雪の日、いつもと違ういつもの道を走る

1月7日、東京にもまとまった雪が降った。雪が降ったら自転車に乗らずにはいられない。いつもよく走っている生活圏の未舗装路が、いつもとは大きく違う表情を見せてくれる日。東京のまちの雪は長く持たないから、そして沢山の人が隅々まですぐに踏みしめてしまうから、積もったらすぐに飛び出していくべきだ。

雪を纏った武蔵野の木々

雪中サイクリングの機会が訪れると、ディスクブレーキのMTBを持っていて良かったと思う(リムブレーキだとすぐに雪がたまっておっかない)。もちろん太くて凸凹したタイヤを履いた跨ぎ易い自転車であればMTBでなくてもいい。あとは「急」が付く動作を避けて丁寧に漕ぎ進めばOK。ただし(ツルツルの)氷は別物なのでスパイクタイヤでどうぞ。

雪は18時くらいまで降っていた(ひどい画質だが様子は分かるだろう)

雪や砂のような、タイヤのグリップの限界が低く、またタイヤが埋もれ易い路面を走る機会は貴重だ。ターン中の前輪が積もった雪に押されて切れ角が急に増えると、車体の前進と向きが合わなくなりロックして滑ってしまう。自転車を操縦するのにハンドルバーへの入力に頼るのは総じて望ましくないが、埋もれるタイプの路面では、ターン内側の腕で切れ角を抑え前輪を転がし続けることが重要である。こうすると滑るのは主に後輪になる。後輪が横に流れるのを感じながら進むのはとても面白い。積もったばかりの雪の上は低い速度域でコントロールの破綻を体験でき、もし転んでも痛くないから、あれこれ試して遊ぶのにはもってこいだ。

雲がまばらになり始めた空

雪の夜の地上はいつもより明るい。あちこちに大小様々な雪だるまがあり、いつまでも遊んでいる人の姿がある。雪が音を吸って辺りはいつもより静かで、そのぶん別の音に気づくことができる。風が木々の枝から落とした雪がジャケットの表面を滑る。

楽しくて終わりが見えない

走り慣れた場所が全て雪で覆われ、誰も通っていないラインがいくらでもあった。ただペダルを踏んで進むだけで、ついつい顔がほころんだ。空から降ってきた白くフカフカしたもののが、自転車という乗り物の最も根本的な楽しさを増幅させてくれた。

すっかり晴れた夜空の下を帰巣

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