Dark Touring 11: 高松

2月半ばに香川県高松市を訪れた。同地は昨年11月に「Dark Touring 09: 瀬戸内」で島々を巡った際に拠点として滞在していた。高松は人口の割には充実した都市機能を持っている。自転車フレンドリーな印象もある。しかし郊外ライドで向かった大串岬への国道11号線は必ずしも良い道路ではなかった。ならば川沿いや山間などは快適に走れるかもしれない。そう考えて2回目の訪問となった。

前回はレンタル自転車を利用したので、今回はBromptonを輪行で持参。新幹線で岡山まで行き、ランチを兼ねて周辺を走る。Bromptonなら広げるのも畳むのも1分、手軽に乗れるのが良いところ。折り畳んだサイズも小さいので、新幹線の特大荷物置き場には余裕で収まる。ただ岡山から高松に向かう特急マリンライナーには要注意。見晴らしの良い2階席は妙に狭い階段に苦労するからだ。

岡山城とBrompton

高松に到着したのは夕刻だったので、市街中心部を軽く走る。広い歩道兼自転車道があり、標識も明確。アーケード街は徐行ながら自転車が快走している。地下や機械式を含めて駐輪場は多く、店舗前なら気軽に停められる。GiantストアやHello Cyclingなどレンタル自転車も充実している。高性能ロード・バイクのレンタルは見つけられなかったが、これは他の地方都市でも大差ない。

高松のアーケード街

翌日はまず西へ向かう。ここで前回の悪印象が蘇る。舗装道路がひび割れ、アスファルトが剥がれて小石が露呈している。太いタイアならともく、小径車のBromptonでは悪路の振動に辟易してしまう。資料によると香川県の道路舗装率は96.2%と全国3位。しかし簡易舗装を除くと27.3%で23位になる。このことからも路面の悪さが伺える。寒冷地ではないので道路の劣化は少ないはず。補修工事の頻繁が気になる。

高松中心部の道路

香東川に達すると、そこから川沿いの自転車道に入る。高松で唯一のサイクリング・ロードながら、ここも路面の悪い箇所が多い。とは言え、晴れ渡った空と落ち着いた風景に心が和む。何箇所もあるコンクリート沈下橋も面白い。途中から廃線跡のガソリン道に合流し、山間に入って塩江町に至る。それほど急な坂ではない。最も寒い時期なのに気温は20℃近くになり、まるで春の陽気に心が躍る。

さらに翌日は特に目的地を定めず、東へ向かう。当初は路面が悪かったものの、春日川の川沿いから滑らかな舗装道路となり、これ幸いと北上する。次いで東進して三木町あたりを周遊。このあたりも路面が良く快走する。新興住宅地と大学街、そして溜め池が特徴的な景観を作っている。山道を辿れば昨日の塩江町に繋がるらしい。この日も快晴で暑く、ジャケットを脱ぎ、厚手の手袋を外していた。

高松は市街中心部で自転車が活用されている一方で、郊外で自転車を見かけることは少ない。琴電サイクル・トレインも廃止されていた。昨年の印象を覆す目論見は叶わず、今後に持ち越された。おそらく道を選べば快適だろう。だが、オランダやデンマークのように、どこでも安全で楽しいわけではない。それでは国内でどこがもっと自転車フレンドリーな街だろうか。そのような街を訪ねたい。

香川県庁舎・東館(丹下健三設計)とBrompton

今回は気楽な観光輪行のつもりで、負の遺産を自転車で巡るダーク・ツーリングとは考えていなかった。だが、自転車フレンドリー都市を考えるうちに、道路行政を含めてクルマ中心社会こそが負の遺産だと思えてきた。痴呆じみた運転者が巨大な鉄の塊を猛スピードで駆る。渋滞、破壊、殺傷など、それが当たり前だと飼い慣らされている。これこそが私たちのダーク・サイドに他ならない。

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