最初に結論、もしくは懇願を書いておこう。
電動アシスト自転車のバッテリーはUSB充電にしてください、メーカー様。
数日前にミヤタのRidge Runner用に充電器SUM50を購入した。週末のプチ避暑生活のために自宅と山小屋との片道約30kmを自転車で行き来することが多いからだ。往復60kmは満充電のバッテリーで十分に持つものの、山小屋周辺で走り回ろうとすると心もとない。さらに購入時に付属していた充電器より小型軽量安価なタイプがあると知って興味をそそられた次第。
新しい充電器の実体はシマノ EC-E6002で、従来のシマノ EC-E6000よりも一回りも二回りも小さく、そして軽い。いや、従来の充電器はダンベルかと思うほど重く大きかったので、それが異常だったとも言える。もちろん、大容量バッテリーを短時間で充電するには強力な充電器が必要だ。従来の最大176W給電に対して、新型は最大75.6Wと半分以下しかない。小さく軽い=非力というわけだ。
だが、下を見て生活をしてはいけない。例えば、スマートフォンNubia Z30Proに付属するUSB充電器は最大120W給電で、手のひらに乗るほど小さく、かなり軽い。AppleのMacBook Pro用には140W給電のUSB充電器もある。これらはいずれもUSB PD(Power Delivery)規格に準拠しており、リビジョン3.1での最大給電能力は240Vと規定されている。電動アシスト自転車の充電器として必要充分だろう。
スマートフォンやコンピュータ用の充電器には次世代の半導体と呼ばれるGaN(窒化ガリウム)が使われており、電力変換効率が良く小型化にも寄与している。また、コネクタはUSB Type-Cであり、近年はほとんどすべてのデジタル機器で採用されている。つまり、メーカーや機種が違っていても、同じ充電器が使えるわけだ。しかも自動車や飛行機でもUSB Type-Cでの給電が提供されている。
一方、電動アシスト自転車の充電器は重く嵩張るだけでなく、メーカーや機種ごとに異なるのが大問題。自宅と近隣の往復だけなら構わないだろうが、そのような前提は電動アシスト自転車の活用を制限するだけだ。遠距離走行、多拠点生活、輪行旅行などでも手軽に充電したい。そのためには業界標準どころか、もはや生活標準とも言えるUSB PD / Type-Cの採用しか有り得ない。
10年ほど前まではガラケーもコンピュータも充電器はメーカーや機種ごとに異なっていた。充電器を忘れて外出するとお手上げ状態で青ざめていた。それが現在の電動アシスト自転車の状況で、周回遅れも甚だしい。マーケットが小さいから云々ではなく、だからこそ小回りを利かして新進の気性を発揮して欲しい。エネルギー回生、全固体電池、ワイヤレス充電など道はまだまだ続くのだから。
と言うわけで最後にもう一度、結論、もしくは懇願を書いておこう。
電動アシスト自転車のバッテリーはUSB充電にしてください、メーカー様。