第12回 試作4号(計画②)

今月の記事では、第11回において提案した試作4号に関しての計画を再度確認し、実施に向けての撮影場所や使用機材等といった詳細についても考えていきたい。本連載は、以下のような目標を掲げながら、写真と自転車を組み合わせながら様々な形で試行錯誤していく内容である。

自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。

「銀(塩)輪車」第1回より

何を写すか

さてまず第11回にて提案された試作4号に関する内容の中では、定位置にカメラを固定した長時間露光撮影によって自転車に固定したライトにより描かれる光の線と、車のヘッドライト等の自転車以外から発せられた光により描かれる線を同じフレーム内に収めることで自転車の「速度」を読み取れるのではないかと言及している。

これについて問題になりそうなのが、自転車の残した線と自転車以外の残した線がモノクロの写真にどのようにして写るか、という点である。もちろん長時間露光撮影であるから、複数回車が同じ経路を通る道路上にはある程度太い線が描かれそれに比べて自転車に固定できるほどのライトでは細い線しか描けないということは想像できる。これを踏まえて、実際に撮影した後には以下のような写真ができ上がることが予想できる。

  1. 自転車の線と自転車以外の線の見分けがつかない
  2. 自転車の線と自転車以外の線が分かりやすく異なる
  3. 自転車以外の線が目立ってしまい自転車の線が見えにくい

1の場合は写真が写そうとしている自転車に関する情報が読み取れず、自転車以外の移動手段やその他の光によって自転車についての情報が埋もれてしまうことになる。2の場合にはおそらく移動速度の早い車による光の線がスムーズな曲線を描き、速度の遅い自転車はより薄くギザギザした細かい軌跡を描いているだろう。3の場合では、1と同様もともと写そうとしている自転車の情報が読み取れないことになる。

つまり2の状態が最も好ましく、自転車とそれ以外の光が分かりやすく比較できるような構図等をつくることによって自転車という移動手段の「速度」や「振動」を車などと比較しながら写すことができるだろう。自転車の光の線を他の移動手段や周辺の環境によって描かれた光の線から取り出すことができるとすれば、試作3号の写真にて発生した「何の線なのかわからない」という事態は回避できるかもしれない。但しやはり自転車が残した光の線が写真の中心になるように意識する必要があるだろう。

風景

試作4号にて撮影しようとしている写真は、試作3号試作2号と異なり風景の中を走る自転車を長時間露光によって写すという、風景写真である。これは風景写真において最重要事項のひとつとして挙げられる撮影場所の選別というのがこの試作4号においても必要であることを意味する。実際に先ほど書いた自転車の光の線を写真のメインに置きながらも他の線を写すことが実現可能となる風景を見つけなければいけない。また同時に、風景写真であるからにはそれらの光の線を取り巻く周囲の風景についても重要になるだろう。

この風景を決定するためには、やはり偵察が必要となる。実際に前述したような条件が全て一致するような風景にプラスして、夜間に長時間カメラを三脚に固定したまま放置しておける場所が必要なのである。これを発見するための偵察に関しては、次の1ヶ月間をかけて行おうかと思う。実際に日中の偵察を行いその結果を踏まえた上で、自転車に乗らずにその風景を夜間を一度長時間撮影することで本当にその風景が適しているか検証する。またこの検証時に適切な露出とシャッタースピード(露光時間)も特定できるだろう。

現状候補として考えられる風景は、パロス・バーデス周辺にある。坂道が多く海岸沿いを畝るようにして続く崖が多いため、周囲の風景を取り入れながらも道路をフレームに収めることが可能だと感じている。また、結果的には複数枚の写真を撮影するために候補地は複数個確保しておく必要もある。こういったことを考えながら何度かにわたる偵察を経た上で、どのようなライトをどのようにして自転車に固定するかなどを検証したい。これらが全て解決できてから試作4号は実施へと移る。

慎重

今回の「計画②」と題した記事では試作4号に関する懸念点をいくつか挙げてみた。実際にこのような実験的な写真はまず撮影してみてその結果を見てから修正していくといったアプローチもあるとは思うが、ここはひとつ慎重に、着実に小さな要素を順番に確定させていきながら実験を進めていきたい。

今回の記事のような思考の記録も重要であると筆者は感じている。今回は文字ばかりの記事になってまったが、来月には偵察の結果をお見せできると思う。ぜひ楽しみにしていただきたい。

それでは、また。

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