昨年末に家族の住むロサンゼルスに引っ越してから、日本にいた頃よりも自転車に乗る機会が格段に多くなった。ロサンゼルスは滅多に雨が降らず、毎日が気持ちの良いサイクリング日和である上に、家から10分ほどででビーチ沿いのサイクリング専用ロードを走ることができる。自転車を楽しむには最適な環境である。今月の「銀塩(輪)車」では従来の連載の内容から少し離れて、最近の筆者の自転車ライフについて紹介したい。ぜひ銀塩(輪)車 番外編 LA自転車観察も一緒に読んでいただけると嬉しい。
自転車仲間ができる
さて、今月最大の自転車にまつわる出来事が、新しくサイクリング仲間ができたことである。日本でも基本的にはひとりで乗っていたこともあり、定期的に会って一緒にライドする仲間ができたのは初めてである。その仲間というのが、隣の家に住むロバート、そしてまたその隣に住むケビンの2人である。元々引っ越した頃にロバートには挨拶をして話したことがあったのだが、毎週月曜日にロバートとケビンが2人でサイクリングに行っているという話を最近聞いて、筆者も参加させてもらえることになった。
ライドの内容は約2時間、前述の記事でも紹介したビーチ沿いのサイクリング・ロードをひたすら走るというものである。筆者らが住んでいるのはトーランス・ビーチというエリアなのだが、そこがこのサイクリングロードの始点/終点となっている。そこからひたすら北にレドンド・ピアを越えハモサ・ビーチ、マンハッタン・ビーチを通り過ぎ、エル セグンド・ビーチにある休憩エリアまで走って折り返す。
距離は大体19.5マイル(31.3キロメートル)で、平均速度はおそらく時速11マイル(17.7キロ)程度だろう。実はこの、サイクリング・ロードはサンタモニカの方まで続いており、さらにそのもっと先まで伸びている。基本的にはビーチ沿いをずっと走れるコースとなっており、桟橋の前を通る部分もある。もちろん風景はとても綺麗で、海風も気持ちが良い最高のコースである。
毎週月曜日の7時15分頃に家の前で集合し、そこから3人で自転車で海へ向かう。筆者らの家がある場所は海からとても近いが、その分少し坂を登った場所にある。自転車だと登るのが厳しいほどの坂なのだが、ロバートとケビンは数十年ここに住んでいることもあり、ほとんど坂を感じないようなルートを編み出していた。初めて2人とライドした際に帰りの海から家までの坂が億劫だった筆者も、ストレスを感じることなく帰ってくることができて安心した。
サイクリング・ロード観察
この毎週のライドで使うサイクリング・ロードは、とても便利で快適に使用することのできる道路となっている。毎週使うことで様々な人を見かけ、この地域でのサイクリングの実情のようなものが見えてきたのでその辺りも紹介したい。
まず道路自体の状態としては、とても綺麗で清掃等の手が行き届いているという印象である。路面がとても綺麗で滑らかであり、コンクリートのひび割れや凹凸なども一切なく、心地よく自転車に乗ることができる。また、ゆとりのある広さになっているため、最も狭いエリアでも4台程度なら余裕を持って並走できるのではないだろうか。もちろん中央に黄色い線が引いてあるため、反対向きの自転車と正面衝突などといったことも防ぐことができる。
道路のメンテナンスという意味では、毎朝スウィーパー・トラックと呼ばれる大きな路面清掃車がサイクリング・ロードを走り路面の清掃を行なっている。これによって自転車の天敵であるビーチから飛んでくる砂の心配をする必要もなくなるのである。これは筆者にとってとても大きなことで、新型グループ・ライド 2020 Summerにて鵠沼海岸周辺のサイクリング・ロードから参加した時には、路面にたくさんの砂が溜まっており気持ちよく自転車に乗ることができなかった記憶がある。
このサイクリング・ロードは完全に自動車の道路とは切り離されているため、自動車との接触事故などについても安心である。ただし、区間によっては歩行者やランニングをしている人などと一緒になる部分もあるので注意は必要だが、未だに危険な場面には遭遇していない。ロバートによると、人よりも散歩をしている犬の方が予測不能な動きをするので気をつけた方がいいということだった。
歩行者の他に多く見かけるのが、電動アシスト付き自転車である。私はあまり電動自転車に関しては詳しくないのだが、SUPER 73のような見た目の自転車が多くみられる。大抵の電動アシスト付き自転車はものすごく速いスピードでサイクリング・ロードを走っており、もし歩行者などと衝突した場合には軽い怪我では済まないように思える。このような自転車が普及し始めていた頃はサイクリング・ロードでは使用禁止だったそうだが、今ではそのような注意喚起も目にすることがなく、普通に走っている。
このように気をつけるべき事もいくつかあるが、総合的にはとても快適で使いやすいサイクリング・ロードである。その分利用者も少なくなく、幅広い年代の人が毎朝各々の運動をしている。そして何よりもこのサイクリング・ロードの強みはその長さであると感じる。行こうと思えばサンタモニカまで行けてしまう距離があるため、ルートなど余計なことを考えずに、ただひたすら自転車に乗ることに集中することができる。
試作品のルート探索
さてこの連載では前回、撮影を行う際に走るルートの偵察を行った。そのエリアはトーランス・ビーチ周辺であったが、毎週ロバートとケビンとより遠くまで走るようになってからは、より撮影に適したサイクリング・ロードの区画があるのではないかと感じ始めている。より平坦かつ海に近い区画の候補がいくつか筆者の中で上がっているため、より偵察を行おうと考えている。また、来月にはISO値の低いフィルムが手に入っている予定であるので、撮影も再開していく。
今月はサイクリング仲間ができた上に、毎週定期的に自転車に乗ることのできる予定ができたことでとても充実したLA自転車ライフを送ることができた。また他にもLAでの自転車にまつわる出来事があったらこのような形で「番外編」として書いていきたい。次回は連載の内容に戻る。
それでは、また。
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