STRiDAダラダラ記(2) EVOを買ってしまったぞ!

オークションで落札したジャンクのSTRIDA

オークションでSTRiDA EVOのジャンクを落札したものが届いた。ベルトはないので動かない。目に見えて樹脂製のフロントプーリーが曲がっていて、漕げない状態になっている。STRIDAのフロントプーリーはグラスファイバー強化プラスチックだが、一体どういう壊れ方をしたのか?そもそもグラスファイバーで強化されたプラスチックがねじれているの一体何があったのであろうか?とりあえず各パーツの動作を確認した。

  • ハンドル:グリップが加水分解 ブレーキワイヤーは正常に動作しているように見える
  • 上部フレーム(三角形の斜辺):フロントのリフレクタが剥がれかけ マットガードマウント用のネジがない
  • 下部フレーム(三角形の底辺):ベルトがない プーリーが歪んでいる リアタイヤ側のヒンジが緩い
  • タイヤ:リムが波打っている
  • クランク内蔵変速機:リターンキックしても変速比が変わらない

正しくジャンクである。

何らかの強い力で曲げられた強化樹脂のプーリー スムーズに回転しない

まず、STRiDA EVOのクランク内蔵変速機について説明する。STRiDA EVOはStrumy Archer製のハブ内蔵式の三速の変速機、KS3をクランクに内蔵している。KS3はクランクを手前方向に120度動かすごとに、プーリーの回転量が1速→2速→3速→1速と切り替わる特殊な変速機である。変速比は0.79(1速)→1(2速)→1.26(3速)である。

KS3の動作を確認するため、手でクランクを逆回しして変速し、順方向に回したときのプーリー側の回転量の変化を確認した。変速操作に伴うクリック音は確認することができた。変速後に順方向にクランクを回転させると、60度ほどはプーリー側の回転量が変化するのだが、それ以上クランクを回すと回転量は1.2倍ぐらいの3速で固定されてしまう。

壊れているので修理するにしても、壊れていて修理できないと判断するにも内部を見て確認する必要があるので、KS3を下部フレームから取り外して蓋を開ける。しかし、KS3は下部フレームの環に挿入され、その環をKS3の右側のフランジと左側に切られたネジ山に固定された95mmの巨大なロックリングで挟んで固定されている。

KS3 の固定部分を左側から

正しい方法でKS3を外すには、プーリーを専用工具で取り外す必要がある。その後、95mmのフックレンチでロックリングを外す必要がある。専用工具は、こちらのブログ工具を旋盤加工して作成した事例工具の図面付きで紹介されている。また、STRIDAカナダのショップで専用工具が販売されていたが、現在は入手不能である。また、95mmのロックリングを回すことができるフックレンチは手元にない。

正式な方法でKS3を取り出して分解することが難しそうなので、目についたキャップボルトを緩めて外せないか試したところ、ロックリングが緩み、本体から外すことができた。前述のSK3を分解整備したブログから、KS3はロックリングがある左側からキャップボルト3本で左右の筐体が結合されている構造のようである。そのため、ボルト三本をゆるめてKS3の筐体を少し幅広にし、ロックリングを手回しで緩めることが可能になった。このまま開けるとロックリングを締め直せない気もするが、閉じる方法は開けた後に考えれば良いので、本体からKS3を分離して中身を調べる。

KS3を開いて、先人のブログの写真と比較したところ、クランクからプーリーへの伝達ギアを選択してロックする3本のラッチのうち、三速のラッチがセレクタディスクと伝達ギアの間で半分に割れてしまっていた。KS3はセレクタディスクを回転させることで使用するギア以外のギアを固定するラッチを収容している。1速用・2速用・3速用の3本のラッチのうち、3速用のラッチが折れてしまったことでセレクタディスクにより収容されず、常に展開された状態となり、常に3速になってしまっているようである。

STRIDA EVOの三段変速機能を利用するためにはKS3が正しく機能する状態にする必要があり、結果的この折れていた3速のセレクトラッチを修理する必要がある。修理する方法は以下のものがあげられる。

  • 溶接:部品が細かいのでとても難しい。おそらく、溶接作業により部品が溶けて消える。強度が不安。・鉄鋳造で複製:鉄鋳造品を強度が出るように焼入れすることは難しい
  • アルミ鋳造で複製:経験があるが、アルミではおそらく強度が不足する。
  • 切削加工で作る:鉄の切削が難しいし材料がよくわからん。また、この部品は形状的に五軸加工になる。
  • 外注加工サービス:複製は可能であるが、ラッチの表面に剥離痕があり、正しい状態がわからない。

パーツを個人的に可能な工作で修復するのは(まだ)現実的ではないようだ。そのため、パーツが含まれてるStrumy Archer製のKS3を部品として調達することを考える。

Strumy Archer KS3クランクを調達する方法を検討する。

  • 日本のSTRiDA代理店:そもそも取り扱いがない
  • 海外のSTRiDAの代理店:West CanadaとAustraliaには在庫がある($365+送料)
  • 中古市場:フリマサイトにあった(しかもフレームとホイールとオプションパーツもついている)
フリマサイトにて販売されていたオプションパーツがたくさん付属したSTRIDA EVOのフレームのジャンク

というわけで、以下の部品が含まれるSTRiDA EVOのフレームのジャンクを購入する。

  • フレーム一式(青色の塗料で自家塗装されているが多分何かで使える)
  • EVO用のベルト(台湾から輸入すると高いので助かる)
  • Strumy Archer KS3クランク(おそらく動くであろうとても高いので助かる)
  • アルミ製の動くフロントプーリー(青色のとりょうで自家塗装されているがプーリーも高いので助かる)
  • ノーマルハンドル・ローダウン用ハンドル(買うと高いので助かる)
  • ホイール一式(ほぼ新品でこれも買うと高いので助かる)
  • タイヤ一式(サイドリフレクタ付きは好きなので助かる)
  • Quick Release Seatセット(シートポストの位置を簡単に変えられるパーツで助かる)
  • エアロなサドル(硬く人間の尻には厳しめだが助かる)
  • その他諸々…(STRiDAは専用パーツが多いので助かる)

というわけで、追加でパーツを得たので、次回より2.3台分ぐらいのSTRiDAのパーツからSTRiDA EVOの可動するものを組み立てていく。

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