知人に誘われ、黄金週間にグループ・ライドに出かけた。日本三大清流のひとつ、長良川の上流までローカル鉄道で輪行し、そこから川沿いに中流まで下るコース。Appleマップでの自転車ルートでは約60km弱、多少のアップ・ダウンがありながらも、ひたすら下ることになる。しかも、知人は何度か走ったことがあり、先導を務めてくれる。至れり尽くせりの極楽ライドになりそうだ。
まずは長良川鉄道の関駅から輪行開始。朝の一便だけサイクル・トレインがあるものの、タイミング的に利用できなかった。ただ、駅で輪行袋を借りられるのは有り難い。車両の前方と後方に自転車を置くスペースがある。我々の4台の他に家族連れも4台ほど載せていたので賑やかな雰囲気。休日だからか乗客も多い。こうして一両だけの可愛らしい列車は長良川の上流に向かって出発する。
のどかな車窓の風景を楽しみながら、1時間半かけて美濃白鳥駅に到着。自転車を組み立てて走り出す。青空が広がり、風薫る絶好のサイクリング日和。下流では大河となる長良川も、このあたりでは慎ましい。幹線道路は避け、交通量の少ない脇道を走る。路面の状態は良く、青い矢羽マークが続くのは安心感がある。時折上りがあるものの、ほとんどは緩やかな下りを滑るように快走する。
途中の郡上八幡でランチ休憩。B級グルメの硬焼きそばをいただいた後は、清らかな川や水路を辿り、小京都とも呼ばれる古い街並みを散策。オーバーツーリズムとは言えない程度に多くの観光客で賑わう。穏やかな雰囲気の町角に真夏の熱狂、日本古来のレイブ、郡上おどり(徹夜踊り)や橋から飛び込む川ガキを思いやる。ただ、郡上八幡城へのヒルクライムが禁止されていたのは残念。
気だるい心地良さに長居をした後、再び自転車で走り出す。後半は狭い山道が多く、路面も少し荒れている。横目で見る長良川は水量を増し、ラフティングの歓声も聞こえる。辛い坂や悪路ではないものの、知人が想定していたコースは途中で2回ほど工事通行止めになっていた。やがて市街地に入り、緑溢れる山や森は遠く離れる。幹線道路のクルマの多さには閉口せざるを得ない。
このように爽やかで楽しい一日となった。僅かに難所が混じりながらも、川沿いのコースは走り易く、美しい景観は快い。知人とは張り合う気持ちと気の置けない話で盛り上がる。まさに快楽原則に沿ったライドであった。もちろん快楽は人によって異なり、一人での行動や過酷な状況が好まれることもあるだろう。なので、これは一例に過ぎない幸福なレポートである。