本記事は筆者のIAMAS(情報科学技術大学院大学)における修士研究である、自転車に乗りながら小説を読む試み「モビル文学」についての連載第9回目で、今回は前回の連載記事の続きのヘルメット制作の成果を執筆していく。
前回記事はなんとクリティカルサイクリングの1000記事目の投稿だったらしい。
前回記事で触れたヘルメットの試作の中で、デバイスの重さに接続部分が耐えられるか否かという課題があった。
車用のデバイスホルダーでスマートフォンをヘルメットに接着していたが、デバイスの重みにホルダーが耐えられなかったり、可動域に問題があり、それぞれの体験者に合わせてデバイスの位置を変更することが難しかった。
そこで改良を重ねたのが下記の画像に映るヘルメットである。以前のチョウチンアンコウみたいなヘルメットと比べると、かなりスタイリッシュになった。
ヘルメットはGoProのマウントを貼り付け、そこにREC-MOUNT+のマウンターで専用ケースに入れたiPhoneを取り付けている。マウントのジョイントの部分でデバイスの角度を変更することが出来、ARグラスに投影する文字オブジェクトの位置を調整することが可能となる。
またiPhoneもしっかりヘルメットに固定され、着用することで自転車の揺れと文字オブジェクトのブレが同期し、体験者の身体感覚と違和感のない鑑賞体験になった。
また今回は修士研究の作品審査に当たって、眼鏡使用者のARグラス着用への対策を講じた。
普段着用をしている眼鏡をかけながらARグラスをかけ、自転車に乗ることは安全上の理由で望ましくなく、ARグラスに度を入れることで眼鏡をかけず文字を視認することを目指した。
僕が利用しているARグラスにはサンプルとしてインサートグラスが入っており、特注グラス制作のために大垣市の眼鏡屋を数軒回る。残念ながら断られてしまったり、可否の回答に1週間かかると言われた店舗が多々あった中、パリミキ大垣店さんが快く引き受けて下さった。
店舗案内のホームページはこちら。
眼鏡の度を伝えると2日ほどで完成すると店員さんから伺った。後日改めて店舗へ行き、度入りのレンズを受け取りARグラスに差し込むと、ぴったり嵌った。レンズを覗くとしっかり空間が歪んで見える。
突然のイレギュラーな依頼を引き受けて下ったパリミキさんには心より感謝御礼申し上げます。
11/28-29のIAMAS作品審査で、AR文字オブジェクトを設置した水門川をサイクリングする体験会を催した。2日目は降雨のため実施出来なかったが、初日は実施し、3名の方に体験頂いた。
下記の映像はそのアーカイブであり、安定して文字を視認出来るようになった。