一時は雨後タケノコ状態だった360度全天球カメラは、極めてスタビライズ能力が高いGoPro Fusionが頭一つ抜きん出ている。ただし、これはズッシリと重たいのが難点。何分間かヘルメットに載せていると、首が痛くなってくる。そこで、長時間のライドではInsta360 Oneを用いることが多かった。そして、その後継機であるInsta360 One Xが登場したので、早速テスト・ライドを行った。
まず、前回と同様に、カメラをヘルメットに取り付けて舗装車道を走行する。前半は頻繁に頭を動かし、後半は頭を動かさないようにする。これは一般的なサイクリングの状況に近い。以前は角を曲がると不自然な映像になったが、これは視点同期により主観映像として適切になった。ただ、前半に見られるように頭の振り向きは補正されず、やや気持ち悪い。これはGarminのような進行方向オプションも欲しい。
次にカメラをハンドルバーに付けて、タイル敷きの歩道を走行する。これは細かい路面振動に対するスタビライズ能力を確認するためだ。結果的には細かい振動を抑えられておらず、前機種と同程度か劣っているくらいだ。驚異の手ブレ補正とうたうFlowStateだが、路面振動に関しては現在もGoPro Fusionが遥かに優れている。一方、ハンドルバーでは頭の動きはないので、視点同期オンで常に進行方向を向く。
さて、前機種のInsta360 Oneが実測値で87gであったの対して、Insta360 One Xは115gとやや重たくなった。それでも226gもあるGoPro Fusionの半分程度であり、ヘルメット搭載カメラとして優れている。一般的な自撮り棒を用いる場合も、軽量なほうが有り難いし、それがブン回したり、ブン投げたりとアクロバティックな撮影法に繋がっている。これは伝統的で重厚なカメラにはできない発想だろう。
また、前回のレビューに対して同社から連絡があり、同様の意見が多くあったのだろう。それが方向ロックや視点同期といった機能の拡張に繋がったようだ。前機種でも途中からFlowStateが追加されたように、今後もソフトウェア的な改良が続くに違いない。実際、現在のInsta360 One Xは荒削りな面や不安的な動作が散見される。だが、それらも早晩解決し、さらなる進化を遂げると期待したい。
【追記】車輪のハブにInsta360 One Xを取り付けて撮影した動画を追加した。FlowStateオンとオフと2種類の360度動画を書き出したので、FlowStateの働きが分かるようになっている。いずれも視点同期はオフにしている。(2018.10.22)