クロアチアでのアーティストインレジデンスを終えて、帰国間際にベルリンを訪れた際に偶然見つけた場所について記したい。
radbahnという言葉をご存知だろうか。ドイツ語直訳では自転車道を意味する。
では実際に筆者がベルリンで見かけた看板に記載されている「radbahn」とは何なのか。
このプロジェクト「radbahn」はベルリン市街を走る地下鉄(地上も走行する)1号線の高架橋下空間を自転車専用道路に造り変え、自転車インフラを備えた都市開発を進めるという取り組みだ。
プロジェクトの始まりは2014年からであったものの、それ以前にも地下鉄1号線の高架下を再利用するアイディアは何度も話には上がっていたらしい。ただ本腰を入れて建築家や年愛好家、文化関係者を集めてアイディアスケッチを取りまとめたものがSNS上で話題を呼び本格的なプロジェクトと成り上がったとのことだ。
プロジェクトを遂行し調査を進めるに伴い、2017年には書籍も出版しているとのことで興味がある方は読んでみると良いかもしれない。「Radbahn Berlin: Future Visions for the Ecomobile City」
また、ただの自転車道路ではなく、公園のような出会いと移動の場を作り出したいという願いも込められているとのことだ。webサイトの説明文には哲学者のハリール・ジブランの言葉 「Tortoises can tell you more about the road than hares(ウサギよりもカメの方が道についてよく知っている )」が引用されていた
実際に筆者がこの場所を訪れた際にも無料で自転車を修理するイベントを執り行っていた。
では実際にこのradbahnが完成したかというと、現状は途中段階であるとのことだ。部分的に完成している空間はあるものの、全ルートはまだ接続できていない。完成目処についてもはっきりした期日は記載しておらず、政治的なやりとりや、認可など様々な障壁が立ちはだかっているという。
4日ほどしかベルリンに滞在することはできなかったが、どこを歩いても自転車移動をしている人が多く、再びradbahnを実際に自転車で走ってみるためにも、また訪れたいと海外への気持ちが昂った。