大垣〜新潟470kmロングライド 道中編4日目

初心者2人の自転車旅行、大垣〜新潟470kmロングライドは金沢でリタイアし、走行距離は210km、全体の44%の達成で終えた。

金沢駅
金沢駅で喜ぶ浅尾

自転車旅行は金沢で終えたわけだが、その後車で新潟に行き、ネットカフェに宿泊。4日目は越後妻有里山現代美術館へと向かった。大地の芸術祭で絶対に見たいと思っていたのは、クワクボ先生のLOSTと、クリスチャン・ボルタンスキーの作品だ。

美術館に展示されていた他の作品で、印象に残ったのは、目とニコラ・ダロの作品だ。

「movements」目
「エアリエル」ニコラ・ダロ

大きい謎の物体が人の動きをトレースするように強弱をつけながら動く様相により、異様な空間を作っていた。(布を纏った構造体部分が舞うように可動した)

宿泊場所は長岡のゲストハウス、長岡街宿

学生は1人2000円で宿泊できる!

夕食後には、体力と時間に余裕があったのでカラオケにも行った。(IAMASに入学して初めてのカラオケだ)

歌う森田

やはり、技術発展は人類に余暇を作り出すのかと、車で移動した今日の体験と今までの自転車移動との違いを身をもって体感した。

5日目はボルタンスキーをメインに美術館外の作品を見て回った。

「森の精」クリスチャン・ボルタンスキー
「最後の教室」クリスチャン・ボルタンスキー

ボルタンスキーの「最後の教室」は、見ていて懐かしい気持ちになれた。

そして、18時頃に長岡造形大学を訪問。浅尾の母校で教員をされていた平原真さんが、現在は長岡造形大で准教授をされている。

右端の方が平原真准教授

長岡を夜中に出発し、大垣には翌朝の5時頃に到着した。

こうして4、5日目は車で移動する事ができたので、天候や疲労の影響を受けずに計画通り進める事ができた、、身体を保護しながら移動できるってすごい。クルマ感謝!(塩澄が運転してくれた、本当にありがとう)

最後は車賛美になったが、だからと言って自転車の魅力が陰るわけではない。僕たちは自転車がもつ唯一無二の魅力を愛していく。

振り返り

「シミュレーションじゃだめなんだよ」

クワクボ先生に言われたこの言葉から全てが始まったわけだが(大垣〜新潟470kmロングライド. 準備編参照)僕たちの自転車旅行はまさにその言葉通りの出来事の連続だった。

計画通りに事が運ばず自転車で新潟まで到達することはできなかった要因は諸々挙げられる。ここではそれらを分析し、僕たちの経験と学びを共有する。経験者からすれば当然だと思われる事項もあるだろうが、初めて自転車旅行をした僕たちの率直な意見は、経験者の方々の初心を振り返るきっかけになるかもしれない。自転車旅行に興味がある方々の参考になれば幸いである。

さて、以下が旅行を完遂できなかった要因だ。

  • 通行状況の把握不足:初日の福井県に向かう山登りの途中で通行止めになっていることが分かり、引き返す羽目になった。
  • 天候の影響:2日目の雨中の走行により、精神・身体疲労が増し、走行距離を伸ばすことができなかった。
  • 身体疲労の蓄積:旅行前の計画は疲労を鑑みていなかった。想定よりも2日目の疲労が大きく、計画に支障をきたした。
  • 走行速度:自転車旅行3日間を通じて速度を出せなかった。会話をしながら走行したのもあるが、速度を出しすぎると曲がり角で事故を起こしてしまうのではないかという恐れがあったのが一番の理由だ。ライドの経験不足からくるものだと思うので、慣れていきたい。
  • 日数制限:今回の自転車旅行は学校の授業が始まる前に大垣に帰らなければならなかったので、天候に関係なく進む必要があり、それが僕たちを苦しめた。また、もう少し日数の余裕があれば、さらに多くの芸術祭の作品を見て回れたかもしれない。
  • 当日に宿は見つからない:記事中に記載していないが、実は初日の宿泊先を急遽敦賀に変更した際、ビジネスホテル山形より前に、部屋が空いている宿に宿泊可能かどうかを問い合わせたが、断られている。ギリギリで問い合わせることは避けた方が良い事が今回の旅でわかった。次回行くとしたから確実に進める距離で宿を予約していきたい。

(最後の項目を省き、以上の項目については本記事以前に公開した道中編で詳細が書かれている)

また、旅行全体を振り返って、良かった点、改善点・失敗点を以下に挙げる。

良かった点

  • 結果的に旅行中にパンクすることはなかったが、パンクの修理方法を予め習得し心配事のない状態で出発できた。
  • 2人で走ることで、お互い励まし合いながら苦しい場面を乗り越えることができた。(門田は神経質で浅尾は楽観的な方だ。意見がぶつかることもあるが、結果的に2人の性格のバランスが良かったのかもしれない)
  • 終わってみると、色んな景色を見る事ができて楽しかった。風の匂いが場所によって違っていたのが印象的だった。(浅尾談)
  • ゲストハウスは一般的なビジネスホテルよりも安いことがわかった。積極的に利用していきたい。

改善点・失敗点

  • 自転車に装備するバッグが、塩澄に借りた自転車にしか適切に装着できなかったため、片方の自転車に荷物の荷重が集中してしまった。
  • 片方がiPhoneでナビをするよう役割を分けたため、走行中に相方に大声で道のりを伝える必要性が出てきてしまった。iPhoneを取り付ける器具をもう一つ買い足し、それぞれで道のりが把握できるようにした方が良かった。
  • 記事を書く予定は旅行前から決まっていたものの、旅行中に撮影する余裕がない状況が多く、写真素材を十分に確保できなかった。記事としてどうしても必要な箇所は絵で補う形にしたが、決定的瞬間を記録できる装備で臨めば、より魅力的な記事を書くことができただろう。
  • 夜の田舎は本当に光がない。輝度が高いライトを自転車に付け足した方が快適にライドができただろう。
  • 門田が用意したiPhoneのモバイルバッテリーが故障していることが現地で発覚し、浅尾のモバイルバッテリーに頼りっきりになってしまった。出発前に使用可能であることを確かめるべきだった。
  • 雨対策に防水のグローブとシューズで挑めばよかった。手や足が水浸しの状態で走ると、非常に不快な気持ちになる。
  • 塩澄に借りた自転車のタイヤがダイナモライトと一緒に固定されており、外し方が不明だったため、タイヤを取り外せなかった。結果的に車に積んだ時に後部座席を圧迫することになってしまった。
  • ささいなトラブルなどで、キレたりしてしまった。旅行中の計画通りに事が進まなかったことの焦りのせいか、平静な態度が思ったよりすぐ崩れることがわかった。(浅尾談)

今回の旅は資金が潤沢にあったわけではないのと、一回限りの長距離ライドを想定していたので、初心者が持っていない道具は何もかも借りて行っている。ゆえに雨に対する装備と心持ちが十分ではなかった。可能であれば、当然であるが十分満足いく装備を用意した方が快適な旅行ができるだろうし、雨の日は走らないという選択をすることも大切だ。

自転車旅行を終え、普段の生活に戻ると、旅行の体験が僕たちに多くの変化を与えたことを実感する。一番大きな変化は距離に対する価値観だ。最近、ふと思い立ち、自転車で片道37kmの博物館に行った。遠いという感想は抱かなかった。以前は5kmを超えると遠いという印象を持っていたが、今では数時間自転車を漕ぎ続けることへの抵抗がなくなり、30〜39kmをそんなに遠くない距離として認識するようになった。(40kmを超えると、さすがに遠い)

今後の活動

本記事の筆者である門田は今回の自転車旅行をきっかけに自転車の魅力に取りつかれた。自転車の、ちょうど良いスピードで粗くも細かくもない解像度で世界をスキャンしていく行為は独特の体験である。自然に対する恐怖、自然には勝てないこと、人間の身体的・精神的弱さも学んだ。

それゆえに自転車に関する活動は続ける予定である。現在考えている今後の活動予定は以下の4つである。

  • 瀬戸内海ライド
  • 野草散策ライド
  • 手漕ぎライド
  • 今回の自転車旅行のリベンジ

瀬戸内海ライドは、瀬戸内海の島々を自転車で遊覧しようという企画だ。今回の自転車旅行は目的地も時間も決まっていたゆえの、焦りと苦しさがあった。瀬戸内海ライドはそれとは打って変わり、観光目的でゆったりと走りたいという浅尾の意見から生まれた。

野草散策ライドは、筆者である門田の野草を食べたいという欲望から生まれた企画である。様々な場所の野草を自転車で移動しながら採取し、集めた野草は最後に調理して食べる。春頃の実行を予定している。

手漕ぎライドは、一般的な自転車のペダルを手で漕いだ場合、どれくらいの速度で進むのかという浅尾の疑問から生まれた企画である。

自転車旅行のリベンジは門田が言い出した。浅尾はもうやりたくないと言っていたので、門田だけで敢行する可能性がある。(十分な資金と時間があれば)

このうちのいづれかを今後また、記事にしたいと考えている。以上で大垣〜新潟470kmロングライドの報告を完了する。

記事全体の構成は、準備編、1日目、2日目、3日目、4日目(振り返り+まとめ)の5つからなる。

ご覧頂きありがとうございました。

P.S. 赤松先生には旅行の助言から道具の貸し出しまで様々な協力をして頂きました。感謝を申し上げます。

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