高知の川と海を走る (1) 四万十川ライド

遠いようで近い、あるいは近いようで遠い四国の高知はこれまで数えるくらいしか訪れたことがなかった。それも高知市内だけなので、郊外は知らないでいた。ところが、昨年公開された映画「竜とそばかすの姫」を見て、現実世界の冒頭シーンだけで舞台は高知だと思った。沈下橋や清流(と濁流)のせいだろうか。だがそれは他の土地にもある。何故だろう?そんな感慨を持って11月半ばに高知へ出掛けた。

自宅近くの名古屋空港から高知空港までのフライトは約1時間。無料で自転車専用ケースも利用できる。朝9時前には高知を自転車で走り出せる。だが、空港までの電車やバスに随分と時間がかかる上に、ラッシュ・アワーの輪行は気が引ける。そこで手荷物だけで飛行機に乗り、各地をレンタカーで回って自転車をレンタルすることにした。情報サイトを参考に横着かつ極楽な自転車旅行を企てる。

最初に訪れたのは四万十川。ダムや堰がないために「日本最後の清流」と呼ばれるほど美しい自然が残されている。四万十市観光協会自転車を借りる。ここでの目玉は折り畳みタンデム自転車、KHSのT-20。3人だったので、もう1台はマウンテン・バイクを借りて、適時交代しながら川沿いに上流を目指す。大降りにはならかなったものの、生憎の天候で小雨が降ったり止んだり。

四万十川流域は交通量が少なく、山や川が織りなす景色を見ながら走ることができる。ただし、道幅は狭く、自転車レーンはない。時折申し訳程度に自転車用の路面標識が現れるのがご愛嬌。蛇行する川に合わせて道路は山道に近く、曲がりくねり、アップ・ダウンがある。そして欄干がない沈下橋の解放感と穏やかな水面の美しさに魅せられる。川辺でしばし休息するのは、無上のご褒美だ。

出発地点から最初の佐田沈下橋まで約8km、そこから次の三里沈下橋まで約4kmほど進んだところで引き返す。乗り始めたのがお昼過ぎで、夕方までに自転車を返却する必要があったからだ。そうでなければ、さらに先へとペダルを漕ぎ続けていたかった。上流に行けば行くほど川は美しくなり、沈下橋はすべて合わせて47本もあるそうだ。結果的に四万十川のごく一部しか体験できなかったことになる。

タンデム自転車は短時間の経験があっただけなので、今回は時間をかけて乗りこなせることを期待していた。しかし、この程度では十分に慣れて二人力のメリットを活かせるまでには至らなかった。特に後席ではバランスを取ろうとして取れず、不自然に緊張してしまう。とは言え、自然豊かな四万十川で奇妙な自転車に乗るのは楽しい。高知は全域でタンデム走行可能な先進県だ。

その日の宿は足摺岬の近くだったので、四万十川からは車で1時間少々かかり、すでに日は暮れていた。自転車に乗っていたのは休憩時間を入れて3時間、距離にして24kmほどに過ぎない。それ以外の大半は車での移動なので高知県の広さを痛感した。お隣りの宿毛にもロード・バイクや電動アシスト自転車などのレンタル・ショップがあるので、立ち寄りたいと思っていたのは甘過ぎた。

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