猫と自転車に乗れたなら (4)

猫と自転車に乗れたなら〜

前回まで、いかにして「猫と一緒に自転車に乗れるか」について、世界各地の事例をもとに、筆者が実践したことを書いてきた。

猫と自転車に乗ることは、確かに簡単ではなかった。しかし、それは猫が自転車を好きではない、ということではない。むしろ、猫たちは自転車が好きなのではないかと感じている。

そこで、今回は猫になったつもりで、猫が自転車に向けて積極的にアプローチすることもあるという視点で綴ってみたい。

(1) 猫にとって自転車とは、自分を守りながら、世の中を観察するための安全の砦となる

猫は、玄関先や道端に留めてある自転車を使って、「隠れる」と「見える」を同時にしながら地域の人やものごとをみている。

左の写真は、隠れているところ。自転車ホイールが猫の体を見えにくくしている。

一方、右は自転車ホイールの間から、周りの様子を見ているところ。猫からはホイールの隙間から、町を観察しているのである(まあ、角度によっては人からもよく見えてもいるのだが…)

そして、突然他から攻撃されないように身を「守れる」という、砦的な強みもある。

他の猫に襲われたり、いきなり人に蹴られたりと、外で生きる猫たちの日常は厳しく、危険がつきものだが、そんな時、軒先や道路に置いてある自転車は守りの砦となる。

ちなみに、写真の猫は地域猫で、最近は我が家の外猫となったチビちゃんである。

(2) 猫にとって自転車とは、爪研ぎができる道具となる

爪とぎは、猫にとって鋭くとがった爪を維持し、ストレス解消するという大事な行為。爪とぎしやすい場所や素材など、猫はよく知っている。自転車のタイヤもその一つ。ゴムが硬くて、爪が研ぎやすいのだろう。

もちろん、自分の自転車で猫が爪とぎしていたら、「きゃー、やめてー!」となるけど。

(3) 猫にとって自転車とは、マーキングする場となる

自転車のホイールやタイヤなどに身体をすりすりしている猫を見かけたことはないだろうか。これは、猫のマーキングといわれる習性である。自分のなわばりとしてマークしたり、自分の安心の場としてニオイをつけるためにマーキングすることが多い。人には分からないが、猫はいくつかの部位からニオイ(フェロモン)をだしており、すりすりすることで、その場所に自分のニオイをつける。

映像の猫は、さくら猫(不妊手術された地域猫は片耳をカットされるが、その形状が桜の花弁に似ていることからそう呼ばれる)だろう。人に慣れており、自分のニオイをすりすりと自転車につけている。この映像を撮った人は、黙ってすりすりを見ている優しい人。この猫の場合、リラックスしている様子から安心の場としてのマーキング行為なのだろう。

猫によっては、スプレー(おしっこをかける)する猫もいる。スプレーは、なわばりを主張したり、情報伝達したり、発情期のメス猫の気をひいたりと、さまざまな理由で行われる。特にスプレーされるとなかなかニオイがとれず、中でも自転車カバーにスプレーされて困った人も少なくない。猫撃退スプレーなど猫除けグッズで対策をとることもある。とはいっても、簡単に落ちはしない。我が家の自転車も外猫たちがニオイをつけており匂う。でも、愛猫家としては、許さざるをえない。

おまけは、猫のための自転車ホイール。

もともとは、ポーランドで自転車を製作するデザイナーが愛猫のために作ったものだそう。ホイールを漕いで楽しむのはハムスターだけかと思いきや、猫も好きなんだなあ。ホイールにただ絡むだけの猫もいるけどね。

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