Cycling Edge 28: チェンマイ市街地

11月の満月の夜、タイのチェンマイに出掛けた。何千何万というランタン(天灯)が夜空に舞うコムローイ祭りを見るためだ。もっとも上海の空港が管制封鎖でトランスファーに失敗。お祭りの朝に到着するはずが実際には夕暮れ時。あと1時間遅れたら空港が閉鎖されていた。タクシーで市街地の大渋滞を抜け、山間の会場を目指す。辿り着くと、すでに月が高く昇っている。イベント開始30分前。間に合った。

翌日、何はともあれ自転車。チェンマイで普及しているシェア・サイクルanywheelだ。この緑色の自転車は整備状態が悪く、乗り心地も良くない。道路には自転車レーンはなく、路面は荒れがち。そして日中は日差しが強く、気温は30度を超える。それでも自転車で風を受けると爽快。犬のマーキングにも似て、知らない街を自転車で走るのは楽しい。日本と同じく車両は左側通行なので安心感がある。

夜になって旧市街地の傍らを流れるピン川のイーペン祭りへ。川沿いに飲食や土産物の屋台が立ち並び、仮設の遊園地まである。華やかなクラトン(灯籠)を川に流す横で、爆竹や花火が騒がしい。煌びやかなフロート(山車)のパレードがゆっくりと進む。帰路、近隣は大渋滞なので再びanywheelの自転車に乗る。途中で薄暗い裏道が続くと、抜け出せない無限回廊に迷い込んだ心持ち。

anywheelは初めての利用だったものの、この手のシステムは世界中どこでも似ており、迷わずに利用できる。アプリをダウンロードし、アカウントを登録してチャージ。地図で近くのステーションに赴き、自転車のサドル下のQRコードを読み取る。これでロックが解除されて走り出せる。といった具合。料金も安く、最小料金は10バーツで、実際には3〜4km走って20バーツ(約90円)だった。

目的地に着けば、近くのステーションに自転車を置いてロックする。アプリで返却を指定する際にステーションのQRコードを読み取る必要がある。自転車にはGPSやモバイル通信の機能はなく、ロックを制御するBluetooth通信だけを備えるようだ。ステーション数も自転車の再配置も改善の余地あり。利用する人を稀に見かける程度だったので、経営を心配してしまう。

かく言う筆者も市街地で自転車に乗ったのは2回だけ。それ以外はトゥクトゥクソンテウ、それに知人が借りたオートバイに同乗していた。他にもバスやタクシーがあるし、Grabも利用できる。このように市内交通は種類が多く、移動に困らない。もっとも郊外の山頂にある寺院から眺めた市街地は薄らとスモッグに覆われていた。偽りの青空。内燃機関車の氾濫、旧文明のエッジ(限界)だ。

ソンテウ客席から見るトゥクトゥク

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