処理能力を倍増させたGoPro HERO10 Black

GoProから新しいアクション・カメラHERO10 Blackが発売された。以前はHERO7のスタビラズ能力に心底驚かされたが、それ以降は小手先の変化でしかなかった。しかも今回は前機種のHERO9とまったく同じ形状で同じサイズだと言う。HERO9のモジュラーなど周辺機器がそのまま使えるメリットはあるものの、ロゴの色の違い以外は区別がつかないのだから、目新しさに欠けると言いたくなる。

だが、HERO10の真価は外面でななく内側の頭脳にある。GP2と呼ばれるプロセッッサは従来のGP1の2倍の処理能力を持つ。この強力なパワーによって4Kで120fpsのように1秒間に記録できるフレーム数が従来の2倍になっている。同じ30fpsでもHERO10では明らかに精彩感が高まり、スタビライズ性能も向上している。それほど不満ではなかったHERO9の映像が急に色褪せてしまった。

HERO9とHERO10のスタビライズ比較

また、水平レベリングはHERO9では水平が取れていないことが多いのに対して、HERO10ではほぼ問題がない結果が得られた。強制的に映像を安定させたり水平を保ったりすることは、物理的な運動や身体の挙動としては不自然な映像になるものの、感覚をねじ伏せて有無を言わさない強引さが面白い。そのような暴力的な処理が、結果的に静謐な映像をもたらすからだ。

HERO9とHERO10の水平レベリング比較
HERO10をヘルメットに装着して撮影
前半は頻繁に頭を動かし、後半は頭を動かさないようにしいている。

さらに同じ撮影条件であればバッテリーの駆動時間が長くなることを期待した。しかし、HERO10よりHERO9のほうが録画時間が長いこともあった。もっともこれは正確な比較になっていない。なにしろ本体の発熱のせいか途中で異常終了したり、十分に冷却していてもバッテリーを使い切らずに停止することもあったからだ。元々がサーフィン用なので、未だに長時間の録画には向いていないらしい。

HERO9の録画時間HERO10の録画時間
ビデオ 4K/30fps  1時間30分38秒1時間17分3秒
ビデオ 1080p/30fps1時間28分30秒2時間5分36秒
TimeWarp 4K/10倍速1時間55分00秒1時間40分00秒
TimeWarp 1080p/10倍速2時間55分00秒1時間57分40秒

振り返ってみれば、汎用のプロセッサから専用プロセッサGP1に移行したのがHERO6だった。この時も外観はほぼ同一ながら、従来の4K30fpsから4K60fpsへとfpsが2倍になっている。そして余りあるパワーを使って実現したのがHERO7の驚異的なスタビラズHyperSmoothであった。となると処理能力が2倍になった今回の次となるHERO11では、ソフトウェア的な革新が起こるに違いない。期待したい。

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