銀塩(輪)車 第13回 試作4号(偵察)

今回の記事では、レドンド・ビーチそしてパロス・バーデス周辺において試作4号を実施しやすい理想的なロケーションを発見すべく夜間に偵察を行った。前回に引き続き試作4号のための下準備となる内容であるが、夜間にロケハンを行ったことで実施の際の露出やシャッタースピードに関してもある程度の予測が可能となりそうである。本連載は、以下のような目標を掲げながら、写真と自転車を組み合わせながら様々な形で試行錯誤していく内容である。

自転車を通じて体験し得る事柄には、距離的移動、時間経過、身体的疲労、振動、風、空気抵抗、周囲とのコミュニケーションなどといった多くのものがある。これらを含んだ、自転車に乗るという行為の新しい記録の仕方を、銀塩写真を用いて模索する。

「銀(塩)輪車」第1回より

さて、今回の偵察では筆者が撮影場所として使えそうな場所を幾つか事前に考えそれらの場所を夜間に回った。そして今回の偵察では主に2つの情報を得ることを目標にした。まず1つ目は実際に撮影をするにあたって自転車が走りやすい上に風景写真として撮影するに適しているかを判断すること。そして2つ目はその風景の大まかな暗さの把握、つまりISO400のフィルムを用いてその風景を長時間露光撮影する際の露出とシャッタースピードの把握である。これらの2つの情報に注目しつつ、計6つのロケーションをiPhoneにて撮影した写真と一緒に紹介していく。

レドンド・ビーチ

1つ目のロケーションは、レドンド・ビーチ付近の住宅街を通るとある道路である。この道路は両脇に閑静な住宅が並んでおり、坂になっているため正面にパロス・バーデスの丘を見渡すことができる。この道をは筆者が毎日のように通るためとても親近感があり、写真として丘をバックに自転車で坂を登れば面白い絵になるかもしれないと考えた。ただし、この道路には街灯があるため自転車に括り付けたライト以外の光源が多すぎる可能性がある。露出に関しては、ISO400でf/8の16秒露出が適しているようだった。

レドンド・ビーチ付近の住宅街を通るとある道路

2つ目は、エスプラナーデ(北向き)というビーチ沿いの道路である。この道路は本連載において度々紹介している上に、試作3号でもこの道路にて撮影を行なっている。この道路では背景として海と北に光るレドンド・ピア等の風景を写すことができそうであるが、やはり街灯が多いことが懸念点である。またこの道路は夜間であっても一定数の車が通る道路であるため、車のヘッドライト等が自転車のライトと見分けがつかないような形で写ってしまうことが最大の難点である。この地点においても露出は、ISO400でf/8の16秒露出が適している。

エスプラナーデ(北向き)

3つ目と4つ目は、エスプラナーデを少しだけ南下した地点から見えるビーチ脇のサイクリング・ロード(北向き/南向き)である。このサイクリング・ロードもやはり過去の記事にて何度も登場しており、試作3号の撮影場所の一つでもある。このサイクリング・ロードはやはり街灯がないために余計な光源がなく、他の自転車などの交通量が夜間はほとんどゼロであるために理想的な撮影条件が揃っているロケーションである。北向きの場合はレドンド・ピア等の夜景が背景となり、南向きの場合はパロス・バーデスの丘が写り、どちらも綺麗な風景である。この地点でもISO400でf/8の16秒が適していたが、実際にはもう少し露出時間が伸びる可能性があるだろう。

サイクリング・ロード(北向き)
サイクリング・ロード(南向き)

パロス・バーデス

5つ目は、パロスバーデスのパセオ・デル・マーという道路である。この道路は2つ目のロケーションと同様にレドンド・ピア等を含めた北向きの風景が背景となるが、異なる点として標高が少し高くなった風景が見える。そのため2つ目のロケーションよりも海が写りやすくなるだろう。街灯などは少なく交通量もさほど多くないのだが、唯一の懸念点は住宅が多い地域なために海と夜景が見える開けた空き地になっている部分があまり多くなく、自転車で走るにはそのような部分が短すぎる可能性があることである。露出に関しては、ISO400でf/8の16秒露出が適しているようだった。

パセオ・デル・マー

6つ目は、ブラフトップ・トレイルというハイキング道に面した、パセオ・デル・マーの区画である。このトレイルにはよく来るのだが、広い道路が海を見下ろすことのできる崖に面して伸びている場所であり今回の撮影に適していると感じた。街灯もなく交通量も少ないために光源は少ない。ただし道路が崖から少し離れたところに位置しているため、海を見下ろす景色と道路上の自転車の両方を上手く写すというのは少し難しいかもしれない。ここでの露出はf/8で2分間ほどの露出時間が適しているようだった。

ブラフトップ・トレイル

実施に向けて

今回の偵察を行った感想としては、3つ目と4つ目のロケーションがやはり最も試作4号の実施には適していると感じた。余計な光源や交通量がほとんどないことや撮影の際にカメラを放置しておきやすいことがメリットである。さらに北向きと南向きの両方を撮影することで1箇所で2つの背景を活用することができる。試作3号でもこの場所で撮影したが、次の撮影場所もこのロケーションを使用する可能性が高いだろう。

未だ残っている懸念点としては露出時間の長さである。自転車に乗っている時間は可能な限り伸ばしたいと考えているので、今回の偵察で測った露出時間ではピンボールカメラを使用したとしても短過ぎると感じている。ただし、これに関してはいくら計算を重ねたとしても実際にい撮影してみないとわからないことなので実際いの撮影時に色々試してみようと思う。

これまで長い期間をかけて試作4号の準備を重ねてきたが、そろそろ撮影を実施してもいい段階に突入している。次回には実際に撮影を試みて、可能であれば出来上がった写真も結果として報告できればと思う。未だ寒い日々が続いているが、自転車には乗り続けたい。

それでは、また。

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