本連載は建築と自転車を組み合わせた表現を通じて建築の静的なイメージを覆し、建築と移動が持つ新たな可能性を探求している。引き続き、自転車、光、造形的な模型・物体の相互作用に焦点を当て、どのような表現が可能かを探る。今回は万華鏡案の検討を引き続き行った。
検討項目
開口部の位置が異なる万華鏡を3パターン作成した。
- 両側面
- 背面
- 天面
リファレンス
制作の詳細
万華鏡にはいくつかの種類がある。一般的な万華鏡は覗き込んだ筒の先端に魅力的な視覚効果を生むオブジェクトが密封された「チェンバー」を備えている。テレイドスコープはこのようなチェンバーがなく、覗き込んだ風景を直接万華鏡の模様へと変換する。
視界全体に風景が模様として広がる表現にするために、3ミラーシステムを採用。アクリル板にミラーシートを貼り付け、段ボールで補強して作成した。上図のテレイドスコープは先端にレンズが取り付けられているが大きなレンズを用意できなかったので無しで撮影した。
考察
3つ目に検討した天面から風景を取り込む万華鏡が視界に綺麗な模様を作り出していた。ただし、走行した敷地周辺には高い建物が少ないためにほとんど空しか映らなかった。高い建物が密集している地域で走るとより魅力的な映像を撮影できそうだ。
残り2つの案に関しては、リファレンスに挙げた中津正樹氏のKaleido Hunterのように小さな鏡を複数配置することで綺麗な模様を作り出せるかもしれない。
また、この2つは共通する課題があり、それは360度カメラを使用するメリットを感じない表現に至ってしまったことだ。あくまで自転車の荷台にのせる模型は建築であり、空間が重要な要素である。次回はその点も意識して万華鏡をブラッシュアップしていく。