Cycling Edge 24: ドイツ郊外

ドイツのフライブルクで都市の自転車環境を体験したので、次は地方を調査しようとした。正直に言えば、シュヴァルツヴァルトや田園地帯をe-Bikeで快走して、郊外を満喫したかったわけだ。そこでレンタル自転車ショップに向かう。平日にもかかわらず、多くの人で賑わい、活気にあふれている。そのほとんどが電動アシストのマウンテン・バイクなので、否が応にも意気高揚してくる。

ところが、ショップでは当日も翌日からも予約で一杯、貸し出せる自転車はない、と言われて意気消沈。楽しそうに話し合っている人々の傍ら、指を咥えて自転車やツーリング・マップを眺めるしかない。他のショップにも問い合わせたものの、同じような状況。ドイツでは州によって夏休みが異なり、このあたりは9月上旬でも休暇中とのこと。雲一つない真っ青な空が恨めしい。

もうひとつ、短い距離でもEuroVeloを走りたかった。Setouchi Véloなどのお手本となったヨーロッパを縦横に駆け巡る長距離サイクリング・ロードで、現時点で17のルートがあり、総延長距離は90,000kmを超える。滞在していた南ドイツではEuroVelo 6が走っており、後に慎ましい標識を見つけた時は嬉しかった。西に向かえば大西洋へ、東に向かえば黒海に至るのだから、想像を絶する壮大さだ。

ところで、街から街へクルマで移動する際に自転車をほとんど見かけないのが不思議だった。速度無制限の高速道路アウトバーン(Autobahn)は当然としても、交通量が少ない田舎道でも見かけない。これはクルマとは完全に分離された自転車道が整備されているからであった。自転車道は必ずしも自動車道と並行していないので、遠くの牧草地の中を自転車が快走していたりする。

さらにクルマが街に入ると急に速度が落ちる。これは住宅地での速度が30km/hに制限されているからだ。これにより騒音や排気ガスを抑え、交通事故が起こっても重大な損傷に至らないで済む。クリーンかつビジョン・ゼロだ。クルマが30km/hとは余りにも遅いようで、やがて気にならなくなる。筆者は同乗者で運転していないからだ。EVと自動運転の時代になれば当たり前になるに違いない。

さらにフランスの市街地では20km/hに制限されており「La zone de rencontre(出会いの空間)」 と呼ぶのだから洒落ている。これが「ドイツは自転車先進国ではない」の一例だろうか。ともあれ日本では限定的なゾーン30が、こちらでは広く普及している。しかも、歩行者は車道を歩くことができ、歩行者と自転車はクルマより優先される。このようなエッジ(領域)はどんどん拡がって欲しい。

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