(株)CURIOを訪問、見学する

この度、岐阜県岐阜市にある、株式会社CURIOを訪問、見学をする機会があった。筆者(sy)を含む数名での訪問。そして、私たちの共通点は、自転車やモビリティーに興味があることだった。そんな私たちが目的地に到着すると、CURIOの高橋さんと渡辺さんは、早速、自分たちが設計、そして製作した製品を中から持ち出し、紹介してくれた。

株式会社CURIO(キュリオ)は、2017年から始まった会社であるが、実は高橋製瓦株式会社を、母体として持っている。最初、見学に先立って、会社のホームページを紹介され見たとき、屋根の工事という言葉と瓦の写真があり、それに続いて、ベビーカーと自転車の写真があったので、筆者はびっくりするほかなかった。

上の写真は、キュリオで製作された自転車、「UTILITE」である。この写真のUTILITEは、CURIOの製品の全般を設計されている渡辺さんが、日常的に使用されている自転車だ。そして、この自転車をみるとわかるように、20インチの車輪の大きさで、車体の前後の長さを長くし、その空間をリアキャリアとして使っている。このリアキャリアはかなり頑丈で、最大積載量は30kgもある。

ちなみに、筆者も自分のバイクの後方にラックをつけ、サイドバックをつけている。バイクもマウンテンバイクで、自分なりには頑丈にしているつもりだが、正直、このUTILITEのキャリアを触った時の感覚は違った。自転車を設計された渡辺さんは、自分の子供たちを乗せるために、このように作ったという。直接話してはいないが、渡辺さんのそういう想いが反映されたのだと、筆者は個人的に思った。

会社の倉庫には、上の写真のように、いろんな形の自転車と、試作された製品たちがあった。こういう試作段階があって、より完成度の高いものになることが直ぐにわかった。しかし、会社である以上、利益のことも考えないといけない。特に、自転車の製造では中国、台湾などの実際の製造に関する主要な国があり、常にバランスを考えて設計と製造を行う必要がある。

設計時の技術的な部分では、主にはFUSIONという3D設計ツールで作業をされていた。クラウドを基盤とし、スマホ、タブレット、PCなどの違う端末で同時に作業ができるので、必ず人が会社に集まっている必要がなく、別々の場所にいても設計と確認が可能だ。その他も、アルミフレームのアルミの種類で、6000番代と7000番代での熱処理の話、溶接と製造の発注、そして、自分の作ったものの型式認定と強度テストの話まで、筆者にとってはとても大事な知識を得ることも出来た。

また、CURIOでは「SCOO」という名前の、電動車椅子の設計もされている。この車椅子は、折りたたむことができ、車のトランクに入れて楽に運ぶことが可能だ。製品のPVでは、いかに楽に車椅子を運び、空港で利用し、また旅先でも使うことができるかが良く現れている。SCOOについて主に説明して下さった高橋さんは、最初に作ったベビーカーの次に、今度は、年配の方達のための、モビリティーを考えたかったという。

これまでの話で出てきたのは、自分の子供が生まれ、その子たちを乗せるため設計された自転車とベビーカー、そして身体の不自由さを持ちやすい、年配の方達のための電動車椅子である。このことは、筆者にとって考えさせてくれるものがあった。例えば、車の設計と製作において、個人的な誰かを想い、それをそのまま目に見える形にし、作ることが果たして出来るだろうか。たとえ、大きな自動車メーカーのオーナーであっても、車というメディアの特性上、大人数の作業の中で、個人の想いはより多数の人のための物にならなければならない。

CURIOでは、事業としての成立と、個人の持つ想いの間でバランスを取りながら、一つ一つデザインされ、製作されていた。個人の移動の自由という点において、こういう物作りが可能だという実例を知ることができ、今回の見学は、筆者にとってとても有意義なものだった。

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