高知の川と海を走る (2) 仁淀川ライド

高知県でのライド、四万十川に続く2日目は仁淀川の流域を走った。宿を早めに出発したものの、足摺岬と黒潮町に立ち寄ったこともあって、目的地に着いたのはお昼前。この間は約180kmで自動車で4時間近くかかっている。ともあれ、いの町観光協会でクロス・バイクをレンタル。前日とは打って変わって雲ひとつない晴天。汗ばむほどに暖かく、ほぼ無風の絶好のライド日和。

市街地はすぐに終わり、広々とした仁淀川を上流に向かって走る。アップダウンが少なく、川に沿って緩やかにカーブする道は快適に走ることができる。路面状態は良好で、道幅は狭いものの、交通量が少ないので危険を感じるほどではない。穏やかな水面と紅葉が混じる山々が美しい。他のサイクリストにはほとんど出会わない。晩秋の休日なのに自動車が行き交うだけで閑散としている。

四万十川と同じく仁淀川でも目指すのは沈下橋。最初の名越屋沈下橋までは10km少々。沈下橋は欄干がなく水面に近いので、端に寄ると少し怖いと思うほど開放感に溢れている。橋のたもとに降りて、清流に手を差し伸べることもできる。これは近代的な橋や道路が川から離れていることと対照的だ。安全や利便と引き換えに失ったものを、僅かな時間だけ噛み締める。

途中で寄り道をしてランチをとり、次なる片岡沈下橋に向かう。川が狭まり、山が近づき、集落ごとに原風景感が高まる。橋も一回り小さく短いだけに、親しみが湧く。四万十川でもそうだったように、市街地から近い橋は人が多いものの、2つ目の橋ともなると誰もいない。観光客は最初の橋で満足して、異なる種類の観光地に向かうのだろう。自動車で素早く効率の良い行動だ。

前日もそうだったように、路面の自転車向けの標識が稀にしか現れない。目立たないので読み取ることも難しい。ただ。分岐が少ないので困らないとも言える。一方、車道とは分離された側道があっても、路面が悪かったり、途切れがちであったりするのが残念だ。部分的に実際に走ると、かなりストレスを感じので、早々に車道に戻っていた。これは安全に直結するだけに、整備が進むことを願いたい。

四万十川も仁淀川も市街地以外は飲食店や休憩場所が少ないので、事前に立ち寄り場所を決めておくのが良いだろう。今回は高知在住の知人の案内で、道の駅の土佐和紙工芸村で休憩、味噌かつラーメンが有名らしい自由軒でランチ、川辺の眺めが良い高知アイス売店でアフォガード、と巡った。店舗が少ないこともあるのだろう、いずれも満員で少々待つ必要があった。

このように好天のもと爽快なライドとなった。上流に向かえば仁淀ブルーと呼ばれる、さらに美しく青い清流になるそうだ。半日ではそこまでは無理で、今回の行程は50km少々ながら、レンタル自転車の返却時間にギリギリ間に合った次第。ちなみに上流にはレンタル自転車がないが、電動アシスト自転車の配送サービスがある。これを利用して次回は上流で自転車を受け取って走ってみたい。

さて、高知でのライドのきっかけは映画「竜とそばかすの姫」だった。もっとも丹念に聖地巡りをしたわけではない。ロケ地の伊野駅浅尾沈下橋、あるいは高知市内の鏡川などは近くまで行ったものの、映画と同じ景色は見なかった。これは仮想と現実を行き来する映画だからこそ、答え合わせじみた無粋さを避けたかったからだ。 つまり、現地の風土や雰囲気に触れることで十分だったと言える。

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