自転車建築(5)自転車におうちを載せる

本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。今回は万華鏡案の検討と、前回のワンルームに続く日常にありそうなシチュエーションを利用することで生み出せる表現の検討を行った。

検討項目

  • 塔の万華鏡(天面開口)
  • 塔の万華鏡(側面開口)
  • 赤い屋根のおうち
以前作成した塔案を万華鏡化
万華鏡内と外の光量差で外の風景が白飛びしてしまっている
YouTubeで360度動画を見る
風景を取り込みやすくするため、開口部を大きく設けた
YouTubeで360度動画を見る
窓の先に赤い屋根が見えるように制作した模型
窓越しに赤い屋根と動く風景が見える
YouTubeで360度動画を見る

リファレンス
ちいさいおうち

制作の詳細
塔の万華鏡は、天面に一つ開口を設けたものと側面に開口を複数設けた2パターンで検討した。内部にはミラーシートを貼り、前回のアルミホイルから反射性能を向上させた。

赤い屋根のおうちは、絵本の「ちいさいおうち」から着想を得た。建物の周辺の風景が変化することで見える対象に物語性が生まれるのではという想定で制作した。模型の開口部は大きめに設け、映像の白飛びを抑えている。

考察
万華鏡案はさほど胸キュンしなかった。簡単に手に入り、扱いやすいからと段ボールでの制作をしてきたが、クオリティに限界を感じた。平滑な表面を実現できる素材を用い、既存の万華鏡の仕組みを調べた上で最適な形状を導き出し、次回制作を行う。

赤い屋根のおうちは当初想定していたような抒情的な感覚は得られなかった。窓から見える風景、切り取り方が良くない。また、走る場所の選定が今まで以上に重要になっており、今後はソフトピア周辺での撮影を控える。模型については前回のワンルームの方が魅力的な空間を感じられた。前回も触れたが、空間の作り込みが必要である。開口部の位置やサイズ、そこから見える屋根の位置など色々と粗が見える。ただ、前回までの検討では風景を採取しているという感覚で走行していたが、今回は建物を色々な場所に連れて行くという感覚が芽生えた。その点は面白い。

「現象を楽しむ」から「物語性の構築」へ
万華鏡案は次回も検討する予定であるが、今後の展望として、そろそろ現象的な表現から離れ、物語性をどのように構築できるかの検討に焦点を当てたいと考えている。複数の撮影映像を一つの映像作品に編集するのもありだ。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA