Cycling Edge 29: チェンマイ郊外

タイ、チェンマイの市街地は必ずしも自転車に適した走行環境ではなかった。そこで趣向を変えて、郊外の自転車ツアーを申し込んだ。その名も「Half-day hilly E-bike adventure (fully paved roads, GUIDED)」と実に軟弱そうなコースだ。朝にホテルに送迎車が来て、約20km離れた郊外のツアー事務所へ向かう。ここで数人と合流して、ガイドの先導でサイクリングに繰り出す。

予想通りの軟弱なコースを気軽な服装の参加者とともに走る。道路はきれいに舗装されており、交通量は少ない。多少のアップダウンはあるものの、電動アシストだから無問題。オーバー・スペックなファット・タイヤが路面の振動を吸収する。こうして丘陵地帯から田園を抜け、森林と南国情緒を満喫。適度なタイミングで休憩が入り、自然や文化の説明もたっぷり。路上の揚げバナナも美味。極楽。

ところが、終盤に最後尾の知人がはぐれてしまう。写真を撮っていて、曲がり角に気が付かなかったらしい。しかも、モバイル通信の電波が弱く、現在位置は分からず、通話もメッセージもできない。皮肉なことにモバイル通信が確立されているので、衛星通信はできない。さらには小さな川にかかる橋が崩落していたりもする。そう、単なるパラダイスでも単なるレジャーでもないわけだ。

また、自転車はフレームから電動アシスト・ユニットまで自分たちが選んで組み立て調整したそうだ。アシストは極めてパワフルなだけでなく、漕がずに自走することまで可能。尋ねても要領を得なかったので、タイでの規格や規制は緩いのかもしれない。かくして舗装道路なのにフカフカのファット・バイクで強力にドライブする極楽ツアー専用車の出来上がり。その自由奔放さが羨ましい。

ところで、郊外の幹線道路は車道脇に広い路肩があり、歩行者が自転車が走行できるようになっている。物理的な障壁はないものの、路面がブルーに塗られている区間もある。実際にもロード・バイクに乗って快走する人を何度か見かけた。もっとも、送迎のドライバーさんによれば、自転車レーンはクルマの駐車場になっていると苦笑い。これは日本でも同じであり、安全な走行を阻害している。

同じくドライバーさんが言うには、そもそも暑いので自転車で走る人は少ないらしい。雨季であれば雨量が多く、道は水浸しになるそうだ。それでも市街地や山間でも時々は自転車を見かけた。それもロード・バイクが多かったので、スポーツやレジャーとしての自転車利用が主流なのだろう。手軽な内燃機関車が主流のタイでは、それが自転車のエッジ(領域)なのかもしれない。

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