”サイクリングを音楽にする”プロジェクト「Sound of Cycling RE」の制作記(RELOADEDが長いのでREにした。Rebuildの意味もある)。この10月14日にWindows 10のサポート期限が終了した。つまりWindows 10ベースで作動していた従来の「Sound of Cycling」は寿命を迎えたのである。ベースのシステム検討からのプロジェクト開始となった。
新たなシステム構成
以前(2023年)のシステムでは、本体にWindows PC(10インチのタブレット)、センサーに「iPod touch」を使用していた。今回は本体にAndroid端末(スマホ=Pixel)、センサーには「M5StickC Plus」を使用する。大幅な小型化による取り回しのよさや、バッテリーの持ちのよさなどメリットばかりである。いずれも2023年当時でも存在していたものだが、Android端末を使うという発想が当時の自分にはなかった(また、M5Stickは持っていたが使いこなせていなかった)。
開発環境も「TouchDesigner」から「Android Studio」に変更した。開発環境を大きく変えられたのは、ここ数年のAIの大幅な進化がある。Android Studioをさわるのは初めてだが、試しにサンプルのコードをAIに作ってもらい貼るだけでさくっと簡単なアプリができてしまい、手応えを感じた。一方TouchDesignerはブロックをつなぎあわせていくビジュアルプログラミングが特徴で、コードが書けなくてもなんとかなる環境でウリであったが、逆にAIの支援が受けづらく感じる。最近ではスクリーンキャプチャー画像から解析してくれるので、活用できなくはないが、吐き出されたコードを貼るだけのAndroid Studio環境に比べるとどうしても手間がかかってしまう。
基本の基本の基本まで
なんとか環境を整えて、基本の基本の基本まで準備ができつつある。
基本の基本の基本とは「センサーで取得したリアルタイムで変化する数値を、本体端末側で受け取る」である。M5StickからのXYZ軸の数値、またAndroid端末自体の速度値(GPS値から算定)を、ディスプレイに表示するところまでできた。

XYZ軸の数値は、ペダルの回転や自転車の傾きだ。それらの動作とパラメーターの変化をいかに音にマッピングしていくかが次の工程である。肝心な音の生成部分はテスト段階であり、まだまだ実装には苦労しそうだが、マッピングや音色の調整までいけば楽しい作業になりそうだ。

アナログなアプローチ
ここまでデジタルな感じで進めてきたが、実はめちゃめちゃアナログなアプローチもおもしろいのではないかと思っている。
「ターボスポーク」をご存知だろうか。
これは、自転車の後部フレームに取り付けるメガホン型の玩具マフラーで、スポークに当てる専用カードの振動音を増幅してバイクのエンジンのような音を出すという仕組みだ。極めてシンプルでアナログ。だが、車輪の回転という身体運動を音の経験へと翻訳するという点では、サイクリングの音楽化と同じである。このようなアナログなアプローチ+現代のテクノロジーでより新しい体験を実現することはできないかと思ってしまった。
デジタルではスピーカー出力になるが弱いな〜と思います。ハイブリッドでモーターやソレノイドで発音もありかもですが。一方でアナログは制御が難しいですね。以前にレインスティックを取り付けたことがあります。https://criticalcycling.com/2021/12/rainstick-rainloop-bicycle/
出力が悩ましいところです。ネックスピーカーやヘルメットに装着する骨伝導スピーカーあたりなんてどうかなとか考えています。レインスティックいいですね!ハーモニックパイプ(サウンドホース)などもつけられないかとか想像が膨らんでしまいました。
先週、CEATEC2025に行ってきました。
太陽誘電が多層圧電アクチュエータで自転車のフレームを振動させて虫の音を流すデモをやっているのを見て、沖山さんのSound of Cyclingを思い出しました。
どれくらい音量が出るかわかりませんが、結構クリアの音が出ていました。
https://youtube.com/shorts/D8PKcL93iXw?si=dCnMQAdxl-xuQ36x
すごい!何事が起こってるのかわからず何度も見てしまいました。フレーム自体が鳴っているんですね。エキサイター(振動スピーカー)というものを初めて知りました。「自転車ならではの鳴り」みたいなものがあったらおもしろそうですね。