鳥山明とミニベロ

漫画界の巨匠である鳥山明が描いたミニベロについて考える。鳥山明の作品はストーリー構成からキャラクターデザイン、コマ割りまでどこをとっても魅力で溢れているが、筆者は特に鳥山明が描く、眺めるだけでワクワクし冒険に出たくなるようなマシンの魅力に少年の頃から今も魅せられている。そんな鳥山明はいくつか自転車のイラストを描いている。そして鳥山明が描いた自転車の多くは小径タイヤを持つ自転車であるミニベロであった。

『週刊少年ジャンプ』 1980年10月20日号 No.42表紙

鳥山明は1980年の週刊少年ジャンプ42号の表紙を担当した。週刊雑誌の表紙は出版社、連載漫画家のどちらにとっても特別なものだ。当時『Dr.スランプ』の連載開始から一年未満の鳥山明にはなおさらのことだろう。そんな表紙を鳥山明はサイクルウェアを着た『Dr.スランプ』のキャラクター達と黄色いミニベロで飾った。さらにミニベロのリアに取り付けたサイドバッグには『KETTA MACHINE』の文字。『KETTA MACHINE』(ケッタマシーン)は鳥山明の出生地である東海地方で「自転車」を指す言葉として昭和初期に使われていた。鳥山明の自転車に対する本気さが感じ取れる。

1991『貯金戦士キャッシュマン』
ブイジャンプ創刊と共に掲載された鳥山明の作品『貯金戦士キャッシュマン』の一コマにはAlex Moulton AM-14と思われる自転車。
1993『DRAGON BALL』34巻表紙 

1993年6月発売の単行本『DRAGON BALL』34巻の表紙に描かれているミニベロはフィギィアとしても発売されており、『DRAGON BALL』好きには馴染み深い自転車かもしれない。小径のタイヤと前後サスペンションの形状から、畳み自転車の代名詞的な存在とされるBD-1のように見える、しかしこのBD-1の試作が「ユーロバイクショー」に出展されたのは単行本発売と同年の1993年(おそらくだが単行本が発売された6月以降開催)、製品版のBD-1の発売が1995年であり、当時の鳥山明がBD-1の情報を得るのは難しいため、表紙のミニベロは1991にブイジャンプで掲載された『貯金戦士キャッシュマン』でも描いたミニベロの起源であるAlex Moulton を参考にして描いたと思われる。

1997 DB大全集付録の神龍通信 ちかごろのワシ
Alex Moulton AM-7AM-GTを所有しているとコメントしている。
鳥山明保存会(ファンクラブ)の会員に送られる会員通信より 鳥山の作品にはミニバイクが頻繁に登場する。鳥山は小さくまとまったマシンが好きなのだろう。

『Dr.スランプ』『貯金戦士キャッシュマン』『DRAGON BALL』それぞれの作品で登場するミニベロを取り上げたが、鳥山明はオリジナル自転車と現実に存在する自転車どちらも描いていて、オリジナルのミニベロを描く場合でも鳥山明は既存のミニベロの構造をしっかりと理解し応用しているため、デフォルメはしているものの構造的にも破綻せず、精巧で魅力的な自転車を描くことができているのではないか。漫画という外見を取り繕うことで許されてしまいそうな分野で構造を知った上で新しいものを生み出すことをしている鳥山明。これが鳥山明の描くマシンの魅力につながっていると考える。

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