Cycling Edge 10: 京都裏道

6月中旬、京都を自転車で走った。午前中に空き時間があるので、京都在住の知人に案内を依頼していた。何しろ京都はオーバー・ツーリズムの激震地。特に近年の円安によって海外観光客が激増。観光名所は人で溢れかえり、市内交通は麻痺状態。となると自転車で軽快に市中ライドができるとは思えない。そんな危惧を抱きながら、輪行したBromptonとともに京都駅に降り立つ。

JR京都駅0番線

さすがに京都駅は混沌とした混雑ぶりで、先が思いやられる。しかし、少し歩くと落ち着いた雰囲気になる。案内されたのは近くの町屋カフェ。最初にコーヒーをいただくのはサイクリストの掟。ただし、砂糖たっぷりのエスプレッソではなく無糖のカフェ・オレ。奥のショップには古着のジャージもある。最近の京都事情から今日の周遊ポリシーまで暫し雑談。

古着のウール・ジャージ

一息ついたところで、自転車で走り出す。梅雨前の晴れやかな青空と穏やかな風、絶好のサイクリング日和と心が踊る。七条河原町から鴨川を渡り、大和大路通を北上。有名な祇園白川あたりでも人がまばらなのは朝だからだろうか。それでも混雑がうかがえる八坂神社、平安神宮、南禅寺などには近寄らず、琵琶湖疏水や哲学の道に沿って走る。平坦な道がほとんどで、唯一のヒルクライムは曼殊院への坂道。

次第に気温が上がり、汗ばんでくる。1時間少々走ったところで、北山通のベーカリーで早めのランチ。テラス席にパンとアイス・コーヒーを広げ、デザートは途中の和菓子屋で買った六月の京菓子、水無月。余所者ながら地元民のようにくつろぐ。それはガイドブックの観光名所を訪ねるよりも素晴らしい。誰もが同じような写真を撮ることに夢中になるけれど、それがすべてではない。

ランチ

ランチの後は鴨川の河川敷を南下。そぞろ歩きの散歩やはしゃぐ観光客で賑う牧歌的な小路が続く。自転車でもゆっくりペダルを漕ぐのがちょうど良い。京都駅近くの塩小路に至って小休憩。このあたりは再開発地域で、金網が巡らされた更地を走るのはダーク・ツーリング的。高瀬川沿いを北上し、三条通りの手前でライドを終える。終盤の木屋町通は次第に混雑し、午後の用務への世俗感が強まっていった。

鴨川の河川敷

このように知人のコース選定のおかげで、驚くほどスムースに走ることができた。大半がいわゆる裏道であり、市井の路地だ。休日でありながら混雑はほとんどなかった。しかし、大通りは渋滞し、有名どころは混雑している。つまり、市街地は一様ではなく、通りや場所ごとにエッジ(境界)がある。そしてそのまだら模様を軽やかに摺り抜けてこそ、我らサイクリストの本領発揮と言えそうだ。

哲学の小路(右)

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