銀塩 (輪)車 番外編③ 自動車と自転車

前回の第9回では、体制を立て直すということで本連載の内容を整理し、計画を立てて今後のアクションを明確にした。ただ、今月は予想以上に忙しくなってしまったため、次なる試作品を制作することは叶わなかった。今回は連載本来の内容からは逸れ、番外編としてアメリカでの自動車と自転車ついて、筆者が考えることを記録していきたい。

ロードトリップ

今月の大きな出来事の中のひとつに、カリフォルニア州ロサンゼルスからコロラド州デンバーまでの自動車でのロードトリップがあった。これは、筆者の弟のサッカーの全国大会への引率として行ったものであり、紆余曲折あって筆者がひとりで往復の運転を行うことになったのだ。このロードトリップでは、自転車は一切乗ることはなく、ひたすら自動車で移動をしていたのだが、運転をしながらもアメリカでの自動車と自転車について考えたことがあったので、ここに書いていきたい。

Google Mapによる今回の旅行のルート検索結果

まず、アメリカとは日本と比較してあまりも広大であるということは当然であるが、やはりロスデンバー間ほどの距離を移動をするとこの大陸の本当のスケールを見に染みて感じることになる。上記はGoogle Mapでのルート検索の結果だが、筆者の場合は片道1200マイル(約1900キロメートル)、走行時間約17時間程掛かった。往復での走行距離は約2400マイル(約3870キロメートル)にも及び、日本列島を縦断したとしても約700キロはお釣りで帰ってくるほどの距離だ。

この長距離のほとんどは高速道路を走行していたのだが、同時に筆者は道中で自転車に乗っている人を探しながら運転した。砂漠や山脈をどれほどの人が自転車で移動しているのかを調べてみたかったが、結果としては今回は全くと言っていいほど自転車を目にすることはなかった。

その中でも唯一目にした自転車というのは、マウンテンバイクであった。おそらくは砂漠や峠を楽しんで走るために用いられている自転車であったが、アメリカでは自転車は主にレジャーとして楽しむ乗り物と認識されているようだ。筆者が現在住んでいる海沿いの街では海岸沿いを移動する手段として自転車が用いられていることを目にするが、海沿いを離れ内陸に行くと自転車は滅多に移動手段としては使われず、スノーモービル等のレジャー用乗り物に区分されるようである。

このような自転車の捉え方は、日本での自転車の認識とも大きく異なるだろう。多くの場合日本国内では、ロサンゼルス等の海沿いの街と同じ様に「足」として使われる乗り物であり、その延長線上に自転車に乗ることに集中したライドなどが行われている印象を受ける。反対に今回の旅で通過したユタ州やアリゾナ州などでは、最初からレジャー用の乗り物として認識されているようだ。

自動車と自転車

さてこの様に自転車がアメリカで認識されているのは、自動車の存在も大きく影響しているだろう。アメリカの移動手段はまず必ず自動車であり、アメリカという広大な国では自転車が自動車の移動手段としての利便性に勝ることはとても難しいと感じる。これは、電動アシスト付き自転車が普及してきた近年でもやはり覆ることはないように筆者には感じられる。

反対に、ニューヨークなどの大都市ではその身軽さやコストの低さから自転車が移動手段として重宝されることもあるだろうが、やはり自転車はアメリカ人にとってレジャーあるいは健康的な運動として認識されている。アメリカでの自転車は、どうしても自動車という存在の影にあるように感じられる。

ただ、これが必ずしも自転車という乗り物にとって悪いということでもないかもしれない。私がアメリカに引っ越してから近所のロバートやケビンを含めた自転車を楽しむ人々と接して感じているのは、自転車から移動手段としての利便性という観点を排除しているからこそ、自転車に乗ることから得られる楽しさや気持ちの良さを純粋に感じ取っているということだ。

例えば日本などでは、自転車に乗って移動するという体験に、楽しさや気持ち良さというのはおまけとして付随してくるようなものであると筆者は感じていた。自転車に乗ることへの第1のモチベーションは移動であり、その次に楽しさなどがあった。逆にレジャーとして自転車捉えると、移動よりもその体験から得られるポジティブなものがより重要になる印象を受ける。このような自転車に対する根本的な感想の違いは、自転車の普及や人気へと直結するものであると感じる。

果てしなく続く道路

さて、今回の記事では今月筆者がアメリカで感じた自転車への考えを諸々書いてみた。記事としてはあまり脈略のない文章になってしまったが、この様な形で自転車に関する思考を記録していくのも、この連載にとってはいつか役に立つことかもしれない。

来月には連載の内容に戻り、試作品を制作していくつもりである。それでは、また。

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