残像効果について考えてみる。
20世紀初頭(1912〜1921年)、未来派に属していたジャコモ・バッラは『鎖に繋がれた犬のダイナミズム』によって絵画に初めて「動き」を取り入れた。マレーやマイブリッジによる連続写真撮影を分析した結果だ。その後、バッラの犬の運動表現は、赤塚不二夫の「天才バカボン」に登場するレレレのおじさんへと影響はもたらされたのだろうか。
という前口上はさておき、「ベンハムのコマ」をChatGPT/GPT-4を使いシミュレーションする。
「ベンハムのコマ(Benham’s top)」は、1895年にチャールズ・ベンハムが考案した白黒の連続する刺激が動的な干渉を引き起こす現象を利用したオモチャだ。
ポインターを左右にドラッグすると回転数と回転の向きが変化する。原理をよく理解できていないが、回転速度とパターンのピッチによって、回転数のわずかな増減が回転の向きに影響を及ぼす。ピッチは中心より、4/8/16/32/64/128と6段階で分割数を二乗している。
一通り作ったところで、既にシミュレーションが存在していてことが判明する。複数のパターンが存在するベンハムのコマの中でも、このパターンが広く知られており主観色と呼ばれる無彩色から赤、黄、緑、青などが知覚される。特定の回転数(4.8〜10rps)と回転の向きによって有彩色が立ち上がる。
この主観色を分析した研究は多数存在しているが、未だはっきりしていないことも多く、曖昧で掠れてブレている、Blurという現象の捉えどころない魅力の探求はまだ続きそうだ。
参考
- 鎖に繋がれた犬のダイナミズム(ジャコモ・バッラ)
- レレレのおじさん(赤塚不二夫「天才バカボン」)
- ベンハムのコマ(Benham’s top:チャールズ・ベンハム)
- 主観色の発生機構に関する実験心理学的諸研究の検討(中島義明・川村智)