[ESSEY] 放置車問題未だ解決せず。

80年代には、自転車の廉価化と価値観下落により、全国の駅前などにママチャリ系軽快車やミニサイクルが大量に放置された。廃棄車や盗難車も加わって、まるで洪水のように溢れかえった。

内閣府によると、放置車はピーク時全国100万台(うち東京20万台)を超え、美観を損ない、交通を妨げ、深刻な社会問題になった。

多くの自治体が巨額の税金を投じて対策を実施。今では全国8万台(東京2万台)と大きく減少している。駐輪設備も全国に400万台が設置され、問題解決に向かっていた。

ところが、先日あるテレビ局で “放置自転車で東京一悩む町赤羽”という特番が放映された。

JR赤羽駅は、京浜東北線など6線が乗り入れる東京都北区の代表的な駅である。映像には放置車がずらりと並んでいた。

乗降客の不法駐輪に加え、「長居族」と呼ぶ駅前スーパーの買物客の長時間駐輪も放置車の原因になっているという。

テレビでは、自治体に委嘱されたオジさんが、「放置車対策費は1台1万円以上、年間では2億円もかかる」と説明していた。

放置車の取締・回収・保管・返却などに1台15,000円の費用が発生するという。1万台なら費用は1億5千万円、その3割が引取りに来ても、保管料1台1,500円の徴収だけでは焼け石に水だ。費用が巨額になるのもうなずける。

とはいえ、都内の主要駅では放置車が目立って減っている。多くの駐輪場が設置され、シェア自転車も配備され、一時の乱雑さは影を潜め、それなりに整然としている。

車種もママチャリから、洒落たロードバイクやスポーツ車もどきに替わっている。

高額車が多くなると、登場したのが「アース(地球)ロック」である。盗難防止のため道路の柵やガードレール、電柱など動かない物体につなぎ鍵をかける。

早稲田大学写真部OB辻久男撮影

道路交通法では、「道路に交通を妨害する物を置くな」と定められている。歩道に車体がはみ出るロックは違法だが、キチンと柵に沿っていれば、禁じる法律条例は無さそうだ。

しかし、公共構築物の私的使用は後ろめたい。多少遠くても駐輪場探しが望まれる。

2 comments

  1. 近くの住民です(笑)。

    赤羽のどこのことを言っているのかな…と思いますが、心当たりはいくつかあります。
    一つは駅周辺で、JRが開発した高架下ショッピングモールの周辺です。
    ここは2階建てで、上に駐輪場がありますが、決して使いやすい雰囲気ではありません。
    なぜダメなのかという理由を考えると、一点は上階にあることの不便。
    スロープを登って利用するのですが、スロープ付近のエリアは定期契約の駐輪場で、一時利用はやや使いにくい印象です。
    また、下階への動線があまりよくないです。階段から降りると、モールの中央になりますが、端の店舗に用がある場合はやや遠くなります。また、モール外へのアクセスもよくありません。
    もう一点、駐輪場全体が暗いこと。これは、特に女性は使いにくいのではないか?というイメージがあります。

    もう一カ所思い当たるのは、駅から歩いて5分ほどのアーケード付き商店街で、車道に沿ってずーっと長く駐輪場がありますが、特に入退出の設備はなく、放置されているものも多数あるイメージです。
    (私のようにスタンドの無い自転車だと、一時利用する店舗前のアーケード柱に立てかけるしかありません)

    ……などと考えると、駐輪場があるにもかかわらず、その利用が想定のように行われないというのは、工学上の改善でどうにかなるような気もします。

    1. 指摘されているように、暗かったり乱雑だったりすると一般の人は敬遠しますよね。結果的に粗雑に自転車を扱う人が自転車を放置して、ますます悪化するデフレ・スパイラル。清潔で使い易く、そしてカッコいい駐輪システムを作ると利用者の意識が変わるのでは?

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