自転車に乗りながら主観的な360度全天球映像を撮影するには、対応カメラをヘルメットに取り付けることが考えられる。これで良好な映像が得られるものの、カメラの重みが辛く感じるし、角のように見えて奇異な印象を与える。そこでLinkflow社の首に掛ける360度カメラFITT360シリーズに注目したい。ちょうどネック・スピーカーのような形状で、左右前方と後方に3つのカメラを備えている。
FITT360は重量240gほどで、首に掛けると意外なほどに重みを感じない。カメラを安定させるネック・ガイドが首に接触する違和感は、すぐに慣れることができた。64GBのメモリを内蔵し、簡単に操作できるのも好印象。ただし、画質が悪い上に自動的にスティチングされる映像の繋ぎ目の破綻が致命的。正面映像を重視するなら前後を逆にして装着できるが、本質的な解決にはならない。
スティッチング問題の解決が難しいのか、全天球映像を諦めて単純に3つの画像を並べて記録するFITT360PBも発売されている。映像に録画日時が焼き込まれるので、証拠映像としての活用を狙っているのだろう。ただし、録画時間が最大10分間であるのは論外の短さ。外観はFITT360と同じ、装着感や使用感も同じ。カメラが安定するらしいチョーカー式のネック・ガイドが追加されている。
現状ではスタビライズや色調、精彩感といった映像品質も、GoPro等に比べて劣っている。しかし、FITT360シリーズは長時間録画が可能になれば、サイクル・レコーダとしてピッタリだろう。首に掛けるデバイスは身体への負荷が少なく、手軽に周囲の様子を記録できるからだ。現時点ではダメ製品であるものの、潜在的な可能性は高い。より軽量化してヘルメットにも組み込んで欲しい。