自転車チェアリングのススメに続いて、今回は自転車ハンモッキングをススメたい。少々語呂が悪い気がしないでもないが、自転車に乗って山や森に出かけ、木立にハンモックを吊るして寝そべることだ。空中に浮遊し、緩やかに揺れを楽しんでいるうちに、いつしか微睡んでしまう。考えごとや読書をするつもりでいても10分と保たない。それほどまでにリラックスできること請け合いだ。
自転車で運んで野外で楽しむなら、イチオシはヘネシー・ハンモックだろう。これはウルトラライト系のナイロン製なので、丈夫かつ軽量で畳むと小さくなり、設置も撤収も簡単だ。しかも蚊や虫を寄せ付けず、雨風も凌げるどころか、そのまま宿泊しても構わない。つまり、これは空中に浮かぶハンモック型のテントだ。そして何より、ハンググライダーのようなシャープな佇まいが素晴らしい。
筆者が購入したヘネシー・ハンモックはウルトラライト・バックパッカー A-SYM ZIPなる860kgの製品。収納するスネーク・スキンや2〜4本のペグと合わせても1kgに満たない。素材が柔軟なので、どのような形状のバッグにも押し込むことができる。1.5kgのサンセット・チェアより、かなり軽く感じるし、小さく収納できるのは有り難い。
ヘネシー・ハンモックの設置は、まず、4mほど離れた丈夫な2本の木を見つける。そして、木を傷つけないために太いベルト状のツリー・ハガーを幹に巻き付け、ハンモックのロープを固定する。スネーク・スキンを剥がせば、ハンモック本体とフライシート(タープ)が現れる。後は補助ロープをペグで張って形を整えるだけ。慣れれば5分もかからない。しかし、1分で済むヘリノックス・チェアには負ける。
ヘネシー・ハンモックの特徴は、蚊帳付きで害虫を排除できることだ。また、フライシートが直射日光や雨から身を守ってくれる。フライシートを外せば開放的になるし、人目が多い場所ならフライシートは身を隠す役割を果たす。もちろん、寝そべって背筋を伸ばし、ゆったりと寛ぐ心地良さは格別。もはや居住性の領域とも言えるヘネシー・ハンモックの快適さには、ハイバック・チェアは遠く及ばない。
このようにハンモックとチェアは一長一短の相反関係にある。人里離れた森に入って時間がたっぷりあるなら、ハンモックで寛ぐのが最上だろう。しかし、ハンモックを吊るせる場所は意外と少ない。手軽に気軽に安らぐのはチェアが適している。ならば、両方を持って自転車に乗ろう。赴いた先で環境に合わせて選択できる。しかし、軟弱なミニマリストに合計2.5kgもの荷物は辛い。何か良い方策はないものか?