ロンドン発の洒落乙サイクリング・ウェアの最右翼、Raphaがカスタマイズ・サービスを開始した。このRapha Customでは、ジャージ、ビブ・ショーツ、ジレ、アーム・ウォーマー、ベースレイヤーについて、レイアウトと色やパターンを指定し、独自のロゴを入れることもできる。最少注文数は5つで、数が多くなれば安価になる。ただし、納期は8週間と長いのが玉に瑕。
実際のカスタマイズはWEBサイト上で簡単に行える。与えられた選択肢から指定すれば、即座に画面上のプレビューに反映される。軽快に次々と組み合わせを確認できる。しかし、侮ってはいけない。レイアウトは8種類で、パートごとに色を指定可能。その色たるや、お勧めだけで41色、実際にはパントーン・カラーで368色から指定できる。
単色ではなくパターンを選べば、さらに壮絶になる。8つのグループに分類された全62種類のパターンは、可愛いドット模様やシャープなストライプから、ちょっと奇妙な不規則模様や和風なテイストまで多種多彩。そしてパターンを構成する2〜4色を個別に指定し、パターンの回転や大きさも調整できる。こうなると単なるバリエーション選択ではなく、ちょっとしたデザイン・ツールと言える。
また、チームなどのロゴも配置できる。これはレタリングであればテキストを入力して、20種類のフォントと368色のカラー、そして回転と大きさを指定する。あるいは独自のロゴであれば、svgファイルをアップロードして使用できる。Pro Team Midweight Jerseyでの配置箇所は正面や背中から脇下や襟元まで14ヶ所にのぼる。これなら軽薄なスポンサー・ハラスメントじみたデザインも可能だ。
このようにRapha Customでの組み合わせは天文学的な数にのぼる。だが、どのように指定してもRaphaらしい仕上がりになるのが秀逸。他のサービスでは、全面的に自由にデザインができることと引き換えに、醜悪な結果も有り得る。Raphaとしては、そのような事態は許容できなかったに違いない。WEBサイトからデジタル・ファブリケーションまで、高度なシステムの構築に感嘆する。
ただし、左の胸元にあるRapha Customのロゴは2色から選べるだけで削除できない。これはブランドのエゴであり、顧客に対する奴隷制度だから、至高のサービスを台無しにしかねない。以下のようにロゴの色が判明しているので、背景の色を近づけて目立たなくするしかない。もっともロゴは反射性素材であるので、光よって大きく変化するはずだ。是非とも削除可能にして欲しい。
Black reflective , Hex code 363432, Pantone Black C.(* Please note, these are reflective heat transfers so do not match a Pantone exactly)
Rapha Customer Service Team
Silver reflective, Hex code AAADAE, Pantone Cool Grey 6.(* Please note, these are reflective heat transfers so do not match a Pantone exactly)
また、このサービスはマーケティングとしても面白い。最少注文数でも通常価格とほぼ同じであり、注文数が増えると安価になり、最大40%オフとなる。これは割引以上のメリットをRaphaにもたらす。Raphaファンなら勝手に買うだろうが、Raphaを知らぬ知人友人もRaphaを買うからだ。つまり、Rapha Customは顧客を販売員に仕立てる販促ツールとして機能する。さて、目論見通りになるだろうか?