ネック・スピーカーで音楽サイクリング

1年ほど前からプチ流行しているネック・スピーカーは、首にかけるワイヤレスのスピーカー。ヘッドフォンやイヤフォンとは違って耳を塞がないので、自転車に乗りながら音楽を聴くのに適している。適切な音量なら警官に注意されることはないだろう。車載スピーカーと骨伝導ヘッドフォンに続く、第3の聴取方法になるわけだ。意外かもしれないが、イヤフォンより装着が目立たないのも嬉しい。

数種類ほど発売されているネック・スピーカーの中から選んだのは、最近発売されたシャープのAN-SS1。先行する製品が300g前後だったのに比べて、これは僅か88gしかない。実際にも首や肩への負担がなく、掛けているのを忘れてしまうほど。これは自転車乗りには有り難い。やや心もとないものの、走行中に首から外れることはない。激しいダウンヒルやシクロクロスでなければ大丈夫だろう。

普段は音楽を聞きながら自転車に乗ることはないが、首周りから聞こえる開放的な音場が面白く、楽しく感じられる。ただし、近くの人にも音が聞こえている。大音量で騒音を撒き散らして、赤面することがないよう注意しよう。また、重低音の響きや音像の繊細さなどは求めようもない。音量が大きければ音が割れてしまう。だが、そもそも風切って走行するのだから、オーディオ・ハイファイとは無縁だ。

筆者にとって音質以上に気になるのは音の遅れだ。Bluetoothオーディオの標準コーデックであるSBCはかなり遅延が大きいので、インタラクティブな音響処理には適さない。そこでAN-SS1はSBCの他に、遅延が少ないFastStreamに対応している。しかも、FastStream送信機としてUSBドングルが付属しており、これをLightning-USBアダプタで繋げばiPhoneでも利用できる。

このUSBドングルは、標準オーディオ・ドライバとして動作するらしく、iPhoneでもMacでも自動的に認識される。音の遅れの少なさは流石で、ドラムなどの演奏アプリでもストレスがない。ただし、音質的には高域が強調されて歪みがちで、瞬間的に音が途切れることもある。原因は不明だが、今後の改善を望みたい。単純に音楽を聞くだけならSBCのほうが安心して使うことができる。

ちなみに、iPhoneが本来対応するコーデックはSBCとAACのみ。現時点ではAACに対応するネック・スピーカーはないようだ。AN-SS1はFastStreamドングルが使えたが、他の製品ではLighting接続のBluetoothドングであるKOKKIAのi10L_Proが役立つ。これはSBCとFastStreamの他にaptXとaptX Low Latencyに対応している。仕様には明記されていないが、AN-SS1はaptXでも接続可能であった。

【追記】AN-SS1は音楽鑑賞には適していないので、性格の異なるBoseのSoundwear Companion Speakerも購入した。こちらは大音量でも余裕のある音質が素晴らしい。バスドラ以上にベースが唸る低音域は迫力満点。ただし、重量は260gと重く、対応コーデックはSBCのみで露骨に音が遅れる。良くも悪くもBoseらしいリンスニング専用機。大音量でビートを撒き散らしながら、都会を駆け抜けるイメージか。

rhdr

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