[輪行しませんか?] 都市への輪行

筆者はIAMASの学生であり、現在大垣に住んでいる。月に一回くらい、大垣や岐阜では手に入らなさそうな本などを求めて名古屋へ足を伸ばすのだが、こういうときは必ずと言っていいほど輪行をしてしまう。

こういう都市部への輪行は、今に始まった話ではない。IAMASに入学する前、千葉市に住んでいたころも総武線で東京方面に輪行をしていた。降車駅の混雑を避けるために、あえて乗り換えのない千駄ヶ谷駅や信濃町駅で降り、新宿や渋谷での用事を済ませるついでにサイクリングをしていた。

確かに輪行などせず、普通に乗り継ぎをすれば目的地には早くたどり着ける。しかし、せっかく来たのだから、たくさんの建物や人を見て、都会の空気を味わいたいという思いが当時からあった気がする。

そして最近、自転車で走ったときの都市の印象の違いというのが気になっている。名古屋駅周辺と渋谷駅周辺を例として挙げてみる。

まず、名古屋駅周辺は、自転車に優しいように感じられる。まず道路の直線が長く見通しが良く、自転車が走るための側道も広く取られている。道路が南北、東西に合わせ格子状に走っており、道がわかりやすい。始めていく場所でも迷わず行けるので、走っていて気分がいい。

一方、渋谷駅周辺は、道順が複雑でアップダウンもあり、あまり走りやすいとは言えない。知らない道に入ると方向感覚が狂い始め、思いも寄らない場所に出てしまうことがよくある。

でも筆者としてはこの複雑で分かりづらい感じは、ダンジョンゲームのようで少しワクワクさせられる。それに何度か通い、失敗を繰り返していくうちに、スムーズに利用できるようになり、成長が感じられる。それはそれで悪い気分ではない。

この他にも、建物のデザインや通行人のファッションなどの視覚的要素やその他いろいろなことがらが関連して、印象が形成されるのだが、道路と建物の配置に基づいた、都市の広い見え方というのは自転車を通したとき、強く感じられる。

選択する移動手段で都市の見え方は大きく違い、一長一短がある。自転車で移動しているとき、建物の細かいところをみる余裕はないのだが、都市という大きく複雑なものを見るとき、広く自由に見て回れる自転車というインターフェースは相性がいい気がする。

そして私にとって、輪行をして常にBromptonに乗ることは、移動手段の違いによる見え方のギャップを小さくし、純粋に都市の空気を感じることを助けてくれている。

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