わたしはゆるく、自転車にのる。(その2)

わたしの自転車にまつわるお話。

実は、わたしは自分で新しい自転車を買ったわけではない。中古の自転車を譲り受けたのだ。今回は、その自転車を手に入れて整備したときの話を書こう。

初めて自転車と会ったのは10月。自転車は使われていなかったそうで、チェーンなどところどころが錆びついていた。おまけに自転車につけていたワイヤーロックも錆びついていたし、番号も忘れ去られ外すことができない。わたしは、そのまま自転車を引き取ることにした。ワイヤーロックが外れず、自転車は転がすことができない。初めて自転車と外に出たのに、乗るでもなく自転車を持ち上げて歩いた。そのとき思ったのは、「あれ、新しいの買ったほうが楽だったかも」ということだった。

自転車のサドル周りの錆

自転車を手に入れることができると喜んでいたが、自転車を修理する必要があるなど考えていなかった。自転車に関する知識も全く無いため、どこをどう直すべきか分からない。自転車に乗るためにはまず、ワイヤーロックを切ること、伸び切ったチェーンを交換すること、錆びついて高い位置に固定されたサドルを下げることが必要だった。こういったことは流石に自分1人ではできなかったので、自転車を日頃から愛用している人に協力を仰いだ。

わたしはとりあえず、新しいライトとワイヤーロック、キックスタンドを買う。まだ自転車に乗れないにも関わらず、自転車周りのグッズを見て、もうすっかり自転車が自分のものになったというウキウキした気分だった。

そして、自転車を手に入れた数日後、やっと道具が揃ったので整備を始めた。ワイヤーロックを切って、チェーンを交換した。購入したのはこちらのチェーン(Amazon | シマノ(SHIMANO) チェーン(9スピード) CN-HG53 9S 114L ICNHG53114IG)。チェーンの付け替えは任せっきりだったので、詳しいやり方は説明できない。それでも、ギアに合うチェーンが必要なことと、ギアが何段も重なっている仕組み、それを切り替えて漕ぎやすいギアの大きさに変えられることを初めて知り、「自転車ってそんなこともできるんだ!」と関心した。古いチェーンを外し、錆を丁寧に拭き取り、新しいチェーンを取り付けた。

それでもまだ、自転車に乗れなかった。何故なら、サドルが高すぎるから。何度もサドルを下げようと試みたが、叩いても叩いても下がらなかった。長年積み重なってできた錆はなかなか頑固。

最終的に、近くにあった自動車販売店に頼ることに。修理をして気づけば夕方17時半すぎ。そのお店は夕方18時までの営業だった。直してもらえるか不安ながらに訪ねたところ、終了時間間近にも関わらず、笑顔で「任せてくれ!」と受け入れてくれた。さすがは自動車を扱うお店。工具も揃っていたし、力仕事には熱いプライドを持つ人たちばかり。18時がちょっと過ぎたぐらいで、やっとサドルを下げることができたのだった。

自転車を漕ぐこともできず、迷える子羊だったわたしに、色んな人が手を貸してくれた。特に、自動車販売店の方の、突然訪ねたにも関わらず快く引き受けてくださった優しさに嬉しくなった。いつもそのお店の横を通っていたので仕事をしている姿を見かけることはあった。それがこのような偶然で繋がり、仕事に対する熱いプライドもみることができた。あの時は、本当にありがとうございました!

後日、ようやく乗れるようになった自転車とともにある場所へ。大垣の和菓子屋さん、「金蝶園総本家」に向かう。初めての自転車は、協力してくださった方たちへのお礼を買いに行く旅になった。乗り慣れてなくて漕ぎ始めによろめくことが何度もあったが、何より初めて坂道を下ったときが気持ちよかった。そして、和菓子を買って、お店の近くにある湧き水をみてからその日は帰った。自転車が自分の相棒であるような感じがした。

今では、愛着のあるわたしの自転車だ。

金蝶園総本家にある湧水 菓生の泉

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です