柳サイクルでクロモリフレームをオーダー #1:基本仕様を決める

かねてよりお世話になっている柳サイクルさんで、フレームセットをオーダーした。自転車を一から作ってもらうのは初めてだ。自分がそうだったように、関心はあるが実際どんな感じなのか分からないという人も多いと思うので、何回かに分けてそのプロセスを共有してみようと思う。もちろんこれはあくまで柳サイクルさんの場合であり、中でも少し特殊なケースに該当するため、そこを踏まえた上で参考にしてもらえると嬉しい。

まずは用途から

柳サイクルさんでのフレームのオーダーはまず、どんなことをする自転車が欲しいか、から話が始まった。自分の希望は、しなやか&滑らかによく進み、かつ大抵のところに臆さず入っていける旅の相棒。(現代の)カテゴリでいえば「オールロード・バイク」から「グラベル・バイク」あたりになるだろうか。具体的には、ここ数年よく乗っている、古いミヤタのLe Mansスポルティーフ(以下Le Mansと略称)を下敷きにしたいと考えていた。明確な基準になる自転車があると、オーダーの段取りは色々とスムーズになると思う。

ミヤタ Le Mansスポルティーフ
オーダー車で行きたいフィールドの例(撮影:Daigoman)

普段の相棒の弱点を抽出

40年前の「オールロード」バイクであるLe Mansを自分はとても気に入っていて、深刻な欠点があるとは感じていない。それでも旅の最中に「ここがもうちょっとこうだったら」と思うことはある。そういうところを挙げていくのが、オーダー車の仕様を固める一つの方法といえる。実際にやってみると次のような感じだ。

  • デカい。Le Mansは譲り受けたもので、自分にはちょっと大きい。それがメリットになる部分もあるが、700Cのホイールに幅40mm付近のタイヤを履かせていることもあり(※元は27インチホイール)、担ぎを含む取り回しがやや大変である。また、単に大きいだけでなくホリゾンタルフレーム(というか少し前下がり)なのでシートポストが出ず、サドル下に肩が入らないため、ほんのちょっとしか担がない想定でも前三角の一部を空けておかなければならない。自転車への荷物の積載において前三角は走行性能の観点からいえば一等地であり、そこを使い切るという選択は、やはり気楽にできた方が嬉しい。
    オーダー車はスローピングフレームでホイールは650Bかな、というざっくりしたイメージが浮かぶ。
  • ちょっと重い。これも大きいことと関連するが、1980年頃に作られたLe Mansは、クロモリでたぶんバテッド管を使っているとはいえ、少し重いなと感じることがある。場面でいうと、担ぎよりも輪行時に重さを実感する。ところが柳サイクルの飯泉さんいわく、そこまで重くはないし、オーダー車も強度を持たせようとするとそこまで大幅に軽くはならないそうだ。
    →自分としてはもうちょっと軽くなれば嬉しく、ホイールを650Bにすることでも軽量化になると考えた(しかし700Cの転がりも好きなので、車輪径については迷いもあった)。
  • ブレーキの問題。Le Mansはリムブレーキ仕様だ。センタープルで基本的にはよく効き、さほど困ることはないものの、いざ困る時はかなり困る。半ば沢になっているような林道を走ったりすると、リムが水をかぶって制動力が大幅に落ちるのだ。
    →状況を問わず楽に&しっかりコントロールして制動できると走り全体に余裕ができるので、オーダー車は素直にディスクブレーキ仕様と決めた。これに伴い、車軸の形式もローターとキャリパーの平行が狂いにくいスルーアクスルでいくことに。
ディスクブレーキが欲しくなるフィールドの例(撮影:Daigoman)

タイヤ(ホイール)サイズを確定

以上のような調子で用途と要件がざっと出揃ったら、今度はタイヤ(ホイール)サイズを絞ることになる。飯泉さんは何種類かのサイズを入れ替えて使う自転車の製作にも対応できるが、メインで使うタイヤのサイズが予め決まっていた方が中途半端な車体になりにくいそうだ。例えば自分が今回のオーダー車に求めているLe Mansのようなしなやかな乗り心地は、タイヤの外径と太さによって「どう実現するか」の道筋が違ってくる。700Cホイールに40mm付近のタイヤでいくか、650Bホイールに50mm弱のタイヤにするか。
→既に挙げたような理由に加え、悪めの道でもうちょっとエアボリュームが欲しい(リム打ち怖い)と思った経験、また単にこれまでと違う規格を味わってみたい気持ち、等々を総合し、ある日やや勢いに任せて「650B×50mm弱にします」とお伝えした。

その先はお任せでもOK、だが・・・

以上をまとめると次のようになる。

  • スローピングフレームのオールロード~グラベルバイク
  • しなやかな乗り心地でよく進む
  • 無理のない範囲で軽めに
  • ディスクブレーキ仕様
  • スルーアクスル仕様
  • メインのホイールは650B、タイヤは50mm弱

通常はこのくらいまで固まれば、体格など他の必要事項を考慮して飯泉さんが設計や使うパイプを決めてくれるそうだ。手前の段階でも色々と話しながら意見を出して下さるし、イメージを固める目的でお店にある他の柳の自転車を試乗させてもらうこともできる(もちろんサイズには限りがある)。自分は実際「quiet」や「上総」に少し乗らせてもらい参考にした。また飯泉さんとは一緒にサイクリングをする機会が以前から何度かあり、そこで自分の癖や指向を(言語化できてない部分も含め)知ってもらっていたことも役に立ったと思う。

Yanagi Quiet
Yanagi Kazusa

それからどうしたかというと、自分はパイプ選定については飯泉さんにお任せしつつ、ジオメトリーは自ら煮詰めるという面倒なルートを選択した(手数もおかけするやり方である)。これについては次回以降でお伝えしていきたい。

かっこいいじてんしゃ

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