これまで末端編、タッチ編、身体編、新素材編、ドーピング編と様々な観点から冬の装備を考えてきた。ただし、近くの店舗や駅までといった日常的なライドでは、手軽に寒さ対策をしたい。数分のライドのために十数分も準備がかかるのでは、出かける気になれないからだ。そこで極力手間のかからない装備を紹介したい。ここでも第一に押さえるべきは顔、手、足の末端だ。あとは適当に厚手の服を着る。
顔の防寒対策
顔の寒さ対策にはマスクからバラクラバ(目出し帽)まで多くの種類があるが、最近のお気に入りはコレひとつで済む厚手の飛行帽。両側のフラップが耳から頬までを覆う両側のフラップや、鼻や口を覆うカバーが風を撥ね付け、フェイク・ファーのおかげで露骨に温かい。特筆すべきは着脱の簡単さで、クラシカルな雰囲気も悪くはない。ただ、重ねてヘルメットは被れないので、安全面では劣りそうだ。
手の防寒対策
手袋は着脱に手間がかかるので、ざっくりとしたミトンがお薦め。折り返して指を出せると、必要となれば細かな作業もできる。また、ハンドルにカバーを掛けるのも良い。もともと冬のカヤック乗りのために考案されただけに、防風性があり保温性もある。手袋をつけずに素手でカバーに手を突っ込んで走り出せるのは、手軽なことこの上ない。極寒期でもミトンとカバーで楽々乗り切る。
足の防寒対策
足は厚手の靴下を履くとして、靴はいっそのことスノーブーツはどうだろう。雪山でも使えるような代物だから、冬の冷たい風は完全にシャットアウトして暖かい。長靴タイプは簡単に履いたり脱いだりできるし、柔らかい素材ならペダリングを邪魔しない。難を言えば、少々ファンシーな雰囲気を醸し出すことだろうか。パンツの裾を入れることになるので、タイト過ぎないブーツを選ぼう。
このように日常の防寒は、気軽に簡単に扱えることが第一条件だ。自転車に乗る時間は短く運動量も少ないので、汗を逃がす透湿性や温度の調整機能は不要で、単に暖かいことを重視して良い。結果的に本格的なスポーツ用ではなく、手軽な日常製品が適している。日中でも薄暗い日のために、明るめの色が良いだろう。と言いながら、今回紹介したグッズは黒系ばかりだった。海より深く反省する。