16歳以上の自転車利用を対象にした交通反則通告制度(いわゆる「青切符」制度)が来春4月1日から施行される。これに伴い、「反則行為の種別」と「反則金の額」についてのパブリックコメント募集が2025年5月24日(土)いっぱいまで行われている。「携帯電話使用等(保持)」など妥当と思われる項目もあるが、70以上もの行為に原付バイクの場合と同等の反則金を課す内容で、自転車という乗り物が選択される場面が減る(車が選択される場面が増え、かえって危険や社会負担が増える)恐れがある。ぜひ多くの方に、総論だけ、ワンポイントだけでも書いて送ってほしい。
本パブコメ概要とパブコメ全般の基本
本パブコメの概要
本パブコメは「『道路交通法施行令の一部を改正する政令案』等に対する意見の募集について」で募集されている。まず、そのページに置かれた「意見公募要領」(PDF)の冒頭部を次に示す(太字は引用者による)。
「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集について
警察庁では、道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)の施行に伴い、
○ 自動車等が自転車等の右側を通過する場合の当該自動車等の義務に違反する行為に
係る点数及び反則金の額を定めること
○ 自転車等の運転者による反則行為の種別及び当該反則行為に係る反則金の額を定め
ること
を内容とする「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等について検討しています。
その内容は別紙1及び別紙2のとおりですので、これについて御意見のある方は(中略)日本語にて意見を提出してください
どこを読めばよいか
改正の具体的な中身を知るには、自転車に関してはまず「参考資料(自転車反則行為一覧)」(PDF)をチェックしよう。それから「【新旧対照表】道路交通法施行令の一部を改正する政令案」(PDF) p. 6以降の傍線部もざっと眺めると、とにかく自転車を「原付等」のカテゴリに入れて同額の反則金を課そうとしていることがよく分かる。
パブコメ全般の基本とか
本件に限らず、パブリックコメントは市民から色々な意見を集めるためのものであり、単純に数の多い意見が反映されるという性質のものではない(少なくとも名目上は)。このため、各々が自分の意見を自分で書いて出すのが基本だ。誰かが文例を公開していたとしても、それを自分の考えを練る参考にするのはよいが、ただのコピペだとパブコメとしての意味が薄れると思っておこう。
要は、遠慮なくストレートに自分自身の意見を書けばいい(※読む相手も人間であることは忘れずに)。ワンポイントでも短い総論でもOK。関連する法令や知見などをよく調べてから文面を練りたい人はもちろんそうしたらよいと思うが、あれこれ言い尽くそうとすると大変だし、まとまらなくなったり尻切れになる恐れもある(経験あり)。なお今回の募集は、e-govの意見提出フォーム利用の場合6000字が上限となっている。
筆者が考える主な問題点
自転車を原付と同じとみなした反則金は公正さを欠く
「意見公募要領」の別紙1にはこう書かれている(太字は引用者による)。
(2) 自転車をはじめとする軽車両に係る反則金の額につき、既に自動車及び原動機付自転車に係る反則行為とされている違反行為については、原動機付自転車に係る反則金の額と同一とするほか、軽車両に固有の違反行為については、罰則が同程度である原動機付自転車の違反に係る額を参考に、反則金の額を新たに定める(令別表第6関係)。
これは、16歳以上の自転車利用は原付バイクに乗っているのと同じものとして扱う、と言っているようなものだ。反則行為と反則金の額を並べた「別表第六」(前掲した「新旧対照表」内)には、「自転車」というカテゴリーは存在せず、自転車は「原付等」というカテゴリーに入れられてしまっている。
だが原付バイクの車体重量(従来の内燃機モデルで大抵80kg程度はある)や動力性能(30km/hを超える速度も簡単に出る)に由来する物理的な加害力は、現実には自転車よりもずっと大きい。反則行為による影響に大きな差があるにもかかわらず反則金が同等というのは、公正ではない。「自転車(をはじめとする軽車両)」のカテゴリーを別に設定した上で、反則金の有無や金額を検討すべきだ。
乗用時だけでなく、止まっている時や駐輪にも反則金が関係してくる。「放置駐車違反」(9000~12000円)や「駐停車違反」(6000~9000円)が該当するが、邪魔にならない場所への移動が自転車の場合は(相対的に)容易であることを考えるなら、車重も重くハンドルロックが標準化されている二輪車・原付と同等にすべきではない。またこれらの反則金には、既に広く運用されている自転車の撤去・保管・返還に関わる費用請求が重なる場合が考えられ、撤去の容易な自転車を対象とするペナルティーが不均衡に重くなりうる点でも公正さを欠く。

反則金が課される行為が多過ぎる(何が大事か分からない)
前述の内容と重なるが、原付を基準にして「既に自動車等の反則行為とされている違反行為」と「軽車両に固有の違反行為」を合わせて編み出された、反則金を課される行為があまりにも多い。
例えば「泥はね運転」(自転車利用者自身がまず濡れる、あまり発生しなさそうな違反)が5000円。「合図制限違反」(曲がる方向と逆に合図を出すなど)が5000円。この反則金の設定では、他者に対する影響の面で大事なのはどれなのか、ほとんどの人が理解できないだろう。ただ漠然とした不安や面倒だなという空気が広がるだけだ。そしてそれは、自転車利用そのものを避ける(どうせならエンジンのついた乗り物に乗る)大きな理由にもなる。
反則金は、自転車利用中に生じうる実際の加害の度合いに照らして重みづけをすべきだ。2015年からは自転車利用中に特定の違反を(3年の間を空けずに2回以上)繰り返した者に対して講習の受講(手数料6000円程度)を義務づける「自転車運転者講習制度」が始まっている(受講しないと50000円の罰金)。反則金は、この講習制度の危険行為(16類型)と重なる部分に絞って有無や金額を決めてはどうか。

もっと力を入れるべきはインフラの整備
自転車通行可の標識のない歩道を通行すると(他の許可条件にあてはまらない場合)「通行区分違反」6000円、というのも、まともな自転車インフラがほとんど整備されていない日本の現状では極めて乱暴な設定だ。
13歳以上(反則金に関しては前述の通り16歳以上)70歳未満であれば年齢による許可条件には該当しないため、通行可の標識のない歩道を通って違反とならないかどうかは交通量などの状況(を警察官がどう判断するか)次第となる。また、通行が認められても多くの歩道では「徐行」義務が課され、守れていないとして取り締まられると「歩道徐行等義務違反」3000円が課されることになる。
筆者の生活圏では近年、国道20号(甲州街道)や青梅街道といった車の交通量の多く流れも速い主要幹線道路においても、現実に安心・安全・便利な自転車空間が他に整備されていないにもかかわらず、歩道の自転車通行可の標識の撤去が進められている。同様の理不尽な状況はあちこちで発生しているはずだ。身の危険と杓子定規な取り締まりのリスクの板挟みにあい、生活の中の自転車利用そのものが選択肢として成立しなくなる人も多いだろう。
道路交通に関わる管理者は、劣悪な環境から生じる結果としての行為を取り締まるよりも、その原因である環境の改善に注力すべきだ。

個々の「反則行為」と反則金についての説明とコメント
ここからは個別の項目に説明とコメントを添える。まだ粗いところがあるが、参考になれば幸いだ。なお自転車運転者講習制度の危険行為16類型に重なるものは太字で示してある。
反則行為 | 金額(円) | 説明とコメント |
---|---|---|
携帯電話使用等(保持) | 12000 | 携帯を注視、もしくは持って通話すること。 →反則金を課すのは妥当と思うが、車重と速度に由来する原付との加害力の差を考慮し、金額は5000円ではどうか(2019年の引き上げ以前の原付の反則金額)。 |
放置駐車違反(駐停車禁止&高齢運転者等専用の場所) | 12000 | 違反に該当する場所に自転車を置いて離れること。 →いわゆる「放置自転車」の撤去・保管・返還(自治体が行う)と重複して反則金を課す必要はないはずだ。自転車利用を難しくすることはなるべく避け、駐輪ニーズのある・見込まれる場所には駐輪場を整備すべきだ。 |
放置駐車違反(駐車禁止&高齢運転者等専用の場所) | 11000 | 同上 |
放置駐車違反(駐停車禁止だが高齢運転者等専用ではない場所) | 10000 | 同上 |
放置駐車違反(駐車禁止だが高齢運転者等専用ではない場所) | 9000 | 同上 |
駐停車違反(駐停車禁止&高齢運転者等専用の場所) | 9000 | 人の乗降や荷物の積み下ろし、携帯電話のチェックなどを短時間(5分以内)で行うのは停車、それ以上の継続的な停止や、短時間であってもすぐに動けない停止(自転車から離れるなど)は駐車とみなされ、禁止と定められている場所では違反となる。 →自転車は邪魔にならない場所への移動が容易であり、この反則金は課すべきではない。 |
駐停車違反(駐車禁止&高齢運転者等専用の場所) | 8000 | 同上 |
駐停車違反(駐停車禁止だが高齢運転者等専用ではない場所) | 7000 | 同上 |
駐停車違反(駐車禁止だが高齢運転者等専用ではない場所) | 6000 | 同上 |
遮断踏切立入り | 7000 | 遮断機や警報器が作動している最中に踏切に進入すること。 →緊急退避の容易さを考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当だろう。 |
速度超過(25km/h以上30km/h未満) | 12000 | その道の制限速度を超えること。 →車重に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、半額程度が妥当だろう。 |
速度超過(20km/h以上25km/h未満) | 10000 | 同上 |
速度超過(15km/h以上20km/h未満) | 7000 | 同上 |
速度超過(15km/h未満) | 6000 | 同上 |
信号無視 | 6000 | 信号に従わないで通行すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。また、信号機にばかり依存せず、車の流入や速度を抑える道路・道路網の設計にもっと注力すべきだ。自転車のシンボルを用いた、対象ユーザーを明確に示す信号機も導入すべきだ。 |
信号無視(点滅信号) | 5000 | 点滅信号に従わないで通行すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
通行区分違反 | 6000 | 目的(右折など)ごとに設定された通行区分に違反すること。「自転車通行可」の標識のない歩道を自転車で通行し、他の許可条件(13歳未満、70歳以上、道路の状況)に該当しない場合は取り締まりの対象に入る。車道の右側通行も対象。 →日本では自転車道をはじめとする自転車用の走行空間整備が遅れており、自転車に乗った人が安全・安心に通行できるのは歩道部分しかないという道がとても多い。そんな中で歩道通行を厳格に取り締まることは、個々人の移動の安全と自由を損ない、自転車利用を伸ばすという社会の目標にも大きく反する。世界水準で十分といえる走行空間が確保されていると証明された場所でない限り、歩道通行は反則金の対象とすべきではない。右側通行については、車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく3000円が妥当。 |
追越し違反 | 6000 | 前を走る車やバイク、自転車利用者よりも前に出るために進路変更(※車線内でも直進でなければ進路変更にあたる)をする際は右側から、といった「追い越し」の方法に違反すること。なお、進路変更を伴わずに前に出るのは「追い抜き」と呼ばれる。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
踏切不停止等 | 6000 | 踏切の手前で一時停止しないこと。 →緊急退避の容易さを考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当だろう。 |
交差点安全進行義務違反 | 6000 | 交差点において、右左折の際に徐行しなかったり、必要な合図を出さなかったりすること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
環状交差点安全進行義務違反 | 6000 | 環状交差点(ラウンドアバウト)で、進入時の徐行など安全な進行の義務に違反すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
横断歩行者等妨害等 | 6000 | 横断歩道を渡ろうとしている人がいるかもしれないのに手前で減速せず、実際に人がいても停止せずに相手のスムーズな横断を妨げること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
安全運転義務違反 | 6000 | 安全運転の義務に違反すること。はっきりと該当する違反項目が他にない場合に適用される万能のカード。傘さし運転や周囲の音の聞こえない状態でのヘッドホンの使用などもこれに該当する。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
通行禁止違反 | 5000 | 進入禁止や車種別の通行禁止の指定に従わないこと。一方通行の道を自転車で逆向きに通行することもこれにあたる。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。なお一方通行の道にはなるべく「自転車を除く」や「軽車両を除く」の除外規定を設けて自転車での通行の利便性を高めるよう警察庁から通達が出ているので、未対応の地域は反則金制度の導入・運用に先立ってこれを進めるべきだ。 |
歩行者用道路徐行違反 | 5000 | 許可を受けて歩行者用道路を通行する際に、条件として課されている徐行義務を破ること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
歩行者等側方通過義務違反 | 5000 | 徒歩や自転車、電動キックボード等で移動している人の横を通過(追い越し・追い抜き)する際に、適切な間隔と速度を保たないこと。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
急ブレーキ禁止違反 | 5000 | 必要のない状況でわざと急ブレーキをかけること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
法定横断等禁止違反 | 5000 | 他の通行の妨げになる方法で横断やUターンなどを行うこと。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
路面電車後方不停止 | 5000 | 停車している路面電車に追いついた場合は、客の乗り降りの安全のために後ろで止まって待つ義務が課される。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
優先道路通行車妨害等 | 5000 | 優先道路を通行している車などを、非優先側から妨害すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
環状交差点通行車妨害等 | 5000 | 環状交差点(ラウンドアバウト)で、環道を通行している側(=優先側)を妨害すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
徐行場所違反 | 5000 | 徐行の指定がなされている場所や見通しの悪い交差点などで徐行しないこと。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当と考える。 |
指定場所一時不停止等 | 5000 | 指定された場所で一時停止しないこと。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。ただ、法的には一時停止義務がないにもかかわらず自治体が「自転車とまれ」マークを路面にペイントしている場所がある。逆に、一時停止義務が生じるにもかかわらずそれが明示されない場所(一方通行規制の除外が適用される道を自転車で車と逆向きに通った際の、大通りとの交差点手前など)も数多く存在する。まずこれらを法規と合致するよう修正するべきだ。 |
幼児等通行妨害 | 5000 | 保護者に付き添われていない幼児のそばを通る際やスクールバスのそばを通る際に、徐行や一時停止による安全確保を行わないこと。 |
安全地帯徐行違反 | 5000 | 横断や路面電車の乗降のために設けられた「安全地帯」に人がいる時、そのそばを通るのに徐行しないこと。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
被側方通過車義務違反 | 5000 | 他の車などが自分の側方を通過(追い越し・追い抜き)する際に、無理のない範囲で車道の左端の方に寄る義務に違反すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。どんな状況でどのくらい左に寄ることが期待されるか、曖昧さが含まれるので、加害力の大きな方がより多く他に対する保護義務を負うという公正さを軸とした判断が必須。 |
通行帯違反 | 5000 | 車種や用途別の通行帯の区別に違反すること。自転車専用通行帯が整備されている場所でそこ以外を自転車で通行すると違反になる(自転車専用通行帯を車や原付で走行するのも違反)。 →ペイントだけの自転車専用通行帯(自転車専用レーン)は、市街地では路駐車で埋まってしまう。これは国内外を問わず既に常識といっていい。にもかかわらず日本では路駐車対策が停滞しており、自転車利用者は隣接する他の通行帯を、路駐車のドア開けや後続車におびえながら走ることを強いられている。まず移動の安全と自由が損なわれている現状を解消することが必須であり、それが達成されないうちは、使いものにならない自転車専用通行帯でも無理に走らなければというプレッシャーを生む反則金は適用すべきではない。 |
道路外出右左折合図車妨害 | 5000 | 合図を出して道路外へ右左折しようとしている車などを妨害すること(通常の優先関係に基づく先行などは除く)。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
指定横断等禁止違反 | 5000 | 横断やUターンなどが禁止されているところでその禁止行為をすること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
車間距離不保持 | 5000 | 前の車などとの間に適切な車間距離を保たず、接近し過ぎた状態で進むこと。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
進路変更禁止違反 | 5000 | 黄色の車線境界をまたぐこと。 →自転車ではそもそもあまり発生しないだろう。 |
追い付かれた車両の義務違反 | 5000 | 後続車に追いつかれた車両の運転者は、同じ方向に一つの車線しかない道では、可能な範囲で車道の左端の方に寄り、速度を上げたりしないで相手がスムーズに追い越せるようにする義務を負う。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。どんな状況でどのくらい左に寄ることが期待されるか、曖昧さが含まれるので、加害力の大きな方がより多く他に対する保護義務を負うという公正さを軸とした判断が必須。 |
乗合自動車発進妨害 | 5000 | バスなどの発進を妨げること。 →車重や動力性能を考えると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
割込み等 | 5000 | 信号待ちなどで前に割り込むこと。 →車重や動力性能を考えると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
交差点右左折等合図車妨害 | 5000 | 交差点で合図を出して右左折しようとしている車などを妨害すること(通常の優先関係に基づく先行などは除く)。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
交差点優先車妨害 | 5000 | 交差点で優先権のある側に対して妨害を行うこと。例えば直進>左折>右折のような優先順位がある。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
緊急車妨害等 | 5000 | 救急車やパトカーの通行を妨害すること。 |
交差点等進入禁止違反 | 5000 | 信号が変わるなどして立ち往生することが予測できたにもかかわらず交差点に進入すること。 →自転車は退避が容易なので、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
無灯火 | 5000 | 日没後などの周囲が暗い状況で前照灯をつけずに通行すること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
減光等義務違反 | 5000 | 他の人(車などの運転者を含む)がいるのにライトの角度を下げないこと。 →昨今は非常に明るい自転車用LEDライト等が出回っていて眩惑のリスクが高まっているが、そこから衝突に関与した際の加害力を考慮すると3000円程度が妥当と考える。 |
合図不履行 | 5000 | 角を曲がったりする際に手などで合図を出さないこと。 →法規通りの合図は右左折の開始前から完了後まで出し続けることになっていて、その間は片手離し運転になるがそれでよいのか?という古くからのバグが存在する。何らかの合図を出すことを筆者は推奨するが、ほぼ誰もやっておらず、やっても周囲から理解される期待値も低い。現実的な合図の出し方が共有されていない中で反則金を課すことには反対する。 |
合図制限違反 | 5000 | 曲がるのと逆方向に合図を出したりすること。 →前述の通り、現実的な正しい合図の出し方が共有されていない中で間違った合図とされるものに反則金を課すことには反対する。 |
警音器吹鳴義務違反 | 5000 | 峠道などでの「警笛鳴らせ」標識に従わないこと。 →自転車向けの一般的なベルではどうせ聞こえないので、反則金を課すべきではない。 |
乗車積載方法違反 | 5000 | 前カゴやキャリアなどの所定の場所以外に荷物を積むこと。カゴやキャリアを使用しなくても、しっかりした用品による安全な積載方法であれば問題ない。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
軽車両整備不良 | 5000 | 正常な機能に支障をきたす整備状態の自転車に乗ること。 →車重や動力性能を考慮すると3000円程度が妥当。 |
自転車制動装置不良 | 5000 | 前輪と後輪の両方もしくは片方のブレーキ装置が正常に機能しない自転車で公道を走ること。 →車重や動力性能を考慮すると3000円程度が妥当。固定ギアの自転車では脚を踏ん張ることで制動作用が生じるので、これを後輪のブレーキ装置とみなすことも検討の余地がある。 |
泥はね運転 | 5000 | 水溜まりなどを通過して泥などを他者にはねかけること。 →まず自転車利用者自身が真っ先に汚れる行為であり、被害が生じた際の相手方への賠償は必要だが、反則金を課す意味があるとは考えにくい。 |
転落等防止措置義務違反 | 5000 | 自転車の積み荷を路上に落としてしまうこと。 →落としてしまった際の速度を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
転落積載物等危険防止措置義務違反 | 5000 | 自転車の積み荷を落とした結果として被害が生じた場合はこの違反になる。 →落としてしまった際の速度を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、3000円程度が妥当。 |
安全不確認ドア開放等 | 5000 | 安全を確認せずドアを開けるなどすること。 →そのようなドアを備えた自転車が登場したら必要になるかもしれない。 |
停止措置義務違反 | 5000 | 安全な停止状態を確保せずに自転車を離れること。 →車重や動力の有無に由来する加害力の差を考慮すると、反則金を課すにはあたらないと考える。 |
公安委員会遵守事項違反 | 5000 | ビーチサンダル等を履いて乗ること。 →違反による他者への影響の度合いを考慮すると、反則金を課すべきではない。 |
通行許可条件違反 | 3000 | 道の性質や車種などの理由で普段は通れないところを許可を受けて通る際に、許可証を携帯していなかったり、許可条件を逸脱したりすること。 →自転車だとあまり発生しない状況だと思われる。 |
歩道徐行等義務違反 | 3000 | 歩道における自転車の徐行(直ちに止まれる速度で通行)義務を怠ること。 →歩道の構造や歩いている人の数、隣接する車道の交通量や速度など、歩道といっても地域や道によって条件が大きく異なり、一律に徐行を必須とするのは自転車による移動の自由と安全を損なう。近くに歩いている人が誰もいないことが確実であれば必ずしも徐行しなくてよい(建物等の出入り口や見通しの悪い曲がり角の付近などは徐行)、などとすべきだろう。 |
路側帯進行方法違反 | 3000 | 路側帯(白線で区切られた簡易歩道)は、自分が進む方向の左手にあるものに限り自転車でも通行が可能(※歩いている人が優先)。右手の路側帯を進むと違反になる。 →車道部の安全性が十分に確保されておらず(車が多い、流れが速いなど)路側帯が徒歩だけでなく自転車での移動時にも安全地帯になっているケースがある。進行方向右手の路側帯を自転車で通らなくてよいように、取り締まりよりも環境改善に力を入れるべき。 |
並進禁止違反 | 3000 | 標識で認められている場所以外で、自転車で横に並んで走ること。 →並んでコミュニケーションをとりながら移動することは極めて大切な社会的営為であり、一律に反則金を課すべきではない。後続の妨げにならない場合は二人まで可、禁止の場合に標識を設置、といった形に法を改めるべき。 |
軌道敷内違反 | 3000 | 路面電車の軌道敷内を通ること(通行可の場合を除く)。 |
道路外出右左折方法違反 | 3000 | 道路から家の敷地内へ右左折するなどの際に、事前に端に寄せて徐行で曲がるという規定の方法から外れること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、1000円程度が妥当。 |
交差点右左折方法違反 | 3000 | 端に寄って徐行など、交差点を曲がる際の正しい方法から外れること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、1000円程度が妥当。 |
環状交差点左折等方法違反 | 3000 | 環状交差点(ラウンドアバウト)で、環道から出る(左折する)際の合図や徐行の義務を怠ること。 →車重や動力性能に由来する加害力の差を考慮すると、原付と同じ反則金額は公正ではなく、1000円程度が妥当。 |
軽車両乗車積載制限違反 | 3000 | 認められた上限を超えた人や荷物を乗せて公道を走ること。一般的な自転車に大人が二人乗りした場合などはこの違反になる。小学校に上がった子どもを自転車に同乗させた場合も該当するので、送迎への影響が大きい。 →車体がそれだけの人や荷物を乗せるのに十分な性能を有している場合には、運転者の年齢が一定以上であることなどを条件に違反の対象外とすべき。多様な自転車・軽車両により人や物の移動ニーズが満たされるのは、車に過度に依存した社会からの脱却のために望ましいことだ。 |
制限外許可条件違反 | 3000 | 制限を超えた荷物を積み、そのための許可証を携帯せず公道を走ること。 |
原付等牽引違反 | 3000 | 他の乗り物やリアカー等を牽引する際の条件に違反すること。 |
自転車道通行義務違反 | 3000 | 自転車道(隣接する車道の交通から構造物によって分離保護された専用空間で、自転車道を示す標識が設置されている)がある場所にもかかわらず、そこ以外(車道や歩道)を走ること。 →日本の自転車道は対面双方向通行の空間にわずか2.0mの幅員しか割り当てていないことが多く、植栽や構造物によって実質幅員がさらに狭くなっていることも珍しくない。このため他の自転車利用者とすれ違う前に歩道に隣接する進路を移す行動もしばしば観察される。こうした現象は空間設計の不備に原因があるので、それが解消されている場所でのみ、そこを走らないことに対する反則金を課すべきだ。 |
警音器使用制限違反 | 3000 | 危険回避など必要と認められている以外の目的で自転車のベルを鳴らすこと。 →一般的な自転車のベルの音量を考慮すると、車や原付と同じ反則金額は公正ではなく、1000円程度が妥当と考える。 |
ふたごじてんしゃさんによる勉強会(終了)
子ども送迎に自転車を使う方を対象に、ふたごてんしゃさんがオンライン勉強会を開催中(全5回)。この施行令の一部改正が普段の自転車利用にどう関わるのか、どうしたらいいのか、気がかりな方はぜひ参加してみてほしい。





