関ヶ原古戦場サイクリング・イベントに参戦

先日開催された関ヶ原古戦場サイクリング・イベントの「チェスト!島津退き口コース 63km」に参加した。当日の朝に雨が上がり、天候は曇り時々晴れ、秋らしい爽やかなライドとなった。趣旨を無視して史跡には一切立ち止まらなかったものの、古い町並みや田舎道は美しく、有名な二之瀬越は厳しくも壮大な眺めに心洗われる。このヒルクライムを含めて一日ライドとして、じっくりく楽しめるコースであった。

今回のイベントは一般的な自転車イベントとは異っていたのが興味深かった。まず、募集人員が30名と少なく、のんびりと走ることができる。また、救護班は控えているものの、先導員や街頭の誘導はない。つまり、地図やルート情報を参照しながら、自力で道を探して走るわけだ。筆者はGarminのナビゲーションを使ったが、それでも何度か曲がり角を間違えてしまった。ちょっとした探検気分が楽しい。

Relive ‘Sekigahara-Ninose Ride’

エイド・ステーションを兼ねるチェック・ポイントは3ヵ所。いずれでもコースにちなんだ飲食物が振る舞われる。ただ、飲みきれない量のペットボトルの水やお茶だったり、喉が乾く焼き芋や胃にもたれるサイダーだったのは一般には有り得ない。これは関ヶ原の戦いで敗走する武士の苦しみを味わう意図に違いない。峠を上りきった達成感とともにいただくお弁当が、素晴らしく美味しかったのも憎い演出。

ゴールではハズレなしの抽選で記念品が当たる。これもコースにちなんだもので、筆者は鹿児島の菓子折り、知人は東西カレー2食分だった。今回の参加費は2,500円で、エイドや記念品、それに保険などを含めれば十分以上にモトが取れる金額設定になっている。イベントの運営は観光事業として賄われているので不思議ではないが、先導員や誘導員を立てるまでの予算はなかったのかもしれない。

ここで思い出したのは、イギリスでのライド・イベント。これも参加費が安く、エイドもなければ先導員もいない割り切った運営だった。ただし、約100kmのコース全域に渡って誘導サインが設けられ、要所には誘導員も配置されていた。思えば日本のイベントは過剰なまでに手厚いがために、高額で大規模にならざるを得ない。もっと気軽なイベントも望まれているはずで、今回はその良い例になったと思う。

ところで、二之瀬越は曲がりくねった急勾配の坂が続く難所。となれば電動アシストが威力を発揮する。だが、コースの大半である平地では、電動アシストは単なる重い自転車と化す。悩みはしたが、知人に借りたBenelli TAGETE27.5で臨んだ。このイタリア製のeMTBは見かけは悪いがバランスが良く、平地走行もそれほど苦にならない。普段乗っている戦車じみた電動アシスト自転車の愚鈍さを実感した次第。

Miyata Ridge Runner(左)Benelli TAGETE27.5(右)

東側から上る二之瀬越は約6キロ、標高差420mで平均上り斜度は9.5%にも達する。これを多少息をきらしながらも楽々と20分程で上ったのは、素人としてはトップクラスになる。もちろん電動アシストゆえだが、これをズルいと非難するのはお門違い。自転車自体が精巧な技術の産物であり、舗装道路は高度な社会の基盤だからだ。418年前の道なき道を上る敗走者たちには与えられなかった賜物に、感謝しよう。

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