Cycle ── 自転車をめぐる散文詩の試み その12

「自転車をテーマに詩を書け」と依頼され、それに応えて400文字を書く、という詩の12回目。風になり、自転車に乗る。自転車に乗ると風を感じる(凡庸な交換)。走ることで体が温まる(当たり前)。空気を切り裂いていく感覚は、まるで鳥のように自由だ(鳥が自由を感じるわけがない)。汗をかき、息を荒らすこともある。だけど気持ちは常に高揚している(だけど冷静ならわかる)。景色を眺めながら、遠くまで走れる(眺めなくても走れる)。道の先にあるものを想像して(道の先は道)、自転車には魔法がかかっている。何かを乗り越える力をくれる(それは電動アシストです)。困難にぶつかっても、踏み続けることで、自分を信じる力をくれる(自己承認欲求を満たせるのだ)。風になり、自転車に乗る(冒頭に回帰して「詩」らしい)。ただただ走り続ける。身体の限界を越えて進む先に、新しい自分を見つけられるかもしれない(自転車をテーマに詩を書け)。

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