つくば霞ヶ浦りんりんロード (1) プレイアトレ土浦

現時点で6ヵ所が選定されているナショナル・サイクル・ルートのひとつ、つくば霞ヶ浦りんりんロードを走るべく茨城県の土浦に赴いた。東京駅から特急で50分ほど、土浦駅のホームに降り立って唖然とする。待合室やエスカレータなど構内にサイクリングのグラフィックスが溢れていたからだ。やり過ぎ、あるいは、潔い、だろうか。JRの駅がこれほどまでに愚直にアピールするのは珍しいかもしれない。

JR津浦駅のホーム待合室

改札を出ると、そこはプレイアトレ土浦。「日本最大級のサイクリングリゾート」と謳う駅ビルだ。正面すぐにサイクリング・ホテルの星野リゾートBEB5土浦があり、階下にはBIKE BASE(自転車基地)りんりんスクエア土浦がある。他の一般的な店舗でも自転車が壁に掛けられるなど、全体として自転車に注力していることがうかがえる。真冬で平日のせいか自転車に乗っている人が少ないのは拍子抜け。

何はともあれ、ホテルにチェックイン。玄関からロビーまで自転車や関連書籍などが置かれている。ホテル自体が星野リゾートのライトウェイト版であるように、マニアック過ぎない気軽な雰囲気が心地良い。サバ自転車水上花見自転車といったホテルの企画は程良く狂っている。イベントでなくても自由に使える電動アシストのレンタル自転車もある。もっとも事前に予約ができないのはいただけない。

星野リゾートBEB5土浦のエントランス

宿泊した部屋はサイクル・ルーム。壁に2台分のラックがあり、自転車を持ち込んで掛けられる。自転車と一緒に眠っても構わない。それっぽい設えや書籍もある。全体としてはシンプルであり、落ち着いて滞在できる。関心したのはオリジナルのストレッチ。合わせて30分近い内容で、YouTubeで限定公開されている。自転車で出掛けて戻るホテルならではの気が利いたホスピタリティと言える。

星野リゾートBEB5土浦のサイクル・ルーム

部屋で一休みした後、階下のりんりんスクエア土浦を探訪。地下1階の広いスペースには駐輪場とレンタル自転車があり、更衣室、シャワー、ロッカーを併設。セミナー・ルームやイベント・スペースもある。レンタルはアプリによる無人オペレーションであり、他の設備もコイン式なので、誰も人がおらず、ひっそりとしている。適度に明るく白基調の空間は清潔感があり、不思議な印象を与える。

りんりんスクエア土浦のレンタル自転車(手前)と駐輪場(奥)

一方、地上階は人通りが多い。ここにはレンタルを兼ねる自転車ショップ、ル・サイク土浦があり、広い店内に所狭しと自転車が置かれている。後に借りた自転車はよく整備されており、スタッフの方からは丁寧で的確な対応をいただいた。惜しむらくはレンタルが10:30からで、当日中に返却しなければならない。つまり、早朝からの利用ができないので、ロング・ライドには向かないわけだ。

ル・サイク土浦のレンタル自転車

プレイアトレ土浦の真骨頂は、構内を自転車とともに移動できることだろう。何しろ床には自転車マーク付きでブルー・ラインが引かれ、そのままエレベータにも載せられる。通路にはサイクル・スタンドがあり、輪行者のための組み立て場所もある。欧米では当たり前でも、土足禁止を引きずる日本の施設では稀有な配慮だ。これこそが日本最「上」級のサイクリングリゾートの証と言える。

プレイアトレ土浦の構内ブルーライン

さて、翌朝は生憎の雨で気温も低かった。冬の雨に打たれて風邪を引くのは避けたい。そこで自転車は諦めてレンタカーでJAXA筑波宇宙センターに向う。モビリティとして自転車の対極がロケットだからだ。全長50mのH2ロケットを眺め、歴代の人工衛星やISSの実験棟などを見て回る。そして社員食堂でランチをいただき、お土産に宇宙食を買い込むのはお約束。H2の横を自転車で駆け抜けたかった。

H2ロケット

【追記】「つくば霞ヶ浦りんりんロード (2) 霞ヶ浦北部ライド」を公開しました。(2023.02.27)

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