自転車が描かれた絵画、そして自転車の活用から未来像まで、自転車の様々な様相を取り上げた充実した内容。このような美術展は国内はもとより海外でも珍しい。その最後の機会となるだけに、お見逃しなく出掛けられたい。 「自転車の世紀」展 ―誕生 ...

