全天球カメラの専業メーカーInsta360が、360度でも180度3Dでも使えるカメラ、Insta360 EVOを発売した。これは中央部で開閉する機構が付いており、折畳めば360度の、広げれば180度3Dの映像が撮影できる。後者は視差立体視によるもので、ちょうど人の目と同じ間隔にカメラ・レンズが配置されている。小さな本体は可愛らしく、変形のギミックも楽しい。開閉のロック機構もよくできている。
そこで、恒例となりつつあるスタビライズ性能を確認してみよう。まず、広げて180度3Dカメラとしてハンドルに取り付けてタイル敷きの歩道を走行したところ、路面からの細かな振動を吸収しきれていない。これは前機種のInsta360 One Xと同程度だろうか。この分野では依然としてGoPro Fusionのスタビライズがピカイチ。同じ道なのにFusionは空を飛んでいるかのように滑らかでブレない。
次に、折り畳んで360度カメラにしてヘルメットに装着して舗装道路を走る。このうち前半は上下左右に頻繁に振り向いており、そのような頭の動きは打ち消せていない。これができるのはGPSを備えたGarmin VIRB 360くらいで、Insta360 One XもGoPro Fusionも苦手だ。なお、舗装道路であり、身体が振動を吸収するので、路面振動の影響はかなり軽減される。
このように、Insta360 EVOの基本能力はInsta360 One Xと同程度であり、トップクラスではない。それでもInsta360 EVOは180度3Dに変形することで、新しい魅力を引き出している。ハンドルに取り付けた走行撮影なら180度で十分であり、奥行き感のある迫力映像が楽しめるからだ。簡易な3Dビュワーが付属しており、YouTubeアプリなどを用いて、HMDより手軽に立体視ができるのも有り難い。
ちなみに、Insta360 EVOはInsta360 One Xと同じくらいの大きさだ。小さな印象が強いのは、変形を含めて可愛い雰囲気があるからだろう。また、重量が113gと軽く、これもInsta360 One Xとほぼ同じ。GoPro Fusionは倍近い220gなので、ヘルメットに載せるならInsta360 EVだろう。ただし、180度3Dでは三脚穴が端になり、中央位置での取り付けには工夫が必要になる。