Apple Vision Proが届いた。その素晴らしさは昨年から何度も使用して強く実感していたものの、改めて個人用となれば感慨もひとしおだ。何しろ1976年のApple Iからアップルはパーソナル・コンピュータを作り続けているのだから、48年目の新作となるわけだ。かつてのカウンター・カルチャーの申し子は現代において何を切り開くのだろか? 何はともあれ自転車に乗るしかない。
特筆すべきはApple Vision Proの映像。映像とは思えないほど高精細であり、遅延が極めて少ない。最初に体験した時はガラス越しに周囲を見ていると思ったほどだ。だから自転車に乗っても違和感や恐怖感はない。あらゆるARデバイスの中で他を引き離して断トツの快適さ。同じビデオ・パススルー方式のMeta Quest 3は歩くのにも苦労したので、Apple Vision Proでの自然な体験が際立つ。
一方、Apple Vision Proの視野角は90度ほどと言われており、狭く感じるのも確か。いわゆる周辺視野が遮られており、側面が見えていない。自転車に乗ると周囲が確認しにくいことに不安を覚える。それでも電動キックボードや自動車に乗る人がいるのだから、移動や運動は人の本質なのだろう。机の上や立ち止まってのコンピューティングから、いかに跳躍できるかに未来がかかっている。
ちなみに先のビデオでの主観映像はApple Vision Proの空間ビデオ、すなわち立体視映像として撮影している。これを通常の映像に変換しているので横幅が半分になっている。本来の空間ビデオには左右の目のそれぞれに対応する映像が含まれているので、サイド・バイ・サイド方式の映像に変換したのが以下のビデオだ。なお、実際の見え方としては上下には一回り、左右には二回りほど大きいように感じられる。
ところで、Apple Vision Proはスキーなどのゴーグルに似ているので、自転車に乗ると見た目の違和感が少ないらしい。寒い冬に冷たい風を遮ってくれるのも嬉しい。さらに厚手の手袋をしていても、操作ができるのに驚かされた。iPhoneのタッチパネルは手袋では操作しにくいだけに、Apple Vision Proと自転車は相性が良さそうだ。自転車と空間コンピューティングの可能性は広いに違いない。