キャンプブームで大人気だというメスティン。定番のトランギア製を購入し、自転車キャンプ用のメスキットを組んでみた。その構成などをメモしておく。
狙い:湯沸かし以外もそれなりにできて、かつコンパクトなキット
「メスキット」(mess kit)とは、フィールドで使用するために携行する調理・食事のための道具一式のこと。要は野外活動用のメシ・キットである。「メスティン」(mess tin)はメスキットの一部というかメインとなるクッカーで、現代日本の市販品としてはトランギア社のものが有名。
自分も今回、たまたま寄った店に並んでいたトランギアの標準サイズ(TR-210)を試しに買ってみた。スリムな長方形なら、他の荷物と一緒にフレームバッグなどに格納し易い。湯沸かしだけでなく炒める・焼く、炊くなどの調理方法にも対応し、なおかつコンパクトな自転車向けキット、その構築が自分の狙いである。
基本構成:メスティン、カップ、カトラリーと火器関係
キットの基本構成は次のようにした。スペックは別記なき限り公称値。
- トランギアのメスティンTR-210
- 長辺170×短辺95×高さ62mm、容量750ml、重量150g。
- アルミ合金製で色々な調理にぼちぼち対応。
- 蓋はちょっとした皿になる(フライパンとして使う人もいる)。
- 形状と素材からしてカップとしての役目を兼ねるのには向かない。
- エバニューのデミタスカップECA614
- 径75×深さ55mm、容量220ml(すり切り容量はもっと多い)、重量42g。
- チタン合金製のカップで、火にかけるとしても湯沸かしに使うのみ。
- ベルモントのチタントレールカップ280フォールドハンドルBM-007でもカトラリーの収まりを工夫すればいける(外径はギリギリ、高さはエバニューのデミタスより少し低く、EPIgasの蓋T-8112がフィット)。
- HumangearのカトラリーGoBitesのThe Clickフォークとナイフ
- スプーンの最短長111.13mm、セットで27g。
- 癖がなくて使い易い。
- もっと長さがあっても入るのでThe Duoも良いかも。
- エバニューのアルコールストーブEBY254
- 外径71(内径39)×高さ42mm、燃料容量70ml、チタン合金製で重量34g。
- クッカーを直置きしての弱火も使える。
- トランギアのアルコールバーナーTR-B25でも(カップがベルモントのものだとその中に入れることになる)。
- エバニューの十字ゴトクEBY253
- 96×28mm、チタン合金製で重量16g。
- 後からボールチェーンを追加した。
- マッチとBicのミニライターJ25
- アルコールストーブの点火にはなんだかんだマッチが好相性だと感じる。
- バックアップ用にミニライターも携帯。念のため電子式よりフリント式で。
- Buckの折り畳みナイフ283 Nano Bantam
- 実測重量20g。
- 食材を切る時などに。
- アルコール
- 消毒・掃除用を兼ねたバイオエタノールを使うことが多い。
- 状況に応じて携行する量と容器を選ぶ。
- 100ml程度までならメスティン内に収めることも可能。
- 風防
- 家庭用のガスレンジの囲いをカットして作成。
- 畳んだ状態でメスティンの外側、底に重ねて運ぶ。
- アルコールストーブは風に弱いので、これでなくても何かしらの風よけは必須と考えている。
格納方法:カタカタ鳴らない形でメスティン内にまとめる
以上のキットのほとんどはメスティンの中にしまうことができる。内部スペースに物を並べ易いのも長方形のクッカーの利点だ。円筒形のクッカーは他の円筒形の器などをスタッキングするのにはよいが、カトラリーをはじめとする直線的なアイテムの格納にはどうしても無理が出る。
自転車に積載するメスキットが走行中にカタカタ鳴るようではメカトラブルの察知などの妨げになるので、対策として自分は手拭いを仕込む。これはハイキング系の活動ではあまり考慮されない、自転車遊びならではのポイントではないだろうか。
クッションとしての手拭いは、口に入る物と手が(外側に)触れる物を分けるのにも役立つ。カトラリー(の先端)は手拭いの外、それ以外は手拭いの中、といった具合だ。アルコールストーブもカップ内に入るのだが、地面に置いて使うことが多いので、重ねない方がズボラな掃除でも気にならず運用が楽(この辺は実際の衛生面というより気分の問題だと思う)。細く裂いた手拭いにエタノールをつけたものは拭き掃除にもストーブの点火にも使えて便利。
こんなところで基本キットがギュッとまとまる。残った隙間にスパイスなりを詰め込むこともできる。火器関係をガスストーブや固形燃料にするのもいいだろう。
使用感:表面加工ありの長方形クッカーがベストかも
実際に調理をやってみると、無垢のアルミそのままのトランギアのメスティンは食材がくっつき易い。アルミのクッカーは加熱ムラができにくいのでチタン製品のように局所的に一気に焦げる傾向はないが、予熱不足でくっついて結果的に焦げるといった流れは普通にある。表面加工の施されたモデルの方が、食後の掃除を考えてもアウトドア向きだろう。前から愛用しているエバニューのULパンは「チタンプラズマコーティング」とかいう強そうな加工を経ているらしく、ウェットティシューで拭くだけで大体きれいになり片付けがとても楽だ。
食事の時の使い勝手と運搬時のスペースの有効利用を両立するために、トランギアのメスティンをもう一つ買って加工に出してみようか(製造過程でのPFOAの使用など環境負荷が気になるフッ素ではなくセラミックで)。