普段使いの自転車にカモメハンドルバーを入れた

日頃の足として使っているLe Mans Sportifにカモメハンドルバーを入れてみたら「街乗りから軽いツーリングまでならこれが最高なのでは?」と思えるくらい好感触だったので、どこがどう良いのかを書き出してみる。

動機の一つはCozmoとの棲み分け

組み上がって半年ほどになる柳サイクルのオーダー車Cozmoが自分に馴染んでくるにつれ、その設計上のベース車となったMiyata Le Mans Sportifの方に違和感が出てきた。兄弟車ゆえに必然的に類似点が多く、細かな違いが気になるのだろう。Le MansはCozmoより舗装路メインに、と考え同じドロップバー=Dixna Bandyの幅の狭いものを入れていたが、あれこれセッティングを変えても納得できない点が残り、乗る度に少しモヤモヤしていた。

しばらくBandyの狭い方(エンド芯芯470mm)で乗っていた

ブレーキの効き具合の差も埋めたい

BandyバーはCozmoと同サイズのものを予備として追加購入していて、それを組めば違和感の一部(主にポジション面)は恐らく解消できた。そもそもCozmo以前は、その仕様でLe Mansをあらゆる用途に対応させていたのだ。

昨年夏にバイクパッキングに出た時の一枚

では他に何が問題だったのか。自分にとって最も大きかったのは、ブレーキの効きの差だ。Cozmoに採用したGrowtacの機械式ディスクブレーキEqualは、軽いタッチでしっかり制動でき、コントロール性もいい。Le Mansのセンタープルはリムブレーキとしては悪くないものの、必要とされる握力はやはり相対的にずっと大きい。どちらかだけしか乗らなければ特に困らなくても、両方を取っかえ引っかえする使い方では、咄嗟の時に握り込み過ぎたり、逆に握りが甘過ぎて止まらなかったりする恐れがある。

お気に入りのDixnaのJ Reachレバーは小改造でリーチをさらに近づけてある

自分のように手の小さい人間には、ドロップバーでブラケットポジションとドロップ側での制動を両立させ、かつセンタープルのキャリパーでディスク並に引きを軽くすることは不可能に近い。同じハンドルバーとレバー(スモールハンド族に優しいDixnaのJ Reachを数セット持っている)でフィット感が近づくと、この制動力の差を身体がうっかり忘れることが増えそうで怖いのだ。

カモメ系のハンドルバーにしてみた

そんなわけで、手元にあったカモメ型のハンドルバーをLe Mansに組んでみた。ブレーキレバーにはリターンスプリングのないDia-Compeのちょっと古いものを採用。バネがキャリパー側だけとなるので、(途中の抵抗を少なくできれば)引きは軽くタッチもいい(カチッとはしていないが)。ステムはまず目分量で90mmを選択。

BeamのプロムナードバーにDia-Compeのリターンスプリングなしレバー

近所を軽く乗り回してみて、すぐにその開放感に嬉しくなった。視界が広く、身体も大きく使える。必要とあらばそこそこの前傾姿勢もとれるし、未舗装路での制御、自転車を前に送り出しての離脱も容易だ。以前しばらく使っていた650mm幅くらいのちょいライザーバーもそこそこ気に入っていたが、前後の姿勢の自由度は低かった。カモメバーは登りで引きつけて使うのにも力が入れ易いし(低トレイル気味のLe Mansのジオメトリーにはライザーよりこちらが合っていると思う)、こうした場面ごとの対応力を内包したクルージング感がとても心地よい。

ちょいライザー仕様の時期もあった

日頃の足というLe Mansの役割から考えると、駐輪場で邪魔になりにくい幅のバーであることも軽視できないメリットだ。ママチャリのスタンダードに近い形状のバーは、とても総合力の高いものだと改めて実感した。

組み方のポイントいくつか

ステム長は何通りか試したい

最初のステムは実は長さがベストではなく、河川敷を小一時間クルーズしているうちに徐々に肘が痛くなってきた。これは45度くらいの開き具合のバーでは割と一般的な症状らしく、JonesのHバーなどについても似たような話を読んだことがある。バーの傾き、レバーの位置や角度でも違いが出る。自分の場合はその辺りの微調整では解決しなかったので、異なる長さのステムを試すことにした。

90mmステムは短かったようだ

肘に負担がかからないようにするのに、ステムを伸ばすべきか縮めるべきか。まずは80mmへの短縮を試したところ、身体が起きて肘のストレス点は消えたようだったものの、せっかくのゆったり感も失われてしまった。コックピットが前後に狭くなったことと、メインのグリップ位置が少し前に移動してバーの実質的な幅が狭くなったことが原因だろう。砂地でのターンでも前輪の安定感が落ちた。次に100mmに延長してみると、瞬時にこれが正解と分かった。肘が詰まることもなく、かといって前傾がきついわけでもなくて、シンプルに身体を動かし易い。

100mmで決まりっぽい

バーテープでポジションの自由度を活かす

バーを掴むメインの位置は、前述のようにしっかり調整しておきたい(とはいえ身体だけでなくジオメトリーとバー形状との相性もあるので、現物合わせの要素が大きいのも事実だ)。その上で他のエリアにも手を快適に置けるようにすると、蛇行するカモメバーの全長が活きる。自分はステム脇からエンドまでバーテープを巻き、レバーのクランプ部の突起もカバーした。ちょっと薄く巻き過ぎた感があるので(特にメインポジションの辺り)、交換時にはもう少しクッション性を上げたいと思う。

幅560mm、ライズ50mm、バッスウィープ34度

二台のオールラウンダー

Le Mansは今回のコックピット変更でCozmoとのキャラ被りと違和感が緩和され、かつ対応できるフィールドの範囲が(再び未舗装路にも強くなる方向で)広がった。逆説的だが、見た目の差の拡大に反し、二台の実際的なフィーリングはむしろ近くなったかもしれない。日常の移動や散策~ツーリングをカバーできる(ワン・バイクたりえる)自由な自転車へのアプローチは車体ごとに様々で、複数台を所有しての比較はその模索を深めるのに必要なプロセスのようにも思える。

どこでもクルーザー

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