自転車チェアリングのススメ

マウンテン・バイク、それも電動アシストなら、人里離れた山野に分け入り、気に入った場所で寛ぎたいと思っていた。マットやハンモックも良さそうだが、調べているうちに見つけたのが、アウトドア用の椅子。軽量なパイプ製で、組み立ても簡単、小さく収納できる。腰掛けるだけの小さな椅子から、背もたれのある大きめの椅子まで種類も豊富で、場所を選ばない。これぞ求めていたものに違いない。

筆者がお気に入りは、何と言ってもHelinoxの赤いサンセット・チェア。ハイバックに身体を預けて微睡めるのが素晴らしい。やや大振りで重量は1.5kgほどあるが、頑丈で安心感がある。出来るだけ軽くしたい場合は、0.6kgのチェア・ゼロ。これは腰掛けてスケッチや読書をするのに最適。メーカー不明の小さなスツールはミニマムな腰掛けであり、他のチェアと組み合わせて足置きとしても使える。

サンセット・チェアはRaphaのバー・パックにピッタリと収まる。チェア・ゼロやスツールはサドル・パックにも入る。遠出でなければ小径車も楽しい。Bromptonのバスケット・バッグなら、3つの椅子を入れても、まだ余裕がある。いずれも軽量であり、組み立てるのに1分もかからないので、気軽に利用できる。いつどこで座りたくなるか分からないから、自転車に椅子を常設したくなる。

それでは、自転車に椅子を積み込んで出掛けよう。街の喧騒を離れ、野や川へ、山や海へ。道から少し外れれば、誰もいない絶好の場所が見つかる。夏なら木陰が良いし、水辺に涼を求めるのも良い。組み立てた椅子に腰掛けて、しばし沈思黙考。鳥や虫の声、川のせせらぎ、あるいは潮騒の音に取り囲まれる贅沢。読書や考え事をしているつもりが、いつしか、うたた寝してしまう。これぞ地上の楽園。

このように椅子を持って出かけ、気に入った場所で腰掛けて寛ぐことを「チェアリング(Chairing)」と呼ぶらしい。会員数2名の「JCA 日本チェアリング協会」での定義によれば、都会の一角をセルフ・バーとして飲酒するニュアンスが強い。もちろん、自転車では飲酒はできないし、移動範囲が広がるので自ずと行動が違ってくる。むしろ、各自の解釈によって携帯可能な椅子の可能性を追記するべきだろう。

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