シマノのサイクリング情報Cyclingood

Cyclingood(サイクリングッド)は、世界最大手の自転車部品メーカーであるシマノが運営する自転車関連のWEBサイトであり、年4回発行しているフリー・ペーパーだ。いわゆるオウンド・メディアながら、自社製品のアピールはほとんどない。健康、生活、社会の3つのテーマに沿って自転車がもたらす豊かさを発信するソフト路線で、ありがちなスポーツ・マッチョな雑誌とはまるで雰囲気が違う。

そのキャッチ・フレーズは「気持ちいい方へ、こぎだそう」で、英語なら「Bike your way to well-being」としているのが分かりやすい。ウェル・ビーングは、健康を単に病気や虚弱でない状態だけではなく、肉体的、精神的、社会的に良好な(well-being)状態と捉える考え方。つまり、自転車もまた単に移動手段を提供するだけでなく、さまざまな面が充実することを表しているわけだ。

さて、フリー・ペーパーはタブロイド版の12ページ、上品なビジュアルとレイアウトで読みやすく、リラックスして楽しめる。最新の027号では、自転車の気持ち良さに注目。爽快感、高揚感、開放感、達成感、感動など、自転車に乗っている人なら自明のことながら、改めて気持ちがかき立てられる。くどくない程度に心理学や感性工学からの説明もあり、納得させられる。

WEBサイトではHealth(健康)、Life(生活)、Social(社会)の3つのテーマごとに数多くの記事が並ぶ。一部はフリー・ペーパーと同じだが、分量的にはより多く、じっくりと読めるようになっている。また、Startのページでは、女性向けに自転車のメリットや初心者向けにクロス・バイクの乗り方などが掲載されている。そして、Linksのページからはフリー・ペーパーのバックナンバーなどが閲覧できる。

ところで、いかに優れた情報源があったとしても、そもそも興味がない人は素通りしてしまう。そこで、既に自転車の楽しでいる人が、家族や知人に自転車の魅力を伝えることが考えられる。自発的な押し売りだが、誰もが押し売りが得意とは限らない。そこでそのツールを提供しているのがCyclingoodと考えると合点がいく。少し風を吹かせれば、回り回って自転車業界が儲かる(かもしれない)わけだ。

その極め付けがDownloadのページで、プレゼンテーションに使える関連資料が用意されている。自転車が必要とされる社会的背景から、自転車による健康効用の科学的データ、そして各地での自転車の活用事例など、盛り沢山。これらを活用して企業や自治体などで自転車をアピールできそうだ。これに関連して、通勤サイクリングを勧めるMind Switchも参考になるだろう。

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