ロゴが嫌い。シンプルが好き。自転車のフレームに描かれる大振りで目立つロゴには辟易する。だから、ロゴがないか、目立たない自転車しか買ったことがない。ただ、それを貫くには現状の自転車業界は辛過ぎる。ロゴだけでなく、デザインにしろ、色にしろ、あまりにも選択肢が少ない。個人の趣味によってド派手なロゴも、サイケデリックな色彩の洪水も、落ち着いたモノトーンも選択可能であるべき。
そのような要求に応えるべく、近年増えてきたのがセミ・オーダー的なカスタマイズ・システム。色やコンポーネントを選択して、自分好みの自転車が注文できる。これを利用して、フレームとロゴを同じ色に指定すれば、ロゴが見えなくなるはず。素晴らしい。だが、先に結論を言えば、完璧なシステムは存在しないようだ。そこで改善を願って、まずは現状の各社システムを確認していこう。
部分的対応システム
バルセロナのショップでロゴがない自転車が欲しいと相談した時に、推薦されたのがTIMEだった。確かにロゴを消すような指定が可能で、後述するメーカーのような姑息な縁取りなどもない。ロゴは赤、白、黒の3色だけで多様性に欠けるが、とても素晴らしい仕上がりとなる。カスタマイズ可能なのはエアロからエンデュランスまでの5種類。ライド時にTIMEに乗っていた人は、性能も凄いと言っていた。
国産のANCHORは早い時期からカラー・カスタマイズが可能だった。しかも、ミドル・レンジ以下のフレームでシンプル・スタイルを選べば、フレームとロゴは同色が指定できる。画面上ではロゴに縁取りが付いて見えるが、実際には縁取りはないとの回答を同社から得ている。しかも、以下の配色では「ロゴが大変見えづらくなります」と注意を促される始末。ともあれ、5色でロゴが消せるのは最も優秀。
【フレーム・カラー】/【ロゴ・カラー】
ソリッドブラック / ブラック
ソリッドホワイト / ホワイト
ソリッドレッド / レッド
メタリックシルバー/ シルバー
ソリッドイエロー / ネオンイエロー
GARNEAUのDream Factoryでもフレームとロゴを同じ色にすれば、見事にロゴが消える。いずれも最大39色から選択可能で、黄色でも緑でもカラフルな色を指定できる。ただし、落とし穴がある。ダウンチューブ側面のロゴは39色から選べるが、トップチューブ上部のロゴは白、黒、灰色の3色だけ。これは画面上では目立たないので要注意。決して画竜点睛を入れてはいけない。
明示的拒否システム
TREKは早い時期からProject Oneとしてカスタム・オーダーを実現しており、カラーやデザインの豊富さはピカイチ。Project Oneが可能であるのはミドル・レンジ以上で対象は多いと言える。しかし、フレームとロゴを同色に設定すると「このオプションは選択できません」と拒否されてしまう。発注はできないが、同色での表示は可能なので、その美しさに感嘆しつつ、やりきれない理不尽さを呪うしかない。
RIDLEYではCustomizerサイトにおいて、6種類のフレームのカラー・オーダーが可能。フレームとロゴだけのシンプルな色指定仕組みながら、それぞれ57色という豊富な選択肢を提供している。だが、同色を選ぶと、それはダメと言われて当該色は表示されない。ただ、ロゴが小さく控えめなフレームもある。近似色を指定すれば、画面で見る限りはロゴが目立たない。実際に確認する術がないのが辛いところ。
国産のパナソニックは、1987年にオーダー・システムを確立。なんと30年前からとは素晴しいが、WEBは単なるカタログでしかなく、シミュレーションはできない。フレームは色調の違いを含めて33色から、ロゴは4色から選択可能で、ロゴなし指定は不可となっている。念のために問い合わせたところ、近似色でも多少は目立つ、ロゴはデカールだが剥がすのは困難とのことだった。
暗黙的忌避システム
PINARELLOもMYWAYにてフレーム・セットの色を指定できる。対象はDOGMA F10またはK10のみでフラグシップ機に限られる。にもかかわらず、フレームとロゴを同じ色にできない。フレームに選んだ色はロゴの選択肢に現れないし、何故か同色を選べることもあるが、表示には反映されない。そう言えば、MYWAYが始まった頃にPINARELLO本社に問い合わせたが、無視されたのか返事すらなかった。
ORBEAもMyOなるサイトでカスタマイズ・オーダーを提供しており、対象車も多い。メインのフレームやロゴなど6ヵ所の色を、それぞれ鮮やかな22色から選べる。かなり近い配色ができるが、フレームとロゴの同一色指定はできない。ある色を選ぶと他方では同色が表示されなかったり、強制的に異なる色に変わったり、巧妙に逃げられてしまう。そのようなスクリプトを書く無駄を省いて欲しい。
詐欺的防御システム
Biannchiのカラー・オーダーTavolozzaは比較的新しく、対象はSpecialissimaとOLTRE XR4のみ。これまたハイエンドのみながら、これまたフレームとロゴを同じ色に指定すると、推奨されないとの警告が表示される。推奨されてなくても発注できれば良いのだが、どうだろうか。もっとも、近似色であってもロゴのシャドウが大振りなので、ロゴが消えたり、目立たなくなるわけではなさそうだ。
FUJIのREMIXは比較的安価な4種類のフレームに対応している。4ヵ所のカラー指定が可能で、用意された色も豊富。フレームとロゴを同色に指定できるが、縁取りされたロゴになるようで目的は果たせない。しかも、ロゴ自体が大きいので、かなり目立ってしまいそう。なお、このREMIXは2017年11月に日本国内専用ページ公開となっているが、現時点で未公開であり、一部のサービスは非対応とのこと。
以上のように、TIME、ANCHOR、GARNEAUだけが、フレームとロゴに同色を指定してロゴを見えなくできるようだ。ただ、現物を確認していないので、仕上がりは分からない。しかし、他のシステムでの不備に比べれば、格段に素晴らしいスタンスと言える。今後は単純にロゴの有無を指定できるようになって欲しい。他にもカラー指定システムがあれば、ぜひ、ご教示いただきたい。
【追記】コメントをいただいたPanasonicのPOSを、明示的拒否システムに追加しました。(2018.03.06)
【追記】WEBでは必ずしも不可であると確信が持てなかったBiannchiとFujiに問い合わせたが、2週間ほど経った現時点で何ら回答を得ていない。問い合わせたのは日本の代理店等ではなく、本国のWEBサイトのコンタクト・フォームを利用した。(2018.03.16)
明示的拒否システムですが、Panasonicがあります
情報ありがとうございます。ロゴなしはできないと書かれていますが、フレームとロゴの同色指定については記載がないようですね? 念のために問い合わせメールを送りました。
PanasonicのPOSを追加しました。メールで問い合わせたところ、丁寧に回答をいただきましたが、ロゴなし、または、ロゴが目立たない、はできないとのことです。
明示的拒否”システム”ではありませんが、
いわゆるフレームビルダーさんに発注するという手もありますね。
fireflyはデカールを落とせるようですし、quarkは発注時にロゴなしを
指定できるようです。
firefly
https://fireflybicycles.com
細山製作所
http://www001.upp.so-net.ne.jp/hosoyama/index.html
cherubim
http://www.cherubim.jp
なるほど、そうですね。小さなメーカーほど融通が効くと言うか、親身に相談に乗ってくれますね。