ファンデナゴヤ2024で展示した「Light on Earth : Window」という作品を制作した頃から、自転車建築の平面表現としての展開を考えるようになった。

建築模型が外光を切り取り、それをさらに切り取るディスプレイの縁。空間の形状と自転車の運動方向によって制御された光は、空間の表面をなぞるように動きながら、ディスプレイの画面の中に収まっている。
制作当時、バウハウスの本を読んでいたこともあって、映像を見たときにパウル・クレー(Paul Klee)、ヨゼフ・アルバース(Josef Albers)、ライオネル・ファイニンガー(Lyonel Feininger)の絵がふと頭に浮かんだ。レイヨニスム(光線主義)の一人とされるライオネルの作風は、光の直線で画面を構成しているのが印象的だ。
光や色を幾何学的に画面に構成するという点で、この三人の絵画と「Light on Earth」の、建築空間による光の秩序が画面を満たしていくような構成には、どこか通じるものを感じている。手法や制作過程は異なるけれど、より三人の絵画に近い画面をつくってみたいと思うようになった。 撮影には、「Light on Earth」と同様にiPhoneを使い、長時間露光によって光の軌跡を一枚の写真に収めようと試みた。
その結果が以下である。








特徴的な縦型の開口部から上下に伸びる光が壁面を照らすという構造は変わらないものの、撮影するタイミングによってまったく違う表情を見せてくれる画面が面白い。まさに、都市のある一角から光だけを取り出したような感覚で、撮った一枚の写真からその場所のイメージが浮かび上がってくる。
空間を幾何学的に構成するというルールの元、いくつか別の形の模型も現在制作している。光の線が画面を滞留するように描き出された静かな一枚を、少しずつ増やしていけたらと考えている。