8月頭のきゃんつー集いに参加した際の旅装とその運用を、フィールドで気づいた課題を交えつつ記録しておく。ダイゴマンが参加者全員についてまとめてくれた「きゃんつー集い2024-輩の旅装」と合わせてご覧頂ければ幸いだ。
荷物と携行方法
まずは今回の旅の荷物と、それらをどう運んだかを振り返る。自転車は柳サイクルのATB(オール・テレイン・バイシクル=全地形自転車) Cozmo。
人間用品 in バックパック
ロードバイクでの通勤用に買った背中に風が通るバックパックが優秀だったので、ツーリングにも採用した。このパックには、人間にとって必須と考えられるアイテムを中心に格納。食料と水を自転車から移せば日帰りハイク~一晩のビバークくらいはこなせる、という想定だ。
- Deuter Race Air 10(重量差わずか70gのRace Air 14+3の方が容量に余裕があって使い勝手がよいかもしれない)
- SOL エスケープライトビヴィ
- モンベル バグプルーフスリーピングネット(旧型)
- モンベル ULダウンジャケット
- 着替え(ロンT、下着、靴下)
- モンベル 雨具上下
- Sawyer Micro 浄水器と1Lパウチ
- 充電関係(モバイルバッテリー、USBケーブル、ACアダプター、カメラの交換バッテリー)
- ヘッデン
- 救急セット(絆創膏、ポイズンリムーバーなど)
- 歯ブラシなどのセット
- カメラ(細引きで首掛け&ショルダーストラップに取り付けたSayama Works ダスティンホルダー2Gで保持)
- 手拭い(きゃんつー集いオリジナル)
- Matador ULトラベルタオル S(チェストストラップ右端から吊るす)
- 身体を拭くウェットシート
- 流せるティッシュ
食事関係 in コンプレッション・ランドー・バッグ
自転車のフロントラックには、自分で考案した「コンプレッション・ランドー・バッグ」を配置。バッグの形状を整える構造体はEvernewのFP mat 100を畳んだもの(輪行時はフレーム保護材となる)。ラダーロックベルト×2で荷物を締め上げる(輪行時はホイールの固定に使う)。中身は主に食事関係。
- メスキット(メシ・キット)
- 予備の燃料
- 食料
輪行袋 in 小型ポーチ
ハンドルバーとランドー・バッグの間には、上ハンを掴みやすくするスペーサーとしてPaineのベルトポーチを挟み、下記の品を格納。ランドー・バッグ周りの一式で輪行に対応するシステム。
- 輪行袋/グラウンドシート(兼用)
- ショルダーベルト/メインガイライン(兼用)
- シャワーキャップ×2(ブレーキローターカバー)
輪行時にはこのポーチにランドー・バッグを畳んで入れショルダーパッドとしたが、据わりもクッション性もイマイチだった。ランドー・バッグそのものでショルダーベルトを包んだ方がずっといい。
ショルダーベルトを通してパッド化しなくてよいなら、輪行袋ポーチの選択肢はぐっと広がる。巾着タイプは紐の処理が面倒なのでジッパー式がベター。集い終了後、モンベルの軽量ポーチが手元にあったので試してみたらピッタリだった。ジッパー操作の際に掴む「ベロ」部分にラダーロックベルトを通すことができ、ランドー・バッグとの連結が容易。半透明のシルナイロン生地なので野営時にライト類を入れてランタンにもできる。
シェルター関係 in スタッフサック(ポールは外)
自転車のダウンチューブ上にはBentley ComponentsのMaxi Deck “Strap On” を取り付け、タープとペグ、予備ガイラインを収めたスタッフサックをVoileストラップで固定した。ダウンチューブ下にはこれと一緒にポールをくくる。このレイアウトは概ね良好と思われたが、フレームに頭を通す「ズッポシ」担ぎでは板状のデッキの側面が肩に食い込んで痛かった。同様の状況が想定される場合、ここにはクッションパッド(のみ)を巻くことにしよう。
自転車用品 in コーナーバッグ
前三角下部にはFairweatherのコーナーバッグをツーリング以外でも常設している。ここには自転車そのもののための一式を収納。
- 携帯工具
- 携帯ポンプ
- 予備チューブ×2(チューブは普段は1本)
- タイヤ補修キット
- ぼろ布
ボトル
今回はボトル×2をフロントフォークの左右ブレード横に配置したが、フレーム前三角に右肩を入れて担ぐ際に左のボトルが右脚にゴツゴツ当たったので、これはパックのサイドポケットに挿し、代わりにデッキを取り付けてシェルターをくくる方が良さそうだ。意味のある左右非対称。
運用
ここからは、以上の旅装が行動中(≒運搬中)と野営時の2つのシーンでどう機能したかを記す。実際には輪行中という第3のシーンが存在し(詳述は省略)、これも計算に入れて各アイテムになるべく複数の役割を与えている。荷物の点数・重量・体積を絞り、かつシンプルに安定運用できるようにするのが理想だ。
行動中
今回のセットアップは、(想定が甘かったとはいえ)担ぎを意識したものになっている。走りだけを考えるなら最大限に埋めて有効活用したいフレーム前三角を広く空け、その分は他で吸収した。夏場でも(標高のあるところなら)快適なバックパックの貢献度は大きく、重量を人・自転車の中心に凝縮できたことで、走行性能の低下が抑えられたと感じている。
既に書いたように、担ぎに関しては事前に考慮したつもりでいたものの検証が足りておらず、身体への干渉が生じる箇所がいくつかあった。いずれもちょっとしたストレス要因なのだが、負荷の大きい場面ではその蓄積がばかにならないし、他のミスを誘発する可能性もある。今後の活動ではそこへの対処を忘れないようにしたい。服装面では、アブなどの多そうなところで活動するなら脚を覆うレッグカバーなどが必須である。上半身を薄手のロンTにしたのはよかった。
野営時
野営時にはまず寝床候補のスペースに輪行袋を兼ねるグラウンドシートを広げる(天候が悪い時は手順が違ってくる)。そこに寝転んでみて、傾斜や地面の凹凸、頭上に折れて落ちてきそうな太めの枝がないかなどをチェックするのだ。シートを敷いて「自分の場所」を見出すこの瞬間が、いつになっても好きだ。しばし安らぐことができる、世界の部分。そんな場所が世界には無数にある、という実感が、一つの具体を通じてよみがえってくる。
床が問題なさそうであれば、次に屋根をかける。最近は柔軟なシェルター設営を身につけたいと思い、Paagoworksのニンジャタープをメインで使っている。2023年の余呉では自転車のみを支柱にした簡易的な形態を試したが、今回はSix Moon Designsのカーボンポール(Easton製)を携行したので、シンプルなAフレームにした。正方形のように見えてそうではない「手裏剣型」のニンジャタープの特徴は、ガイラインなしでも支柱から外方向にテンションをかけられる点にある。シェルターから離れた地面へと伸びるガイラインは、うっかり足をひっかけてしまうなどのエラーを呼びやすく、なしで成立するなら省きたいものだ。でも念のため、輪行用のショルダーベルトだけ正面に張っておいた。
Aフレームの後部の支柱には自転車を使った。シェルターを車体にくくっていたVoileストラップで左右のブレーキを握った状態にし、タープの尾根部分をサドルに固定して、末端へのテンションを適切にかける。補強が必要そうな空模様ではなかったので、これで屋根は完成。後はシートの上に寝具などを展開すれば快適な巣ができあがる。
設営を済ませたら夕食、というか宴タイムに突入となる。マットと食事関係を持って車座に加わり、ソーセージやキノコを焼いてみんなに回し、思い出したように袋ラーメンを茹でて腹を満たしたりしつつ、持ち寄ったビールや日本酒、ワイン、そして会話を楽しんだ。この夜の就寝中のレイヤーは、行動中と同じロンT・短パン姿にエスケープライトビヴィで十分だった。暑くもなく、ダウンジャケットなど他の衣類を引っ張り出すような寒さでもなく、ちょうどよかった。
まとめ
全体として、今回の旅装は合格点だったと感じている。課題として浮かび上がったのはシェルターとボトルそれぞれの移動と輪行時のショルダーパッドの変更(ベルトポーチ利用からランドー・バッグ巻きへ)だが、これらは道中でも可能な微修正だ。前回の記事で触れたステム延長とインナーチェーンリング装着も既に実施した。次の旅に向けてやらなければならないことは、機材面ではほとんどないといえる。アブがいそうなところではレッグカバーで脚を護れ、という点だけ(自分に向け)繰り返しておきたい。
さあ、この秋はどこへ行こう。